2024/01/31 2024年1月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
東京証券取引所の「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」は、問題文のとおり、2025年3月を目途にプライム市場の全上場会社に対して「決算情報」と「適時開⽰情報」の英文開示を求める方向で検討を進めています(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2024年1月9日 英文開示への対応に「コンプライ・オア・エクスプレイン」の表明求める方針、英文開示企業の一覧表公開の可能性も(会員限定)

2024/01/31 【2024年2月の課題】【重要な契約】に関する開示上の留意点

2024年2月の課題

2023年12月、金融庁は開示府令の改正案に対するパブリックコメントの結果を公表し、有価証券報告書の【重要な契約】 の項目において、「企業・株主間のガバナンスに関する合意」「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」「ローンと社債に付される財務上の特約」について契約の概要を開示することを明示的に求めました。以下の論点について、開示上留意すべき点を考えてみてください。

1.全般的事項
(1)提出会社の代表者と株主との間の契約と開示
(2)重要性の低い契約とは
(3)秘密保持条項のある契約の開示義務について
2.企業・株主間のガバナンスに関する合意
(1)書面または口頭での合意と開示要件
(2)株主が役員候補者を推薦する権利を有するにすぎない場合の開示
(3)取締役の選任が株主との事前協議事項にとどまる場合の開示
(4)株主総会の会社提案議案に賛成する旨の合意や、特定議案について議決権を行使しない旨の合意
(5)特定の事項について通知・協議を行う義務を有するにすぎない場合の開示
3.企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意
(1)保有株式の譲渡や買増しに付随する合意と開示
(2)未公表の重要事実に該当する合意の開示
(3)株式保有割合の定義なしでの株式追加取得禁止合意の開示
(4)提出会社と合意を締結していない共同保有者の開示
4.ローン契約と社債に付される財務上の特約
(1)特約の範囲は有報と臨時報告書で同一か
(2)配当制限や担保提供制限の財務制限条項やレポーティング・コベナンツの開示
(3)短期の特定融資枠を利用した契約の開示
(4)ノンリコースローンの開示要件
(5)有価証券報告書と臨時報告書で記載対象となる契約・社債は同一か
(6)債権者が期限の利益の喪失を主張する権利を放棄する場合の臨時報告書の提出時期

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2024/01/30 【役員会 Good&Bad発言集】「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する取り組み・開示(2)

上場会社A社(東証プライム市場に上場)では、2023年中にコーポレート・ガバナンス報告書(CG報告書)に【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】の開示ができていなかったため、2024年1月15日に東証が開示した『「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表』に社名が掲載されなかったところ、株主から「対応が遅いのではないか」という叱りの声が寄せられた。そこで、急遽開催された臨時取締役会で、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する今後の取組みやCG報告書における記載の仕方について議論が行われ、次の3人が下記の発言を行いました。誰の発言がGood発言でしょうか?

取締役A:「株主資本コストは投資家の需要と供給により結果として決まるものであり、経営陣としてはまったくコントロールしようがないですよね。」

取締役B:「そうですね。ただ、来月も開示企業一覧表に当社の社名がないと、株価への意識が足りない企業のように見られて、投資対象から外され、今よりも株価が下がる可能性があります。とりあえず『ROEの現状分析』を記載したうえで『実施中の取組み、あるいは実施しようとしている取組み』を羅列すれば良いのではないでしょうか。」

取締役C:「開示にあたっては、取組みの羅列ではなく、各取組みが目標達成に向けてどのような効果を持つのかを意識するようにした方が良いのではないでしょうか。CG報告書ではいったん【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)】の開示をしておき、稼いだ時間を使って議論を深めたいですね。」

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2024/01/30 【役員会 Good&Bad発言集】「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する取り組み・開示(2)(会員限定)

<解説>
東証で集計・開示が始まる

2024年1月16日のニュース『「株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示、プライムでも半数に届かず』でお伝えしたとおり、東京証券取引所が2024年1月15日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を開示している企業の一覧表(2023年12月末時点)を公表しました。プライム市場上場企業の半数が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を開示できていない状況に対して、投資家からは落胆の声も上がっています。もちろん、コーポレート・ガバナンス報告書(CG報告書)で開示していない上場会社の中には、すでに「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を実施済みであったり、すでに統合報告などで「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を開示したりしている上場会社もあるかもしれませんが、証券取引所が一定の周知期間を設けて対応と開示を要請したにもかかわらずCG報告書で何ら開示できていない上場会社は、投資家から「株価に鈍感な会社では?」と疑われてもやむを得ません。東証では今後毎月末にCG報告書の開示状況を集計して翌月15日に集計結果を公表する予定であり、未開示の会社は早急な対応が望まれるところです。

CG報告書での開示にあたり注意したいこと

それでは、これからCG報告書で「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」についての開示を行う上場会社は、どのような点に留意して開示内容を検討すべきでしょうか。同業他社の開示例や充実した開示をしている他社の開示例を参考にするのはもちろんのこと、東京証券取引所が2024年2月1日に公表した「投資者の視点を踏まえた「資本コストや株価を意識した経営」のポイントと事例」(以下、「ポイントと事例」)もきっと参考になるはずです。「ポイントと事例」には次のような「ポイント」と「投資者目線とのギャップ実例」が記載されています。「現状分析・評価」および「取組みの検討・開示」のそれぞれの局面で参考にしたいところです。

「ポイントと事例」で紹介されている「ポイント」と「投資者目線とのギャップ実例」(赤字)
「現状分析・評価」のポイント① 投資者の視点から資本コストを捉える
× 資本コストには唯一の正解があると考え、画一的な算出式に拘る
× 自社の資本コスト算出結果について、株主・投資者からの「ズレている」という指摘を恐れ、対外的な開示を控える

⇒ 資本コストの水準について、精緻な値を算出することが目的ではなく、株主・投資者との認識を揃えることが重要であり、「資本コストや株価を意識した経営」を実現するための出発点として、認識のズレを解消するための取組みが期待されています。

「現状分析・評価」のポイント② 投資者の視点を踏まえて多面的に分析・評価する
× そもそもPBRが1倍を超えているので、特に対応は必要ないと考え、それ以上の検討は行わない
× 市場評価はマーケットが決めるものと考え、ROEが目標値を超えていればよしとする

⇒  「PBR1倍」はあくまで1つの目安であり、PBRが1倍を超えていればよいというものではなく、投資者の視点を踏まえた多面的な分析・評価、積極的な取組みが期待されます。また、資本収益性が十分な水準だと考える場合でも、それに見合った市場評価が得られているか、分析・評価を行うことが期待されています。

「現状分析・評価」のポイント③ バランスシートが効率的な状態となっているか点検する
× 中計や決算説明において、従来型の売上や利益水準など損益計算書上の指標の説明に終始し、バランスシートをベースとする資本収益性の観点での分析・目標設定が行われていない
⇒  中長期視点の株主・投資者が重視する資本収益性や成長性などの指標を用いた分析・目標設定を取り入れることで、株主・投資者の目線を踏まえた対応が推進されることが期待されています。

「取組みの検討・開示」のポイント① 経営資源の適切な配分を意識した抜本的な取組みを行う
× 現状の資本収益性や市場評価が低いものの、自社株買いのみの一過性の対応(リキャップCBなど)や、既存事業の漸次的な改善のみの対応に終始する
⇒ 株主・投資者からは、継続して資本コストを上回る資本収益性を達成し、持続的な成長を果たすため、成長投資や事業ポートフォリオの見直しなど、抜本的な取組みが期待されています。

「取組みの検討・開示」のポイント② 資本コストを低減させるという意識を持つ
× 株主資本コストは所与のもの(投資者側が決めるもの)と考え、企業側では全くコントロールできないと誤解している
⇒ たとえば、資本コストの上昇原因に対処することで一定の低減が可能だと考えられます。企業価値向上の実現に向けた手段として、資本コストを低減させるという意識を持ち、取り組むことが期待されています。

「取組みの検討・開示」のポイント③ 中長期的な企業価値向上のインセンティブとなる役員報酬制度の設計を行う
× 役員報酬の設計上、中長期的な企業価値向上が経営陣のインセンティブとはなっておらず、株主・投資者と目線がズレている
⇒ たとえば、中長期的な企業価値向上のインセンティブとなる役員報酬制度とすることで、将来の企業価値に対する経営陣の意識を高め、株主・投資者目線での長期的な成長を見据えた経営を推進することが期待されています。

「取組みの検討・開示」のポイント④ 中長期的に目指す姿と紐づけて取組みを説明する
× 取組みを羅列するだけで、それらがどのように企業価値向上、目標達成に繋がるのか、明確な記載が無くわかりづらい
⇒ 掲げられている目標と取組みの関連性が不明瞭な場合、株主・投資者は、取組みの効果に確信を持つことが難しくなります。株主・投資者からは、各取組みが目標達成に向けてどのような効果を持つのか、できる限りわかりやすく示すことが期待されています。

拙速な開示を行うよりは、上記のポイントを踏まえたうえで経営陣でじっくりと議論をした結果を開示すべきと言えます。そのためには、CG報告書ではいったん【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)】の開示をしておくのも一案と言えます(「検討中」の開示については2023年11月7日のニュース「開示企業一覧表に掲載されるためのキーワードが確定、CG報告書はいつ再提出する?」を参照)。

さて、以上の解説をご覧いただければ、誰の発言がGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役C:「開示にあたっては、取組みの羅列ではなく、各取組みが目標達成に向けてどのような効果を持つのかを意識するようにした方が良いのではないでしょうか。CG報告書ではいったん【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)】の開示をしておき、稼いだ時間を使って議論を深めたいですね。」
コメント: 取締役Cの発言は、CG報告書の開示が安易な「取組みの羅列」に流されそうになるのを止めるだけでなく、各取組みが目標達成に向けてどのような効果を持つのかを記載するという理想論にも触れたうえで、経営陣でじっくりと議論をする時間を確保するために「検討中」を利用するという実務的な対応策も提案できており、GOODです。

BAD発言はこちら

取締役A:「株主資本コストは投資家の需要と供給により結果として決まるものであり、経営陣としてはまったくコントロールしようがないですよね。」
コメント:東証が公表予定の「ポイントと事例」では「中⻑期的な企業価値向上の実現に向けては、資本コストを上回る資本収益性を達成したうえで、その差を拡大させていくことが必要」として、「単に資本収益性の向上に取り組むだけではなく、資本コストを低減させる取組みも重要」といった観点から、「開示情報の拡充や効果的な投資家との対話により、情報の非対称性を解消すること」や「投資者の経営に対する信頼や、収益の安定性・持続性に対する確信度を高める観点から、コーポレート・ガバナンスの強化」が株主資本コスト低減に有効との考え方が紹介されています。取締役Aの「株主資本コストは・・・経営陣としてはまったくコントロールしようがない」は株価や株主資本コストに対する誤解に基づくBAD発言です。

取締役B:「そうですね。ただ、来月も開示企業一覧表に当社の社名がないと、株価への意識が足りない企業のように見られて、投資対象から外され、今よりも株価が下がる可能性があります。とりあえず『ROEの現状分析』を記載したうえで『実施中の取組み、あるいは実施しようとしている取組み』を羅列すれば良いのではないでしょうか。」
コメント:確かに、開示企業一覧表にいつまで経っても社名が掲載されない会社は『株価への意識が足りない』と見られる可能性があります。だからと言って、開示を急いで取組みの羅列で済ませようとすると、逆に「その取組みでどのように企業価値を向上させようとしているのか、経営陣は本当に理解しているのか」と疑問を持たれる可能性もあります。安易な羅列による拙速な開示で馬脚をあらわすくらいなら、取締役Cの発言にあるように、CG報告書ではいったん【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)】の開示をしておき、経営陣で「各取組みが目標達成に向けてどのような効果を持つのか」について議論を深めてから、中⻑期的に目指す姿と紐づけて具体的な取組みを開示するのも一案です。