2020/07/31 2020年7月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
ASBJが示した「新型コロナウイルス感染症の影響に関する四半期決算における開示の考え方」によると、前年度の有価証券報告書の財務諸表において、コロナ影響下の会計上の見積りに用いた仮定を開示している企業において、今四半期決算において新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に重要な変更を行っていない場合でも、重要な変更を行っていないことが財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断される場合には、「重要な変更を行っていない」旨を記載することが望ましいとされています(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2020年7月1日 四半期決算におけるコロナの影響 仮定に「重要な変更」なくても開示(会員限定)

2020/07/30 ZOOMでハイブリッド型バーチャル株主総会を開催した企業も

コロナ禍の中で迎えた今年(2020年)の定時株主総会では、感染防止のためハイブリッド型バーチャル株主総会を開催した上場企業が少なからずあった(一例として、2020年3月4日のニュース「新型コロナ対策で富士ソフトがハイブリッド型バーチャル株主総会」参照)。・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/07/30 ZOOMでハイブリッド型バーチャル株主総会を開催した企業も(会員限定)

コロナ禍の中で迎えた今年(2020年)の定時株主総会では、感染防止のためハイブリッド型バーチャル株主総会を開催した上場企業が少なからずあった(一例として、2020年3月4日のニュース「新型コロナ対策で富士ソフトがハイブリッド型バーチャル株主総会」参照)。

経済産業省も(2020年)2月に「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」をとりまめるなどしてハイブリッド型バーチャル株主総会の開催を後押ししたが、今年はコロナ禍が顕在化してから定時株主総会までの期間が短く、「十分な準備ができない」として開催を見送った企業も多い。しかし、コロナ禍の収束がいまだ見通せないことや、気候変動等による大規模な自然災害の発生リスクが高まっていることを考えれば、上場企業はハイブリッド型バーチャル株主総会を開催できる体制を整えておく必要があろう。

周知のとおり、ハイブリッド型バーチャル株主総会には、①リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会の開催場所に在所しない株主が株主総会への法律上の出席を伴わずに、インターネット等の手段を用いて審議等を確認・傍聴することができる「ハイブリッド参加型バーチャル株主総会」と、②リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会の場所に在所しない株主が、インターネット等の手段を用いて株主総会に会社法上の「出席」をすることができる「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」があるが、今年は「参加型」を採用した企業が圧倒的に多かった(ハイブリッド型バーチャル株主総会における「出席型」と「参加型」の違いの詳細は「(新用語・難解用語)ハイブリッド型バーチャル株主総会」参照)。

基本的に株主総会のライブ配信にとどまる「ハイブリッド参加型バーチャル株主総会」で大きな論点となるのが、 “双方向性”の確保だ。この点、経済産業省に設置された「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」が2020年3月以降に実施されたハイブリッド型バーチャル株主総会の取り組み状況などについて整理した報告書(2020年7月22日公表)によると、下記のとおり、コメントの受付タイミング(事前か、リアルタイムか)や回答方法(当日回答するのか、後日回答するのか)といった点で各社に違いが見られた(上記報告書の46ページより引用)。

51625b

他の株主のコメントの内容や会社の回答を踏まえて株主から新たなコメントが出て来る可能性を考えると、上の②と③を併用しつつ、回答が十分でなかった点について、後日ウェブサイト上で回答(④)するという方法が、株主にとっては最も満足度が高い運用と言えよう(ハイブリッド参加型バーチャル株主総会におけるコメントへの対応については2019年11月6日のニュース「グリー、バーチャル株主総会で株主からメッセージを受け付け」参照)。ただし、その分、株主総会事務局の負担も増えることは間違いないので、株主の満足度と事務局の負担を比較考量して運用方法を決定する必要がある。

一方、株主がインターネットを通じて会社法上の「出席」をすることになるハイブリッド出席型バーチャル株主総会は、ハイブリッド参加型バーチャル株主総会と比べ、通信環境の安定性を確保する必要性がより高く、また、株主の議決権行使や質問権行使の機会を提供しなければならないことからシステム構築の難易度も上がるのが一般的だろう。もっとも、実際には必ずしも高価なシステム構築が必須というわけでもないようだ。経済産業省の調査によると、下表のとおり、株主にバーチャル株主総会へ「出席」してもらうために、自社でシステムを開発した企業や、ウェブ会議ツールを使用した企業(例えばマザーズ上場のアドウェイズのリリースはこちら)もあることが分かった(下表は上記の報告書の46ページより引用)。

51625a

ウェブ会議ツールであれば比較的安価に導入が可能であり、また、ZOOMによる会議や面談の機会も増えたことから株主の抵抗感も以前より小さくなっているはずだ。ただ、ウェブ会議ツールでは、出席者が多くなるほど「拍手」「挙手」といった動作の視認が困難になるという問題もあるため(株主総会での拍手が問題となった事例として、2020年7月16日のニュース「株主総会で議長は“拍手”すべき?」や2020年6月29日のニュース「大戸屋HDでコロワイドの株主提案が否決、トップの言動影響の可能性」を参照)、事前の出席者数の予測や“票読み”も重要になってくる。株主、企業双方の満足度の高いハイブリッド型バーチャル株主総会の実現に向け、既開催企業に集積されたノウハウの還元が期待されるところだ。

2020/07/29 夏季休業のお知らせ

誠に勝手ながら、2020年8月10日(月)~2020年8月14日(金)は事務局の夏季休業となります。
ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い致します。

なお、会員登録は夏季休業期間中もオンラインにて可能です。
会員登録はこちら

2020/07/29 日英投資ファンドからの株主提案が示唆する“アクティビズム”の幕開け

TOPIX100採用企業の2020年6月・定時株主総会(以下、株主総会)における議決権行使結果のレポート第六弾(最終回)では、「株主提案」を取り上げる。・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/07/29 日英投資ファンドからの株主提案が示唆する“アクティビズム”の幕開け(会員限定)

TOPIX100採用企業の2020年6月・定時株主総会(以下、株主総会)における議決権行使結果のレポート第六弾(最終回)では、「株主提案」を取り上げる。

第一弾 2020年7月7日 『2020年6月総会 ROE基準非適用でも賛成率80%割れの取締役選任議案増加
第二弾 2020年7月13日 『「3分の1基準」に抵触で、経営トップへの賛成率が20ポイント下落
第三弾 2020年7月15日 『監査等委員および監査役選任議案、「独立性」に厳しい視線
第四弾 2020年7月20日 『会社提案の株式報酬議案、英ファンドが2倍の上限額提案で低賛成率に
第五弾 2020年7月27日 『取締役任期、TOPIX100企業でも「2年」維持多数

※なお、本シリーズでとり上げるTOPIX100採用企業は、8月決算であるファーストリテイリングを除く99社とする。また、本稿の議決権行使結果データには、株主総会を7月に開催する日立製作所とオリンパス、および7月3日時点で臨時報告書が提出されていない日産自動車と住友不動産のものは含まれていない。

TOPIX100採用企業に対する株主提案は、8社において58議案が上程された。昨年と比較すると、社数こそ変わっていないものの、議案数は大幅に増加している。このうち最も多く、かつ昨年よりも大幅に増加したのが定款の一部変更議案だ。理由としては、電力企業(関西電力中部電力)で議案数(例えば原発事業からの撤退、取締役報酬の個別開示など)が増加したことが挙げられる。同じく取締役選解任も昨年から急増しているが、これは複数候補者の擁立があったこと(積水ハウス、キリンホールディングス)による。

【株主提案の種類別議案数と前年対比】
  2019 2020
社数 8 8
議案数 31 58
  定款一部変更 26 36
取締役選解任 3 17
監査役選解任 1 0
役員報酬関連 0 3
株主還元関連 1 2

賛成率が20%以上あった株主提案は下表のとおり14議案で、全体の4分の1弱に達した。最も賛成率が高かったのは、関西電力に対し取締役報酬の個別開示を求める定款変更議案である。過去にも様々な企業(ソニー、みずほフィナンシャル・グループなど)に対する同様の提案が高賛成率を獲得している。他に役員報酬に関連したものでは、譲渡制限付株式の上限引上げを求める議案(キリンホールディングス)が一定の支持を集めた。

取締役選解任で最も賛成率が高かったのは、キリンホールディングスに対してコーポレートガバナンスの専門家である米国人の選任を求めた議案で、3分の1を超える支持を集めた。また、積水ハウスにおいても、リスクマネジメントに知見のある米国人の選任議案への賛成率が3割に達した。取締役会に「グローバル」という視点でのダイバーシティを期待する声が高まっていることを背景に、外国人を中心とする機関投資家が積極的に賛成票を投じたものと考えられる。

また、話題になった株主提案として、国内の環境NPOである気候変動ネットワークがみずほフィナンシャル・グループに対し、石炭・火力産業に対する融資の責任を問い質すことを目的とした定款変更議案があった。本議案は3分の1を超える賛成票を獲得したことから、来年以降は他の企業においても気候変動問題をテーマとする株主提案がなされる可能性があろう。

【株主提案の高賛成率議案】
社名 議案 内容 賛成率
関西電力 定款変更 取締役報酬の個別開示 43.20%
関西電力 修正動議 取締役候補者の差し替え 40.40%
関西電力 定款変更 定款に「CSRに基づく事業運営」の章を新設 37.40%
キリンHD 取締役選任 ニコラス・E・ベネシュ(会社役員育成機構代表理事) 35.62%
みずほFG 定款変更 パリ協定の目標に沿った投資計画 34.00%
みずほFG 定款変更 株主提案議案の株主総会参考書類記載 31.00%
積水ハウス 取締役選任 クリストファー・ダグラス・ブレイディ(チャート・グループ会長兼CEO) 30.49%
関西電力 定款変更 取締役報酬その他金品の個別開示 27.40%
関西電力 定款変更 相談役、顧問、嘱託の廃止 27.40%
積水ハウス 取締役選任 岩崎二郎(元・TDK取締役執行役員常務) 25.48%
関西電力 定款変更 株主総会における議事・結果の開示 21.10%
キリンHD 報酬額改定 譲渡制限付株式の上限を2.5憶円から12億円に増額 21.01%
関西電力 取締役解任 森本孝(代表取締役社長) 20.50%
キリンHD 取締役選任 菊池加奈子(ユーシービージャパン代表取締役社長) 20.00%

今年の株主総会の特徴として、アクティビストと目される投資ファンドによる株主提案がTOPIX100採用企業に対して複数あったことも注目される。時価総額が大きいため影響を及ぼすことが難しいことやレピュテーションの低下につながりかねないことなどから、これまで著名企業に対する投資ファンドの株主提案は目立って行われてこなかった。下記の日英2社による株主提案は、我が国におけるアクティビズムが加速する兆しとの見方もできそうだ。

【アクティビストによる株主提案】
社名 株主提案者 議案
キリンHD フランチャイズ・パートナーズ(英) 自己株式取得、役員報酬、取締役選任
東レ ストラテジックキャピタル(日) 上場子会社の管理(定款変更)

2020/07/28 剰余金配当の授権のための定款変更で「批判を受けにくい」説明の仕方

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う決算・監査業務の遅延により、6月の定時株主総会(以下、株主総会)を延期(=基準日を変更)するか、あるいは継続会を開催した企業が少なからずあったことは既報のとおり(2020年6月18日のニュース「基準日変更企業が増加 6月17日現在の決算発表・株主総会動向」参照)。継続会を開催することに対しては、議決権行使助言会社最大手のISSが「監査が未了で計算書類を確認できない段階で配当議案が決議される場合、結果的に決議された配当が過大であるリスクが懸念される」として「棄権」を推奨するなど(2020年5月13日のニュース『ISS、継続会を選択した企業に対し「棄権」推奨』参照)、問題視する声もあったところだ。

基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。
継続会 : 会社法上、株主総会は、延期または続行することができるとされている(会社法317条)。ここでいう「延期」とは株主総会の成立後に議事に入らずに開催日を後日に変更することであり、一般的には「延会」と呼ばれ、「続行」とは株主総会の成立後に議事に入るものの、全ての議事の審議を完了せず残りの議事の審議を後日に先送りすることであり、一般的に「継続会」と呼ばれる。

それにもかかわらず継続会を開催せざるを得なかった大きな理由は、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/07/28 剰余金配当の授権のための定款変更で「批判を受けにくい」説明の仕方(会員限定)

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う決算・監査業務の遅延により、6月の定時株主総会(以下、株主総会)を延期(=基準日を変更)するか、あるいは継続会を開催した企業が少なからずあったことは既報のとおり(2020年6月18日のニュース「基準日変更企業が増加 6月17日現在の決算発表・株主総会動向」参照)。継続会を開催することに対しては、議決権行使助言会社最大手のISSが「監査が未了で計算書類を確認できない段階で配当議案が決議される場合、結果的に決議された配当が過大であるリスクが懸念される」として「棄権」を推奨するなど(2020年5月13日のニュース『ISS、継続会を選択した企業に対し「棄権」推奨』参照)、問題視する声もあったところだ。

基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。
継続会 : 会社法上、株主総会は、延期または続行することができるとされている(会社法317条)。ここでいう「延期」とは株主総会の成立後に議事に入らずに開催日を後日に変更することであり、一般的には「延会」と呼ばれ、「続行」とは株主総会の成立後に議事に入るものの、全ての議事の審議を完了せず残りの議事の審議を後日に先送りすることであり、一般的に「継続会」と呼ばれる。

それにもかかわらず継続会を開催せざるを得なかった大きな理由は、定款で剰余金の配当等の権限を取締役会に「授権」していなかったからであろう。仮に剰余金の配当等の権限を取締役会に授権していれば、無理して6月に株主総会を開催せず、延期(=基準日の変更)を選択することもできたはずだ。「授権」していない企業の中にも継続会を選択せず、株主総会を延期したところもあるが、あくまでレアケースと言える。継続会の開催を選択した企業の多くが、当初の株主総会(6月総会)で剰余金処分議案を付議していることから見ても、配当基準日の変更を回避する意図があったことは明らかだ。

授権 : 「配当の決定権限」といった権限を株主総会から取締役会に委譲すること。

こうした中、今年6月の株主総会で、剰余金の配当等の権限を取締役会に授権する旨の定款変更議案を付議した企業が26社(6月総会を延期した企業を含む)あったことが判明した。今回の新型コロナウイルス感染収束後も、新たな感染症や豪雨、地震といった大規模な自然災害等が発生するリスクやそれに伴う経営の不確実性は、気候変動の急速な進展とも相俟って従来よりも高まっている。したがって、剰余金の配当等の権限を取締役会に授権するべく定款を変更することは、こうしたリスクや不確実性に備え、可能な限り経営の機動性を確保しておくという点で大きな意味がある(もっとも、皮肉なことに、新型コロナウイルスは6月よりも最近(7月中旬以降)の方が感染は拡大している。これも“不確実性”というものであろう)。

定款変更にあって経営陣に決断が求められるのが、株主総会での決議を“排除”するのかどうかとういう点だ。剰余金の配当等の権限を取締役会に授権するための定款の規定の内容としては、「法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める」といったパターンと、「・・・取締役会の決議によって定めることができる」といったパターンの2つがある。前者は「取締役会決議」のみによって剰余金の配当等を決定するものであり、株主総会での決議、すなわち株主の議題提案権を排除する規定(以下、総会排除規定)と言える。一方、後者は取締役会決議と株主総会決議の「いずれも」可能とする規定(以下、できる規定)である。これから定款を変更しようという企業は、このうちどちらのパターンを選択すべきだろうか。

今年の株主総会で定款変更議案を上程した上記26社について見ると、「総会排除規定」が4社、「できる規定」が22社と圧倒的に後者を採用する企業が多くなっている。その理由として、株主の意見が反映されないこととなる総会排除規定は多くの機関投資家から反対を受ける可能性があり、自社の株主に占める機関投資家の割合次第で否決リスクもあることが挙げられる。この点は、みずほフィナンシャルグループが、「総会排除規定」を「できる規定」に変更するよう株主提案を継続的に受け続け、ついに今年6月の株主総会で株主提案を受け入れ、会社・株主の“共同提案”で「できる規定」へと定款変更を行ったことからもうかがえる。

みずほフィナンシャルグループのケースからも分かるように、「総会排除規定」に対する投資家の評判は悪く、今年の株主総会で定款を変更した26社のうち、総会排除規定を新設した4社の定款変更議案にも多くの反対票が投じられた。4社に共通しているのは機関投資家比率の高さだ。この点からも、総会排除規定は機関投資家の反対を受けやすいことが裏付けられる。

ただ、「できる規定」を新設したにもかかわらず極めて低い賛成率となったのが、アイダエンジニアリングの定款変更議案だ。同社の株主総会に付議された「第二号議案 定款一部変更の件」の賛成率は全議案中で最低の76.91%にとどまり、最も賛成率が高かった「第一号議案 剰余金の処分の件」の99.93%と比べると▲23.02%も低かった。上述のとおり同社の定款変更議案は「できる規定」を新設する内容であり、定款変更の理由としても、「定時株主総会を開催することが困難な場合であっても株主総会の決議を要さずに機動的に剰余金の配当等を行うことを可能にするため」、今後のリスクや不確実性への備えであるという真っ当な説明したにもかかわらず、結果的に十分に株主の理解を得ることができなかった。

これに対し、アイダエンジニアリングと同様に「できる規定」を新設し、リスクや不確実性への備えである趣旨を説明したアイチコーポレーションでは、他議案と遜色のない賛成率を獲得している。同社は、「本件定款変更は株主による配当に関する議題提案権を排除するものではありません」とも付記しており、この説明が評価された可能性がある。

今後、定款を変更し剰余金の配当等の権限を取締役会に授権しようという企業は、株主の議題提案権を排除しないのであれば、アイチコーポレーションのように、それを率直に「株主の議題提案権を排除するものではない」旨説明するのが望ましいと言えそうだ。

2020/07/27 取締役任期、TOPIX100企業でも「2年」維持多数

TOPIX100採用企業の2020年6月・定時株主総会(以下、株主総会)における議決権行使結果のレポート第五弾では、定款一部変更議案を取り上げる。・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/07/27 取締役任期、TOPIX100企業でも「2年」維持多数(会員限定)

TOPIX100採用企業の2020年6月・定時株主総会(以下、株主総会)における議決権行使結果のレポート第五弾では、定款一部変更議案を取り上げる。

第一弾 2020年7月7日 『2020年6月総会 ROE基準非適用でも賛成率80%割れの取締役選任議案増加
第二弾 2020年7月13日 『「3分の1基準」に抵触で、経営トップへの賛成率が20ポイント下落
第三弾 2020年7月15日 『監査等委員および監査役選任議案、「独立性」に厳しい視線
第四弾 2020年7月20日 『会社提案の株式報酬議案、英ファンドが2倍の上限額提案で低賛成率に

※なお、本シリーズでとり上げるTOPIX100採用企業は、8月決算であるファーストリテイリングを除く99社とする。また、本稿の議決権行使結果データには、株主総会を7月に開催する日立製作所とオリンパス、および7月3日時点で臨時報告書が提出されていない日産自動車と住友不動産のものは含まれていない。

TOPIX100採用企業における定款一部変更議案は、20社によって21議案が上程された。最も賛成率が低かった事例でも97%となっており、特に投資家が問題視した議案はなかったと言える。そこで本稿では、変更の「内容」に着目してみたい。

【定款変更議案の内容別内訳】
変更内容 社名 議案数 (前年)
取締役任期の短縮 住友電気工業、東日本旅客鉄道、ダイキン工業、積水ハウス 4 0
相談役の廃止 積水ハウス、味の素 2 1
指名委員会等設置会社に移行 関西電力 1 3
監査等委員会設置会社に移行 日本製鉄、日本電産、NTTドコモ 3 0
議長と社長の分離 セブン&アイHD 1 1
監査役の増員 西日本旅客鉄道 1 2
事業目的の追加 中部電力、トヨタ自動車、三井不動産 3 3
商号変更 ソニー、ENEOS HD 2 0

最も多かったのは取締役の任期を2年から1年に変更する議案で、4社が今年の株主総会に上程した。「株主総会は取締役の信任を問う場であり、毎期の業績に基づいて株主に判断を求めるべき」という機関投資家の意向に沿ったものと言えよう。一方、下記の13社では今年の6月株主総会後も取締役任期が2年のままとなっている。

大東建託、味の素、日本たばこ産業、東レ、信越化学工業、中外製薬、オリエンタルランド、京セラ、いすゞ自動車、三井不動産、住友不動産、東海旅客鉄道、日本電信電話

次に多かったのは監査等委員会設置会社への移行を諮るもので、指名委員会等設置会社への移行を諮った関西電力と併せて4社が機関設計を変更した。下表のとおり、昨年は指名委員会等設置会社への移行が3社あったが、監査等委員会設置会社への移行はゼロ社となっていた。

変更内容 2019年 2020年
指名委員会等設置会社への
移行
SOMPO HD、日産自動車、オリンパス 関西電力
監査等委員会設置会社への
移行
(なし) 日本製鉄、日本電産、NTTドコモ

昨年、今年と合わせて4社が指名委員会等設置会社に移行した背景には、企業不祥事、あるいはアクティビストの影響があったものとみられる。一方、今年監査等委員会設置会社に移行した3社については、そのような理由は見当たらない。

そこで、これらの3社について取締役会に占める社外取締役の人数を確認すると、日本製鉄が「13人中3人」から「18人中7人」に、日本電産が「8人中2人」から「9人中5人」に、NTTドコモが「14人中2人」から「15人中7人」と、いずれも監査等委員会設置会社への移行を経て人数・割合ともに急増している。社外取締役を取締役会の3分の1以上選任するよう求める機関投資家の増加が影響した可能性が高そうだ。