2020/06/18 基準日変更企業が増加 6月17日現在の決算発表・株主総会動向(会員限定)

異例づくめの2020年3月決算企業の決算発表、株主総会の開催時期・方式の最新動向が判明した。

決算発表(決算短信の公表)の時期については、平時であれば東証は「遅くとも決算期末後45日以内(決算期末後30日以内がより望ましい)」を要請しているが、2020年3月期決算企業2,337社のうち、5月15日まで(=決算期末後45日以内)に決算発表を行ったのは1,732社と、全体の74.1%に上っている。以下、「5月16日〜22日」に決算発表を行ったのが519社(全体の22.2%)、「6月1日〜17日」が47社(同2.0%)となっており、既に決算発表を終えた企業は2,298社と、2020年3月決算企業の98.3%と大部分を占めている。一方、「6月中」に決算発表を予定している企業は22社(同1.0%)、「7月中」に予定している企業は8社(同0.3%)、決算発表時期を「未定」としている企業は9社(同0.4%)あった。

上記のとおり約3/4の企業が決算期末後45日以内に決算発表を終える中、定時株主総会もほぼ例年どおりの日程で開催する企業が大部分を占めることになりそうだ。今年、定時株主総会が最も集中するのは6月26日(金)で、747社(全体の32.8%)が開催を予定している。6月の最後の1週間に定時株主総会を開催する企業は1,817社と前年より10%増えている。ギリギリのスケジュールで定時株主総会の準備を進めてきた企業が多いことがうかがえる。なお、株主総会招集通知の早期発送(株主総会の3週間(中15営業日)以上前に発送)を実施した企業は372社(全体の17.2% 前年比-5.4%)、早期ウェブ開示(株主総会の3週間以上前までに自社ウェブサイト等において公表)を実施した企業は1,350社(同65.6% 同-3.5%)となっている。こちらにも決算作業の遅れの影響が若干出ている。

6月中に定時株主総会を開催する企業が大勢を占める中、基準日を変更するとした企業が57社とじわじわと増加している。基準日を変更すれば、配当を受ける予定だった株主が受けられなくなるといった問題が生じることから、多くの上場企業がそれだけは回避したいと考えていた(そこで出てきたのが「継続会」を開催するアイデアである。2020年4月13日のニュース『続報 有報の提出期限さらに延期へ、株主総会延期では「継続会」活用論浮上』)ことを踏まえると、主に無配の企業や、取締役会に剰余金の配当を授権することを定款で定めている企業(2020年4月21日のニュース「配当基準日は変えずに議決権基準日を後倒しして総会を延期する企業が出現」参照)が基準日の変更を選択しているものと思われる。一方、100社を超えるとの予想も出ていた継続会を開催することを開示している企業は29社にとどまっている。

基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。
授権 : 「配当の決定権限」といった権限を株主総会から取締役会に委譲すること。

また、(計算書類報告のための)臨時株主総会を開催する企業も4社あった(臨時株主総会を開催する企業については2020年5月18日のニュース『継続会ではなく「臨時株主総会」を開催する企業が出現』参照)。

基準日変更、継続会開催、臨時株主総会を開催する企業は以下のとおり。

株主総会の開催方式 主な企業名
基準日変更 東芝、スカパーJAST、ナンシン、サンデン、サンリツ、ブロードメディア、JDI、日本板硝子、オリンパス、音通、レオパレス21、三城ホールディングス、昭和ホールディングス、リプロセル、プレステージ・インターナショナル、凸版印刷、フォーバル、フォーバルテレコム、日本電波工業、日立製作所、日立建機、東洋エンジニアリング、アースレティ、相模ゴム工業、玉井商船、ケーヒン、岩崎通信機、クオールホールディングス、チムニー、北日本紡績、鴻池運輸、ユニプレス、Fringe81、やまや、燦キャピタルマネージメント、ショーワ、電業社機械製作所、フレンドリー、ワイエスフード、アジア開発キャピタル、フジクラ、住友精密工業、理研ビタミン、ヴィア・ホールディングス、東京ボード工業、曙ブレーキ工業、富士電機、サンリオ、桂川電機、NTN、UNCエレクトロニクス、コンヴァノ、ミマキエンジニアリング、ユニデンホールディングス、アドバネクス、旅工房
継続会開催 NKKスイッチズ、バイオラックス、エヌリンクス、日本農薬、芦森工業、ADEKA、ナカノフドー建設、国際計測器、三栄コーポレーション、中央ビルド工業、フェローテックホールディングス、アイフリークモバイル、リケン、ミクニ、大和自動車交通、大同工業、新田ゼラチン、リーダー電子、リズム時計工業、岡谷電機産業、大成温調、巴川製紙所、寺崎電機産業、水道機工、戸田建設、フコク、タツミ、スペースバリューホールディングス、ASTI
臨時株主総会開催 ダイセル、オンキョー、五洋インテックス、ミツバ

2020/06/17 不規則発言を繰り返す株主は退場させるべきか?

今年は定時株主総会(以下、株主総会)への出席を控える株主が多そうだが(2020年5月25日のニュース『経産省 事実上、株主総会「欠席」を要請』参照)、こうした中で株主総会会場まで足を運ぶ株主の中には余程経営陣に対してモノを申したい者が混ざっているかもしれない。一方、会社法上、株主総会の議長には強い権限が認められており、株主総会の議長は「株主総会の秩序を維持し、議事を整理する」とともに、「(議長の)命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる」こととされている(会社法315条)。

こうし中、「元上場企業」の定時株主総会で、・・・

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2020/06/17 不規則発言を繰り返す株主は退場させるべきか?(会員限定)

今年は定時株主総会(以下、株主総会)への出席を控える株主が多そうだが(2020年5月25日のニュース『経産省 事実上、株主総会「欠席」を要請』参照)、こうした中で株主総会会場まで足を運ぶ株主の中には余程経営陣に対してモノを申したい者が混ざっているかもしれない。一方、会社法上、株主総会の議長には強い権限が認められており、株主総会の議長は「株主総会の秩序を維持し、議事を整理する」とともに、「(議長の)命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる」こととされている(会社法315条)。

こうし中、「元上場企業」の定時株主総会で、議長が株主による“不規則発言”を放置したことなどを理由として、会社法831条1項1号に基づき、取締役および監査役の選任決議の取消しなどを求める裁判の判決が今年(2020年)1月29日、東京地裁で下されている。

会社法831条(株主総会等の決議の取消しの訴え)    ※当フォーラムにて簡略化
次の各号に掲げる場合には、株主等は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
以下略

本裁判の原告となったのは同社の元監査役兼株主であり、「元監査役」が原告となっているという点からも同社の混乱ぶりがうかがえるが、それはさておき、株主による“不規則発言”は他の上場企業でも起こり得るだけに、裁判所の判断は参考になろう。

同社の株主総会について裁判所は、(1)株主と称する者が原告の発言中に「なにやってたんだ、今まで」「さっさとやれよ」「邪魔すんな」「もういいよ」「善管注意義務違反だ」などと不規則発言を繰り返したこと、(2)これに対して原告が、株主総会の本来の議長である同社取締役社長および“進行役”(後述)に対し、不規則発言を繰り返す当該株主の退場を求めたにもかかわらず、進行役および取締役社長が退場させなかった、という事実があったことは認めている。

そのうえで裁判所は、「不規則発言の内容及び頻度」に照らすと、取締役社長が不規則発言を繰り返す株主を退場させなかったことが、議長としての裁量権の逸脱、濫用に当たるとまでは言い難いと判断、また、原告が「監査役1名選任の件」との議案について取締役社長から意見陳述の機会を与えられていることからも、本件株主総会の決議の方法が「法令や定款に違反し、又は著しく不公正なものとなったと認めることはできない」と結論付けている。

上記“不規則発言”に加え本裁判では、株主総会における「議長」の役割も争点となった。

株主総会の議長は、定款に定めがない場合には株主総会で選任することになるが、多くの企業は定款において「議長は社長が務める。社長に事故があるときはあらかじめ取締役会で定める順序により他の取締役が務める」旨規定している。同社の定款にも「株主総会の議長は同社の取締役社長が務める」ことが明記されているが、原告は「本件株主総会においては、その冒頭から、同社の“顧問”と称する者が進行の補助と称して実質的に議長の権限を行使した」と指摘、本件取締役・監査役の選任決議の方法は定款に違反するから取り消されるべきであると主張した。

これに対し裁判所は、「取締役社長は、本件株主総会の冒頭、出席株主に対して謝辞を述べ、自らが議長を務める旨を宣言した後に、総会を円滑に進行するために、顧問に総会の進行役を補助してもらう旨述べ、その後は、主として顧問が議事を進行し、議事内容について説明を行った後、株主からの質問を受け付けたり、監査役である原告に対して監査報告書を求めたりしていること」「取締役社長は、会議の途中で、不規則発言を行った株主を退場させない旨の判断を行い、第4号議案である「監査役1名選任の件(取締役会案)」について監査役である原告に対して意見陳述の機会を与えた後、第1号議案から第4号議案までの各議案について拍手による裁決を行い、全ての議案が可決された旨述べ、本件株主総会の閉会を宣言したこと」との事実を認定。「議長がその立ち会いの下で実際の議事進行を他の出席者に委ねることは議長の権限行使として妨げられない」との見解を示したうえで、上記の認定事実に基づく株主総会の経過に照らし、「株主総会の議長を務めていたのは取締役社長であり、顧問は、取締役社長の立会いと監修の下、同人の意思に基づいて議事進行を委ねられていたにすぎないと認めるのが相当」とし、顧問が議長の権限を行使したとして決議の方法が定款に違反すると訴えた原告の主張を一蹴している。

2020/06/16 クラウド電子署名による商業登記、2社のシステムにお墨付き

コロナ禍を受け法務省は、取締役会議事録に対する取締役・監査役の「署名または記名押印」に代わり、「クラウド電子署名」も取締役会議事録の成立要件として有効との考えを明らかにしたが、その普及にあたっては「登記」の問題が残されていることは2020年6月10日のニュース「取締役会議事録への電子署名普及に向け立ちはだかる壁」でお伝えしたとおり。

ここでいう登記の問題とは、(1)登記所がクラウド電子署名された取締役会議事録を受理してくれない(現状は、法務省のアプリによる電子署名がされたものならOK)、(2)現状、登記所は、登記の際には取締役会議事録は謄本(取締役会議事録全体)の提出を原則としつつ、東京法務局では、「取締役・監査役の署名または記名押印」のある議事録については、一旦は謄本と抄本の両方の提出を求め、両者の記述に相違がないことを確認したうえで謄本を返却するという運用が行われているが、電子署名の取締役会議事録についてはそのような運用をしてくれない(この問題はクラウド電子署名のみならず、あらゆるタイプの電子署名に共通する問題)の2点だ。

こうした中、昨日(2020年6月15日)、・・・

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2020/06/16 クラウド電子署名による商業登記、2社のシステムにお墨付き(会員限定)

コロナ禍を受け法務省は、取締役会議事録に対する取締役・監査役の「署名または記名押印」に代わり、「クラウド電子署名」も取締役会議事録の成立要件として有効との考えを明らかにしたが、その普及にあたっては「登記」の問題が残されていることは2020年6月10日のニュース「取締役会議事録への電子署名普及に向け立ちはだかる壁」でお伝えしたとおり。

ここでいう登記の問題とは、(1)登記所がクラウド電子署名された取締役会議事録を受理してくれない(現状は、法務省のアプリによる電子署名がされたものならOK)、(2)現状、登記所は、登記の際には取締役会議事録は謄本(取締役会議事録全体)の提出を原則としつつ、東京法務局では、「取締役・監査役の署名または記名押印」のある議事録については、一旦は謄本と抄本の両方の提出を求め、両者の記述に相違がないことを確認したうえで謄本を返却するという運用が行われているが、電子署名の取締役会議事録についてはそのような運用をしてくれない(この問題はクラウド電子署名のみならず、あらゆるタイプの電子署名に共通する問題)の2点だ。

こうした中、昨日(2020年6月15日)、法務省は同省のウェブサイトを更新、このうち(1)現状、登記所がクラウド電子署名された取締役会議事録を受理してくれない、との問題の解決が図るべく、「弁護士ドットコム株式会社」「GMOクラウド株式会社」のサービスを使って行われた電子署名が登記の添付書面においても認められるとの見解を示した(商業・法人登記のオンライン申請について「第3 電子証明書の取得」の「◇ 添付書面情報の場合」の「添付書面情報作成者が印鑑提出者でない場合」の「その他」参照 ※表の一番最後)。
 
(2)の謄本・抄本問題はクラウド電子署名に限らない電子署名全体の問題としてまだ残っているが(ただし、上記引用のニュースでお伝えしたとおり、法務省はこの問題についても前向きに検討中)、今回の示された法務省の見解により、クラウド電子署名がそれ以外の電子署名と同じ土俵に乗ったことになる。人と人との接触を回避する流れの中、今株主総会関連の登記ではクラウド電子署名を利用する企業が相当数に上ることになりそうだ。

2020/06/15 ROE基準の適用停止余波? 議決権行使基準の運用厳しく

3月決算会社の定時株主総会が本格化する。明後日(2020年6月18日)に株主総会を控える仮設鋼材リースの最大手ジェイコスは6月1日、「ISSレポートに対する当社の見解について」と題するリリースを公表している。ISSが同社の社外監査役候補者に対して反対推奨をしたことに対する反駁レターである。

反駁 : 他人の主張や批判に対して反論すること。「はんばく」と読む。

同レターによると、ISSは現任の・・・

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2020/06/15 ROE基準の適用停止余波? 議決権行使基準の運用厳しく(会員限定)

3月決算会社の定時株主総会が本格化する。明後日(2020年6月18日)に株主総会を控える仮設鋼材リースの最大手ジェイコスは6月1日、「ISSレポートに対する当社の見解について」と題するリリースを公表している。ISSが同社の社外監査役候補者に対して反対推奨をしたことに対する反駁レターである。

反駁 : 他人の主張や批判に対して反論すること。「はんばく」と読む。

同レターによると、ISSは現任の社外監査役で再任候補者である菊池きよみ氏について、取引関係があり政策保有銘柄であるみずほフィナンシャルグループの出身者であることから「独立性がない」としている。ISSは独立性基準の中には「会社の主要な借入先において、勤務経験がある」「会社が政策保有目的で保有すると判断する投資先組織において、勤務経験がある」というものがあり、同氏がこれらの独立性基準に抵触すると判断したものとみられる。

これに対してジェイコス側は反駁レターで、以下の事実を指摘している。

・同氏が在籍していたのは旧第一勧業銀行であり、みずほフィナンシャルグループに籍を置いていたことはない
・在籍期間は1986年4月から1990年12月までで、30年も前の事実である
・同氏は2008年から弁護士として勤務しているが、みずほフィナンシャルグループに関連する業務は一切扱っていない

上述のとおり、ISSは菊池氏の「勤務経験」を理由に独立性を判断しており、30年前の経歴をもって独立性を問題視するのは確かに厳しすぎるようにも思える。同氏が4年前に新任の社外監査役候補者として株主総会に諮られた際には98.56%という高い賛成率を得ており、その時点ではISSも賛成推奨していたことは間違いない。それだけに、会社側としても今回の反対推奨は“寝耳に”水だったことだろう。

反対推奨の理由として、この4年間でISSひいては機関投資家の独立性を判断する眼が厳しくなったということは指摘できる。また、上述したISSのポリシーのうち「会社が政策保有目的で保有すると判断する投資先組織において、勤務経験がある」との基準は今年から導入されたものであり、厳格な運用がなされたということなのかもしれない。それでも勤務していたのが30年前である事実に変わりはないが、同社の株主総会招集通知における同氏の略歴には退職時の年月が記載されておらず、説明不足が厳しく問われた可能性もある。

このほか想定されることとして、本年の株主総会では、新型コロナウイルス問題を踏まえて、ISSがROE基準の適用を停止していることの影響も無視できない。今回の措置によってISSによる反対推奨の件数は大幅に減少することが予想されるが、このことは顧客である機関投資家に投資先の問題議案を提示するという議決権行使助言会社の役割を果たしていないのではないかとの批判を受けるリスクがある。そのため、従来であれば反対しなかった(些末な)議案についても、本年は殊更に取り上げて問題視している可能性がある。

ROE基準 : 資本生産性が低く(過去5 期平均の自己資本利益率[ROE]が5%を下回り)かつ改善傾向(過去5 期の平均ROE が5%未満でも、直近の会計年度のROE が5%以上ある場合)にない場合、経営トップ(社長、会長)である取締役の選任議案に反対を推奨するとする基準。

このような背景の下、独立性基準と同様、取締役選任議案における企業不祥事の取り上げられ方なども、例年にはなく厳しい見方をされる恐れがある。企業側は思わぬ反対推奨に困惑しているものと思われるが、実際に賛否を決定する機関投資家とのコミュニケーションを密にとることで、機関投資家の理解を得られるケースも少ないないだろう。

2020/06/12 7月以降に改定される役員の固定金銭報酬の取扱いで国税庁がFAQ

日本企業でも、業績や株価に連動した株式報酬や金銭報酬など、インセンティブ型の役員報酬が急速に普及しているが、役員にとって「安定的な収入」という意味では、毎月の固定金銭報酬が重要であることに変わりはない。この固定金銭報酬が、継続会の開催や定時株主総会遅れに伴い、・・・

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継続会 : 会社法上、株主総会は、延期または続行することができるとされている(会社法317条)。ここでいう「延期」とは株主総会の成立後に議事に入らずに開催日を後日に変更することであり、一般的には「延会」と呼ばれ、「続行」とは株主総会の成立後に議事に入るものの、全ての議事の審議を完了せず残りの議事の審議を後日に先送りすることであり、一般的に「継続会」と呼ばれる。
損金 : 法人税計算の基礎となる法人所得を減らす性質の支出等のこと。損金は企業会計上の費用とおおむね一致するが、役員賞与や固定資産の減損損失など「損金には該当しない費用」もある。

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2020/06/12 7月以降に改定される役員の固定金銭報酬の取扱いで国税庁がFAQ(会員限定)

日本企業でも、業績や株価に連動した株式報酬や金銭報酬など、インセンティブ型の役員報酬が急速に普及しているが、役員にとって「安定的な収入」という意味では、毎月の固定金銭報酬が重要であることに変わりはない。この固定金銭報酬が、継続会の開催や定時株主総会遅れに伴い、法人税の計算上、損金に算入できなくなるのではないかとの懸念が生じている。

継続会 : 会社法上、株主総会は、延期または続行することができるとされている(会社法317条)。ここでいう「延期」とは株主総会の成立後に議事に入らずに開催日を後日に変更することであり、一般的には「延会」と呼ばれ、「続行」とは株主総会の成立後に議事に入るものの、全ての議事の審議を完了せず残りの議事の審議を後日に先送りすることであり、一般的に「継続会」と呼ばれる。
損金 : 法人税計算の基礎となる法人所得を減らす性質の支出等のこと。損金は企業会計上の費用とおおむね一致するが、役員賞与や固定資産の減損損失など「損金には該当しない費用」もある。

法人税法では、役員への毎月の固定金銭報酬は「定期同額給与」に該当しなければ損金算入が認められない。このため、大部分の企業は毎月決まった時期に決まった額を役員に支給している。ただ、この固定金銭報酬を定期同額給与として損金算入するためには、毎月一定時期に一定額を支給することに加え、その金額の改定を「会計期間開始の日から3か月以内」(3月決算企業であれば6月末まで)に行わなければならないという要件がある(法人税法施行令69条1号一イ)。このため、計算書類の承認を得るために継続会を開催する、あるいは定時株主総会を延期することになれば、この「3か月以内」という要件を満たせず、固定金銭報酬を損金算入できなくなる恐れがある。

定期同額給与 : 役員給与の支給時期が1か月以下の一定の期間ごとで、かつ、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの。

こうした中、国税庁および経済産業省は本日(2020年6月12日)、上記「3か月以内」要件を満たせない場合の“救済措置”を明らかにした(国税庁のリリースはこちらの問7(39ページ)参照) 、経済産業省のリリースはこちらの「定期同額給与(法人税法第 34 条第1号第1項)について」参照)。法人税法上、「特別の事情があると認められる場合」には改定時期が「3か月」を超えることも許容されているが、国税庁はここでいう「特別の事情」にはコロナ禍も該当するとの見解を示している。すなわち、コロナ禍の影響で会計期間開始の日から3月を超えて改定された役員への固定金銭報酬も、定期同額給与として損金算入を認めるということだ。

また、法人税法上、定期同額給与と同様、業績連動給与についても、損金算入するためには、報酬委員会の決定等の「算定方法の手続」を「会計期間開始の日から3か月以内」に終了していなければならないという要件がある(法人税法施行令69条13項)。

業績連動給与 : その事業年度の利益や株価、売上等に関する指標に基づく「あらかじめ定められた方法」により決定されるもの。複数年度にわたる指標(例えば3年間の平均利益)を採用することも認められる。

継続会を開催する、あるいは株主総会を延期する場合、これに合わせて報酬委員会の決定等の手続も「会計期期開始の日から3か月」を超えて実施すれば、業績連動給与は損金算入の対象外となる。そこで経済産業省では、以下の場合には「その決定は3月経過日等までに行われたものと認められる」とし、損金算入要件を満たすとしている。この取扱いは国税庁の確認を得たものであり、事実上国税庁の見解と言える。

・継続会を行う場合においては、3月経過日等までに開催する当初の株主総会で役員選任決議と併せた決議により業績連動給与を決定し、その後の決算報告を継続会で行う場合
・3月経過日等までに開催する報酬委員会又は報酬諮問委員会への諮問を経た取締役会において業績連動給与を決定し、延期された株主総会において当該給与にかかる金額等の承認や役員選任の決議を行う場合

2020/06/11 データが示すリモートワークの有用性

緊急事態宣言が解除され国内における新たな感染者数も減少傾向にある一方、ブラジルをはじめとする南米で感染拡大が続くともとに、米国でも第二波への警戒感が高まっているといったニュースも頻繁に耳に入って来る。ワクチンが完成するまでは事実上の“自粛”が続く可能性が高い。

こうした中、多くの企業がリモートワーク(テレワーク 以下同)を継続しているが、週何回かは出社を求めたり、緊急事態宣言が解除後ほどなくしてリモートワークをとりやめ、オフィスワークに戻したところもある。業種・職種によってはリモートワークに馴染まないものもあるとはいえ、多くの従業員が本音では「リモートワークを継続して欲しい」と考えていることを経営陣は認識しておく必要がある。リモートワーク制度の有無が、近年ますます重要な経営課題となっている・・・

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