非財務情報に対する投資家の関心の高まりとともに、多くの上場企業が非財務情報の開示に努めているが、企業、投資家双方にとって悩ましいのが、・・・
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。
非財務情報に対する投資家の関心の高まりとともに、多くの上場企業が非財務情報の開示に努めているが、企業、投資家双方にとって悩ましいのが、・・・
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。
BtoB、BtoCといった従来型のビジネスモデルに加え、近年急拡大しているのが、シェアリング・エコノミーやギグ・エコノミーに代表されるCtoC(Consumer To Consumer)、すなわち個人間取引だ。CtoCのインフラを提供する事業者は「プラットフォーマー」と呼ばれ、インターネットを介した個人間売買のプラットフォームを提供するメルカリも典型的な「プラットフォーマー」と言える。
ギグ・エコノミー : 「ギグ(Gig)」とは、元々はジャズやロックなどで、普段は接点のないミュージシャン同士が音合わせを兼ねてその場限りの演奏をすることを意味するが、ここではそこから派生して「単発の仕事」という意味で使われている。例えば配車サービスのUberやフリーランサー仲介サービスのUpworkなど、インターネット上のプラットフォームを介し個人が一時的に雇用され、単発の仕事を請け負う働き方のことである。こうした「ギグ・ワーク」と呼ばれる新しい動き方は米国を中心に広がっており、これによって形成される経済圏がギグ・エコノミーである。
CtoCの勃興はこれまでBtoBやBtoCビジネスを展開してきた既存の企業に脅威を与える一方、自らがプラットフォーマーとなるなど、CtoC取引にビジネスチャンスを見出そうとしている企業もあろう。こうした中、政府はCtoC取引の・・・
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。
BtoB、BtoCといった従来型のビジネスモデルに加え、近年急拡大しているのが、シェアリング・エコノミーやギグ・エコノミーに代表されるCtoC(Consumer To Consumer)、すなわち個人間取引だ。CtoCのインフラを提供する事業者は「プラットフォーマー」と呼ばれ、インターネットを介した個人間売買のプラットフォームを提供するメルカリも典型的な「プラットフォーマー」と言える。
ギグ・エコノミー : 「ギグ(Gig)」とは、元々はジャズやロックなどで、普段は接点のないミュージシャン同士が音合わせを兼ねてその場限りの演奏をすることを意味するが、ここではそこから派生して「単発の仕事」という意味で使われている。例えば配車サービスのUberやフリーランサー仲介サービスのUpworkなど、インターネット上のプラットフォームを介し個人が一時的に雇用され、単発の仕事を請け負う働き方のことである。こうした「ギグ・ワーク」と呼ばれる新しい動き方は米国を中心に広がっており、これによって形成される経済圏がギグ・エコノミーである。
CtoCの勃興はこれまでBtoBやBtoCビジネスを展開してきた既存の企業に脅威を与える一方、自らがプラットフォーマーとなるなど、CtoC取引にビジネスチャンスを見出そうとしている企業もあろう。こうした中、政府はCtoC取引の把握に乗り出そうとしている。これは、個人間で取引が成立するCtoC取引は“密室性”が高いがゆえに、CtoC取引で得た所得を税務署に申告しない個人が多数発生しているため。具体的には、税務当局がプラットフォーマーの持つ「顧客リスト」(氏名、住所、マイナンバー/法人番号が記載されたもの)を取得できるよう、税務当局の情報提供要請権限を拡充しようとしており、これを来週水曜日(12月12日)にも公表される予定の2019年度税制改正大綱に盛り込む方針。
顧客 : ここでは、プラットフォームを使って所得を得ている者を指す。
税制改正大綱 : 税制改正は毎年1回行われるのが通常だが、翌年度の税制改正の内容を大まかにとりまとめたものが税制改正大綱であり、毎年12月中旬頃に政府(与党)が公表する。
税務当局は現在でも、例えば脱税が疑われる個人に関する情報の提供を金融機関やクレジット会社などに任意で要請しているが、この情報提供はあくまで金融機関等の“協力ベース”であり、実は法律の裏付けがあるわけではない。そこで2019年度税制改正では、プラットフォーマー等も情報提供を要請する対象に加えるとともに、任意の要請を法律(具体的には国税通則法)に明記する。さらに、仮に税務当局の情報提供要請が拒絶された場合には強制的な情報提供要請を行うことができるようにする。強制的な情報提供要請を正当な理由なく拒絶した場合には、現行の国税通則法に規定されている検査忌避の罰則(国税通則法128条、129条)を適用することとするようだ。なお、この新たな情報提供要請制度は、プラットフォーマー等のみならず、これまでも情報提供に協力してきた金融機関やクレジット会社にも適用されることになる。
国税通則法 : 国税の納付、徴収、還付など、各税目(所得税、法人税、相続税など)に共通する事項をまとめた法律。
こうした法律改正からは、CtoC取引における所得税の申告漏れに対する政府の危機感が伝わってくるが、いくら申告漏れを防止するためとはいえ、税務当局が企業の「顧客リスト」を容易に入手できるようになれば、メルカリなど新たなビジネスの成長の芽を摘むことにもなりかねない。そこで、情報提供要請の対象は「多額の所得(年間1,000万円超)を生じうる特定の取引の税務調査の結果、半数以上で当該所得等について申告漏れが認められた場合」などに限定する。メルカリで年間1,000万円超を得ている者はほとんどいないだろう。当フォーラムの取材によると、政府は「仮想通貨」により多額の所得を得た者による所得税逃れを念頭に置いており、メルカリは実質的にこの新たな情報提供要請制度の適用対象外となる模様だ。
ただ、「年間1,000万円超」や「半数以上で申告漏れ」といった基準が今後下げられていくことは十分に考えられる。また、何よりも今回、税務当局がプラットフォーマー等から「顧客リスト」を入手する手段を手に入れたということは非常にインパクトがある。この新たな情報提供要請制度は主に「個人」の所得税逃れを念頭に置いたものではあるが、自社のサービスを利用する個人等の多くが所得税を逃れている、言い換えれば、自社のサービスが所得税逃れの温床になっているとなれば、企業イメージに与えるダメージは大きい。今後益々CtoCビジネスが拡大することが見込まれ、BtoBやBtoCビジネスを展開する企業にとっても無視できない存在となりつつある中、今回の税制改正がいずれ大きな意味を持つ日が来る可能性もありそうだ。
〇詳細は先週木曜日(12月29日)に開催された自民党税制調査会に提出された資料参照。
自民党税制調査会 : 税制改正の内容を決める自民党の会議体。
前回の「2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果」ではキーエンスを取り上げたが、第三回目となる今回は・・・
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。
前回の「2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果」ではキーエンスを取り上げたが、第三回目となる今回は東洋製罐グループホールディングスを取り上げる。今回も、一橋大学・商学研究科の円谷昭一先生がまとめた「3月末日決算の全上場企業」に対する国内全機関投資家の「議決権行使結果の個別開示」結果のデータに基づき、株主総会上程議案に対する各運用機関の賛否状況を分析している。
・2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第一弾
・2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第二弾
下表のとおり、同社は2018年6月の定時株主総会で、剰余金処分、14人の取締役選任(敬称略)、1人の監査役選任および買収防衛策の継続を諮った。全議案の平均賛成率は85.8%で、最も低かったのは買収防衛策継続議案の57.7%だった。
| 議案 | 内容(候補者など) | 内容(候補者など) |
| 剰余金処分 | 期末7円(年間14円) | 99.5% |
| 取締役選任 | 中井隆夫 | 62.4% |
| 取締役選任 | 毎田知正 | 80.6% |
| 取締役選任 | 五味稔康 | 80.6% |
| 取締役選任 | 後分雅史 | 80.6% |
| 取締役選任 | 副島正和 | 93.3% |
| 取締役選任 | 室橋和夫 | 93.3% |
| 取締役選任 | 荒井瑞夫 | 80.8% |
| 取締役選任 | 小林秀明 | 84.0% |
| 取締役選任 | 片山傳生 | 84.0% |
| 取締役選任 | 浅妻敬 | 82.8% |
| 取締役選任 | 鈴木博 | 98.3% |
| 取締役選任 | 大塚一男 | 89.4% |
| 取締役選任 | 隅田博彦 | 97.8% |
| 取締役選任 | 小笠原宏喜 | 97.8% |
| 監査役選任 | 上杉俊隆 | 95.4% |
| 買収防衛策の継続 | 有効期間3年 | 57.8% |
買収防衛策の継続議案以外では、取締役選任議案のうち中井会長への賛成率が62.4%と、買収防衛策に迫る低さであることが目を引く。他の取締役選任議案でも、在任4年目となる毎田・五味・後分の三氏が80.6%、新任の大塚社長が89.4%と低い賛成率にとどまった。これは同社の低いROE(直近:▲3.8%、過去3年平均:▲0.1%、過去5年平均:0.5%)が要因になっているものとみられる。
同社のROEはほとんど全ての機関投資家における議決権行使基準に抵触するが、低ROEに起因して反対票を投じる取締役の範囲は機関投資家によって異なる。下表のとおり、最も広いのが三井住友アセットマネジメントで、社外を含む全ての取締役に反対票を投じている。アセットマネジメントOneも社外取締役を(反対票を投じる)対象としているが、在任3年未満の候補者は除外しているため、新任社外取締役の鈴木氏および新任社内取締役の大塚社長、在任3年未満の隅田氏および小笠原氏それぞれの選任議案には賛成している。大和証券投資信託委託は反対票を投じる対象を社内取締役の再任者に限っているため、再任の中井会長と4年目の三氏に反対を投じた一方、新任の大塚社長の選任議案には反対していない。なお、マニュライフ・アセット・マネジメントは中井会長と大塚社長の選任議案に反対している。たとえ新任であっても社長である以上は経営責任を問うというスタンスなのだろう(同社は議決権行使ガイドラインを開示していない)。
| 三井住友アセットマネジメント [1]国内株式 1. 取締役選任 ③ |
ROEが上場企業平均(中央値)または5%のいずれか大きい方を当該期を含め3年連続下回った場合は、3年以上在任の取締役の選任に原則反対する(社外取締役を含む)。 |
| アセットマネジメントOne ③取締役の選任 (右段の「議案判断基準」参照) |
以下のいずれかに該当し、合理的な理由が認められない場合、3年以上在任した取締役の再任に原則反対。 ①3期連続赤字かつ3期連続無配 ②資本の額が前期比で50%未満 ③債務超過 ④3期連続で東証一部上場企業のROE下位1/3分位未満 ⑤3期連続でネットキャッシュ比率が25%以上、東証一部上場企業の ROE1/2分位未満、決算期末のPBRが1倍未満 |
| 大和証券投資信託委託 Ⅱ.議決権行使の判断基準 (1)取締役(社外取締役を除く)の選任 |
以下に該当する企業の取締役(社外取締役を除く)の選任については、反対する。 経営成績に問題がある、または株主資本の有効活用に問題があると判断した企業の、直近3期(決算期)以上在任した再任候補者。 条件1:以下の(ⅰ)~(ⅲ)のいずれかに該当し、かつ(ⅳ)にも該当する企業。 (ⅰ)3期連続赤字の企業 (ⅱ)直近3期のROEがすべて、同一業種内下位33%水準を下回っている企業 (ⅲ)ROEが直近2期低下傾向にあり、かつ直近決算期のROEが同一業種内下位33%水準を下回っている企業のうち、問題があると判断した企業 (ⅳ)直近決算期末のPBRが同一業種内下位33%にある企業 条件2:条件1の(ⅰ)~(ⅲ)のいずれかに該当し、かつIR活動が極めて不十分と判断される企業 IR活動が極めて不十分と判断する基準は、法定開示以外の任意のIR活動がない企業 |
社外取締役である荒井・小林・片山・浅妻・鈴木の五氏についても、賛成率にはバラツキが生じている。鈴木氏が98.3%と高賛成率なのは、上記のとおりアセットマネジメントOneが反対票を投じる対象から新任者を除外していることが大きい。荒井氏が80.8%と特に低いのは、在任13年目となることが主な要因と考えられ、下表のとおり「12年以上」の在任はNGとする議決権行使基準を設けている大和証券投資信託委託などが反対している。また浅妻氏も82.8%と、残る二氏(いずれも84.0%)よりも若干低いが、これは弁護士である同氏の所属先の方針で独立役員届出書を提出していないことが影響しており、「独立性が高い者=関係金融商品取引所に独立役員として届け出られている者」等の議決権行使基準を設ける野村アセットマネジメントなどが反対票を投じている。
| 大和証券投資信託委託 (2)社外取締役の選任 |
原則として賛成する。ただし、以下に該当する候補者については反対する。 ①~③ 省略 ④社外役員在任期間が長期にわたる(株主総会時点で役員としての在任期間が12年以上である)候補者 |
| 野村アセットマネジメント 日本企業に対する 議決権行使基準 1.取締役選任(8) |
社外取締役は、独立性が高い者の選任を求める。独立性が低いと判断される社外取締役の選任に原則として反対する。 本議決権行使基準において、「独立性が高い者」とは、関係金融商品取引所に独立役員として届け出られている者、又は事業報告若しくは株主総会参考資料に独立役員として届け出る予定であることが記載されている者であって、かつ、最初に社外取締役に就任する時点において直近3年以内に当該会社の大株主である会社に在籍した実績がない者をいう。 |
買収防衛策に対しては大部分の機関投資家が反対しているが、当フォーラムの調査により、賛成した運用機関として、三菱UFJ信託銀行、大和証券投資信託委託、りそな銀行、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが確認された。東洋製罐グループホールディングスの買収防衛策の継続議案では「当社の企業価値の源泉及び基本方針の実現に資する特別な取組み」として、経営思想から中期経営計画、コーポレートガバナンス体制まで詳細に説明されている(同社の2018年6月(第105回)株主総会招集通知の19ページ~参照)。三菱UFJ信託銀行は「中長期的な株主利益向上に資することについて十分な説明」、りそな銀行は「株主価値向上に資するとの合理的かつ納得性ある説明」がされていると、それぞれの議決権行使基準に照らして評価したことで、賛成票を投じたものと考えられる。
| 三菱UFJ信託銀行 (7)買収防衛策 |
事前警告型買収防衛策(ライツプラン)について、以下に該当する場合は原則反対します。 導入の必要性 ・中長期的な株主利益向上に資することについて十分な説明がない場合 ・過去3期連続赤字の場合 ・親会社等を有する上場会社の場合 有効期間 ・3年超の場合 取締役任期 ・株主総会決議による承認を経ない導入・更新の場合で取締役任期2年の場合 特別委員会 勧告型 ・独立性のある社外取締役が取締役総数の1/3未満の場合 ・特別委員会に独立性に問題がある委員が含まれている場合 株主意思確認 総会型 ・株主構成の観点から、株主の意思確認方法として問題があると判断する場合 (安定株主比率が40%以上の場合) 検討期間 ・検討期間の上限が定められていない場合 その他 ・買収者へ金銭補償を行う場合 |
| りそな銀行 7.買収防衛策に関する事項 |
以下の基準を全て満たさない買収防衛策には反対します。 ・導入時において株主総会に議案として呈示されている。 ・株主価値向上に資するとの合理的かつ納得性ある説明がある。 ・有効期限(3年まで)の定めがある。 ・デッドハンド条項がない。 ・取締役会に2名かつ20%以上の独立した社外取締役が存在する。 ・独立委員会が存在する場合、全員の独立性が確保されている。 ・拒否権付種類株式、複数議決権付種類株式の導入ではない。 ・買収者に割り当てられた新株予約権について、被買収者が経済的対価を交付して取得できる旨の規定を含んでいない。 ・買収者からの提案に対し、被買収者側の検討期間が無期限に延長される可能性がない。 ・3期連続赤字あるいは3期連続無配(3期連続ROEが5%以上の場合は除く)で市場からの評価が低い(PBR1.0未満)企業ではない。 |
正解です。
配当性向に関して、たとえば生命保険協会は、中長期の平準的な水準として配当性向30%以上を要望しており、また、明治安田アセットマネジメントは「利益処分案(損失処理案)には基本的に賛成するが、配当性向20%未満に該当する場合には原則反対する」としています。このように「配当性向10%」は投資家が満足する水準ではないので、問題文は誤りです。
こちらの記事で再確認!
2018/11/15 2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第二弾(会員限定)
取締役会を開催した場合、必ず議事録を作成する必要があります(会社法369条3項)。この取締役会議事録は会社にとって重要な文書であるため、最低でも10年間は保存しなければなりません。
取締役会議事録は、取締役会の出席者や議事の内容を明らかにするために作成するものです(取締役会議事録を作成する目的)。取締役会議事録を整えることにより、議案の内容を特定でき、議案の採決の結果を知ることができます。これにより取締役会の決議事項が登記に関わるときは、取締役会議事録が法務局に登記申請をする場合の根拠資料となります。また、取締役会議事録を見れば、取締役や監査役の出席状況が分かることから、事業報告や有価証券報告書で社外役員の取締役会への出席状況を開示する際の根拠資料にもなります。さらに、取締役会議事録には取締役や監査役の発言内容が記載されるため、不祥事が起こった場合に、第三者委員会や検察等により取締役会議事録が閲覧され、取締役会議事録を通じて取締役会によるガバナンスが効いていたのかどうかがチェックされます。また、株主は「権利行使のために必要があるとき」に、また債権者は「役員または執行役の責任を追及するため必要があるとき」には、取締役会議事録の閲覧請求をすることができます。その結果、取締役会議事録が取締役や監査役の責任追及に利用される可能性があることは否定できません。一方、取締役や監査役にとって取締役会議事録は、万が一責任問題に発展したときに、適切に職務を果たしていたことを示す根拠資料になります。
そのような重要な書類であるにもかかわらず、取締役が「議長は・・・したい旨を説明し、その賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもって原案どおり承認可決された。」といった定型の文章が記載された取締役会議事録が散見されます。そのような取締役会議事録に署名または記名押印した場合、実際には条件付き賛成のような発言をしていたとしても、当該議案に無条件で賛成したとみなされてしまいます(会社法369条5項)。そこで、取締役会での発言内容をしっかりと議事録に留めるよう要求するとともに、議事録案に発言内容が記載されなかったり、記載されていてもニュアンスが異なっていたりすれば、署名または記名押印を拒否して、訂正を求めるべきです。
| (取締役会の決議) 会社法369条 1 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。 2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。 3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。 4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。 5 取締役会の決議に参加した取締役であって第3項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。 (取締役会の議事録) |
取締役会議事録は原則として広く公開を予定しているものではありません。しかし、増資時等にEDINETで有価証券届出書を提出するにあたって取締役会議事録を添付する必要があり、当該議事録はEDINETを通じてだれでも閲覧することができます。また、統合報告書で議事の内容を開示する企業も出てきています(2018年11月26日のニュース「取締役会議事録を開示している上場企業」を参照)。
取締役会議事録は書面で作成するケースが多いですが、電磁的記録(下記の会社法26条をご覧ください)で作成することもできます。取締役会議事録が書面で作成されている場合は、出席した取締役および監査役が署名または記名捺印する必要がありますが、電磁的記録で作成されている場合は、署名または記名捺印に代わる措置を行います。なお、取締役会を録音した音声データは、ここでいう電磁的記録には該当しません。
| (電磁的記録) 会社法26条 2項・・・電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)・・・ 会社法施行規則224条 |
監査役会設置会社を前提に取締役会議事録に記載すべき事項のうち主なものをまとめると次のとおりです(会社法施行規則101条3項を参照)。
| 1 取締役会が開催された日時と場所(当該場所に存しない取締役および監査役、会計監査人または株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法) 2 取締役会の議事の経過の要領およびその結果 3 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名 4 監査役の意見 5 取締役会の議長が存するときは、議長の氏名 |
さて、以上の解説をご覧いただければ、どれがGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。
取締役D:「取締役会議事録には発言を適切に留めていただきたいですし、取締役会で活発な議論を交わすことができていることは統合報告書等でアピールしていきたいですね。」
(コメント:機関投資家はガバナンスが効いているかどうかを確認するために、取締役会でどのような議論が交わされているのかに興味があります。統合報告書等で議事の内容の一部を紹介するのは、そういった投資家の期待に応えるものと言え、実際にそのような企業も出てきています。取締役Dの発言はそのような時代の流れを意識したGood発言です。)
IT業のS社では、定例の取締役会が開催中です。取締役会の最後に今回で2回目の出席となる社外取締役Aが取締役会議事録について発言をして、これに続いてB・C・Dが次の発言をしました。4人の発言のうち、誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「今日の取締役会も非常に活発な議論を交わすことができたと思います。しかし、残念なのはこのような議論をしても取締役会議事録には定型的に「議長は・・・したい旨を説明し、その賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもって原案どおり承認可決された。」としか記載されないことです。前回の議事録が回ってきたときに驚きました。今回から誰が何を発言したのか、議論の内容を議事録にしっかりと留めてください。議事録は事後的に問題が生じた場合に取締役の責任を限定するために作るものなので、よろしくお願いします。」
取締役B:「取締役会での発言は録音しているので、この録音データを書面の取締役会議事録に代わる電磁的記録として10年間保存しておけば、書面の取締役会議事録はシンプルなもので十分ではないでしょうか。」
取締役C:「取締役会議事録がシンプル過ぎると議論をしていないように見えてしまいます。まぁ、採決の結果、否決となった議案についてまで議事録に留める必要はないですが、取締役会議事録には多少のボリュームも必要です。」
取締役D:「取締役会議事録には発言を適切に留めていただきたいですし、取締役会で活発な議論を交わすことができていることは統合報告書等でアピールしていきたいですね。」
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。
周知のとおり、金融庁は2018年11月2日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下、開示府令)の改正案を明らかにしています。今回の開示府令の改正は、同庁に設置された金融審議会の「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」(2018年6月28日公表)を受けたものであり、「建設的な対話の促進に向けた情報の提供」を目指し記載事項が大幅に増加することになります。上場企業の間では、改正項目の中でも特に開示対象の拡大等政策保有株式に関する開示と、業績連動報酬に関する記載等役員報酬等の開示拡充への関心が高まっているようです。投資家を納得させるためには、上場企業としてはこれらの事項について具体的にどのようなことを記載するべきでしょうか。
2018年12月末までに提出が求められる改訂コーポレートガバナンス・コードに対応したコーポレートガバナンス報告書の内容も踏まえ、考えてみてください。
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。
不正解です。
社外取締役や社外監査役(以下、社外役員)は、取締役会の議論に参加することが活動の中心とならざるを得ません。そのため、取締役会で議論されていない問題について、社外役員が果たし得る役割には限界があります。この点、内部通報制度は社外役員の目が届かないところを補完する仕組みと言えます。社外役員の設置という形のガバナンス体制の整備が一段落した上場企業が次は取り組むべきは、内部通報制度を通じた「従業員によるガバナンス」の構築と言えそうです。
こちらの記事で再確認!
2018/11/21 「従業員によるガバナンス」の有効性を示した日産事件(会員限定)