2018/08/21 (新用語・難解用語)デザイン経営(会員限定)

デザインを「重要な経営資源」として企業経営に活用すること。

特許庁は(2018年)6月28日、特許権等の知的財産の出願・登録状況といった知的財産の動向や知的財産に関する特許庁の国内外の取組みなどを毎年報告する「特許行政年次報告書」の2018年度版を公表したが、今年度の報告書の中で目に付くのがこの「デザイン経営」という言葉だ。

「デザイン経営」の具体的な中身は、元々は経済産業省・特許庁がデザインによる日本企業の競争力強化に向けた課題の整理とその対応策を検討するため昨年(2017年)7月に立ち上げた有識者会議「産業競争力とデザインを考える研究会」が今年5月にとりまとめた報告書『「デザイン経営」宣言』の中で示されていた。同宣言によると、「デザイン経営」とは、文字通りデザインを通じて企業のブランド価値とイノベーションの双方を向上させる経営のことを指す(デザイン経営の先行事例は【役員会 Good&Bad発言集】デザイン経営を参照)。

近年は日本企業の間でもデザインの重要性に注目が集まり、実際、マツダのようにデザインに定評のある企業もあるものの、有識者によれば、「デザイン経営」という観点からすると、日本企業は欧米企業にまだまだ及ばないというのが実情だという。例えばアップルのiPhoneやダイソンの掃除機は、機能だけでなく、その洗練されたデザインも人気の重要な要因となっている。つまり、デザインには、製品に対する顧客のロイヤリティの向上を通じて企業そのもののブランド価値向上に寄与する効果がある。また、発明により画期的な製品を開発し市場に投入した場合においても、訴求力の高いデザインがその製品の普及を促進し、さらに製品が普及することで結果的に製品自体のイノベーションも促進されることが期待できる。

このように、デザイン力の強化を通じて日本企業の差別化を図り、国際競争力の強化につなげたいというのが『「デザイン経営」宣言』の背景にある経済産業省の狙いだが、特許庁はこれとは別の思惑を持つ。具体的には、意匠法の改正だ。意匠法改正は現特許庁長官の“肝入り”と言われており、特許庁は2019年度の法案提出を目指している。同宣言の別紙「産業競争力の強化に資する今後の意匠制度の在り方」には今後の意匠法改正に向けた政策提言が列挙されているが、その中でも企業への影響が大きいのが、意匠権による保護の対象範囲の拡大だ。

意匠法は「製品」のデザインを保護することを目的としているため、例えば建築物の内外装といった‟空間デザイン”は一般的には「不動産」として整理され、保護の対象となって来なかった(欧米では保護対象となる)。また、スマホ等にインストールされたアプリの画像デザインは「特定用途の機器」に記録されるものとして現行意匠権の保護の対象となっているものの、インターネットにアクセスして表示される画像デザインのように、「特定の機器」に紐づいていない画像デザインは現行意匠法の保護対象となっていない。意匠法が改正されれば、今後はこれらのようなデザインも新たに保護の対象となる可能性がある。さらに、iPhoneのような一貫したコンセプトに基づく製品群のデザインについても、これまでは先行モデルを意匠登録すると、デザインが類似した後続モデルは「新規性がない」としての意匠登録が受けられなかったが、今回の意匠法改正では、この規制を緩和することも視野に入れているようだ。

このように特許庁が意匠法の大幅改定に動く背景には、近年の意匠登録件数の伸び悩みがある。そこで意匠法の保護対象を拡大して登録件数を増やしたい、というのが特許庁の本音と言える。もっとも、企業からすれば、単純に意匠法による保護の対象が増えたからといって手放しで喜べるわけではない。特に建築物の内外装のデザインが保護の対象となった場合、建築物を作る際には他の物件のデザインを侵害していないか事前の調査が必要となるといった手間が増えることになる。特に大規模物件ともなれば関係者も多く、そこでデザイン侵害となれば、デザインを変更したり、場合によっては構築を中止せざるを得なくなるなど、その後の影響は計り知れない。

具体的な改正案はまだ出ていないが、上記で紹介した別紙「産業競争⼒の強化に資する今後の意匠制度の在り⽅」を手掛かりに、意匠法の改正が自社に与える影響を予めシミュレーションしておく必要はあろう。

2018/08/20 現時点における各社の改訂CGコード対応状況

改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、改訂CGコード)が(2018年)6月1日に施行されて以降、6月の株主総会シーズンを経て、改訂CGコードに対応したコーポレートガバナンス報告書(以下、CG報告書)を提出する企業が出てきている。もっとも、CG報告書には改訂CGコードに「対応済み」か「未対応」かを明確に示すチェックボックスなどはないため、各社のCG報告書を相当に読み込まないと、改訂CGコードに対応(全部または一部)しているかどうかは判断できない。「〇月〇日現在で改訂CGコードに対応した企業は〇社」といった報道が見られないのは、このような判別の難しさも一因になっているものと思われる。

改訂CGコードへの対応状況を大まかに把握するうえで有益なのが、・・・

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2018/08/20 現時点における各社の改訂CGコード対応状況(会員限定)

改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、改訂CGコード)が(2018年)6月1日に施行されて以降、6月の株主総会シーズンを経て、改訂CGコードに対応したコーポレートガバナンス報告書(以下、CG報告書)を提出する企業が出てきている。もっとも、CG報告書には改訂CGコードに「対応済み」か「未対応」かを明確に示すチェックボックスなどはないため、各社のCG報告書を相当に読み込まないと、改訂CGコードに対応(全部または一部)しているかどうかは判断できない。「〇月〇日現在で改訂CGコードに対応した企業は〇社」といった報道が見られないのは、このような判別の難しさも一因になっているものと思われる。

改訂CGコードへの対応状況を大まかに把握するうえで有益なのが、原則2-6(企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮)に注目することだ。同原則は、今回の改訂でこれまで11あった「特定の事項を開示すべきとする原則」(すなわち、対応状況について開示が求められる原則)に新たに加わったため、CG報告書の「コードの各原則に基づく開示」欄に原則2-6について記載があることが、改訂コードに対応済みかどうかを判断するための‟第一関門“となり得る。そのうえで、他の改訂原則(新規の原則は補充原則1-4①②など、既存の原則が変更されたものは原則1-4(政策保有株式)や原則5-2(経営戦略や経営計画の策定・公表)など)にも対応しているかを確認すればよい。

当フォーラムで6月1日から8月17日までの期間に提出された東証1・2部上場企業のCG報告書をチェックしたところ、この期間においては同一企業による再提出も含めて、全部で約2千件の提出が確認された。このうち原則2-6について記載があったのは77件にとどまっており、さらに同一企業による重複提出分を除いた「社数」ベースでは67社に過ぎなかった。この結果からは、大部分の上場企業は今年12月末までの猶予期間を活用し、早期の改訂CGコード対応は見送っているということがうかがえる。

TOPIX500採用企業に絞って提出事例を分析すると、TOPIX500採用企業のうち改訂CGコードに対応したCG報告書を提出したのは24社(同一企業による重複提出分を除く)で、全てが原則2-6をコンプライしている。ただし、そのうち4社は、下表のとおり全ての改訂原則には対応していないことが分かる。今回改訂された全ての原則に1度のCG報告書の提出で対応するのではなく、12月末までの猶予期間内に準備が整ったものから順次対応すればよいというスタンスをとっていると言える。

三菱商事 なお、各開示項目については、原則3-1(iv)及び(v)を除き2018年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードに基づき開示しています。
改訂後のコードに基づく原則3-1(iv)及び(v)に係る開示については、2018年中の開示を予定しています。
りそなホールディングス 原則2-6については2018年6月に改訂されたコードに基づき記載しております。
それ以外の原則については2018年6月の改訂前のコードに基づき本報告書又は「コーポレートガバナンスに関する基本方針」等に記載しております。
三井住友トラスト・ホールディングス 改訂後のコーポレートガバナンス・コードの内容を踏まえた更新は、準備が出来次第速やかに提出します。(一部改訂後コードに基づき記載しています。)
日清食品ホールディングス 原則1-4および原則2-6については、2018年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードに基づき記載しております。

残りの21社については、例えば「2018年6月に改訂されたコードに基づき記載しています」(丸井グループ)、「当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則について、全て実施しています」(日本水産)などとしており、少なくとも自己申告ベースでは改訂CGコードへの対応が完了したということになる。したがって、現状では、TOPIX500採用企業のうち改訂CGコードに対応済みの企業は21社(TOPIX500採用企業の4%)ということになる。これらの21社は、今後、原則2-6を含む改訂原則全般について、コンプライのレベルが投資家の期待に適ったものか、評価を受けることになる。

2018/08/17 社外取締役選任、「適任者がいない」という理由はいつまで通用する?

周知のとおり、改訂コーポレートガバナンス・コードでは、従来「少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、・・・そのための取組み方針」を開示することを求めていた原則4-8(独立社外取締役の選任)の表現が強められ、“取組み方針の開示”ではなく「十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである」とされたところだ。この「十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである」という表現について東証は、「少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社」を念頭に置いており、そうでない上場会社に対してまで、3分の1以上の独立社外取締役を選任していないからと言ってエクスプレインを求めるものではない旨の見解を示している(パブコメへの回答40ページ一番下の※、41ページ一番下の※参照)。

もっとも、・・・

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2018/08/17 社外取締役選任、「適任者がいない」という理由はいつまで通用する?(会員限定)

周知のとおり、改訂コーポレートガバナンス・コードでは、従来「少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、・・・そのための取組み方針」を開示することを求めていた原則4-8(独立社外取締役の選任)の表現が強められ、“取組み方針の開示”ではなく「十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである」とされたところだ。この「十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである」という表現について東証は、「少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社」を念頭に置いており、そうでない上場会社に対してまで、3分の1以上の独立社外取締役を選任していないからと言ってエクスプレインを求めるものではない旨の見解を示している(パブコメへの回答40ページ一番下の※、41ページ一番下の※参照)。

もっとも、改訂コーポレートガバナンス・コードと同日(2018年6月1日)に金融庁から公表された「投資家と企業の対話ガイドラン」3-8には「独立社外取締役として、適切な資質を有する者が、十分な人数選任されているか」との一文が盛り込まれているほか()、議決権行使助言会社最大手のISSが、2019年2月から「指名委員会等設置会社および監査等委員会設置会社において、取締役の3分の1が社外取締役でない場合には、経営トップ(社長および会長)の選任議案に反対する」との方針を示している(2017年10月30日のニュース「ISS 2018年日本向け助言ポリシーのポイント」参照)点には注意する必要がある。

 「投資家と企業の対話ガイドライン」はコーポレートガバナンス・コードのように「コンプライorエクスプレイン」が求められるわけではない(2018年3月14日のニュース『「投資家と企業の対話ガイドライン」はコンプライする必要があるのか』参照)。

ISSは上記方針における「社外取締役」には独立性(例えばメインバンクや主要取引先における勤務経験、コンサルティングや顧問契約などの重要な取引関係など)は問わないとしているものの、2018年6月の株主総会では、昨年(2017年)5月29日付で改訂されたスチュワードシップ・コードにより議決権行使結果の個別開示(指針5-3)が求められることとなった影響などから、独立性に欠ける社外役員の選任議案への賛成率が大幅に低下している(2018年7月20日のニュース「社外役員選任議案に対する投資家の議決権行使スタンスが厳格化」参照)。以上を総合的に考えれば、上場会社に対しては、十分な数の独立社外取締役の選任を迫られる時期が訪れつつあると言えよう。

一方、独立社外取締役の選任がままならない上場会社からは「適任者がいない」という声が聞かれる。今回のコーポレートガバナンス・コード改訂時に実施されたパブリックコメントでも、『日本は「経営の専門家」のマーケットが十分に発達しておらず、特に地方においては、独立社外取締役の候補者の層が薄く、その確保が非常に困難であるところ、この点にも配意し、「3分の1以上」が全企業のスタンダードととられないよう、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案し、それが必要と考える企業を対象としていることを、対外的に十分に説明いただきたい。』との意見が寄せられている(パブコメ41ページの160番参照)。

ただ、「適任者がいない」という理由は、今後通用しなくなる可能性が高い。東京証券取引所が8月1日に公表した『東証上場会社における社外取締役の選任状況及び「社外取締役を置くことが相当でない理由」の傾向について』によると、いまだに社外取締役を選任していない上場会社は82社(新興市場を含む全上場会社の2.3%)ある(一部上場会社は7社、二部上場会社は5社、マザーズ上場会社が11社、JASDAQ上場会社が59社)。このうち会社法上の大会社に該当する監査役会設置会社は、定時株主総会で「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明するとともに、事業報告および株主総会参考書類においてその理由を記載する必要があるが、82社のうち「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明義務がある会社は37社あり、上記東証の調査結果によると、それら37社が開示した「社外取締役を置くことが相当でない理由」は次の3つのパターンに大別される。

会社法上の大会社 : 資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社

(1) 「独立性があること」と「自社/業界に関する専門知識があること」の双方を要件とした上で、「適任者」が不在
(2) 「適任者」でない者が取締役になると、迅速かつ的確な経営が阻害される
(3) 社外取締役を置かなくとも、現状のガバナンス体制で十分

問題は、「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明義務がある37社のうち、前期と同じ「適任者が見つからない」ことを理由に今期も社外取締役を選任していない会社が25社あったということだ(法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第15回会議の参考資料49「置くことが相当でない理由開示一覧(参考資料48の補足資料)」参照)。この結果からは、果たしてそれほどまでに「適任者」が見つからないものなのか、そもそも適任者を探す努力をしているのか、という疑念も湧く。

こうした中、2018年8月1日に開催された法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会は、年内に公表が予定される会社法の改正要綱に社外取締役選任を上場会社に義務付ける旨を盛り込む方針を固めた。社外取締役の選任義務付けは、2014年の会社法改正(施行は2015年5月~)時にも検討されたが、当時は反対の声が強く、最終的には義務付けを見送る代わりに「法律施行後2年を経過した後に再検討する」旨が改正会社法の附則に明記されたという経緯がある(2017年2月24日のニュース「会社法改正で社外取締役の選任は義務付けられるか?」を参照)。今回、同部会が社外取締役選任を義務付ける方針を決めたのは、いつまで経っても「適任者が見つからない」ことを理由に社外取締役を選任しない上場会社が一定数ある限り、もはや法律で強制的に選任を義務付けるしかないと判断したということだろう。

もちろん、コーポレートガバナンス・コード原則4-8が求める2名以上の独立社外取締役を選任している会社と、社外取締役を1人も選任していない会社を同列に比較するわけにはいかないが、独立社外取締役増員へのプレッシャーが高まる中、投資家との対話において「十分な数の独立社外取締役の選任」ができていない理由として、社外取締役を1人も選任していない会社の常套句である「適任者がいない」ことを挙げるのは避けるべきだろう。

2018/08/16 セミナー『誰にでもわかる「資本コスト」の考え方』および『TOPIX100企業のガバナンス報告書開示分析』を2018年9月13日(木)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:誰にでもわかる「資本コスト」の考え方
WEBセミナー:TOPIX100企業のガバナンス報告書開示分析

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上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2018年9月13日(木)の14時00分~17時40分に下記のセミナーを開催いたします。
詳細はこちらもご覧ください。

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:00

16:00
~資本コストの基本から実務への落とし込み方まで~
誰にでもわかる「資本コスト」の考え方
大阪市立大学大学院経営学研究科
教授 宮川 壽夫 様
第二部
16:10

17:40
~導入から3年、各社のコーポレートガバナンス対応を評価する~
TOPIX100企業のガバナンス報告書開示分析
日本シェアホルダーサービス(株)
研究開発/コンサルティング部
チーフコンサルタント 藤島 裕三 様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
2018年6月1日から施行されている改訂コーポレートガバナンス・コードでは、個別の政策保有株式について、保有に伴う便益やリスクが「資本コスト」に見合っているかを精査し、保有の適否を検証することや(【原則1-4.政策保有株式】)、「自社の資本コスト」を的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すこと(【原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表】)などを求めています。また、コーポレートガバナンス・コードの改訂に併せて金融庁が公表した「投資家と企業の対話ガイドラン」1-2では、「自社の事業のリスクなどを適切に反映した「資本コスト」を的確に把握することを求めています。
これに対し企業からは、「自社の資本コストをどのように算定すればよいのか」「前提条件によって変動する資本コストを算定することに意味があるのか」といった懸念の声も聞かれます。
本セミナーでは、「企業価値の神秘」などの著作でも知られ、「難しいことを分かり易く伝える」講義に定評がある大阪市立大学学院経営学研究科の宮川壽夫教授をお招きし、役員が押さえておくべき資本コストの考え方や資本コストを算定する意味などについて分かりやすく解説していただきます。また、資本コストを取締役会の判断(投資判断、撤退判断等)にどう組み入れていくのかなど、実務への落とし込み方についても語っていただきます。
講師の
ご紹介
宮川 壽夫(みやがわ ひさお)様
筑波大学大学院博士後期課程修了。博士(経営学)。1985年4月野村證券株式会社入社。2000年8月米国トムソンファイナンシャル・コンサルティンググループシニアディレクター就任。2007年10月再び野村證券株式会社に移籍(IBコンサルティング部)。2010年4月に大阪市立大学大学院経営学研究科専任講師として着任。同年10月に准教授、2014年4月に教授に就任。2015年4月よりワシントン大学(University of Washington)客員研究員を兼任。専門はコーポレートファイナンス理論の実証研究。国内投資銀行・海外コンサルティングファームでの豊富な実務経験に基づく実践的な指導に定評がある。
日本証券アナリスト協会検定会員、 国際公認投資アナリスト。
著作として、「株主優待が株価にもたらす独自効果」(共著)『証券アナリストジャーナル』2017年10月、『企業価値の神秘~コーポレートファイナンス理論の思考回路』(中央経済社)2016年11月、「ROEが日本企業に突きつけた問題」『旬刊経理情報』巻頭言 2015年7月、「PBR1倍の非対称性に見える日本企業の低ROE問題」『証券アナリストジャーナル』2015年6月、「ROE重視は日本の企業価値を拡大するのか」『資本市場』2014年12月 他多数。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
今年6月に初めて改訂されたコーポレートガバナンス・コードの導入から3年余りが経過する中、同コードに対しグローバル水準の対応を行っている企業が少なからず出て来ている一方で、最低限の対応もしくはそのレベルにも至らない対応にとどまっている企業も散見されるなど、各社の対応にはかなりのバラツキが生じています。
本セミナーでは、株主判明調査で国内トップクラスのシェアを持つ日本シェアホルダーサービス(株) 研究開発/コンサルティング部 チーフコンサルタントで、コーポレートガバナンス研究の第一人者である藤島裕三様をお招きし、“機関投資家目線”を意識して同社が独自に設定した基準に基づきTOPIX100企業のガバナンス報告書を分析することにより導き出した「コーポレートガバナンス対応の評価結果(レベル1~6の6段階)」とそのランキングをご紹介いただきます。また、本セミナーにご参加いただいた企業の皆様にとって参考になるであろう開示事例をピックアップし、どこが優れているのかなどポイントを解説していただきます。上位企業の中には既に改訂コーポレートガバナンス・コードの内容を先取りした対応をとっているところも多く、セミナー参加企業の皆様が今後改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応を図る上でも参考になる情報が得られるはずです。
講師の
ご紹介
藤島 裕三(ふじしま ゆうぞう)様
日本シェアホルダーサービス株式会社 研究開発/コンサルティング部 チーフコンサルタント。慶應義塾大学大学院法学研究科修了後、1994年に株式会社大和総研入社。企業調査部 アナリスト、同社経営戦略研究所経営戦略研究部 主任研究員 、企業経営コンサルティング部 副部長・シニアコンサルタントを経て2014年、EY総合研究所に入社、未来経営研究部 部長 主席研究員に就任。コーポレートガバナンス改善計画の策定支援、敵対的買収対応に関わる体制整備の支援、IRや株主対応に関する改善支援・アドバイザリーなどに従事。2017年9月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。慶應義塾大学非常勤講師(2003-2005年)、京都大学大学院非常勤講師(2006―2008年)、財務省 財政投融資ガバナンス委員会 委員(2005ー2006年)、経済産業省 コーポレート・ガバナンスの対話の在り方分科会 委員(2013年-)。
『コーポレートガバナンス・マニュアル 21世紀日本企業の条件』(中央経済社、第1版2005年1月、第2版2008年1月):共著、『現代の財務経営1 コーポレートファイナンス』(中央経済社、2009年3月):共著、『ガイダンス コーポレートガバナンス』(中央経済社、2009年10月):共著など著書・論文多数。

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は22,000円(税込 ※)となっております。
※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

会員登録はこちらから

非会員で視聴をご希望の方はjimukyoku@govforum.jpまでご連絡いただければメールにてお申し込み方法をお知らせいたします。

その他、ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 誰にでもわかる「資本コスト」の考え方
  • 第二部 TOPIX100企業のガバナンス報告書開示分析
  • 【日時】2018年9月13日(木)14時00分()~17時40分
  •  いつもより開始時間が30分前倒しとなりますのでご注意ください(セミナー時間は30分長くなります)。

  • 【会場】六本木ヒルズ森タワー22階 TMI総合法律事務所セミナールーム
  • 【受付】六本木ヒルズ森タワーLL階ロビー 13時30分より
  • 【講師】第一部 大阪市立大学大学院 経営学研究科 教授 宮川 壽夫 様
        第二部 日本シェアホルダーサービス(株)
            研究開発/コンサルティング部 チーフコンサルタント 藤島 裕三 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は22,000円(税込)

セミナー参加費の請求書はこちらから

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2018/08/16 実例・内部監査のたびに問題が発覚する子会社

子会社が起こした不祥事が親会社のレピュテーション悪化に直結する時代、子会社のマネジメントは上場会社にとって重要な経営課題となっている。そこで上場会社は、子会社に対して定期的に内部監査を実施するのが通常となっている。

ある東証一部上場会社では4年ごとに子会社に対する内部監査を実施しているが、ある子会社で相変らず内部管理上の問題事象が次々と出てきたという。以下、主なものを紹介しよう。

<ケース1>前渡金に関する問題
子会社の貸借対照表には、前回の内部監査時には存在しなかった「前渡金」が計上されていた。文字どおり購買資金の前渡しである「前渡金」は、その重要性から、同社の職務権限規程上は社長の決裁事項となっており、実際、稟議書も社長により承認されていた。内部監査でこの前渡金について調査したところ、形式的な稟議手続き自体に問題はなかったが、前渡金を支払った先に問題があった。稟議書に添付されていた支払先の会社内容を見ると、何と・・・

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2018/08/16 実例・内部監査のたびに問題が発覚する子会社(会員限定)

子会社が起こした不祥事が親会社のレピュテーション悪化に直結する時代、子会社のマネジメントは上場会社にとって重要な経営課題となっている。そこで上場会社は、子会社に対して定期的に内部監査を実施するのが通常となっている。

ある東証一部上場会社では4年ごとに子会社に対する内部監査を実施しているが、ある子会社で相変らず内部管理上の問題事象が次々と出てきたという。以下、主なものを紹介しよう。

<ケース1>前渡金に関する問題
子会社の貸借対照表には、前回の内部監査時には存在しなかった「前渡金」が計上されていた。文字どおり購買資金の前渡しである「前渡金」は、通例的ではないことから同社の職務権限規程上は社長の決裁事項となっており、実際、稟議書も社長により承認されていた。内部監査でこの前渡金について調査したところ、形式的な稟議手続き自体に問題はなかったが、前渡金を支払った先に問題があった。稟議書に添付されていた支払先の財務内容を見ると、何と債務超過となっていた。すなわち、この会社との間で3年も前から継続して資金の前渡しが行われていたことになる。

このように貸倒れとなるリスクが高い会社との間で前渡金取引が行われていた理由は、この会社が親会社のOBにより設立されたということにある。すなわち、債務超過による貸倒リスクより、「親会社のOBが設立した」という“情実”が優先されていたというわけだ。

また、子会社の現社長はグループ内の人事異動で当年度の4月より着任していたが、この「前受金」に関する事項については、稟議を承認した前社長から引き継ぎを受けておらず、今回の内部監査により初めてその存在を知ることとなった。

内部監査の結果を踏まえ、この会社との前渡金取引は今後中止するように要請した。

<ケース2>売掛金に関する問題
次は、前回の内部監査時から続く問題である。

前回の内部監査の際には、取引先に送付した売掛金の残高確認書の返送を受けておらず、しかも当該売掛金の入金が2か月にわたって行われている(分割入金)という不自然な状況があったため調査を行ったところ、営業部門が押込み販売を行った分の入金が遅れており、それゆえ売掛金の残高確認書も返送されてきていないことが判明した。しかし、当時の経理部門は、売掛金残高確認書が未回収で、売掛金の入金が2か月にわたっている(分割入金)というイレギュラーな状況があるにもかかわらず、「合計の入金額が合致しているから問題ない」と判断し、何もしていなかった。そこで経理部門に対し、売掛金の回収状況について営業部門と情報交換を行うよう要請した。

残高確認書 : 主に決算時において、取引先に対し、売掛金や買掛金といった債権・債務の残高が自社で認識している残高と一致しているかどうかを確認するもの。金額の大きい債権・債務に限定されるのが通常。両社の金額に差異がある場合、その理由の記載を求められることが多い。また、残高確認書は、監査法人や公認会計士が、会計監査において会社の決算数字が正しいことを確認するため、監査法人や公認会計士名義で届くこともある。
押込み販売 : 売上高の目標を達成するために、親密な関係にある取引先に必要以上の商品を売ること。期末時に行われることが多い。

ところが、今回の内部監査で、状況が改善されていないことが判明した。大口案件の売掛金について入金の遅延があった場合には、経営会議の場で経理部門から経営陣に報告が行われ、報告を受けた経営陣が営業部門に対し売掛金の回収に努めるよう指示を出していたため、営業部門も経理部門との間で売掛金の回収状況についてコミュニケーションをとらざるを得なかったが、大口以外の案件の入金遅延については、経理部門が営業担当者に「メール」で連絡するのみであり、売掛金の回収状況について、経理部門と営業部門との間で適時に情報共有が行われていなかった。すなわち、前回の内部監査から4年が経っても、情報共有を図るための仕組みがまったくと言っていいほど構築されていなかったのである。

<ケース3>売上計上基準の問題
経理規程上、開発および修理に関する売上は、顧客の検収時点で計上する「検収基準」によることとなっているにもかかわらず、実際には開発品や修理品を顧客に発送した時点で売上を計上(発送基準)していた(ちなみに、「2021年4月1日以後開始する事業年度の期首」から導入される新たに導入される収益認識会計基準では、「支配の移転」の時に収益を認識することになるため、「検収時」において収益を認識するのが原則となる。詳細は2017年9月11日のニュース「役員も押さえておきたい 収益認識会計基準導入で企業に求められる対応」参照)。

発送基準では、検収基準よりも売上が早期に計上されてしまう。実際、期末直前の売上には、本来であれば翌期に計上すべき売上が計上されており、不適切な会計処理となっていた。

<ケース4>受注原価の間接費処理の問題
本来であれば受注案件の売上に対応して計上すべき開発費(直接費)を、「間接費」として処理していた(その結果、当該開発費は、実態は当該案件に個別に紐づいた直接費であるにもかかわらず、同社の原価計算規程で規定された直接作業時間基準に基づき、他の間接費と同様に案件ごとの直接作業時間に比例して他の案件にも配賦されていた)。これは、当該受注案件の費用(直接費)として計上すれば赤字案件となってしまうことを避けるためである。

この処理の結果、費用の過少計上という問題も生じる。経理規程上、赤字案件となれば「受注損失引当金」を計上しなければならないが、上述のとおり受注案件の費用を間接費として処理していたため外観上は赤字案件ではなくなり、受注損失引当金の計上は不要となる。すなわち、本来なら発生しているはずの受注損失引当金繰入額が計上されず、その分費用が過少になるという不適切な会計処理が行われていたのである。

子会社の内部管理の問題は、放置すれば不正会計をはじめとする不祥事の原因となりかねない。今回紹介した問題事例は、①(前)社長のマネジメントが機能していなかったこと(ケース1)、②過去の内部監査での指摘、提案に従わなかったこと(ケース2)、③経理規程をはじめとする会社の業務規程に基づかないやり方で業務を行っていたこと(ケース3、4)、が大きな要因となって発生したと言える。上場会社の経営陣は、自社の子会社の内部管理体制が同様の状況に陥っていないか、チェックしておく必要があろう。

2018/08/16 会費改定のお知らせ

2018年9月1日以降の新規お申し込み分より会費が以下のとおり改定されます。

改定後の会費
毎月払いの場合 3,500円+消費税
年払いの場合 35,000円+消費税

新任役員向けトレーニングプログラムの受講費は改定せず、当面の間、据え置きとさせていただきます。

なお、2018年8月31日までに登録いただいた会員の会費は、当面の間、据え置きとさせていただきます(年払い・毎月払いを問いません)。法人会員の登録者変更や増員の際にも改定前の会費が適用されます。ただし、2018年8月31日までにご登録いただいた会員であっても、一度退会した後に再入会される場合、改定後の会費が適用されます。

上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、これまで以上にコーポレートガバナンス・コードが求める役員トレーニングに資する記事やセミナー等のコンテンツを充実させてまいります。引き続き宜しくお願い申し上げます。

2018/08/12 【WEBセミナー】2018年6月株主総会分析

概略

【セミナー開催日】2018年8月1日(水)

3月決算会社にとって、2018年6月の定時株主総会は、機関投資家が議決権行使結果の個別開示を行ってから初めての定時株主総会となります。各社とも自社の議案に対する機関投資家の賛否動向に敏感になっており、これまで以上にISS等の議決権行使助言会社や各機関投資家の議決権行使基準を意識した議案の増加が予想されるところです。また、今6月総会でも、多くの会社が役員報酬制度の見直しを諮るものと思われますが、3月決算会社に次いで数の多い12月決算会社の3月総会では、報酬枠を大幅に拡大する取締役報酬額改定議案への賛成率が低位にとどまる会社が出るなど、気になる兆候も表れています。さらに、6月から実施される改訂コーポレートガバナンス・コードの内容を先取りする会社が現れるのかも気になるところです。
本セミナーでは、株主総会実務や株主総会分析の第一人者であり、全国株懇連合会の理事も務める三菱UFJ信託銀行の中川雅博様をお招きし、上記の点などに加え、最近急増している株主提案や注目議案への賛否動向、株主からの特徴的な質問といった株主総会の中身について分析していただくほか、政府が推進する株主総会開催日の分散状況、株主総会来場者の動向、個人株主を集めるための工夫といった株主総会運営上の論点やデータについても解説していただきます。

【講師】三菱UFJ信託銀行
証券代行部 次長
中川 雅博(なかがわ まさひろ) 様

セミナー資料 2018年6月株主総会分析.pdf(945KB)

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セミナー動画
(1) Ⅰ2018年6月総会の概況 1.所要時間~3.発言株主数・発言件数
38529a

(2) Ⅰ2018年6月総会の概況 4.発言内容~5.議案の否決等
38529b

(3) Ⅰ2018年6月総会の概況 6.会社提案議案の議決権行使結果
38529c

(4) Ⅰ2018年6月総会の概況 7.株主提案の状況~9.議決権行使の促進等に向けた取組事例
38529d

(5) Ⅱ2018年6月総会におけるコード対応
38529e
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