2018/04/25 英国CGコードで独立取締役に年数要件、株式の短期売却禁止も(会員限定)

日本ではコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂案が現在パブリックコメントに付されているが、英国でもCGコードの改訂が着々と進行している。英国では今年(2018年)2月末にパブリックコメントが締め切られており、今夏にも改訂CGコードの最終版が公表、2019年1月から適用開始となる予定だ。今回の改訂項目を見ると企業にとってインパクトが大きいと思われるものが多く、最終版がどのような内容となるのか、英国企業や機関投資家の間でも関心が高まっている。

今回の英国CGコード改訂のポイントの一つとなるのが、独立取締役の在任期間について年数要件を設けるというものだ。具体的には、独立取締役を「9年以上」務める者は独立取締役とみなさないとする規定が盛り込まれる(従来は在任期間が9年以上となる場合には「説明責任が生じる」とされていたが、改訂案ではそもそも独立社外取締役とみなされないことになる)。そして、この規定は取締役会議長にも適用されることになる。現行の英国CGコードでも、取締役会議長に対しては“経営の執行とその監督機能の分離”という観点から独立性基準が設けられているが、今回の改訂により、独立取締役を9年以上務める者は「独立取締役」とみなされなくなるばかりでなく、取締役会議長としての適格要件も満たさないことになる。この規定の導入により取締役会議長を失う英国企業は相当数に上るとみられることから、企業のみならず機関投資家からも本改訂の影響を懸念する声がパブリックコメントでも上がっている。

また、メイ首相が就任以来掲げるコーポレートガバナンス改革の柱の一部である「経営者報酬」「従業員の声の経営への反映」に関する改訂も予定されている。まず経営者報酬に関しては、日本企業でも導入が相次いでいる株式報酬に「最低5年間」という保有期間を設け、短期売却を防止する。これは、経営陣に長期的な企業価値向上を重視した経営を促すことを狙いとしている。経営者報酬については、来月(2018年5月)にも「CEOの報酬と一般従業員給与の中央値の差」を毎年公表することを企業に義務付ける法案が国会に提出される見込みとなっており、改訂CGコードにおける株式報酬の短期売却防止規定と併せ、英国企業における経営者報酬制度の水準や設計にも影響を与える可能性がありそうだ。

「従業員の声の経営への反映」を反映したCGコードの改訂としては、「従業員代表の取締役の任命」「公式従業員諮問機関(従業員が経営陣に意見を答申する機関)の設置」などが予定されている。

このほか、今般の日本のCGコード改訂でも「ジェンダー」と「国際性」が例示された取締役会の多様性(2018年3月16日 のニュース『続報・CGコード改訂 「ジェンダー・ダイバーシティ」のコンプライ基準』参照)については、取締役の任命時に「性別」「出身社会・階層」「民族」の多様化を促進・考慮するとともに、本原則をコンプライするための経営幹部候補育成に向けた取り組み状況をアニュアルレポートで公表することを求めている。

周知のとおり、日本のCGコードは英国CGコードをベースとしており、将来的には日本のCGコードへの影響も予想されるだけに、改訂英国CGコードの最終版の行方が注目される。

2018/04/25 英国CGコードで独立取締役に年数要件、株式の短期売却禁止も

日本ではコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂案が現在パブリックコメントに付されているが、英国でもCGコードの改訂が着々と進行している。英国では今年(2018年)2月末にパブリックコメントが締め切られており、今夏にも改訂CGコードの最終版が公表、2019年1月から適用開始となる予定だ。今回の改訂項目を見ると企業にとってインパクトが大きいと思われるものが多く、最終版がどのような内容となるのか、英国企業や機関投資家の間でも関心が高まっている。

今回の英国CGコード改訂のポイントの一つとなるのが、独立取締役の在任期間について年数要件を設けるというものだ。具体的には、独立取締役を「9年以上」務める者は独立取締役とみなさないとする規定が盛り込まれる(従来は在任期間が9年以上となる場合には「説明責任が生じる」とされていたが、改訂案ではそもそも独立社外取締役とみなされないことになる)。そして、この規定は取締役会議長にも適用されることになる。現行の英国CGコードでも、取締役会議長に対しては“経営の執行とその監督機能の分離”という観点から独立性基準が設けられているが、今回の改訂により、独立取締役を9年以上務める者は「独立取締役」とみなされなくなるばかりでなく、取締役会議長としての適格要件も満たさないことになる。この規定の導入により取締役会議長を失う英国企業は相当数に上るとみられることから、企業のみならず機関投資家からも・・・

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2018/04/24 GW休業のお知らせ

誠に勝手ながら、2018年4月30日~2018年5月4日のゴールデンウィーク期間中、事務局は休業となります。ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い致します。

2018/04/24 相談役・顧問に報酬を支払うことの是非

このところ“反ガバナンス”の象徴として語られることも少なくない相談役・顧問制度だが、機関投資家は・・・

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2018/04/24 相談役・顧問に報酬を支払うことの是非(会員限定)

このところ“反ガバナンス”の象徴として語られることも少なくない相談役・顧問制度だが、機関投資家は必ずしも同制度を一律に否定しているわけではない。実際、同制度について企業と対話した機関投資家は、「人数が多すぎる」などネガティブな感想を持つこともあれば、「それなりに役に立っている」と感じることもあるという。元々、同制度は「経営者の退任後の処遇」として考案されたという歴史的経緯がある。同制度があるがゆえに(経営トップが後進に地位を譲る気になり)経営陣の新陳代謝が進んだという意味では、同制度は“反ガバナンス”どころか、むしろガバナンスのツールの一つと見ることもできなくはない。

東証が今年(2018年)1月から導入した相談役・顧問制度の開示ルールを利用する企業が伸び悩む中(2018年3月20日のニュース「相談役・顧問等の開示状況に不満を持つ機関投資家」参照)、現段階で機関投資家が求めているのは同制度に関する十分な情報開⽰であり、同制度の是非や要否を見極めるのはその後になる(結論は各企業の個別事情によって変わることになろう)。場合によっては、情報開⽰が進むことで、むしろ同制度に対する理解が深まる可能性もある。

ただ、同制度を海外機関投資家に理解してもらうのは容易ではないのも事実だ。同様の制度が海外企業にはない中で、海外機関投資家としては、取締役会に属さずに(それゆえ対話の対象にもならずに)⾒えない影響⼒を行使する者が投資先企業にいるとなれば脅威を感じるのも致し方ないところだろう。

海外機関投資家をはじめとする機関投資家に相談役・顧問制度を理解してもらううえで有効な説得材料の一つになり得るのが、上述した経営陣の新陳代謝機能だ。多くの欧米企業では役員の退任後の生活を保障する「役員年金」が存在しており、経営陣の新陳代謝にも⼀役買っている。一方、⽇本では多くの企業が役員退職慰労⾦を廃⽌し、役員退任後の報酬制度が全く無い状態となっている。そこで、欧米企業の役員年金に相当する機能として、⽇本企業にも報酬を伴う相談役・顧問制度があってもよいのではないかという主張には一定の合理性があろう。

ただし、ここで重要になるのが報酬額の“バランス”だ。重い責任を負っていた現役の役員時代の報酬額と相談役・顧問への報酬額を比較した場合、前者の⽅が圧倒的に⼤きいものでなければ、無事にリタイアを迎えようとのインセンティブが働き、現役時には⽬⽴った失敗をしないよう消極的な経営に終始するといったことにもなりかねない。これは機関投資家が最も懸念するパターンでもある。したがって、相談役・顧問への報酬のあり方は、現役時代の報酬とセットで議論する必要がある。

それでも相談役・顧問に報酬を支払うことについて機関投資家の理解を得られない場合には、「役員退職慰労⾦」と呼ぶかどうかは別として、役員に対する“退任後給付スキーム”の導入を検討する余地はあろう。この点については大手機関投資家からも「支給基準が明確であれば、役員退職慰労⾦のような形で報酬を払うこと⾃体は否定しない」との声が聞かれる。上述のとおり、欧米企業においても役員年金が一般的に存在する以上、海外機関投資家の同意を得られる可能性もあろう(参考記事として2017年9月13日のニュース「“退任後給付スキーム”に復活の余地」参照)。

2018/04/23 具体例で見る「MD&Aに書くべきこと」

当フォーラムでも既報のとおり、金融庁は2018年1月26日付で開示府令を改正し、2018年3月期の有価証券報告書(以下、有報)から、従来の【業績等の概要】【生産、受注及び販売の状況】【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】を【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(以下、MD&A)に統合し、「経営者の視点」での記載を求めている(2018年2月5日のニュース『改正後の「資本の財源及び資金の流動性」には何を書く?』参照)。

MD&A : 「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations」の略で、「経営陣による財政状態および経営成績の検討と分析」と訳される。日本の新しい有価証券報告書では【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】欄に記載する。

もっとも、これまでの有報でも「提出会社の代表者による分析」の開示が求められてきた。このため、企業からは「『提出会社の代表者』と『経営者』はどう違うのか?」といった疑問の声も聞かれる。この点については、・・・

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2018/04/23 具体例で見る「MD&Aに書くべきこと」(会員限定)

当フォーラムでも既報のとおり、金融庁は2018年1月26日付で開示府令を改正し、2018年3月期の有価証券報告書(以下、有報)から、従来の【業績等の概要】【生産、受注及び販売の状況】【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】を【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(以下、MD&A)に統合し、「経営者の視点」での記載を求めている(2018年2月5日のニュース『改正後の「資本の財源及び資金の流動性」には何を書く?』参照)。

MD&A : 「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations」の略で、「経営陣による財政状態および経営成績の検討と分析」と訳される。日本の新しい有価証券報告書では【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】欄に記載する。

もっとも、これまでの有報でも「提出会社の代表者による分析」の開示が求められてきた。このため、企業からは「『提出会社の代表者』と『経営者』はどう違うのか?」といった疑問の声も聞かれる。この点については、下記の金融庁の考え方(2018年1月26日に金融庁が公表した『「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方』参照)のとおり、「現在の開示の状況については、経営者の視点による分析・検討が欠けている例が多い」旨の金融庁・金融審議会のディスクロージャー・ワーキング・グループ報告の指摘を受け(9ページ参照)、記載内容の明確化の観点から「提出会社の代表者」から「経営者の視点」に変更したとのことだ。例えば、経理部門の従業員がMD&Aの文章を作成し経営者が関与していなかったような会社では、まさに「経営者の視点」による分析・検討が欠けていたことになる。今後、MD&Aは「Management’s Discussion and Analysis(経営陣による財政状態および経営成績の検討と分析)」の文字通り経営者が関与し記載される必要がある。

No. コメントの概要 金融庁の考え方
これまで、「提出会社の代表者」による分析・検討内容の記載が求められていたところ、「経営者の視点」と変更した趣旨は何か。また、「経営者の視点」の具体的な意味を雛形、例示等により示して頂きたい。 「MD&A」は、本来、経営者の視点による経営成績等に関する十分な分析・検討が記載されるべきものと考えられ、こうした考え方の下、改正前においても、企業の財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況について、企業の責任者である「提出会社の代表者」による分析・検討内容の記載を求めてきたところです。しかしながら、現在の開示の状況については、経営者の視点による分析・検討が欠けている例が多いとの指摘があり、平成28年4月の「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告においては、MD&Aの見直しの方向性として、事業全体及びセグメント別の経営成績等に重要な影響を与えた要因について「経営者の視点」による認識と分析などを記載することとされました。これを受けて、「MD&A」の記載内容の明確化の観点から、「提出会社の代表者」から「経営者の視点」に文言を変更しています。各企業においては、本改正による明確化の趣旨を踏まえた記載を行うことが期待されます。

【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】の記載内容は、①経営成績等の状況の概要と②経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容の二つに分けられるが、経営者の視点による記載が求められるのは、このうち②の内容だ。

区分 主な留意点
①経営成績等の状況の概要 ・事業全体及びセグメント別の経営成績等の客観的な状況(実績値)を前期比較等により記載する。
・生産、受注及び販売の実績を記載。
②経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ・経営者の視点から企業情報を具体的に、かつ、分かりやすく開示するという MD&A の目的に沿ったものとなるよう、事業全体及びセグメント別の経営成績等に重要な影響を与えた要因等について経営者の視点による認識と分析などを記載する。
・中長期的な視点からの投資を促す観点から、経営者が、経営方針・経営戦略等の中長期的な目標に照らして、経営成績等をどのように分析・評価しているかを記載する。

②経営者の視点による経営成績等の認識・分析・検討内容の記載にあたっては、MD&Aに関する開示の先進国である米国におけるガイダンスを参考にすることが考えられる。下記がSECのMD&Aガイダンスの要約である。

a.経営者の視点による分析・検討内容の記載は、財務情報の単なる記述的記載ではない(財務情報の単なる記述的記載は①経営成績等の状況の概要で記載されるべきものである)。
b.経営者の視点による経営成績等の分析・検討内容の記載においては、経営者が認識している重要な傾向、事象、需要、コミットメントや不確実性を分析するとともに、それらの理由、影響、関連性、重要性等を説明し、財務全体の情報について充実した情報を提供することが考えられる。例えば前期と比較して売上高が減少した場合、なぜ売上高が減少したかを分析した記載が必要である。製造過程の問題や、商品の質の低下、競争力や市場シェアの喪失など、背景にある原因も明らかにするべきである。
c.重要な事業再編や減損の影響や工場等の収益性の低下が財務諸表に表れている場合、例えば、想定していた規模の経済が実現できなかったこと、主要な顧客との契約を維持できなかったこと、設備の老朽化により稼働率が落ちたことなど、背景にある理由を分析することが考えられる。
d.企業の経営成績やキャッシュ・フローに与える要因に関する情報を提供し、将来の業績を予測するにあたり、過去の業績をどれほど有用な情報として扱えるのか、投資家が確認できるようにすることが望まれる。
e.経営者が認識している傾向や不確実性等によりもたらされる重要な事業機会・課題・リスクで経営者が短期及び長期両方の観点から着目しているものに関する洞察、及びこれらへの対応策、企業に固有であり当該企業を理解し評価するために鍵となる外的要因やその他の定性的・定量的な要因を特定し記載することは投資情報として有益であろう。

また、経営者の視点に基づくMD&Aの記載事例としては、米国の会計基準を適用している会社が参考になる。以下、トヨタ自動車の2017年3月期の有報の【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】記載のうち自動車市場環境の「経営成績等に与える要因」等を抜粋しておく。

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2018/04/21 社外役員への就任を希望されている方、社外役員の増員を検討している上場企業双方に便利な「社外役員データベース」をリリースしました(会員等交流会も定期的に開催)

2018年4月21日、社外役員データベースをリリースいたしました(旧役員人材バンクに登録されている方が未だ100名超いらっしゃいます。社外役員データベースへの登録をお願い申し上げます。ご登録の方法は本ページの下の『「社外役員データベース」へのご登録方法』をご覧ください)。

「社外役員データベース」とは、社外役員への就任を希望されている方の情報を匿名で当フォーラムのウェブサイトに掲載し、社外役員候補者を探している上場企業(もしくは上場を目指す企業。以下、上場企業等)が、当フォーラムを経由して候補者にアプローチしたり、レジュメ等を受け取ったりすることができる会員限定の無料サービスです。紹介料等の費用は一切不要ですので、上場企業等におかれましては、是非自社の社外役員候補者(将来的な候補者を含む)探しのツールとしてご活用ください。

「社外役員データベース」へのご登録は、マイページの「社外役員データベース情報管理」ボタンをクリックすると立ち上がるページから簡単に行うことができます(ご登録方法は本ページの一番下をご覧ください。ご登録にあたり、当フォーラムにご連絡をいただく必要はございません)。なお、「社外役員データベース」に記載いただいた内容は、そのまま当フォーラムのウェブサイト上に表示されるため、くれぐれも氏名、ご住所、会社名、メールアドレス、携帯電話番号等、個人の特定につながりかねない情報を記載なさらないようご留意ください。

また、当フォーラムでは、毎年、当フォーラムに会員登録されている上場企業や上場を目指す企業、社外役員やその候補者の方々を中心とした皆様が交流を図っていただくことを趣旨として会員等交流会を開催しております。企業同士あるいは社外役員同士の情報交換や、将来の社外役員候補の発掘の場として是非ご活用いただければ幸いです。

なお、上述の社外役員データベースに加え、会員等交流会のご利用にあたっても、人材紹介料等の費用は一切かかりません。
※ただし、会員等交流会に参加される場合には参加費用(飲食費等の実費)をいただきます。

■「社外役員データベース」へのご登録方法
・マイページのマイページの「社外役員データベース情報管理」ボタン(下図の赤字)をクリック
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・情報のご登録やご修正(登録にあたって、個人情報が特定される恐れのある情報は記載なさらないようご留意ください)
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2018/04/20 任意の指名委員会の実効性を高めるための3つのポイント

2018年4月5日のニュース『任意の諮問委員会、設置しなければ「エクスプレイン」必要に』でもお伝えしたとおり、現在パブリックコメント中の改訂コーポレートガバナンス・コードでは、「任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会」の設置が事実上求められ、設置しない企業は、設置しない理由を「エクスプレイン」しなければならないことになる。

コーポレートガバナンス・コードの導入(2015年6月1日~)時に補充原則4-10①が任意の指名委員会・報酬委員会の設置を推奨して以来、既に多くの上場企業がこれらの委員会を設置しているが、このうち指名委員会については、経営者指名、後継者計画というデリケートな課題を扱うだけに、運営が難しいと話す企業は少なくない。企業の将来を左右する経営トップ等を決めるうえで重要な機能を果たす指名委員会の運営実態(特に社外取締役の積極的な関与)には機関投資家も高い関心を持っているが、「設置はしているものの、本気でそれを活用する気のない企業も少なくない」とある機関投資家は語る。

機関投資家がそう感じる理由の一つが、・・・

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2018/04/20 任意の指名委員会の実効性を高めるための3つのポイント(会員限定)

2018年4月5日のニュース『任意の諮問委員会、設置しなければ「エクスプレイン」必要に』でもお伝えしたとおり、現在パブリックコメント中の改訂コーポレートガバナンス・コードでは、「任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会」の設置が事実上求められ、設置しない企業は、設置しない理由を「エクスプレイン」しなければならないことになる。

コーポレートガバナンス・コードの導入(2015年6月1日~)時に補充原則4-10①が任意の指名委員会・報酬委員会の設置を推奨して以来、既に多くの上場企業がこれらの委員会を設置しているが、このうち指名委員会については、経営者指名、後継者計画というデリケートな課題を扱うだけに、運営が難しいと話す企業は少なくない。企業の将来を左右する経営トップ等を決めるうえで重要な機能を果たす指名委員会の運営実態(特に社外取締役の積極的な関与)には機関投資家も高い関心を持っているが、「設置はしているものの、本気でそれを活用する気のない企業も少なくない」とある機関投資家は語る。

機関投資家がそう感じる理由の一つが、社外取締役への情報提供の少なさだ。社外取締役には、独立した立場から次代の経営トップ等を適切に精査する役割が期待されるが、どんなに優れた知見を持った社外取締役であっても、候補者の実績や働きぶり、人物像に関する様々な観点や情報ソースからの評価などについて十分な判断材料がなければ、経営トップ等としての適性を検討することさえ難しい。そこで機関投資家は、こうした情報提供が社外取締役に対して十分に行われているかどうか、企業との対話の際に必ず確認するという。

また、指名委員会を設置している企業の中には、社外取締役に社内にどのような人材がいるのかということを理解してもらうため、例えば社外取締役向けの工場の見学や海外現地法人の視察に後継者候補となる可能性のある人物を同行させたり、あるいは経営会議にオブザーバーとして参加させるなどしているところもある。その結果、社外取締役からも「候補者の個性や能力・ポテンシャルなどを大分理解したうえで指名委員会に臨めるようになった」との声が聞かれるようになったという。一部の企業からは「指名委員会に社外の人が来たところで、そもそも社内にどのような人材がいるのかが分からないのだから意味がない」という指摘もあるが、既にこの課題を解決している企業が一定数ある以上、こうした“言い訳”はもはや通用しなくなりつつある。

社外取締役への十分な情報提供と並び、指名委員会の実効性を高めるための2つ目のポイントとして挙げられるのが、同委員会の「規模」だ。指名委員会にせよ報酬委員会にせよ、メンバー構成は機関投資家の大きな関心事の一つであり、対話の場面では「何故その人物が委員会のメンバーに入っているのか」一人ずつ理由を確認することも少なくない。ある機関投資家は、制度設計を検討するうえで様々な知見や意見が必要になる報酬委員会と比較すると、よりデリケートな課題を話し合う場である指名委員会はそれより小規模でよいとの意見を持つ。実際、こうした機関投資家の意見を取り入れる形で指名委員会のメンバーを絞り込み、規模を大幅に縮小した企業もあるようだ。

3つ目のポイントして、「柔軟性」が挙げられる。後継者選びは、まず自社の長期ビジョンと、その達成のために取り組むべき優先課題を明確にしたうえで、その課題を解決するのに最も適した人物をリーダーに指名するというプロセスを踏むことになるが、ひとたび後継者が決まっても、その後、自社を取り巻く環境が大きく変われば、別の人物がリーダーにふさわしいということになる可能性もある。一旦は後継者に指名した人物に交代を告げるのは、社内の人間では困難だろう。自社が直面する課題を冷静に見据えて客観的な判断を下し、こうした“嫌な役回り”を担うことも、指名委員会に期待される機能の一つと言えよう。