2018/04/19 【2018年5月17日(木)開催】日本企業の海外安全対策の開拓者が語る「海外危機管理実務対応セミナー」が開催されます。

本セミナーはすでに開催済みです。

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多くの中小企業が海外進出する中、進出国の法制度や文化・慣習の違いにより、予想外の困難な状況に直面するケースが少なくありません。このような状況に適切に対処するために、海外子会社に対するグループガバナンスを構築する必要性が強く認識されるようになってきています。
東京商工会議所・東京海上日動火災保険の共催により、企業の海外進出サポートの第一線で活躍する専門家が、海外子会社に対するリスクマネジメントや企業の安全対策の生々しい現実を解説するセミナーが開催されます。

<セミナー概要>

  • 第一部 海外子会社のリスク管理とグループガバナンス
  • 第二部 海外進出企業のクライシスマネジメント
  • 【日時】2018年5月17日(木)14時00分~16時30分
  • 【場所】株式会社アビタス新宿本校セミナールーム(渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー15F)
  • 【講師】第一部 EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
              シニアマネージャー・公認会計士 村松 淳哉 氏     
        第二部 株式会社亀屋 代表取締役社長 山崎 正晴 氏
  • 【セミナー参加費】無料(東京商工会議所の会員でない企業の方々も無料でご参加頂けます。)
  • 【定員】100名(定員になり次第締め切らせていただきます)

当フォーラムにも開催のご案内をいただいておりますので、参加をご希望の方は下記よりお申込みください。
セミナーへの参加申込みはこちらから

2018/04/19 日本企業への監査への影響は?英国で“6大監査法人”への規制強化策

IFRS(国際会計基準)を設定する国際会計基準審議会(IASB= International Accounting Standards Board)がロンドンに本部を置くなど会計先進国・英国で、・・・

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2018/04/19 日本企業への監査への影響は?英国で“6大監査法人”への規制強化策(会員限定)

IFRS(国際会計基準)を設定する国際会計基準審議会(IASB= International Accounting Standards Board)がロンドンに本部を置くなど会計先進国・英国で、監査法人への規制強化策がこのほど(2018年4月9日)発表された。背景には、「監査法人に対する規制当局の監督が甘い」との批判がある。

英国における会計監査業務規制当局である財務報告評議会(FRC=Financial Reporting Council)が打ち出した監査法人への規制強化策としては、いわゆる“ビッグ4”(4大監査法人=EY、Deloitte、PwC 、KPMG)の監査業務に深刻な不備があった場合の罰金を「1000万ポンド(現在のレートで約15億円)以上」に引き上げるほか、監査人に不誠実な行為があった場合には「最低10年間」監査業務への従事を禁止することなどが挙げられる。これらの“罰則”は早速6月から実施される。

またFRCは、“ビッグ4”に加え、日本の太陽有限責任監査法人がメンバーファームとなっているグラントソントン、三優監査法人および東陽監査法人がメンバーファームとなっているBDOインターナショナルも対象にした“6大監査法人”による監査業務について新たな規制方針を検討していることを、3月26日に公表した「2018/19年度の事業計画」の中で明らかにしている。具体的には、6大監査法人の幹部ポストへの就任候補者の適性をFRCが審査する案などが浮上している(ただし、FRCは任命を阻止する権限は持たず、審査の結果を監査法人に伝えるにとどまる)。この新たな規制も、同計画中には導入される方向だ。

オリンパスや東芝など、日本でも多くの会計不正が世間を騒がせてきたが、英国も例外ではない。2008年の金融危機の際に株価が急落し、ロイズTSB銀行に救済された大手銀行HBOSに対して2007年にKPMGが実施した監査では「財務状況に問題なし」とされていた件や、PwCが監査を担当した大手スーパーマーケットTescoが利益を水増しして公表していた件など、幾つかの“事件”が発生している。しかしFRCは、前者のKPMGの監査について「合理的に期待される水準を著しく下回ることはなかった」との判断を下し、後者については「PwCに落ち度があったことを証明できる見込みはない」として調査を打ち切っている。こうした過去の事例が、「監査法人に対するFRCの監督が甘い」との批判につながっていることは間違いない。監査法人に対するFRCの監督が甘い理由の一つとして、FRCの理事会や執行委員会に監査法人の元パートナーが含まれていることを指摘する声もある。

こうした中、4大監査法人もしくは6大監査法人に対する規制強化の方針が打ち出されたわけだが、監査法人側はこれらの取り組みを歓迎するとともに、規制強化に協力する姿勢を打ち出している。英国における規制強化が日本の大手監査法人もメンバーファームとなっている6大監査法人や日本企業への監査にどのような影響を及ぼすのか、注目される。

2018/04/18 10%超のROEを持続させるためのM&A

産業能率大学 経営学部 教授
光定 洋介

主要な日本企業のROEの上昇傾向が鮮明となっている。2017年度の利益予想によると、日本の主要企業のROEは、データの把握が可能な1982年度以降、初めて10%を超える可能性があるという。米国企業の14%前後、欧州企業の10%前後と比較しても遜色のない水準に近づきつつある。

ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)

ただ、上昇したROEを維持向上させるには努力が必要だ。稼いだ利益を内部留保し、現金で保有し続けた場合、翌期のROEは自動的に低下することになる。なぜなら、内部留保を増やせばROEの分母となる株主資本が大きくなる一方で、内部留保されただけの現金は分子となる(純)利益を生まないからだ。これを避けるためには、内部留保された現金を再投資し、分母が大きくなっても同等以上のROE水準が期待できるだけの新たな利益を生み出すことが求められる。その再投資の候補のひとつとして、業界再編のM&Aを提案したい。

ROEはしばしば・・・

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2018/04/18 10%超のROEを持続させるためのM&A(会員限定)

産業能率大学 経営学部 教授
光定 洋介

主要な日本企業のROEの上昇傾向が鮮明となっている。2017年度の利益予想によると、日本の主要企業のROEは、データの把握が可能な1982年度以降、初めて10%を超える可能性があるという。米国企業の14%前後、欧州企業の10%前後と比較しても遜色のない水準に近づきつつある。

ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)

ただ、上昇したROEを維持向上させるには努力が必要だ。稼いだ利益を内部留保し、現金で保有し続けた場合、翌期のROEは自動的に低下することになる。なぜなら、内部留保を増やせばROEの分母となる株主資本が大きくなる一方で、内部留保されただけの現金は分子となる(純)利益を生まないからだ。これを避けるためには、内部留保された現金を再投資し、分母が大きくなっても同等以上のROE水準が期待できるだけの新たな利益を生み出すことが求められる。その再投資の候補のひとつとして、業界再編のM&Aを提案したい。

ROEはしばしば下記のとおり収益性、生産性、財務レバレッジに分解される(これをデュポン式という)。

財務レバレッジ : 株主資本(自己資本)を1とした場合、その何倍の総資本を有しているかを示す数値。「株主資本/総資産」によって計算される。財務レバレッジ(=テコ)が大きい会社とは、借入金の大きい会社である。財務レバレッジが高ければ、株主資本よりも大きな取引を行うことができる。ただし、その反面、有利子負債が増加して、金利負担、返済負担が増加し、会社の収益性が下がったり、財務リスクを抱えたりする可能性がある。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

<図表1>
34435

※「売上」と「資産」は分母と分子に1つずつあるため、これを相殺すれば
「純利益/株主資本」が残り、一般的なROEの計算式と等しくなる。

上述のとおり主要な日本企業のROEは上昇傾向にあるとはいえ、いまだに欧米企業よりも若干低い理由として、特に収益性(純利益/売上)が低いことが指摘されている。日本企業の収益性が低い原因の一つには、小さい市場に多くの企業が集まり過ぎていることが挙げられよう。自社が属する市場が規模のメリットが働く領域であるにもかかわらず自社の寡占度が低い場合、M&Aによって同業他社を買収し寡占度を高めていくことが、収益性を高め、結果としてROEも高める可能性のある有効な手段となる。日本の主要企業のROEが高まっている今、上場企業の経営陣は高ROEを維持するためにも、前年に稼いだ利益を内部留保することなくM&Aに再投資し、業界再編によって収益を再成長させるという選択肢を考えておくべきであろう。場合によっては、借入れをして財務レバレッジを高めることで、ROEの分母である株主資本を大きくすることなく、より大きな利益を生み出す可能性のある大型のM&Aを狙うということも考えられる。

一例として、図表1は小売り業態の販売品目別の寡占度を示したものである。調剤薬局チェーン業界は、業界上位5社の売上を合計しても市場全体の10%程度にすぎない。同じ小売業界でも業界再編の進んでいる家電業界では、上位5社で半分以上を占めている(2014年度)ことを踏まえると、今後調剤薬局業界で再編が進む可能性は高い。こうした中、調剤薬局業界トップクラスのアインファーマシーズは、後継者不足、薬剤師採用難に悩む中小調剤薬局を対象としたM&Aを行っている。同社は被買収企業の収益性改善という実績を強みに、さらに積極的なM&Aを展開し、規模拡大を実現してきている。このような規模の拡大による収益性改善は「水平統合におけるシナジー」と呼ばれている。

水平統合 : 垂直統合がサプライチェーンにおいて異なる段階にある企業の統合を指すのに対し、サプライチェーンの同じ段階の企業の統合が水平統合である。例えば携帯電話会社同士の統合は水平統合に該当する。水平統合のメリットは「規模のメリット」であり、具体例としては、市場の寡占による収益性の向上、仕入原価の低下などが挙げられる。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
シナジー : 複数の企業が連携したり共同で事業を運営することで、単独で事業を行うより良い結果を出すこと。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

<図表2>
33435a

同業他社のM&Aでは、統合後のプロセス(PMI:Post Merger Integration=買収後の統合プラン)がシナジーを顕在化させる上で重要になることが多い。“統合後100日プラン”などと言われるように、最初の3~4か月で何をやるかによってその後の成果が大きく変わってくる。M&A直後、社員は「何があっても不思議ではない」という心境になっている。改革を断行するのはまさにこの段階であって、「とりあえず1年間は今までのやり方で」などと言っていると、社員の意識改革が進まなくなってしまう。

米国のGEでは、社内のデューディリジェンス(事業精査)部隊の一部が統合プロセスの担当者としても加わり、意識改革に取り組む。1998年に買収した東邦生命をGEエジソン生命と改名して営業を開始し、2か月後には、欠陥品が100万分の3.4の割合でしか出ないシックスシグマ活動、コンプライアンス研修を始めた。また、任意の研修も約40項目と充実させ、社員のスキルアップに取り組んだ。さらに、経営トップは間断なく従業員に対してビジョンを示し、理念や仕事の進め方を共有していった。M&Aを行った日本企業も、GEが歩んだこうした過程を通じて早期に文化の融合を図る必要がある。

シックスシグマ活動 : 事業経営の中で起こるミスやエラー、欠陥品の発生確率を「100万分の3.4」レベルにすることを目標に推進する継続的な経営品質改革活動で、1990年代後半に米国モトローラ社が、自社製品の品質レベルと日本企業の品質の高さの差の原因を追究する中から体系化した。個々の業務課題を「論理的、定量的」にステップを踏んで解決につなげていくのが特徴。シックス・シグマの語源となっているのは、統計学における標準偏差を意味するσである。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

以上のとおり、日本の主要企業のROEの上昇が進んでいる昨今、これを維持向上させるため、上場企業の経営陣は内部留保や借入金を使って業界再編のためのM&Aを行い、ROEをさらに拡大できるかどうか、検討してみる必要があろう。検討のポイントは、業界の寡占度合いと、水平統合によるシナジーが期待できるかどうか、の2点である。寡占が進んでおらず、かつシナジーが期待できるとなれば、思い切ってM&Aに踏みきるべきだろう。ただし、上述のとおりM&Aは契約を結ぶことが終着点でなく、スタートであることを再認識し、PMIをしっかりと行うことが重要になる。

2018/04/17 議決権行使結果の個別開示が企業にもたらした効果

周知のとおり、昨年(2017年)行われたスチュワードシップ・コードの改訂より補助原則5-3に「機関投資家は、議決権の行使結果を、個別の投資先企業及び議案ごとに公表すべき」との規定が盛り込まれ、多くの機関投資家(スチュワードシップ・コードの受け入れを表明をしている機関投資家は2018年4月5日時点で227)が昨年から議決権行使結果の開示を始めている(機関投資家による議決権行使結果の開示については2017年6月7日のニュース「議決権行使結果個別開示、“穏便な”コンプライは認められず」、2017年12月22日のニュース「主要国内機関投資家による議決権行使結果 第八弾(最終回)」ほか参照)。また、世界最大のアセットオーナーであるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も運用受託機関に対して議決権行使結果の個別投資先企業および議案ごとの公表を求めているおり、上場企業にとっては、自社の株主である機関投資家がどのように議決権を行使したのか容易に確認できる環境が整った形となっている。

上場企業側もやはり自社の株主総会議案への議決権行使結果は気になるようだ。GPIFが・・・

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2018/04/17 議決権行使結果の個別開示が企業にもたらした効果(会員限定)

周知のとおり、昨年(2017年)行われたスチュワードシップ・コードの改訂より補助原則5-3に「機関投資家は、議決権の行使結果を、個別の投資先企業及び議案ごとに公表すべき」との規定が盛り込まれ、多くの機関投資家(スチュワードシップ・コードの受け入れを表明をしている機関投資家は2018年4月5日時点で227)が昨年から議決権行使結果の開示を始めている(機関投資家による議決権行使結果の開示については2017年6月7日のニュース「議決権行使結果個別開示、“穏便な”コンプライは認められず」、2017年12月22日のニュース「主要国内機関投資家による議決権行使結果 第八弾(最終回)」ほか参照)。また、世界最大のアセットオーナーであるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も運用受託機関に対して議決権行使結果の個別投資先企業および議案ごとの公表を求めているおり、上場企業にとっては、自社の株主である機関投資家がどのように議決権を行使したのか容易に確認できる環境が整った形となっている。

上場企業側もやはり自社の株主総会議案への議決権行使結果は気になるようだ。GPIFが東証1部上場企業2,052社に対して実施したアンケート結果(回答は619社)によると、「大半の機関投資家の議決権行使結果を確認した」と回答した上場企業は27.1%にとどまっているものの、「主要(大株主)機関投資家の議決権行使結果を確認した」上場企業は53.8%あり、合わせて8割を超える(80.9%)、上場企業が自社の議決権行使結果を確認済みであることがわかった(アンケート結果の質問7)。

もちろん、上場企業にとっては重要なことは「確認すること」ではなく、「確認した結果を自社の課題解決につなげること」であるのは言うまでもない。同じくGPIFのアンケート結果によると、「確認した結果の用途」については次のような回答が寄せられている。

・来期以降の株主総会付議内容の参考とするため。
・反対理由を確認し、株主との建設的な対話や経営課題の設定に役立てる。
・反対票の原因分析を行い株主との対話等のIR活動にフィードバックする。
・反対票の原因分析に関する取締役会報告のため。
・当社はもとより、同業他社の議案に係る賛否を確認することにより、機関投資家の議案の賛否の判断基準が想定出来る。機関投資家の問題意識を理解し、自社のガバナンス強化に生かしていく。

このように議決権行使結果を活用していこうという回答が目に付くが、特に注目されるのは「当社はもとより、同業他社の議案に係る賛否を確認することにより、機関投資家の議案の賛否の判断基準が想定出来る。」との回答だ。自社への議決権行使結果だけであれば、従来でもどの株主がどの議案に賛成あるいは反対したのかを含め株主総会の投票結果から把握することができたが、他社における機関投資家の議決権行使結果となると、スチュワードシップ・コードの改訂により議決権行使結果が開示されるようになるまでは、臨時報告書で開示される賛成割合から推測するしかなかった。それだけ「同業他社の議案に係る賛否」を容易に確認できるようになったということは画期的であり、この活用法は是非他社でも真似したいところだ。

臨時報告書 : 有価証券報告書提出会社において、投資家に伝達すべき重要な事項が生じた場合に財務局への提出が必要になる書類。

このほかGPIFのアンケートでは、議決権行使結果の公表を受けて、上場企業内で実際に次のような変化が起きたことが報告されている。

・反対票の要因が明確になることで、改善に向けた社内の意識を高めることができた。
・反対行使した投資家のうち、議決権行使基準を参照しても理由が不明な投資家と対話した。
・機関投資家を直接訪問して今回の行使結果について内容を伺うなどの能動的な動きが生じた。
・機関投資家毎のスタンスの違いを検証した。
・エンゲージメント活動(の重要性)へのトップの理解が増した。

もっとも、このような変化が起きたのは回答企業のうち18.9%に過ぎず、大半の企業(72.2%)は「変化は見られなかった」と回答している。変化が見られなかった理由は、単に反対票がなかった(あるいは少なかった)だけの可能性もあるが、例えば「エンゲージメント活動(の重要性)へのトップの理解が増した」という変化は反対票が少なくても期待できるものであるだけに、IR担当役員などは議決権行使結果開示を上手く活用し、経営トップの意識改革を図りたいところだ。

一橋大学・商学研究科の円谷昭一先生が作成した「3月末日決算の全上場企業」に対する国内全機関投資家による「議決権行使結果の個別開示」結果のデータはこちら

2018/04/16 改訂CGコードで把握が求められる「資本コスト」、投資家にはどう説明する?

現在パブリックコメントに付されているコーポレートガバナンス・コード改訂案(以下、CGコード改訂案)に新しく盛り込まれた重要な用語として「資本コスト」がある(CGコード改訂案関連のニュースは2018年4月3日のニュース「東証、改訂CGコードに対応したCG報告書の年内提出求める」参照)。具体的には以下の2つの原則において「資本コスト」が追加されている。

【原則1-4.政策保有株式】
上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきである。
【原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表】
経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人材投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである。

もっとも、それぞれのコードが言う「資本コスト」とは具体的に何であるのか、またどこまで精緻な説明が求められるのかなど、企業側からは「対応を検討するには曖昧過ぎる」との声が聞こえて来る。例えば以下のようなものだ。

① 「株主資本コスト」なのか「加重平均資本コスト」なのか?
② 「資本コスト」を算定する方式や前提条件を詳しく示すべきか?
③ 前提次第でブレる数値に意味があるのか?

株主資本コスト : 経営陣(取締役)の使命は、基本的に「株主から預かった資金(株主資本)を元手に展開する事業から獲得するキャッシュ・フローが“株主の期待利回り”を上回ること」にあり、ここでいう“株主の期待利回り”を「株主資本コスト」という。
加重平均資本コスト : 銀行等(債権者)が企業に対し要求する期待利回りが「有利子負債コスト(金利)」であるが、株主と債権者では資金提供リスク(将来獲得できるキャッシュ・フローの不確実性)が異なるため、両者が要求する期待利回りも異なる(通常は株主のリスク(不確実性)の方が高いとされている)。そこで企業全体としての資金調達コストは、両者の期待利回り(「株主資本コスト」と「有利子負債コスト(金利)」)を資金提供額に応じて加重平均することにより算定する。この資金調達コストが「加重平均資本コスト(英語ではWeighted Average Cost of Capital=WACC」であり(通称はワック)、これを上回るキャッシュ・フローの獲得こそが、投資家が経営陣(取締役)に求めているものと言える。加重平均資本コスト(WACC)は資金提供者が要求する最低限の期待利回り(期待収益率)であるため、「ハードル・レート」とも呼ばれる。

それぞれについて説明しよう。・・・

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2018/04/16 改訂CGコードで把握が求められる「資本コスト」、投資家にはどう説明する?(会員限定)

現在パブリックコメントに付されているコーポレートガバナンス・コード改訂案(以下、CGコード改訂案)に新しく盛り込まれた重要な用語として「資本コスト」がある(CGコード改訂案関連のニュースは2018年4月3日のニュース「東証、改訂CGコードに対応したCG報告書の年内提出求める」参照)。具体的には以下の2つの原則において「資本コスト」が追加されている。

【原則1-4.政策保有株式】
上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきである。
【原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表】
経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人材投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである。

もっとも、それぞれのコードが言う「資本コスト」とは具体的に何であるのか、またどこまで精緻な説明が求められるのかなど、企業側からは「対応を検討するには曖昧過ぎる」との声が聞こえて来る。例えば以下のようなものだ。

① 「株主資本コスト」なのか「加重平均資本コスト」なのか?
② 「資本コスト」を算定する方式や前提条件を詳しく示すべきか?
③ 前提次第でブレる数値に意味があるのか?

株主資本コスト : 経営陣(取締役)の使命は、基本的に「株主から預かった資金(株主資本)を元手に展開する事業から獲得するキャッシュ・フローが“株主の期待利回り”を上回ること」にあり、ここでいう“株主の期待利回り”を「株主資本コスト」という。
加重平均資本コスト : 銀行等(債権者)が企業に対し要求する期待利回りが「有利子負債コスト(金利)」であるが、株主と債権者では資金提供リスク(将来獲得できるキャッシュ・フローの不確実性)が異なるため、両者が要求する期待利回りも異なる(通常は株主のリスク(不確実性)の方が高いとされている)。そこで企業全体としての資金調達コストは、両者の期待利回り(「株主資本コスト」と「有利子負債コスト(金利)」)を資金提供額に応じて加重平均することにより算定する。この資金調達コストが「加重平均資本コスト(英語ではWeighted Average Cost of Capital=WACC」であり(通称はワック)、これを上回るキャッシュ・フローの獲得こそが、投資家が経営陣(取締役)に求めているものと言える。加重平均資本コスト(WACC)は資金提供者が要求する最低限の期待利回り(期待収益率)であるため、「ハードル・レート」とも呼ばれる。

それぞれについて説明しよう。

① 「株主資本コスト」なのか「加重平均資本コスト」なのか?
上記のとおり、原則1-4では「政策保有株式」、原則5-2では「設備投資・研究開発投資・人材投資等」が、資本コストを十分に考慮したものであることを求めている。政策株式の購入にせよ各種投資にせよ、会社の資金で実施されることに変りはないが、お金に色は付けられないため、株主資本と負債の両方を考慮した加重平均資本コストを、政策保有株式の購入あるいは投資を決定する際のハードル・レートにするとの考え方もあり得る。

ハードル・レート : 資金提供者が要求する最低限の期待利回り(期待収益率)のこと。通常WACC(加重平均資本コストの注釈参照)のことを指す。

しかし、長期的な関係構築のための政策投資も、長期的な企業価値の源泉となる各種投資も、財務的な観点からは最も安定した資金である株主資本で賄われるべきと言える。近年は低金利もあって巨額借り入れによるM&Aなども活発に行われているが、本質的には株主資本こそが投資活動に充当されるものであり、したがって本コードの「資本コスト」とは第一義的には株主資本コストを意味すると理解すべきであろう。

② 「資本コスト」を算定する方式や前提条件を詳しく示すべきか?
そもそも株主資本コストを推計する方法としては、代表的なものだけでも2つ、資本資産評価モデル(CAPM)配当割引モデル(DDM)があり、いずれがより適切なのか、双方で異なった値が出たらいずれが正しいのか、簡単には答えが出ない。また例えばCAPMを用いた場合、リスクフリー・レートは1%がいいのか2%がいいのか、マイナス金利を織り込んだ方がいいのか、リスク・プレミアムは5%なのか6%なのか、算定する期間をどの程度とるのかなど、その時々で定まった前提条件は存在しない。そもそも何のための「資本コスト」なのか再考すると、あくまでも投資家に対して政策保有株式や各種投資の正当性を説明することが目的のはずである。そうである以上、重要なのは株主資本コストの“水準感”であり“納得感”なのであって、これを説明するために不確かな計算方法を提示することに意味があるとは到底考えられない。

資本資産評価モデル(CAPM) : CAPMとは(Capital Asset Pricing Model=資本資産評価モデル)の略で、株主資本コストを算出するための理論の一つ。CAPM理論によると、株主資本コストは下記の算式により算定されることになる。→<算式>株主資本コスト=リスクフリー・レート+β×マーケット・リスクプレミアム(リスクフリー・レートとは、リスクを取らずに得ることのできるリターンで、国債利回りを用いるのが通常である。β、マーケット・リスクプレミアムについては下記「リスク・プレミアム」の注釈参照)
配当割引モデル(DDM) : DDM(Dividend Discout Model=配当割引モデル)とは、1年間のタイムスパンを前提とすると、現在の株価、1年後の配当金(インカムゲイン)、1年後の株価)(キャピタルゲイン)、株主資本コストには下記の関係が成り立っていると考え、ここから株主資本コストを算出する手法。→<算式>現在の株価=(1年後の配当金+1年後の株価)/(1+株主資本コスト)
リスクフリー・レート : リスクを取らずに得ることのできるリターンで、国債利回りを用いるのが通常である。
リスク・プレミアム : リスク・テイクによる超過的な期待収益率のこと。超過的な期待収益率は、TOPIXなど株式市場全体を示す指数をベースに計算される。基本的には、TOPIXなどに基づく期待収益率(Rm=required market rate of return)とリスクフリー・レート(RFR)の差が株式投資に伴うリスクに対する「超過的な期待収益率」となる。ただし、株価がTOPIXと同様の動きをする企業もあれば、TOPIXと乖離しているところもある。そこで、各企業の「超過的な期待収益率」は、当該企業の株価のTOPIXなどに対する“感応度”を考慮して調整する必要がある。この感応度のことを専門用語で「ベータ(β)」という。βは、株式市場全体の動きに対して大きく反応する場合には高く、あまり大きく反応しない場合には低くなる。これを算式で表すと以下の通りとなる。→リスク・テイクによる超過的な期待収益率=β ×(Rm-RFR)

③ 前提次第でブレる数値に意味があるのか?
上記②の計算方法次第では、株主資本コストは大きくブレることになる。逆に言えば、前提次第でブレる数値に何の意味があるのだろうか。

そう考えると、結論としては「日本の上場会社として」求められている水準を自社の株主資本コストのベースとするのが最も合理的だと考えられる。すなわち、伊藤レポートで提示された「ROE=8%」こそが、本コードにおける「資本コスト」のスタンダードとなろう。もちろん、会社によっては事業リスクが低いためリスク・プレミアムが小さく、計算上の株主資本コストも小さく抑えられることはあり得る。その場合、事業リスクが低いならば安定した株主資本に頼る必要性は低いため、積極的に株主還元を実施することで(ROEの分母となる株主資本を小さくし)ROEを向上させるべきである。少なくとも一定規模に達した成熟企業においては、「株主資本コスト=8%」と言い切っても機関投資家からの理解は得られるだろう。

ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)













2018/04/13 海外の“モノ言う株主”の迫力

ある日本の中堅企業では、いわゆる“モノ言う株主”に突如5%を超える株式を保有されるとともに、潤沢なキャッシュの有効活用について経営陣の考え方を問われたという。結局その企業は増配を決めたが、・・・

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