2025/06/10 有報の総会前開示につながる「総会開催日の後ろ倒し」が進まない背景

金融担当大臣が3月28日付で要請した有価証券報告書(有報)の総会前開示は、2025年6月の株主総会シーズンにおける大きなテーマとなっている(2025年4月2日のニュース「“寝耳に水” 金融担当大臣による有報の総会前開示要請に従わなかったらどうなる?」、2025年4月15日のニュース「「総会前開示」で必要になる変更箇所は限定的に」参照)。金融庁による有報レビューの審査対象になることを避けたいということもあり、相当数の上場会社が「株主総会の前日ないし数日前に提出」(要請文より引用)することを検討中、あるいは既に対応を進めている。


有報レビュー : ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応として、有価証券報告書の記載内容の適正性を確保するための審査。従来から、金融庁および財務局等が連携して実施している。毎年3月頃、金融庁のホームページにおいて、その事業年度に係る有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項とその年度に実施される具体的なテーマが公表される。

金融庁のWEBサイトでは「定時株主総会の2週間以上前に有価証券報告書の提出を予定している上場会社一覧」が公表されており、5月30日時点でHOYA(21日前)とT&Dホールディングス(14日前)の2社(いずれも3月決算)がリストアップされている。金融庁は明日6月11日に3月決算会社全体の開示状況を公表する予定だが、過半数が総会前開示を実施することが見込まれている。それだけ金融担当大臣名での「要請」はインパクトが大きかったということだろう。

総会前開示がデファクトとなりつつある中、上場会社にとっての次の関心事は、「何日前」に開示するかということだろう。金融庁は、有報と事業報告の一体開示が可能となる「総会の3週間以上前」が望ましいとしているが、当フォーラムが2025年1月および2月決算のプライム市場上場会社について、総会開催日と有報開示日を調査したところ、総会前開示を実施したのは103社中・・・

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2025/06/10 有報の総会前開示につながる「総会開催日の後ろ倒し」が進まない背景(会員限定)

金融担当大臣が3月28日付で要請した有価証券報告書(有報)の総会前開示は、2025年6月の株主総会シーズンにおける大きなテーマとなっている(2025年4月2日のニュース「“寝耳に水” 金融担当大臣による有報の総会前開示要請に従わなかったらどうなる?」、2025年4月15日のニュース「「総会前開示」で必要になる変更箇所は限定的に」参照)。金融庁による有報レビューの審査対象になることを避けたいということもあり、相当数の上場会社が「株主総会の前日ないし数日前に提出」(要請文より引用)することを検討中、あるいは既に対応を進めている。


有報レビュー : ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応として、有価証券報告書の記載内容の適正性を確保するための審査。従来から、金融庁および財務局等が連携して実施している。毎年3月頃、金融庁のホームページにおいて、その事業年度に係る有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項とその年度に実施される具体的なテーマが公表される。

金融庁のWEBサイトでは「定時株主総会の2週間以上前に有価証券報告書の提出を予定している上場会社一覧」が公表されており、5月30日時点でHOYA(21日前)とT&Dホールディングス(14日前)の2社(いずれも3月決算)がリストアップされている。金融庁は明日6月11日に3月決算会社全体の開示状況を公表する予定だが、過半数が総会前開示を実施することが見込まれている。それだけ金融担当大臣名での「要請」はインパクトが大きかったということだろう。

総会前開示がデファクトとなりつつある中、上場会社にとっての次の関心事は、「何日前」に開示するかということだろう。金融庁は、有報と事業報告の一体開示が可能となる「総会の3週間以上前」が望ましいとしているが、当フォーラムが2025年1月および2月決算のプライム市場上場会社について、総会開催日と有報開示日を調査したところ、総会前開示を実施したのは103社中10社で、最も早く開示したのがセブン&アイ・ホールディングスと吉野家ホールディングスの「4日前」であることが分かった。ただし、両社とも土日を挟んでおり、営業日ベースでは「2日前」にとどまっている。

社名 決算期 総会開催日 有報開示日
セブン&アイ・ホールディングス 2月 2025/05/27 2025/05/23 4日前
吉野家ホールディングス 2月 2025/05/27 2025/05/23 4日前
ライフコーポレーション 2月 2025/05/22 2025/05/20 2日前
イオンフィナンシャルサービス 2月 2025/05/23 2025/05/21 2日前
積水ハウス 1月 2025/04/23 2025/04/22 1日前
ダブル・スコープ 1月 2025/04/24 2025/04/23 1日前
ダイセキ 2月 2025/05/22 2025/05/21 1日前
ワールド 2月 2025/05/27 2025/05/26 1日前
アークス 2月 2025/05/27 2025/05/26 1日前
コメダホールディングス 2月 2025/05/29 2025/05/28 1日前

こうした中、「総会の3週間以上前」開示を実現するために金融庁が推奨しているのが、議決権基準日を後ろ倒しにすることで総会開催日も後ろ倒しにするアプローチだ。もっとも、1・2月決算会社で、決算期末から3か月超の日程で定時株主総会を開催した(あるいは、する予定)のプライム市場上場会社は現時点では確認できない。3月決算のプライム市場上場会社では、7月31日開催のジャムコのみとなっている。2020年のコロナ下においてはオリンパスや日本板硝子など7月に総会を開催する事例が少なからず見られたが、2025年には同様の事例はほぼ見られなくなっている。


基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。

その背景には、7月総会に対する上場会社・投資家双方の根強い抵抗感の存在があるものと思われる。上場会社にあっては、現行の実務を変更してまでわざわざ猛暑の7月に総会を開催すれば、会社のみならず来場する株主にも大きな負担をかけることになるとの懸念がある。また、投資家は総会の開催日を後倒しすることを歓迎していると一般的には言われているが、7月はグローバル投資家にとっては既にオフシーズンであり、本音ベースでは、ここに総会をぶつけることは必ずしも歓迎されない可能性がある。仮に雪崩を打って7月開催が増加すれば6月における議決権行使担当者の業務量は緩和されるが、一部にとどまるようであれば、6月の業務量はほぼ変わらないまま7月も総会対応を迫られるということになりかねない。

総会が特定の日に集中することへの批判を踏まえ総会開催日の早期化を進めてきた上場会社の中には、2~3週間前の有報開示を実現するため、一転して集中日近辺まで総会開催日を遅らせることを検討しているところもあると聞く。そもそも何のために有報の総会前開示が必要なのか、上場会社や規制当局を含む関係者でさらに議論を深める必要がありそうだ。

2025/06/09 同意なき買収に対する“時間稼ぎ”

フィデューシャリーアドバイザーズ代表
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 吉村一男

既報のとおり、ニデックからに同意なき買収(TOB)を提案(ニデックは5月9日付でTOBを撤回)された牧野フライス製作所(以下、牧野フライス)は、対抗措置としてポイズンピルの導入を打ち出したが(2025年3月24日のニュース「買収防衛策導入で取締役が「信認義務に違反していない」と判断されやすい3つのケース参照)、対抗措置の可否について東京地裁が示した新たな判断枠組みは注目に値する。それは、“時間稼ぎ”の効果・・・


ポイズンピル : 「敵対的買収者が被買収企業の株式の一定割合を取得した場合、既存株主は時価より安い価格で新株を購入できる」という権利(ライツ)を既存株主に与える手法。新株が発行されれば、敵対的買収者の持株比率は低下するとともに、1株当たりの株価も安くなり、敵対的買収者は大きな損失を被ることになる。「ポイズンピル(毒薬条項)という名称は、毒薬が回って体が弱るようなイメージがあることから来ている。

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2025/06/09 同意なき買収に対する“時間稼ぎ”(会員限定)

フィデューシャリーアドバイザーズ代表
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 吉村一男

既報のとおり、ニデックからに同意なき買収(TOB)を提案(ニデックは5月9日付でTOBを撤回)された牧野フライス製作所(以下、牧野フライス)は、対抗措置としてポイズンピルの導入を打ち出したが(2025年3月24日のニュース「買収防衛策導入で取締役が「信認義務に違反していない」と判断されやすい3つのケース参照)、対抗措置の可否について東京地裁が示した新たな判断枠組みは注目に値する。それは、“時間稼ぎ”の効果のみを有する対抗措置は「取締役会のみの判断」で導入可能としたことだ。


ポイズンピル : 「敵対的買収者が被買収企業の株式の一定割合を取得した場合、既存株主は時価より安い価格で新株を購入できる」という権利(ライツ)を既存株主に与える手法。新株が発行されれば、敵対的買収者の持株比率は低下するとともに、1株当たりの株価も安くなり、敵対的買収者は大きな損失を被ることになる。「ポイズンピル(毒薬条項)という名称は、毒薬が回って体が弱るようなイメージがあることから来ている。

まず、ニデックが東京地裁に提訴するまでの経緯を整理してみよう。

ニデックは2024年12月27日、牧野フライスの100%買収を目指してTOBを実施する意向(予告TOB)を公表した。買付価格は、予告TOBの公表前日の終値に41.94%のプレミアムが上乗せされた価格である「1株あたり1万1000円」に設定。買付予定株式数には上限がなく、下限は1169万4400株(総議決権数の過半数相当)とした。買付開始時期は2025年4月4日、買付期間は31営業日としたため、当初買付期間の末日は「5月21日」であったが、応募株式数が買付予定数の下限に達した場合には買付期間を10営業日延長(追加買付期間を自発的に設定)するとの計画を示した。


プレミアム : 買収価格と株価の差

一方、牧野フライスは1月10日、独立社外取締役4名から構成される特別委員会を設置し、1月15日にはニデックに対して、①TOBの開始を2025年5月9日まで延期すること、②買付予定数の下限を1556万4200株(総議決権数の3分の2相当)に変更することを要請した。また、3月10日には、複数の第三者から初期的競合買収提案を受領していることを公表し、TOB開始期日の延長を再要請した。さらに、牧野フライス取締役会は3月19日、TOBへの対抗措置(第2新株予約権方式による差別的行使条件付新株予約権()の無償割当て)の導入を決議した。

 行使後の株券等保有割合が20%を下回る範囲でのみ行使が可能となる新株予約権。一般株主とは行使条件が異なるため「第2新株予約権」と呼ばれる。ニデックが新株予約権を行使できる範囲は限定される一方、そのような制限のない一般株主が新株予約権を行使するとニデックの持株比率が希薄化されるため、ニデックが新株予約権を行使しても支配権を強化することは困難となり、買収の成功確率が低下する。


初期的競合買収提案 : 初期的買収提案とは、買収対象企業に対して最初に提示される買収オファーのことをいう。通常、初期的買収提案には、①買収価格、②支払い方法(現金、株式交換、混合型など)、③買収の目的と戦略(買収による相乗効果や市場シェアの拡大など)、④その他の条件(財務的・法的な調査(デュー・ディリジェンス)の実施や規制当局への対応など)が含まれる。また、初期的買収提案に「競合」という言葉が付く場合、他の企業も同じ対象企業の買収を狙っているということを示しており、買収対象企業は複数の提案を比較し、最も有利な条件の買収提案を選ぶことになる。競争が激化すると、価格引き上げや条件変更などが起こり、“買収合戦”に発展することもある。
希薄化 : 1株当たりの価値が下がること。「希釈化」と同義。希薄化率は「新規発行株式数 / 既発行株式数」によって計算される。既存か部主からすれば、希薄化により一株当たり株主価値が低下するのみならず、議決権比率が低下し、投資先企業への影響力も薄まることになる。発行済み株式数のみならず、今後実際の株式に転換される可能性のあるストックオプションや転換社債などまで含めた株式数をベースに計算された希薄化を「完全希薄化(Fully Diluted)」という。

対抗措置の発動は、6月19日開催の定時株主総会で対抗措置の発動承認議案が承認(事後承認を含む)されることを条件とするが、①ニデックが5月9日以降にTOBを開始した場合、または②ニデックのTOB開始前に牧野フライスが競合買収者からニデックのTOBよりも有利な条件での買収提案を受領した場合には、対抗措置は廃止される(①については、ニデックが5月8日以前にTOBを開始した場合には、対抗措置の発動承認議案が定時株主総会に付議されることになる)。


事後承認 : 本来株主総会の決議を経るべき事項について、決議を経ずに実施した後に、株主総会で承認を得ること。

こうした中、ニデックは4月4日、予告どおりにTOBを開始。これに対し牧野フライスの取締役会は4月10日、ニデックのTOBに反対する旨とともに、①対抗措置としての新株予約権の無償割当ての実施、②割当基準日を6月26日(定時株主総会後)に設定、③定時株主総会への対抗措置承認議案の付議――をそれぞれ決議した。当該決議を受け、ニデックは4月16日、牧野フライスによる新株予約権無償割当ての差止仮処分を求めて東京地裁に提訴した。


割当基準日 : その日までに株主として登録されていると、新株予約権を受け取ることができる日のこと

東京地裁は、牧野フライスの対抗措置の効果を次の2つに分けて分析している。1つは、新株予約権無償割当ての実行によりニデックが「第2新株予約権」の割当を受ける結果、ニデックの持株割合が希薄化され、TOBの目的が阻害される効果(これを「本来的効果」という)だ。もう1つは、ニデックが、①TOB開始を延期することにより対抗措置を廃止させるか、あるいは②対抗措置が牧野フライスの株主総会で承認された場合にTOBを撤回するという選択肢を残すために、TOB期間を定時株主総会後まで延長するか――のいずれかを選択することを事実上余儀なくされる効果(これを「中間的効果」という)である。そのうえで東京地裁は、「本来的効果」は株主総会の承認を前提として生じる一方、競合買収提案がなされる蓋然性が生じ、又は高まる場合には、「中間的効果」の「必要性」が肯定されるとの考えを示した。そして、ニデックにはTOBの取引完了が1か月程度遅れる以上の格別の不利益は生じないため、「中間的効果」の「相当性」も肯定されるとして、中間的効果のみを有する対抗措置は「取締役会決議のみ」によって生じると判示、ニデックの申立てを却下している(5月7日)。

要するに、企業買収を阻止する効果を有する対抗措置の導入・発動には株主の承認を要するが、“時間稼ぎ”の効果のみを有する対抗措置の導入は取締役会のみの判断で可能ということだ。これは、2025年3月24日のニュース「買収防衛策導入で取締役が「信認義務に違反していない」と判断されやすい3つのケース」で触れたように、ポイズンピルを導入した取締役が「信認義務に違反していない」と判断される買収提案の1つである「代替案喪失(機会損失)型)」、すなわち、買収者が事前に取締役会と十分な協議を行うことなく、いきなり買収を仕掛けてきた結果、取締役会がより優れた代替案を提示する機会が失われ、株主の利益も損なわれることとなる買収提案への対抗措置が肯定されたとも言える。

しかし、牧野フライスの一件をもって、他の企業が「TOBを仕掛けられても時間稼ぎができる」と考えるのは早計だ。なぜなら、牧野フライスの対抗措置が肯定されたのは、「競合買収提案がなされる蓋然性が生じ、又は高まる場合」という条件を満たしていたからである。このような状況がないにもかかわらず、“嘘”をついた場合には、相場操縦、風説の流布、インサイダー取引規制といった証券市場に係る規制の対象になる。また、もしニデックが予告TOBを公表した12月27日からTOBを開始し、「31営業日」という買付期間にもこだわらなかったとすると、例えば30営業日目の2月18日、60営業日目の4月3日にTOBが成立していた可能性があるが、その場合も裁判所がニッデックのTOBを却下していたかどうかは明らかでない。

牧野フライスの一件で裁判所は、「買収のタイムライン」を定める権限を取締役会に付与するという米国法の考え方を採用した。しかし、日本法は米国法と異なり、取締役会に企業買収を阻止する効果を有する対抗措置の導入・発動する権限を付与しておらず、それは株主の権限とされている。牧野フライスと同様の対抗措置を導入しようという場合、取締役会は難しい舵取りを迫られることになろう。

2025/06/08 会場型セミナー「循環経済(サーキュラーエコノミー)政策の最前線」および「『「稼ぐ力」のCGガイダンス』及び『「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則』について」を2025年7月24日(木)に開催します。

上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2025年7月24日(木)の14時30分~16時50分に下記のセミナーを開催いたします。

テーマ 講 師
第一部 循環経済(サーキュラーエコノミー)政策の最前線 環境省 大臣官房 会計課長
(前 環境再生・資源循環局 総務課長)
波戸本 尚(はともと ひさし)様
第二部 『「稼ぐ力」のCGガイダンス』及び
『「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則』について
経済産業省 経済産業政策局 産業組織課長
鮫島 大幸(さめしま ひろゆき)様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
トランプ政権への移行後、その関税政策やサステナビリティ政策の見直しなどによりグローバルなサプライチェーンの再構築の検討が求められる状況にあります。このような状況の下、むしろ日本のサステナビリティの推進を通じて、持続可能な成長性と国際競争力を高めつつ、経済安全保障の確保に取り組む必要があります。本セミナーでは、こうした観点からの重要施策である、循環経済(サーキュラーエコノミー)政策の最前線をご紹介いただき、日本企業が取るべき対応について語っていただきます。
講師の
ご紹介
環境省 大臣官房 会計課長(前 環境再生・資源循環局 総務課長) 波戸本 尚(はともと ひさし)様
1996年 大蔵省入省
2016年 在アメリカ合衆国日本大使館参事官(財政金融)
2020年 財務省主計局主計官(農林水産係担当)
2021年 環境省大臣官房環境経済課長
2023年 環境省環境再生・資源循環局総務課長
2025年 環境省大臣官房会計課長

■第二部の詳細

セミナー
の内容
経済産業省は、企業が「稼ぐ力」の強化に向けて成長戦略を構築し、リスクを取って事業ポートフォリオの組替えや積極的な成長投資を実行するための基盤として、実効的なCGの構築に取り組むことを支援するため研究会を開催し、前提となる考え方、取組の進め方、検討ポイント・取組例及び企業事例について『「稼ぐ力」のCGガイダンス』として提示しました。その中で、取締役会が踏まえるべき内容と経営陣がとるべき行動が『「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則』として整理されました。本セミナーでは、『「稼ぐ力」のCGガイダンス』と『「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則』を併せて解説していただきます。
講師の
ご紹介
経済産業省 経済産業政策局 産業組織課長 鮫島 大幸(さめしま ひろゆき)様
1999年4月 入省:資源エネルギー庁 石油部計画課
2008年7月 経済産業政策局 産業組織課
2010年7月 金融庁 監督局 保険課(損害保険担当)
2012年7月 貿易経済協力局 貿易保険課
2014年7月 大臣官房 総務課 政策企画委員
2015年7月 内閣人事局 企画調整官
2017年7月 産業技術環境局 環境経済室長
2017年8月 国務大臣 秘書官(IT、知財)
2019年6月 貿易経済協力局 安全保障政策課 制度審議室長
2021年7月 中小企業庁 事業環境部 企画課長
2022年7月 中小企業庁 事業環境部 取引課長
2025年7月 経済産業政策局 産業組織課長

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は33,000円(税込 ※)となっております。ただし、下記の方は会場受講は無料(WEBセミナーは16,500円(税込))となっております。
・IPO 実務検定会員の方
・財務報告実務検定会員の方
・宝印刷のe-Disclosure Club Premium会員の方
・宝印刷のEDINET NEWS 読者様

【WEBセミナー】
本セミナーは撮影され、セミナー開催日からおおむね1週間後に、オンデマンド型のWEBセミナーとしてご覧いただけます。会員の方は無料でご覧いただけます(WEBセミナーのお申し込み手続きは不要です)。

※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

会員登録はこちらから

会員でない方のお振込方法等の詳細はお申込みの受付けメール(下記の「お申込みはこちらから」のボタンをクリック後、お名前等をご入力いただいた後概ね1日以内に送信されるメール)にてご連絡いたします。
ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 循環経済(サーキュラーエコノミー)政策の最前線(14時30分~15時30分)
  • 第二部 『「稼ぐ力」のCGガイダンス』及び『「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則』について(15時40分~16時50分)
  • 【日時】2025年7月24日(木)14時30分~16時50分
  • 【会場】六本木ヒルズ森タワー23階 TMI総合法律事務所セミナールーム
  • 【受付】六本木ヒルズ森タワー23階 14時より
  • 【講師】第一部 環境省 大臣官房 会計課長(前 環境再生・資源循環局 総務課長)波戸本 尚 様
        第二部 経済産業省 経済産業政策局 産業組織課長 鮫島 大幸 様

  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は原則33,000円(税込)

2025/06/06 見直しを迫られる可能性が高い福利厚生のアイテム

上場企業の多くが賃上げに取り組んでいるが、物価上昇が賃上げ部分の相当程度を相殺してしまっているという実態がある。こうした中、・・・

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2025/06/06 見直しを迫られる可能性が高い福利厚生のアイテム(会員限定)

上場企業の多くが賃上げに取り組んでいるが、物価上昇が賃上げ部分の相当程度を相殺してしまっているという実態がある。こうした中、賃上げの促進とともに「実質的な手取り収入」を向上させるために政府が検討しているのが、「食事補助」と「マイカー通勤手当」の非課税枠の拡大だ。

企業が従業員の昼食代等を補助する「食事補助」、オフィスや工場が郊外にあることなどからマイカー通勤をせざるを得ない従業員に支給する「マイカー通勤手当」は福利厚生のアイテムとして広く普及してきた。この「食事補助」および「マイカー通勤手当」について自民党の政務調査会「新しい資本主義実行本部」は、2025年5月15日に公表した政策提言の中で、長年にわたって所得税の「非課税限度額」が見直されていない制度として取り上げ、非課税限度額の引き上げを政府に要請している(新しい資本主義実行本部 提言 7ページ参照)。


政務調査会 : 自民党としてどのような政策や法案を打ち出すかを取りまとめる自民党の政策部門。政務調査会で決定された政策は内閣に伝えられ、予算案に反映されることが多く、自民党が与党である限り、政府の政策立案に強い影響力を持つ。

まず現行の所得税上の取扱いを確認しておこう。「食事補助」については、①企業が供与する食事の価額の50%以上を従業員が自己負担する場合、または②月額3,500円以下の補助である場合には非課税とされている(所得税基本通達36-38、36-38の2)。このうち「3,500円基準」は1984年から実に40年以上も金額が据え置かれており、昨今の物価上昇や外食費の高騰に対応できていないと指摘されてきた。食事補助は社員食堂等での現物支給という形だけではなく、飲食店で利用可能な食事チケットを従業員に配布するチケット方式を採用している企業も多く、企業側からは非課税限度額の引き上げを求める声が上がっている。

マイカー通勤手当については、通勤距離に応じて「月額4,200円~31,600円」の非課税限度額(片道55km以上の場合は31,600円)が定められているが(所得税法9条第1項第5号、所得税法施行令20条の2第1項第2号)、この金額も2014年の見直し以降改定されておらず、ガソリン価格や維持費の上昇に実態が追いついていないとの指摘がある。

今般の自民党の提言は、これら制度について「省庁横断的かつ網羅的に点検し、定期的な見直しルールを整備すべき」と訴えている。当フォーラムの取材によると、今後、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針)や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年度改訂版」にも「食事補助」および「マイカー通勤手当」の非課税限度額引き上げが盛り込まれる方向であり、そうなれば、年末の令和8年度税制改正大綱とりまとめを見据えて、見直しに向けた議論が進められることになる。そこでは、物価水準等を勘案した具体的な引き上げ幅等が焦点となるが、自民党の提言では、「長年にわたって見直しが行われない状況が二度と生じないよう、制度の特性に応じた定期的な改定ルールを設け、足元の物価上昇に的確に対応できるような仕組みづくりを実施」するとされていることから、今後定期的に非課税限度額を見直すための枠組みが議論される可能性もある。


税制改正大綱 : 税制改正は毎年1回行われるのが通常だが、翌年度の税制改正の内容を大まかにとりまとめたものが税制改正大綱であり、毎年12月中旬頃に政府(与党)から公表される。

非課税限度額が引き上げられれば、それに対応して企業側も「食事補助」「マイカー通勤手当」の金額の引き上げを迫られることが予想される。その結果、従業員満足度は向上する一方で、特に社員の多い企業ではそれなりの(しかも継続的な)出費となる点も想定しておく必要があろう。

2025/06/05 サステナビリティに関する「リスク及び機会」とは?

サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は今年(2025年)3月5日にサステナビリティ開示基準を公表しているが(2025年2月25日のニュース「サステナビリティ開示基準が決定、公開草案からの変更点は?」参照)、サステナビリティ開示基準が情報提供を求めているのが、企業の見通し(キャッシュ・フロー、資本コストなど)に影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の「リスク及び機会」だ。ただ、サステナビリティ開示基準には、サステナビリティ関連の「リスク及び機会」を直接的に定義した規定は存在しない。果たして、サステナビリティ関連の「リスク及び機会」とは具体的に何を意味するのだろうか。


資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

一般的に「リスク」とは、特定の出来事や状況が発生し、それが企業の経営成績等に“悪影響”を及ぼす可能性を指す一方、「機会」とは、特定の出来事や状況が発生し、それが企業の経営成績等に“有利”に働く可能性を指す。いずれも“不確実性”に関連しているため、「リスク及び機会」を適切に識別し、管理することは企業のサステナビリティに寄与することになる。上述のとおりサステナビリティ開示基準ではサステナビリティ関連の「リスク及び機会」を直接的に定義していないが、サステナビリティの文脈で定義するならば、・・・

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2025/06/05 サステナビリティに関する「リスク及び機会」とは?(会員限定)

サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は今年(2025年)3月5日にサステナビリティ開示基準を公表しているが(2025年2月25日のニュース「サステナビリティ開示基準が決定、公開草案からの変更点は?」参照)、サステナビリティ開示基準が情報提供を求めているのが、企業の見通し(キャッシュ・フロー、資本コストなど)に影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の「リスク及び機会」だ。ただ、サステナビリティ開示基準には、サステナビリティ関連の「リスク及び機会」を直接的に定義した規定は存在しない。果たして、サステナビリティ関連の「リスク及び機会」とは具体的に何を意味するのだろうか。


資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

一般的に「リスク」とは、特定の出来事や状況が発生し、それが企業の経営成績等に“悪影響”を及ぼす可能性を指す一方、「機会」とは、特定の出来事や状況が発生し、それが企業の経営成績等に“有利”に働く可能性を指す。いずれも“不確実性”に関連しているため、「リスク及び機会」を適切に識別し、管理することは企業のサステナビリティに寄与することになる。上述のとおりサステナビリティ開示基準ではサステナビリティ関連の「リスク及び機会」を直接的に定義していないが、サステナビリティの文脈で定義するならば、「『企業」と、当該企業のバリュー・チェーンを通じた『企業の利害関係者、社会、経済、自然環境』との間の相互作用から生じるもの」ということになろう。すなわち、企業がキャッシュ・フローを生み出すためにバリュー・チェーンを通じて資源及び関係に依存し、逆に、企業の活動や活動の結果として生じるアウトプットが企業の依存する資源及び関係にインパクトを与えるという相互関係の中で、サステナビリティ関連の「リスク及び機会」は生じることになる。これを図で示せば下記のとおりとなる。


資源 : 例えば、森林、河川、大気、鉱物、土壌といった自然環境から得られる資源やサービスである「自然資本」、製品やサービスを作り出すために活用される工場の設備や生産ライン、物流システムといった「製造資本」のほか、「知的財産」に関するものがある。
関係 : 例えば、従業員との関係や、サプライヤー、顧客との関係がある。

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例えば、企業が何ら対策をとらずに大量のCO2を排出し続ければ、気候変動に拍車をかけるというマイナスのインパクトを自然環境に与える同時に、再生可能エネルギーへの移行を目指す法令により企業の経費が増加するという財務的な「リスク」を被る可能性が高まる。また、企業の生産活動が特定の天然資源に依存している場合、企業はその価格、質、採掘活動にインパクトを与える一方、その資源の劣化や枯渇は事業の継続性を脅かすとともにビジネスモデルや戦略の変更を迫り、結果として企業の経営成績等にマイナスの影響を与える「リスク」がある。一方、天然資源の再生や保全の技術の開発は、企業の活動にプラスの「機会」を与えることになる。

また、企業が事業を営むうえで高度で専門的な技能を持った労働力が必要となる場合、企業の将来は人的資本の維持や能力開発に依存することになる。具体的には、企業による従業員の能力開発、労働安全性や満足度を向上させる取り組みにより左右され、それらの取り組みを怠ると、企業の評判が低下し、優秀な人材を獲得できず、企業の将来の経営成績等に重要な「リスク」が生じることになる。その反面、研修制度や福利厚生の充実は優秀な人材の獲得や維持といった「機会」をもたらすことになる。

このように、「リスク及び機会」は企業の経営成績や戦略に大きな影響を与える可能性がある。上場企業の経営陣としては、サステナビリティ関連の「リスク及び機会」を単なる開示要請上の要素と捉えるのではなく、経営上識別すべき重要な要素と捉え、日常的にモニタリングし、適切に管理する必要がある。

2025/06/04 東証要請への非対応企業が抱えるリスク

近年、資本効率が投資家の大きな関心事となる中、3月決算企業の2025年株主総会では「資本コスト」に関連する株主提案が相次いでいる。


資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

“資本コスト元年”と言われる2024年は、東京証券取引所が2023年3月にプライムおよびスタンダード市場上場企業に向け「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」(以下、東証要請)を公表したことを契機に、企業、投資家ともに資本効率や株価水準への意識を一段と高める年となった。この傾向は今年(2025年)も続いており、「資本コスト」は投資家と上場企業の対話における最重要論点の一つとして定着した感がある。

当フォーラムが、東京証券取引所に上場する3月決算企業のうち株主提案を受けた企業を対象として、提案理由に「資本コスト」という文言が含まれているかどうかを調査したところ、・・・

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