相談役・顧問の業務内容等をコーポレート・ガバナンスに関する報告書(以下、CG報告書)で開示するルールが本年(2018年)1月1日からスタートした(開示ルールが導入されることとなった経緯や開示ルールの内容は、2017年6月14日掲載の「相談役・顧問への風当たり強く・・・業務内容等の開示制度導入へ」、2017年8月2日掲載の「CG報告書での相談役・顧問の実態開示、報酬は総額開示でOK」、2017年8月24日掲載の「代表取締役社長が相談役・顧問等に就任でも開示対象外となるケース」参照)。多くの上場会社にとって仕事始めとなった1月4日には早速3社が、5日には1社がこの新たなルールを踏まえて相談役・顧問制度について開示を行っている。4日に全上場会社のトップを切って開示を行ったのが三栄コーポレーション(証券コード:8119)、カワニシホールディングス(同2689)、みずほフィナンシャルグループ(同8411)、5日に開示を行ったのが日本航空(同9201)である。
CG報告書の更新は、「定時株主総会終了後遅滞なく」行えば足りるため(ちなにみ、6月決算のカワニシホールディングス以外の3社はすべて3月決算)、大半の上場会社は定時株主総会終了後に相談役・顧問制度について開示を行うことになるとみられるが、こうした会社にとって今回のような先行事例は参考になるはずだ。
以下、順に開示内容を見て行こう。
三栄コーポレーションは、相談役・顧問制度はあるものの、開示対象となる元代表取締役社長等である相談役・顧問等の該当者はいないことを開示している。また、代表取締役社長等を退任した者が相談役あるいは顧問に就任する場合でも、経営全般には一切関与しないことを付言している。
三栄コーポレーションCG報告書(2018年1月4日更新)

カワニシホールディングスは、元代表取締役社長等である相談役・顧問等が1名おり、その業務内容、勤務形態・条件、社長等退任日、任期、選任方法について開示している。
カワニシホールディングス(2018年1月4日更新)

みずほフィナンシャルグループは、既に当フォーラムでも報じたとおり(2017年10月26日掲載の「みずほフィナンシャルグループが顧問制度について開示」参照)、昨年(2017年)10月16日付で顧問制度について“任意開示”済であり、今回はその開示内容をCG報告書に反映した形となっている。
みずほフィナンシャルグループCG報告書(2018年1月4日更新)


また、みずほフィナンシャルグループは同日付で自社の「コーポレート・ガバナンスガイドライン」も改定し、下記のとおり顧問の選任・役割、顧問制度の運営について明記している(9ページ第33条参照)。なお、顧問の選任・役割、顧問制度の運営についてコーポレート・ガバナンスガイドラインに記載している旨は、上記CG報告書の中でも言及されている(2の「 なお・・・」以降参照)。
みずほフィナンシャルグループ「コーポレート・ガバナンスガイドライン」(2018年1月4日改定)
第Ⅵ章 当社の顧問制度 (顧問の選任・役割、顧問制度の運営)
第33条 当社は、当社執行役社長経験者等を、常任顧問および名誉顧問(あわせて「顧問」という)に選任することができる。
2. 顧問は、当社および当社グループの社会的責任を果たすとともに、その発展に貢献するべく、経済団体活動や社会貢献活動等を担う。
3. 顧問は、当社および当社グループの経営には関与しない。
4. 顧問制度の制定および改廃、顧問の選任および解任、報酬等は、前二項を踏まえ、執行役社長が決定する。
5. 顧問制度の制定および改廃、顧問の活動状況等は人事検討会議へ、顧問の選任および解任等は指名委員会へ、顧問の報酬は報酬委員会へ報告する。
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上記3社に続き1月5日に相談役・顧問制度について開示を行った日本航空は、同社が2010年1月に会社更生法の適用を申請し事実上倒産した際に同社会長を務めた稲森和夫氏が非常勤・無報酬の名誉顧問に就いていることを開示している。
日本航空CG報告書(2017年1月5日更新)

12月決算の上場会社が定時株主総会を開催する3月以降には多くの開示事例が出揃うとともに、マスコミの報道も活発化するだろう。定時株主総会では相談役・顧問制度に関する質問も予想される。例年どおり株主総会がピークを迎える6月の定時株主総会後の開示を予定する3月決算会社などは、今回紹介したような先行開示事例や先に定時株主総会を迎える12月決算会社等の事例も参考にしながら、早目に相談役・顧問制度の内容や運営方法等について整理しておきたいところだ。