2016/10/14 【ケーススタディミニテスト】監査法人を変更したい 第1問解答画面(不正解)

不正解です。
大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社。会社法2条6号)は、会計監査人を必ず設置しなければなりません。上場廃止になっても、大会社である限り、会計監査人の設置が不要になることはありません。

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2016/10/14 【ケーススタディミニテスト】監査法人を変更したい 第1問解答画面(正解)

正解です。
大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社。会社法2条6号)は、会計監査人を必ず設置しなければなりません。上場廃止になっても、大会社である限り、会計監査人の設置が不要になることはありません。

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2016/10/13 統合報告書を作成する企業が増加、日経225銘柄の半数超に

今年も各社の統合報告書がほぼ出そろった。企業価値レポーティング・ラボの調査によると、今年統合報告書を発行した企業(監査法人など上場企業以外の主体も一部含まれる)は266社(2016年10月現在)で、日経225銘柄では半数を超える116社(52%)におよんだ。いずれも昨年(2015年)の数字(企業全体では205社、日経225銘柄では90社(40%))を大きく上回っている。2016年から新たに統合報告書の発行を開始した企業としては、味の素、日立製作所、セブン&アイ・ホールディングスなどがある。また、トヨタ自動車もタイトルこそ「統合報告書」ではないものの、統合報告のコンセプトを取り入れた「Sustainable Management Report」というレポートを今年初めて発行している。ちなみに、3月決算企業各社の統合報告書の発行が例年この時期(7月末~8月末が多く、9月末までにはおおよそ出揃う。英文版は和文版の1か月遅れとなることも多い)になるのは、第2四半期(6~9月)後の海外IRや日経アニュアルリポートアウォード(今年の締切りは10月3日)にタイミングを合わせたいといった理由によることが多い。また、株主総会に合わせると、年度末決算情報や新任役員インタビュー等を盛り込むのにかなりタイトなスケジュールになってしまうという事情もあろう。ただし、なかには日本郵船のように総会前に発行する企業もある。

統合報告書 : 統合報告とは「企業の持続的な成長を伝えるプロセス」であり、統合報告書は統合報告の成果物(アウトプット)を指す。IIRC(International Integrated Reporting Council=国際統合報告評議会)が2013年12月に公表した「国際統合報告フレームワーク」では、統合報告を「企業がどのように持続的な成長を実現しようとしているのかについて報告するもの」と定義している。具体的には、ビジネス上の様々な問題にどう対処するのか、自社の将来性をどうとらえているのか、中長期的な経営戦略をどう描くのか、どのように長期的な企業価値を作り出そうとしているのか、といった内容の報告であり、そこには「非財務情報」が多数含まれる。

統合報告書を発行する上場企業数は、2014年12月にIIRC(国際統合報告評議会= International Integrated Reporting Council)から国際的な統合報告フレームワークが公表されて以来増加傾向にあるが、今年その数が大きく伸びた背景には、やはり・・・

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IIRC : 国際的に合意された統合報告のフレームワークを構築するため、2010年8月に設立された英国を拠点とする民間の非営利法人。規制当局、投資家、企業、会計の専門家、NGOにより構成される国際的な連合組織である。また、IFAC(国際会計士連盟)、IASB(国際会計基準審議会)などとも協力関係にある。

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2016/10/13 統合報告書を作成する企業が増加、日経225銘柄の半数超に(会員限定)

今年も各社の統合報告書がほぼ出そろった。企業価値レポーティング・ラボの調査によると、今年統合報告書を発行した企業(監査法人など上場企業以外の主体も一部含まれる)は266社(2016年10月現在)で、日経225銘柄では半数を超える116社(52%)におよんだ。いずれも昨年(2015年)の数字(企業全体では205社、日経225銘柄では90社(40%))を大きく上回っている。2016年から新たに統合報告書の発行を開始した企業としては、味の素、日立製作所、セブン&アイ・ホールディングスなどがある。また、トヨタ自動車もタイトルこそ「統合報告書」ではないものの、統合報告のコンセプトを取り入れた「Sustainable Management Report」というレポートを今年初めて発行している。ちなみに、3月決算企業各社の統合報告書の発行が例年この時期(7月末~8月末が多く、9月末までにはおおよそ出揃う。英文版は和文版の1か月遅れとなることも多い)になるのは、第2四半期(6~9月)後の海外IRや日経アニュアルリポートアウォード(今年の締切りは10月3日)にタイミングを合わせたいといった理由によることが多い。また、株主総会に合わせると、年度末決算情報や新任役員インタビュー等を盛り込むのにかなりタイトなスケジュールになってしまうという事情もあろう。ただし、なかには日本郵船のように総会前に発行する企業もある。

統合報告書 : 統合報告とは「企業の持続的な成長を伝えるプロセス」であり、統合報告書は統合報告の成果物(アウトプット)を指す。IIRC(International Integrated Reporting Council=国際統合報告評議会)が2013年12月に公表した「国際統合報告フレームワーク」では、統合報告を「企業がどのように持続的な成長を実現しようとしているのかについて報告するもの」と定義している。具体的には、ビジネス上の様々な問題にどう対処するのか、自社の将来性をどうとらえているのか、中長期的な経営戦略をどう描くのか、どのように長期的な企業価値を作り出そうとしているのか、といった内容の報告であり、そこには「非財務情報」が多数含まれる。

統合報告書を発行する企業数は、2014年12月にIIRC(国際統合報告評議会= International Integrated Reporting Council)から国際的な統合報告フレームワークが公表されて以来増加傾向にあるが、今年その数が大きく伸びた背景には、やはりコーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードが求める企業と投資家の対話(エンゲージメント)のツールとして、統合報告書の有用性が認識されたということがあろう。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、統合報告書をエンゲージメントツールとして活用するよう運用機関に要請している。

IIRC : 国際的に合意された統合報告のフレームワークを構築するため、2010年8月に設立された英国を拠点とする民間の非営利法人。規制当局、投資家、企業、会計の専門家、NGOにより構成される国際的な連合組織である。また、IFAC(国際会計士連盟)、IASB(国際会計基準審議会)などとも協力関係にある。
GPIF : 厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う厚生労働省所管の独立行政法人。運用資産の規模が100兆円を優に超える世界最大の機関投資家である。

統合報告書というと、かつては「一部の大企業が作成するもの」というイメージがあったが、最近は中堅上場企業や上場を目指す企業の中にも統合報告書を作成するところが増えている。企業の開示情報が、様々なステークホルダーからの開示要請を受けて年々詳細かつ複雑になる中(この点は、IIRCが統合報告フレームワークを策定する際の議論の中でも、“企業報告に対する最も大きな懸念”の一つとして投資家から指摘されていた)、従来のようにアニュアルレポートやサステナビリティレポートなどを個別に作成するのではなく、簡潔かつ俯瞰的に企業の全体像を知ることができるツールである統合報告書を最初から作成しようという中堅企業は少なくない。

また、統合報告書には、投資家など“外向け”の対話だけでなく、社内のコミュニケーションのツールとしても活用できるというメリットもある。これは、統合報告には企業のあらゆる情報が盛り込まれるため、複数部門が作成に関わる必要があるからだ。統合報告書の作成プロセスの中で部門横断的なコミュニケーションが活性化することはもちろん、出来上がった統合報告書が経営層と現場の意思疎通に使われる事例もある。これも、統合報告書を作成する企業が増加している理由の一つだろう。

アニュアルレポートやサステナビリティレポートはこれまで、「読まれていない」と揶揄されることも少なくなかった。しかし、統合報告書を作成する企業が増加するにつれ、金融関係者が活用し始めただけでなく、企業側も「読まれる努力」をするようになってきた。例えば丸井グループのように「統合報告書説明会」を実施する企業も出てきている。統合報告書は、単に作成するだけでなく、活用されるステージに移行しつつあると言えそうだ。

2016/10/12 一部新聞で誤報も・・・手形割引料を下請事業者に負担させることの是非

最近、安倍首相が「下請取引の条件改善に全力で取り組む」旨の発言をしている。下請事業者との取引を抱える上場企業の役員としては、自社への影響が気になるところだろう。

親事業者と下請事業者の取引に関するルールとして「下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)」があるが、今回論点の1つとなっているのが、「手形割引料」をどちら(親事業者or下請事業者)が負担するのかという点だ。

親事業者 : 親事業者の定義は取引内容や資本金の額によって異なる。例えば、資本金3億円超の会社が物品の製造を発注する場合、受注者が資本金3億円以下(個人も含む)であれば、発注者は親事業者として扱われる。また、資本金1千万円超3億円以下の会社が物品の製造を発注する場合、受注者が資本金1千万円以下(個人を含む)であれば、発注者は親事業者として扱われる。

下請法では、下請代金の支払期日は、「親事業者が下請事業者から給付を受領した日から起算して60日の期間内」において、かつ「出来る限り短い期間内」に定められなければならない、とされている(下請法2条の2)。代金を支払う手段は「現金」または「振込み」が原則だが、「割引を受けることが困難でない」という条件付きで「手形」による支払いも許容されている(下請法4条2項2号)。ここでいう「手形が割引困難かどうか」の基準として、公正取引委員会および中小企業庁は、当該手形のサイトが120日(繊維製品に係る下請取引の場合は90日。以下、同じ)超かどうか、ということを掲げている。手形のサイトが120日を超えると、一般の金融機関で割引を受けることは困難であるため、下請事業者が資金繰りに困ってしまうからだ。この手形サイトの“120日ルール”は、1966年に公正取引委員会と中小企業庁が定めた親事業者に指導を行う際の運用ルール「下請代金の支払手形のサイト短縮について」を根拠としている。古いルールではあるが、最近、支払手形に代わって増加している電子記録債権についても、それを下請代金の支払手段として認めるかどうかは、手形と同様に120日超のサイトかどうかがボーダーラインとなっている(公正取引委員会「電子記録債権が下請代金の支払手段として用いられる場合の指導方針」参照)。

割引 : 手形を、支払期日までに売却して、現金化すること
手形のサイト : 手形の振出日から現金化されるまでの期間のこと。

もっとも、サイトが120日以内の手形を受け取ったとしても、資金繰りの観点から、手形を120日間保有し続けずに(途中で)金融機関で割引(手形の売却)を受ける下請事業者は少なくない。この場合、手形割引時に金融機関に支払う割引料は、下請事業者が負担するのが通常だ。ただ、これを親事業者側から見ると、代金の支払いは120日後であることには変わりはないため(手形割引時に下請事業者に(割引後の)代金を支払うのは金融機関)、実質的には、親事業者は下請事業者の割引料負担の下、120日間支払いを免れ、その間、代金相当額の資金を運用できている格好となる。こうした状況に対しては、当然ながら下請事業者から不満の声が上がっていたところ。特に下請事業者は原材料等の仕入れを現金で行うケースが多く、人件費などの支払いも代金の受領に先行することから、受け取った手形のサイトが長期であれば資金繰りに苦慮することになるため、割引料を負担してでも代金を早期に得なければならないという実態がある。

割引料 : 金利に相当するもの。ただし、会計上は、手形売却の対価と考え、手形売却損として扱われる。

こうした中、政府官邸は「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」を設置、この問題について調査・議論を進めてきた。そして2016年8月19日に「今後の取引条件の改善対策について」がまとめられ、「現金払いを基本とし、支払手段によって下請事業者が受け取る実質的な下請代金に差が生じないよう、現金化にかかるコスト(割引手数料等)の負担について、双方で十分に協議することを促す方策を検討する」との方針が示されている。その理由として、「一般に、親事業者の方が企業信用が高く、また取引先金融機関の資金調達コストが低いため、資金調達や現金化に係るコストが低くなる傾向にある。このため、現金化コストを親事業者負担とすることで、サプライチェーン全体のコスト低下につながる可能性がある」ことが挙げられている。

これを受け経済産業省は「未来志向型の取引慣行に向けて」と題する下請事業者への支払条件の改善方針を先月(2016年9月)打ち出している。これについて一部の新聞では、あたかも下請法を改正したうえで、上述した割引困難手形に関する運用ルールである“120日ルール”を「60日」に短縮し、さらに、親事業者に割引手数料の負担を求めるよう公正取引委員会が通達が改正するかのような報道がある。しかし、当フォーラムの取材によると、・・・

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2016/10/12 一部新聞で誤報も・・・手形割引料を下請事業者に負担させることの是非(会員限定)

最近、安倍首相が「下請取引の条件改善に全力で取り組む」旨の発言をしている。下請事業者との取引を抱える上場企業の役員としては、自社への影響が気になるところだろう。

親事業者と下請事業者の取引に関するルールとして「下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)」があるが、今回論点の1つとなっているのが、「手形割引料」をどちら(親事業者or下請事業者)が負担するのかという点だ。

親事業者 : 親事業者の定義は取引内容や資本金の額によって異なる。例えば、資本金3億円超の会社が物品の製造を発注する場合、受注者が資本金3億円以下(個人も含む)であれば、発注者は親事業者として扱われる。また、資本金1千万円超3億円以下の会社が物品の製造を発注する場合、受注者が資本金1千万円以下(個人を含む)であれば、発注者は親事業者として扱われる。

下請法では、下請代金の支払期日は、「親事業者が下請事業者から給付を受領した日から起算して60日の期間内」において、かつ「出来る限り短い期間内」に定められなければならない、とされている(下請法2条の2)。代金を支払う手段は「現金」または「振込み」が原則だが、「割引を受けることが困難でない」という条件付きで「手形」による支払いも許容されている(下請法4条2項2号)。ここでいう「手形が割引困難かどうか」の基準として、公正取引委員会および中小企業庁は、当該手形のサイトが120日(繊維製品に係る下請取引の場合は90日。以下、同じ)超かどうか、ということを掲げている。手形のサイトが120日を超えると、一般の金融機関で割引を受けることは困難であるため、下請事業者が資金繰りに困ってしまうからだ。この手形サイトの“120日ルール”は、1966年に公正取引委員会と中小企業庁が定めた親事業者に指導を行う際の運用ルール「下請代金の支払手形のサイト短縮について」を根拠としている。古いルールではあるが、最近、支払手形に代わって増加している電子記録債権についても、それを下請代金の支払手段として認めるかどうかは、手形と同様に120日超のサイトかどうかがボーダーラインとなっている(公正取引委員会「電子記録債権が下請代金の支払手段として用いられる場合の指導方針」参照)。

割引 : 手形を、支払期日までに売却して、現金化すること
手形のサイト : 手形の振出日から現金化されるまでの期間のこと。

もっとも、サイトが120日以内の手形を受け取ったとしても、資金繰りの観点から、手形を120日間保有し続けずに(途中で)金融機関で割引(手形の売却)を受ける下請事業者は少なくない。この場合、手形割引時に金融機関に支払う割引料は、下請事業者が負担するのが通常だ。ただ、これを親事業者側から見ると、代金の支払いは120日後であることには変わりはないため(手形割引時に下請事業者に(割引後の)代金を支払うのは金融機関)、実質的には、親事業者は下請事業者の割引料負担の下、120日間支払いを免れ、その間、代金相当額の資金を運用できている格好となる。こうした状況に対しては、当然ながら下請事業者から不満の声が上がっていたところ。特に下請事業者は原材料等の仕入れを現金で行うケースが多く、人件費などの支払いも代金の受領に先行することから、受け取った手形のサイトが長期であれば資金繰りに苦慮することになるため、割引料を負担してでも代金を早期に得なければならないという実態がある。

割引料 : 金利に相当するもの。ただし、会計上は、手形売却の対価と考え、手形売却損として扱われる。

こうした中、政府官邸は「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」を設置、この問題について調査・議論を進めてきた。そして2016年8月19日に「今後の取引条件の改善対策について」がまとめられ、「現金払いを基本とし、支払手段によって下請事業者が受け取る実質的な下請代金に差が生じないよう、現金化にかかるコスト(割引手数料等)の負担について、双方で十分に協議することを促す方策を検討する」との方針が示されている。その理由として、「一般に、親事業者の方が企業信用が高く、また取引先金融機関の資金調達コストが低いため、資金調達や現金化に係るコストが低くなる傾向にある。このため、現金化コストを親事業者負担とすることで、サプライチェーン全体のコスト低下につながる可能性がある」ことが挙げられている。

これを受け経済産業省は「未来志向型の取引慣行に向けて」(いわゆる「世耕プラン」)と題する下請事業者への支払条件の改善方針を先月(2016年9月)打ち出している。これについて一部の新聞では、あたかも下請法を改正したうえで、上述した割引困難手形に関する運用ルールである“120日ルール”を「60日」に短縮し、さらに、親事業者に割引手数料の負担を求めるよう公正取引委員会が通達が改正するかのような報道がある。しかし、当フォーラムの取材によると、これらの情報は誤報であることが判明しているので注意したい。まず、政府には法律そのものを改正して下請事業者への手形支払いに関する規制を強化する意図はなく、あくまで通達レベルの改正を行おうとしているに過ぎない。そして、「60日」はあくまで親事業者が目指すべき目標であり、サイトが「60日」を超えているからと言って即「割引困難手形」として扱う趣旨の通達改正を行う意図もない。また、割引手数料の親事業者負担についても、親事業者と下請事業者との間で双方協議することを慫慂するのみにとどまる方向だ。政府内では改正通達を年内に公表できるよう調整中だが、親事業者としては、自社のコストが増大したり、今すぐ何か対応しなければ法令違反になったりするわけではないので、ひとまず安心と言えよう。

慫慂 : 促すこと。「しょうよう」と読む。

もっとも、上場会社の経営陣としては、“木を見て森を見ず”にならないよう、「自社のコスト」とは別に「サプライチェーン全体のコスト」という視点も忘れてはならない。上述した「信用力が高い親事業者が現金化コストを負担することで、サプライチェーン全体のコストを下げることができる」との指摘は正論であり、傾聴に値する。手形払い時に親事業者が割引料を負担する策や手形払いを廃止して現金払いに切り替える策は、自社のコスト(資金調達コスト)が一時的に増加したとしても、長期的には下請事業者におけるコストの低下(割引料の負担回避)が(親事業者の)仕入価格の低下に跳ね返ってくる可能性が高いため、検討の価値“大”と言えよう。

2016/10/11 米国で“SASB”の開示義務化も 日本への影響は?

英国に倣ったコーポレートガバナンス・コードへの初期対応は一段落した感があるが、今度は米国から新たな“波”が押し寄せるかもしれない。

日本でも、機関投資家等が投資先の選定にあたり企業のE(Environment=環境)、S(Social=社会)、G(Governance=ガバナンス)への対応を考慮する「ESG投資」への注目が高まりつつあるが、米国では、ESGに関する開示基準を制度化することが検討されている。この動きのイニシアティブをとっているのが、2012年に設立された米国サステナビリティ会計基準審議会(Sustainability Accounting Standards Board=SASB)という団体だ。「FASB(財務会計基準審議会(ファスビー)」の“サステナビリティ版”と言わるSASB(サスビー)は、企業が開示すべき非財務情報(その意味では、SASBにおける「Accounting」は「会計」よりも「説明」という意味に近い)を業種ごとに公表しており、制度開示書類の中でこれらの開示を義務付けることをSEC(米国証券取引委員会)と協議している。

元々、米国企業の情報開示は、アクティビストへの警戒感や、訴訟社会という米国独自の事情も手伝い、一部企業を除き十分とは言えない。「必要最小限のことしか言わない」というのが基本的なスタンスであり、IRも日本企業より控え目というのが実情だ。こうした事情に加え、サステナビリティ・レポート自体はこれまでも出してきていることから(すなわち、ゼロから作成を求めるわけではない)、SASBの開示義務付けが実現する可能性は十分にある。SECがSASBを採用したとなれば、日本でもいずれ同様の展開が起こることも考えられる。

実際、既に日本にはその素地がある。まず・・・

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2016/10/11 米国で“SASB”の開示義務化も 日本への影響は?(会員限定)

英国に倣ったコーポレートガバナンス・コードへの初期対応は一段落した感があるが、今度は米国から新たな“波”が押し寄せるかもしれない。

日本でも、機関投資家等が投資先の選定にあたり企業のE(Environment=環境)、S(Social=社会)、G(Governance=ガバナンス)への対応を考慮する「ESG投資」への注目が高まりつつあるが、米国では、ESGに関する開示基準を制度化することが検討されている。この動きのイニシアティブをとっているのが、2012年に設立された米国サステナビリティ会計基準審議会(Sustainability Accounting Standards Board=SASB)という団体だ。「FASB(財務会計基準審議会(ファスビー)」の“サステナビリティ版”と言わるSASB(サスビー)は、企業が開示すべき非財務情報(その意味では、SASBにおける「Accounting」は「会計」よりも「説明」という意味に近い)を業種ごとに公表しており、制度開示書類の中でこれらの開示を義務付けることをSEC(米国証券取引委員会)と協議している。

元々、米国企業の情報開示は、アクティビストへの警戒感や、訴訟社会という米国独自の事情も手伝い、一部企業を除き十分とは言えない。「必要最小限のことしか言わない」というのが基本的なスタンスであり、IRも日本企業より控え目というのが実情だ。こうした事情に加え、サステナビリティ・レポート自体はこれまでも出してきていることから(すなわち、ゼロから作成を求めるわけではない)、SASBの開示義務付けが実現する可能性は十分にある。SECがSASBを採用したとなれば、日本でもいずれ同様の展開が起こることも考えられる。

実際、既に日本にはその素地がある。まずESG開示基準のうち「G」については、コーポレートガバナンス・コードが導入されている。残るは「E」と「S」だが、このうちEについては現在環境省が「環境情報開示基盤整備事業」の一環で開示基準を作成している。一方、「S」についてはまだ体系的な動きはないが、政府が進める女性活躍やダイバーシティの推進(2016年9月5日のニュース「ダイバーシティ1.0と2.0の違い」参照)などは、将来的に「S」に関する開示基準の策定につながる可能性がある。

現在でも、IIRC(国際統合報告評議会=International Integrated Reporting Council)の基準にのっとってESG情報を統合報告書に記載している企業は少なくないが、IIRCの基準は原則主義(プリンシプルベース)であり、表現は企業の自由であるため、内容や詳しさのレベルは企業によって大分異なる。英国由来のIIRCに対し、SASBは米国的な「ルール」であるため、何を書くべきかが厳密に規定されている。具体的には、SASBはセクターごとに分かれており、その数は80業種、分量はトータルで2,400ページにも及ぶ。投資家目線に立てば、情報の比較可能性という点で、SASBの方がはるかに優位という見方もできる(ただし、IIRCの方がより自由度が高いゆえに、例えば企業の「バリュー・クリエーション(価値創造)」といった点についてはフレキシブルに書けるというメリットはある)。

IIRC : 国際的に合意された統合報告のフレームワークを構築するため、2010年8月に設立された英国を拠点とする民間の非営利法人。規制当局、投資家、企業、会計の専門家、NGOにより構成される国際的な連合組織である。また、IFAC(国際会計士連盟)、IASB(国際会計基準審議会)などとも協力関係にある。

SASBの「ルール主義」は、コーポレートガバナンス・コードの「コンプライ・オア・エクスプレイン」とは矛盾することになるが、日本企業の中には、「ルールを明確に定めてもらった方がやりやすい」という意見があるのも事実。「する」か「しない」かを企業の中で忖度するのは手間がかかり、またその判断には経営責任も伴うからだ。まだ仮定の話ではあるが、もし“日本版SASB”が導入されることになれば、コーポレートガバナンス・コードより厳密な「ルール化」もあり得ない話ではない。

SECの制度開示書類の中でSASBの開示を義務付けるかどうかは、早ければ年内にも方向性が見えてくる可能性がある。今後日本にも大きなインパクトを与えかねない米国における議論の動向を十分注視したい。

2016/10/10 【ケーススタディミニテスト】社外取締役を選任したい(会員限定)

【問題1】

監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行すれば、移行前の社外監査役を社外取締役にスライドできる。


正しい
間違い
【問題2】

自社の「親会社」の取締役は社外取締役にはなれないが、「兄弟会社」の取締役は社外取締役になれる。


正しい
間違い
【問題3】

会社法上の「社外取締役」の要件を満たす者は、全員が上場規則上の「独立社外取締役」の要件も満たす。


正しい
間違い
【問題4】

監査等委員会設置会社でも監査役を設置できる。


正しい
間違い
【問題5】

社外取締役は、社内取締役と同様、善管注意義務・忠実義務を課されるとともに、業務執行もできる。


正しい
間違い

2016/10/10 【ケーススタディミニテスト】社外取締役を選任したい 第5問解答画面(不正解)

不正解です。
社外取締役は善管注意義務・忠実義務を課される点は社内取締役と同様です。しかし、社外取締役は社内取締役と異なり、業務執行はできません。社外取締役が業務執行をできないのは、元々社外取締役は「社内出身の取締役を牽制する」という意図で導入されるようになった経緯に由来します。社外取締役に期待されているのは、あくまで「監督者」としての役割ということになります。以上より、問題文は「社外取締役は・・・業務執行もできる」とする点が誤りです。

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