2016/06/30 【役員会 Good&Bad発言集】適正在庫

消費財メーカー(3月決算)の甲社の取締役会において、次のような会話が交わされました。取締役A・B・Cの発言のうち、誰の発言がgood発言でしょうか?

販売担当取締役A:「この製品Xは、季節によって需要が変動し、春から夏にかけてよく売れます。」

社外取締役B:「それにもかかわらず、3月末にXの在庫がほとんどないのはなぜでしょうか。」

販売担当取締役A:「我が社の決算日である3月末時点で在庫を持ち過ぎてしまうと、B/Sの在庫金額が膨らんでしまいます。我が社では在庫金額の圧縮が経営課題になっており、3月末と四半期末は在庫を抑えなければなりません。製品Xも例外ではありません。」

社外取締役B:「3月末は製造委託先でもXの在庫を持たないようにしているのですか?」

製造担当取締役C:「はい、製造委託先にもXの在庫はありません。ちなみに、我が社がXの製造を委託しているのはグループ外の乙社です。乙社には、Xだけでなく、ロットの小さいYやZなどの多数の製品の製造を委託しています。乙社は保管スペースが十分ではないので、乙社が製造したものはその日のうちに我が社の倉庫に搬入されます。期末日の在庫を圧縮するため、乙社には4月になってから製造を始めるよう指示しています。」

社外取締役B:「しかし、それでは春から夏にかけての需要拡大に応えきれず、欠品が生じるリスクがあるのではないでしょうか。」

販売担当取締役A:「確かに、以前、Xを欠品させてしまったことが何度かあります。しかし、3月末の在庫を圧縮させる方が重要ではないでしょうか?」

社外取締役B:「在庫圧縮は期末日の一時点だけ考慮すればよいというものではなく、日々の問題ととらえるべきです。また、小売店の棚割りを維持するため、欠品だけは避けなければなりません。期末の一時点だけ在庫を圧縮させることに懸命になり、いざという時に欠品させてしまうようでは、安定供給というメーカーの責任を全うできていないと言われても致し方ありませんね。」

製造担当取締役C:「もちろん欠品しないように、生産計画を何度も変更して状況の変化に臨機応変に対応できるようにしています。乙社との間では我が社が毎月末までに翌月分を発注する契約になっているのですが、今月に入ってから既に5回も月次生産計画を変更しており、その都度乙社には柔軟に対応してもらっています。乙社は3月までの工場稼働率が芳しくなく、工員に自宅待機をしてもらうほどであったと聞いておりますが、4月以降は我が社の注文のおかげで工場もフル稼働となり、残業や休日出勤で対応してもらっています。」

以上の取締役A~Cの発言のうち、誰の発言がGOOD発言でしょうか?

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2016/06/30 【役員会 Good&Bad発言集】適正在庫(会員限定)

<解説>
「在庫イコール悪」の呪縛

キャッシュフロー経営の普及に伴い、在庫を抱えることに対するネガティブな価値観()が広く浸透した結果、在庫の圧縮を経営課題として取り組んでいる企業は少なくありません。在庫が多い企業は、倒産リスクの高まりを懸念した金融機関から在庫の内容について説明を求められるほか、在庫回転率の低下を嫌った投資家が株式を売却することで株価が低迷する可能性もあります。

 在庫はキャッシュが形を変えたものである以上、在庫が多い企業は、それだけキャッシュを眠らせてしまっている、すなわちキャッシュを有効活用できていない企業と否定的に評価される傾向にあります。また、キャッシュの有効活用ができていれば利益は増えていたはずなので、在庫を抱えることでROEを低下させてしまっているとの見方をされる可能性もあります。

ROE : Return On Equity(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本

期末日や四半期決算日といった特定時点だけの在庫の圧縮に注力したところで、決算日が過ぎてしばらくすると在庫がタブつきはじめるようでは、キャッシュの有効活用ができているとは言えません。そのような弥縫策は、金融機関が「期末日をまたぐ数日だけでいいから定期預金を作ってくれ」と企業に泣きつくのと本質的に同じです。在庫を圧縮するためには、日常的に無駄な在庫を持たないよう取り組まなければいけません。

弥縫策 : びぼうさく。その場を取り繕うこと。

ただ、在庫圧縮も度が過ぎると、別の問題を引き起こします。過少在庫の問題は、東日本大震災を契機にBCPの観点から改めて問題視されるようになりました(ケーススタディ「工場が被災した」を参照)。東日本大震災では、自社工場自体は被災を免れたものの、自社製品に組み込んでいる部品を製造している外注先が被災したことにより部品の供給がストップ、しかもその部品の手元在庫を十分に保有していなかったために製品を製造できなくなり、代替部品の手当におおわらわとなったメーカーが少なくありませんでした。特に汎用的な消費財メーカーや食品メーカーの場合、欠品を生じさせると、売上を失うだけでなく、小売店の棚をライバルメーカーに奪われてしまいます。また、小売店の特売企画に応じられないと、小売店からの信用も落としてしまうことでしょう。こうした中、最近はBCPの観点から少なすぎる在庫を改め、代替の利かない部品を中心に手厚く在庫を持つよう方針を改めるメーカーが増えています。

BCP : 災害や事故などの予期せぬ出来事が発生した際に、限られた経営資源で事業活動を継続あるいは短期間で再開するため、事前に策定しておく行動計画

しかし、震災の記憶の風化とともに、過少在庫の問題に目が向きにくくなっているのも事実です。そのため、依然として「在庫イコール悪」の呪縛から抜け出せずに、「在庫水準を抑える」→「在庫が足りなくなり、売上機会を喪失」→「あわてて増産」→「在庫が余る」→「生産調整」といった迷走をしてしまうメーカーが少なくありません。幸いにも、ゼロ金利政策により借入金の金利が低下しているため、借入金で在庫を持つことのリスクは低下しています。「在庫イコール悪」でなはく「“適正在庫からかい離する水準の在庫”イコール悪」というように考え方を改め、多過ぎでもなく少な過ぎでもない「適正な在庫量」はどの程度なのか、製品・部品・原材料ごとに検討しておくべきです(適正在庫についてはケーススタディ「在庫を適正水準に保ちたい」を参照)。

度重なる生産計画の変更で疲弊する下請け

少量多品種生産の場合、工場で製造する製品を変更する都度、段取り時間(機械の型替えや原材料の置き換え等)を確保しなければならず、段取り時間が増えた分だけ製造に費やせる時間が減ってしまいます。そこで、品種ごとの月間製造数量が確定した後は、型替えによる操業度の低下を最小限に抑えるような生産計画を策定するのが通常です。しかし月次生産計画が頻繁に変更されてしまうと、型替えが想定以上に増え、操業度が低下し、製造費用にしわ寄せ()が来てしまいます。また、多品種生産では、資材の種類が多いために管理が煩雑になるとともに、生産計画の頻繁な変更により資材の発注ミスを犯してしまうリスクが高くなることにも注意が必要です。

 操業度が低下すると、製造数量が落ち込みます。一方で操業度のいかんにかかわらず、固定費の発生額は一定です。そのため操業度が低下すると、製品1個当たりの固定費が増加してしまいます。

このような度重なる生産計画の変更がもたらす弊害は、自社工場での生産時だけに生じるものではありません。外注先に製造委託している場合でも同様の弊害が生じます。生産計画の変更は外注先に負担をかけることになり、それは中長期的には外注の製造コストの増加につながっていきます。

さらに、外注先に製造委託している場合は、下請法に違反していないかどうかも考慮しなければなりません。自社と発注先が下請法の適用関係にあれば、発注後の生産計画の変更が下請事業者の利益を不当に害する給付内容の変更( 下請法4条2項4号)に該当する可能性を考慮しなければなりません。

 下請法4条2項
親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号に掲げる行為をすることによって、下請事業者の利益を不当に害してはならない。
  (中略)
4号 下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の内容を変更させ、又は下請事業者の給付を受領した後に(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした後に)給付をやり直させること。

さて、以上の解説をご覧いただければ、どれがGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

社外取締役B:「在庫圧縮は期末日の一時点だけ考慮すればよいというものではなく、日々の問題ととらえるべきです。また、小売店の棚割りを維持するため、欠品だけは避けなければなりません。期末の一時点だけ在庫を圧縮させることに懸命になり、いざという時に欠品させてしまうようでは、安定供給というメーカーの責任を全うできていないと言われても致し方ありませんね。」
コメント:「在庫圧縮を一時点だけでとらえることへの警鐘」「欠品リスクへの配慮」の2点からGOODな発言です。春から夏にかけて需要が高まる製品を3月までに作り置きをせず、4月になってから製造に入るのではコストが割高になってしまう点も指摘できていれば、なおGOODでした。

BAD発言はこちら
販売担当取締役A:「我が社の決算日である3月末時点で在庫を持ち過ぎてしまうと、B/Sの在庫金額が膨らんでしまいます。我が社では在庫金額の圧縮が経営課題になっており、3月末と四半期末は在庫を抑えなければなりません。製品Xも例外ではありません。」
コメント:在庫金額の圧縮が経営課題になっているのであれば、在庫金額の多寡は3月末(甲社の決算日)や四半期末といった特定時点の金額だけで判断すべきものではありません。日常的な在庫水準に目を向けるべきです。決算書だけを取り繕えば問題が解決するとの誤解に基づくBAD発言です。
販売担当取締役A:「確かに、以前、Xを欠品させてしまったことが何度かあります。しかし、3月末の在庫を圧縮させる方が重要ではないでしょうか?」
コメント:いくら在庫金額の圧縮が経営課題になっているといっても、春から夏にかけて需要が高まる製品Xについてまで3月末の在庫水準を落とすのは適切な判断でありません。実際に過去にXの欠品を起こしてしまった”前科“がある以上、3月末におけるXの適正在庫を検討して、欠品を起こさないよう増産しておくべきでした。Aは必要な在庫まで圧縮させてしまっており、販売担当取締役としての資質が疑われます。
製造担当取締役C:「もちろん欠品しないように、生産計画を何度も変更して状況の変化に臨機応変に対応できるようにしています。乙社との間では我が社が毎月末までに翌月分を発注する契約になっているのですが、今月に入ってから既に5回も月次生産計画を変更しており、その都度乙社には柔軟に対応してもらっています。乙社は3月までの工場稼働率が芳しくなく、工員に自宅待機をしてもらうほどであったと聞いておりますが、4月以降は我が社の注文のおかげで工場もフル稼働となり、残業や休日出勤で対応してもらっています。」
コメント:乙社との契約内容を前提にすると、発注後に月次生産計画を変更することは発注内容の変更を意味します。とりわけ少量多品種生産の場合、月次生産計画を何度も変更してしまうと、乙社にとっては当初の受注時に予定していたよりも段取り時間が増えてしまう可能性があり、資材の発注ミスも誘発しかねないことから、乙社にとって不利な発注内容の変更にあたると言えます。もし、甲社と乙社の関係が下請法の定める親事業者と下請事業者の関係にある場合には、乙社にとって不利な発注内容の変更として下請法違反を問われる可能性があります。下請法以外にも、製造コストの問題も見落とせません。もし、乙社で工員に自宅待機をさせるほど工場のラインが稼働していなかった3月中に甲社がXの製造を委託できていれば、乙社としては工場を安定稼働でき、ひいては甲社にとっても仕入れコストの安定化につながったはずです。しかし、Xの製造を4月以降にずらしたことで、乙社では残業や休日出勤で対応する必要が生じました。乙社では人件費が確実に上昇しているため、長期的には甲社の仕入れコストの上昇をもたらす結果になります。製造担当取締役Cは、在庫圧縮のみに目を奪われて、下請法違反の有無や製造コストの上昇にまで頭が回っていない様子がうかがえます。また、これは製造担当取締役Cの問題ではありませんが、「月次生産計画を今月に入ってからすでに5回も変更している」のは異常な事態です。販売側の情報収集体制や見通しの立て方に問題がある可能性が高く、至急改善が必要と言えます。

2016/06/30 (新用語・難解用語)ワーク・ライフ・ミックス

人事・労務用語として定着している「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)は、「仕事」と「私生活」を切り離して考え、このうち仕事の時間を短縮し、その分私生活の充実を図るという意味で語られることが多い。実際、長時間労働解消のスローガンとして使われるケースがしばしば見受けられる。これに対し、仕事と私生活を無理に分けず、むしろ両者を一緒に(ミックス)して働くスタイルが「ワーク・ライフ・ミックス」だ。

近年、リクルートやパナソニック、日産自動車といった大企業も導入している在宅勤務などは、ワーク・ライフ・ミックスの1つの形と言える。一方、ファーストリテイリングが導入し話題を呼んだ「週休3日制」などは休日に仕事をしないこと(=仕事と私生活の分離)を前提にしていることから、ワーク・ライフ・バランスを重視した施策と言えよう。

ワーク・ライフ・ミックスの実現により、例えば自宅で仕事をしながら子育てや介護をすることも可能になるため、近年問題となっている育児や介護を理由とする退職を防ぐことができる。少子高齢化社会への対応が大きな課題となっている現在、ワーク・ライフ・ミックスは時代にマッチした考え方でもある。また、例えば研究職や商品開発職、クリエイティブ職など、「机に向かっている」ことと「成果」が必ずしもリンクしない職種にもワーク・ライフ・ミックスは向いている。むしろ、「ライフ」の中に新商品開発等につながるヒントが隠されていることは少なくないため、ワーク・ライフ・ミックスの採用により成果が上がることも考えられる。

このように、ワーク・ライフ・ミックスには間違いなく利点が存在しているものの、これを実際に導入している企業は、全体から見れば少数にとどまっている。その最大の理由は・・・

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2016/06/30 (新用語・難解用語)ワーク・ライフ・ミックス(会員限定)

人事・労務用語として定着している「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)は、「仕事」と「私生活」を切り離して考え、このうち仕事の時間を短縮し、その分私生活の充実を図るという意味で語られることが多い。実際、長時間労働解消のスローガンとして使われるケースがしばしば見受けられる。これに対し、仕事と私生活を無理に分けず、むしろ両者を一緒に(ミックス)して働くスタイルが「ワーク・ライフ・ミックス」だ。

近年、リクルートやパナソニック、日産自動車といった大企業も導入している在宅勤務などは、ワーク・ライフ・ミックスの1つの形と言える。一方、ファーストリテイリングが導入し話題を呼んだ「週休3日制」などは休日に仕事をしないこと(=仕事と私生活の分離)を前提にしていることから、ワーク・ライフ・バランスを重視した施策と言えよう。

ワーク・ライフ・ミックスの実現により、例えば自宅で仕事をしながら子育てや介護をすることも可能になるため、近年問題となっている育児や介護を理由とする退職を防ぐことができる。少子高齢化社会への対応が大きな課題となっている現在、ワーク・ライフ・ミックスは時代にマッチした考え方でもある。また、例えば研究職や商品開発職、クリエイティブ職など、「机に向かっている」ことと「成果」が必ずしもリンクしない職種にもワーク・ライフ・ミックスは向いている。むしろ、「ライフ」の中に新商品開発等につながるヒントが隠されていることは少なくないため、ワーク・ライフ・ミックスの採用により成果が上がることも考えられる。

このように、ワーク・ライフ・ミックスには間違いなく利点が存在しているものの、これを実際に導入している企業は、全体から見れば少数にとどまっている。その最大の理由はマネジメントの難しさにある。ワーク・ライフ・ミックスの下では基本的に労働時間や場所などの制約がない中、業務の遂行や成果は、社員の責任感や自己管理能力に委ねられることになる。社員側の意識も相当高くなければ、ワーク・ライフ・ミックスへの取組みは失敗に終わるリスクがある。このほか、情報漏洩リスク、社員同士のコミュニケーションの不足、通信料などの費用負担の考え方、長時間労働につながりやすいなど、企業が検討すべき課題は少なくない。現時点では、ワーク・ライフ・バランスの方が企業には受け入れられやすいと言えよう。

ただ、「ワーク」と「ライフ」を切り分けることで非効率(例えば通勤に要する時間)が発生していることは紛れもない事実。こうした中、政府も(2016年)6月2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」の中で、「テレワーク」の推進を打ち出している(8ページ~「長時間労働の是正」の下から3行目参照)。企業としても、まずは特定の職種・社員に試験的に導入するなど、ワーク・ライフ・ミックスを成長のエンジンとして取り入れていくことは十分検討に値しよう。

テレワーク : IT機器等を活用し、時間や場所の制約を受けずに働くスタイル。基本的には在宅勤務のことを指す。

2016/06/30 【2016年6月の課題】株主に占める個人投資家・機関投資家の比率

2016年6月の課題

東証一部に上場するA社では株式持ち合いの解消が進み、その受け皿となる安定株主の確保が課題となっています。今年の株主総会でも、いくつかの議案に対しては反対率が高く出ていたことから、経営陣の危機感も高まっています。
では、A社としては、個人投資家、機関投資家いずれの株主比率を上げていくことを目指すべきでしょうか。個人投資家・機関投資家それぞれの株主比率を高めることのメリット・デメリットや、株主比率を高めるために行うべき活動について、貴方の考えを述べてください。

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2016/06/30 【2016年5月の課題】「基本報酬+賞与」のみで成り立つ役員報酬の見直し:解答(会員限定)

<解答者>
ウイリス・タワーズワトソン
経営者報酬部門 コンサルタント 伊藤 竜広
03-3581-6530
tatsuhiro.ito@willistowerswatson.com

日本企業の役員報酬の変遷

一昔前、90年代後半~2000年前半頃は、日本企業の役員報酬は「基本報酬、年次賞与、退職慰労金」の3本立てというケースがほとんどでした。年次賞与と言えば本来はインセンティブ報酬(業績連動報酬)そのものですが、「月給の●か月分」という形で金額が決まるなど実質的に“固定給”であったり、業績に連動はしているものの、役員報酬全体のうちに占める割合(ポーション)が小さい、あるいは業績連動幅が小さい、といった事例が多く見受けられました。また、一定額を年々積み上げ、退任後に“功労”の意味合いで支給されるという仕組みである退職慰労金制度も、やはり実態は固定給が後払いされるに過ぎません。このように、日本企業の役員報酬体系は“固定報酬偏重”であったと言っても差し支えないでしょう。

これには、日本企業の役員は従業員から昇進した人がほとんどである、ということが影響していると考えられます。従業員の給与は、基本的には月給(固定給)、賞与(ボーナス)、退職金の3本立てです。従業員の延長線上に位置付けられる役員の報酬が、基本報酬、年次賞与、退職慰労金の3本立てとなるのも、ある意味自然なことだったと言えます。

その後、リーマンショック前後までは、支給の根拠と金額の不透明性が投資家に問題視された退職慰労金の廃止が相次ぐとともに、その原資をどこに・どういう形で振り替えるかという視点から、「インセンティブ報酬」を強化することが役員報酬のトレンドとなりました。もっとも、役員がもらえるトータルの報酬額は、インセンティブ報酬の強化前後で概ね同等となるケースがほとんどでした。結局、日本企業の役員報酬は業績との連動性が強化されたとはいえ、国際的にみると、依然として固定報酬の割合が高いことには変わりがないのが現状です。(詳細は2016年3月の「今月の課題」をご覧ください)

インセンティブ機能の役割分担を

コーポレートガバナンス・コードでは、株式報酬について「…(中略)また、経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績やリスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。」(原則4-2)、「経営陣の報酬は、持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。」(補充原則4-2①)としています。これを受け、この5月、6月に出された上場企業各社の適時開示の中には、新たに株式報酬を導入した企業のプレスリリースが少なからず見受けられました。株式報酬のスキームとしてよく見られたのは、信託型株式報酬や株式報酬型ストックオプションでしたが、平成28年度税制改正により損金算入が認められた譲渡制限付株式はごく一部でした。

その一方で、今回は役員報酬体系の特に変更しなかった、または変更を見送った企業も少なからずあります。月々固定的に支払われる基本報酬と、単年度の業績を総合的に勘案した賞与のみで成り立つ報酬体系を長年採用してきた企業からは、「なぜ単年度の業績を反映した賞与だけではダメなのか」「長期の視点が大事なのは分かったが、自社にとって最適なスキームが何なのかよくわからない」といった声も聞こえてきます。いまだに役員報酬体系の見直しの方向性(方針)を決めかねている上場企業も少なくないのが現状です。

ここで確認しておきたいのは、年次賞与と、株式報酬に代表される長期インセンティブはいずれか一方があればそれで事足りるというものではなく、むしろ「相互補完的」なものであって、役割や評価の時間軸が異なるに過ぎないということです。

企業が継続的に存続するためには、短期的な業績向上はもちろん、中長期的な業績向上も図る必要があります。したがって、インセンティブ報酬もこれら2つの視点を踏まえて設計されるべきです。すなわち、単年の業績向上と中長期の業績の向上いずれにも資するようなインセンティブ報酬の仕組みが必要になります。具体的には、年次賞与と、株式報酬に代表される長期インセンティブそれぞれに役割を分担させながら、インセンティブ報酬全体の仕組みを設計することになります。ただし、目指すべき目標や指標は個々の企業で異なるため、インセンティブ報酬は一様に在り方が定まるものではないことには留意が必要です。

下図はインセンティブ機能の役割のイメージ図です。

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上図のとおり、年次賞与には定性評価及び短期の業績評価、長期インセンティブには中期の業績評価及び株価に代表されるマーケット評価を反映させることになります。

年次賞与が短期の業績(例えば、企業規模の目安となる売上高や本業の儲けを示す営業利益など)を評価指標に用いるというのはイメージが湧き易いと思います。ただし、財務数値等には表れない定性的な取組みや、短期的には業績のような具体的な成果として発現し難い新規事業への取組みへの評価等、定性評価をある程度織り込むことも考えられます。

これに対し長期インセンティブは、短期的には表れにくい企業価値の向上を具体的に示すような指標を評価指標とすべきですので、株主目線の指標を用いることが考えられます。具体的には、株価や、一定期間において株式投資により得られた収益を示すTSR(Total Shareholders Return=株主総利回り)などによる定量評価となります。

また、中期経営計画において対外的に公表している業績目標を長期インセンティブに組み込むと、社内外への説明上非常に説得力の高いものとなります。例えば、3年の中期経営計画において3年後の営業利益を公表している場合に、それを目標業績とすることで、株主・機関投資家の理解も得やすくなるでしょう。中期経営計画にはまさに「会社の独自性」が表れるため、これに業績連動の仕組みを結びつけることで、自ずと報酬制度にもその会社らしさが表れることとなります。

ちなみに、年次賞与と長期インセンティブは、必ずしも同じウエイトで設定しなければならないわけではありません。単年の業績の積み重ねが結果として長期的な業績の向上につながると考えるのか、あるいは、短期の業績変動に一喜一憂するよりも長い目で見た顧客満足やサービスの向上に重きを置くのかは、業界や個別の企業によって当然に色が出るところだからです。

上でも触れましたが、長期インセンティブには譲渡制限付株式や信託型株式報酬、株式報酬型ストックオプションなど様々な選択肢があります。しかし、これらはあくまでインセンティブ報酬体系の全体を考える際の論点の一つに過ぎません。現在の報酬体系を見直す際には、インセンティブ報酬を通じて「何を」「どのように」「どの時間軸で」評価すれば、経営戦略の達成に資するものとなるのかを整理したうえで議論するようにしたいところです。

2016/06/29 【失敗学第25回】北越紀州製紙の事例(会員限定)

概要

北越紀州製紙(東証一部上場の製紙業)の子会社北越トレイディングの元総務部長が、15年で約25億円を着服したとして逮捕された。

経緯

北越紀州製紙が2016年6月に「当社連結子会社元従業員の逮捕について」を公表するまでの経緯を時系列で示すと、次のとおり。

<1999年>
3月:Xが北越紀州製紙から北越トレイディングに出向し、総務課長に着任。

<2000年>
4月:Xが、小切手を不正に振り出し、着服を始める(具体的な手口については、2016年6月20日のニュース「些末な金融実務の知識不足が招いた巨額横領事件」を参照)。

<2007年>
11月:Xが総務部長に昇格。

<2013年>
6月:北越トレイディングが一部事業を関係会社に事業譲渡したことに伴い、同社ではA銀行およびB銀行の当座預金口座が不要になった。Xは、不要になった当座預金口座を解約した旨の虚偽の報告を社内で行った(実際にはそれらの当座預金口座および当座貸越契約を解約せずに、着服を継続していた)。

<2015年>
5月1日: 総務部にA銀行から当座貸越契約の更新を依頼する電話があった。たまたま休暇中であったXに代わり、Xの部下である総務課長が対応をしたところ、2年前に解約されていたはずのA銀行当座預金口座が実際には解約されていなかったことが判明した。また、総務課長は、X宛宛ての郵便物の中に既に取引がなくなっているはずのB銀行からの封書があることに気付き開封すると、借入金の返済予定表が入っており、簿外の借入金が存在していることを知るに至った。総務課長はそれらの事実を社長に報告した。
5月6日:休暇を終え出社したXが、資金を着服していたことを告白した。
5月12日:北越紀州製紙は決算発表を延期し、同社の役員をメンバーとする社内調査委員会を立ち上げた。
5月28日:社内調査委員会が調査結果を公表し、北越紀州製紙は、簿外処理されていた借入金や支払利息の計上、Xへの長期未収入金および当該長期未収入金(北越紀州製紙にとっての債権)への貸倒引当金の計上等、過年度決算の訂正を行った。また、北越トレイディングが過去に実施していた配当が結果的に違法配当になっていたとして、当該配当を受けた北越紀州製紙は違法配当分を北越トレイディングに返還する予定であることも公表した。なお、Xは懲戒解雇された。

<2016年>
6月1日:Xが警察に逮捕された。

内容・原因・改善策

北越紀州製紙が2015年5月28日に公表した「調査報告書」によると、本件の問題点の内容とその原因、再発防止策は次のとおりである。

不正に振り出した小切手の換金による着服

内容 Xは、北越トレイディングや子会社のエーアイサポートで小切手を不正に振り出したうえで、銀行支店窓口で換金し、着服していた。着服額は24億7600万円にのぼり、競馬、株取引、飲食や複数の愛人との遊興費等に費消された。
原因 ・北越トレイディングやエーアイサポートでは、銀行から小切手帳を受け取ると、小切手の表面に横線を引き、振り出した小切手を銀行支店窓口で換金できないようにしていたものの、Xは振出時に自ら小切手の裏面に銀行届出印を押印する(あるいは押印権限を持つ者に押印してもらう)ことで、横線の効果を無くしていた(2016年6月20日のニュース「些末な金融実務の知識不足が招いた巨額横領事件」を参照)。これにより、Xは不正に振り出した小切手を、振り出した銀行支店の窓口で換金して着服できた。
・北越トレイディングでは、総務部長であったXに総務業務のみならず経理および財務業務の実質的な権限が集中しており、小切手の不正振出や資金流用を隠ぺいすることを目的とする不正な会計記録の起票(架空の前払費用や棚卸資産の計上)を自由に行うことができた(「経理」「財務」の職務分掌が適切に機能しておらず、相互牽制も利かなかった)。
・北越トレイディングの部長クラスには経理・財務業務を理解できる人材がいなかったため、部長間でのチェックが利かず、人事ローテーションも行われていなかった。
・北越紀州製紙や北越トレイディング社内では、決算書の偽装を誰一人見抜けなかった。また、金融機関の審査、税務署の調査、公認会計士の監査でも見抜かれることはなかった。
・小切手に銀行届出印を押印する権限を有していたのは北越トレイディングの副社長やエーアイサポートの財務担当者であったが、彼らはXに言われるままに小切手裏面に押印しており、小切手裏面に押印することの意味やリスクを分かっていなかった。また、副社長退任後は常務が銀行届出印を管理することになったが、銀行届出印は業務時間中は常に常務の机の上に置かれており、Xは理由の説明を要せずに一言断りを入れるだけで自由に使うことができた。
・Xが当座預金口座を解約したと虚偽の社内報告をした際に、誰一人として、口座解約の証跡(解約証明書)や銀行印・小切手帳の処分結果を確認していなかった。
・Xは、着服した額だけ銀行預金残高が帳簿残高より少なくなり着服が発覚することを避けるため、架空の資産を計上して銀行預金から支払った形にすることで帳簿残高を減らし、銀行預金残高と帳簿残高を一致させていた。
・Xは、銀行からの郵便物をXに届けるように指示し、残高証明の提出が必要になる場合にはコピーを用いて偽造した偽の残高証明を提出していた。また、銀行からの電話も直接Xが処理・対応する慣行になっていた。
改善策 ・北越紀州製紙グループの内部統制システムを充実させるために、内部統制監査室を拡充した新組織(グループ統制管理室(仮称))を設置。
・業務分掌を見直し、牽制効果を生じさせる。人事ローテーションをルール化する。
・業務の文書化・マニュアル化を推し進め、担当が代わっても業務を執行できるようにする。
・廃印を含めた印章取扱ルールを制定および改定する。

横線の効果 : 小切手は持参人払い(小切手を振出口座のある銀行窓口に持参した者に現金を支払うこと)が原則とされているが、銀行窓口での換金を認めれば、小切手の不正拾得者さえ現金を手にできてしまうことになる。そこで、通常は小切手の表面に二重の平行線(横線)を引き「銀行渡り」「BANK」といった文字や「振出口座のある銀行名」を記載することにより、「持参人払い」という小切手の機能を無効にしている。

<この失敗から学ぶべきこと>

北越トレイディングで起きた今回の事件は、Xの休暇中に、Xの部下が受けた銀行からの電話がきっかけとなり発覚しました。特定人物に権限が集中することの危険性と人事ローテーションの必要性を痛感させる事件であったと言えます。

今回の事件が15年もの間発覚せず、横領額が約25億円もの巨額に上ってしまったのは、北越トレイディングの経営陣が内部統制の構築にあたっての基本的なルールをことごとく順守していなかったのが原因でした。

内部統制の基本的なルール 北越トレイディングの状況
銀行が発行する残高証明を社内で用いる場合には、必ず原本を用いる。 原本を用いることが必須とされていなかったため、Xは改ざんした残高証明のコピーを用いていた。
小切手への押印権限者は、小切手振出時に小切手裏面への押印を求められた場合、その理由が合理的なものかどうかを確認する。 小切手の押印権限者は、Xに言われるままに、小切手裏面に押印していた。
当座預金口座を解約した場合、口座解約についての証跡(銀行が発行する解約証明書)を社内に残すようにする。 当座預金口座の解約時に解約証明書を取得することまでは求めていなかったため、口座を解約した旨のXの虚偽の報告が見破られなかった。
当座預金口座を解約した場合、未使用の小切手があれば、すべて廃棄処分にする。 未使用の小切手は廃棄処分にされておらず、不正な振出しに用いられた。
「財務」と「経理」の業務を同一人物が行えないようにする。 Xには「財務」と「経理」の権限が集中していた。Xは自ら小切手を振り出すとともに、会計記録の起票も行っていた。
人事のローテーションを定期的に行う。 Xは15年以上総務部に所属していた。

とりわけ、小切手裏への銀行届出印の押印に際して、押印権限者が合理的理由(例えば総務や営業所の小口現金の補充等)の有無を確認する内部統制を構築していなかったことが悔やまれます。上述のとおり、小切手裏に銀行届出印を押印しなければ銀行の支店窓口での換金もできなかったため(小切手裏に銀行届出印を押印した場合のリスクについては、2016年6月20日のニュース「些末な金融実務の知識不足が招いた巨額横領事件」を参照)、この内部統制が構築されていれば、今回の事件は防げたでしょう。

今回の事件の舞台は東証一部上場会社である北越紀州製紙の非上場子会社でした。非上場子会社は、親会社と比べると人的リソースに乏しく、内部統制が簡素なものになっているケースがよく見受けられます。内部統制は「子会社ごと」に子会社自身が整備することが前提とはいえ(2014年12月12日のニュース「子会社の内部統制は親会社が整備すべきか」参照)、親会社の取締役に対して子会社の管理責任が問われた株主代表訴訟では、子会社への監視義務違反などによる忠実義務および善管注意義務違反が認められているのも事実です(2014年3月25日のニュース「多重代表訴訟適用対象外の子会社でも、親会社取締役は安心できず!?」参照)。

「当社の子会社では、今回の事件のような多額の横領は絶対に起き得ない」と胸を張って自慢できる取締役は少ないのではないでしょうか。北越トレイディングの事例を見て自社の企業グループの内部統制システムに一抹の不安を覚えた親会社の取締役としては、今すぐに子会社の内部統制の現状と改善点の有無の確認に着手すべきです。

2016/06/29 経産省がガバナンスの新研究会立ち上げ、議論の方向性は?

昨年(平成27年)7月に報告書を出してその活動を終えた経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」は、法務省の合意の下、取締役会への上程事項の削減、報酬債権の現物出資を使った株式報酬の導入、D&O保険の保険料の会社負担等々に関する会社法上の解釈を“明確化”するなど、上場企業のガバナンス向上のボトルネックの解消において大きな役割を果たしたが、来月(7月)1日から、その後継と言える「CGS研究会」(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)がスタートする。そこで当フォーラムでは、同研究会における議論の方向性について取材した。

同研究会のWebサイトでは、議論のテーマとして、①取締役会の役割・機能、②CEOの選定・後継者計画、インセンティブ付与、③社外取締役の役割、社外取締役の人材の質的・量的な向上、④監査等委員会設置会社の活用--が挙げられている(「2.本研究会の取組」参照)。それぞれについて具体的に見てみよう。・・・

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2016/06/29 経産省がガバナンスの新研究会立ち上げ、議論の方向性は?(会員限定)

昨年(平成27年)7月に報告書を出してその活動を終えた経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」は、法務省の合意の下、取締役会への上程事項の削減、報酬債権の現物出資を使った株式報酬の導入、D&O保険の保険料の会社負担等々に関する会社法上の解釈を“明確化”するなど、上場企業のガバナンス向上のボトルネックの解消において大きな役割を果たしたが、来月(7月)1日から、その後継と言える「CGS研究会」(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)がスタートする。そこで当フォーラムでは、同研究会における議論の方向性について取材した。

同研究会のWebサイトでは、議論のテーマとして、①取締役会の役割・機能、②CEOの選定・後継者計画、インセンティブ付与、③社外取締役の役割、社外取締役の人材の質的・量的な向上、④監査等委員会設置会社の活用--が挙げられている(「2.本研究会の取組」参照)。それぞれについて具体的に見てみよう。

まず①の「取締役会の役割・機能」だが、日本企業では取締役会の“モニタリング機能”が不十分と言われる中、ここでは「経営戦略の決定」や「業績評価」といった取締役会の役割・機能を改めて整理するとともに、こうした取締役会の役割・機能を向上させるための仕組みが検討される。また、多くの上場企業が頭を悩ませる取締役会評価のあり方についても検討を行う。

②の「CEOの選定・後継者計画、インセンティブ付与」は、CEOの選解任を含む役員人事や、業務執行役員へのインセンティブ報酬の付与を含む役員報酬といったガバナンス上の重要事項の決定のプロセスにおいて、「社外取締役」を主要な構成員とする指名・報酬委員会の導入が日本の上場企業の間で進んでいないという問題意識に基づくもの。特に監査役会設置会社や監査等委員会設置会社で設置されている任意の委員会については、委員構成や運用方法にばらつきがあるとの指摘がある。そこで、国内外の(任意の委員会を含む)指名・報酬委員会の事例を参考にしながら、これらの委員会の活用方法を整理する。

③の「社外取締役の役割、社外取締役の人材の質的・量的な向上」では、上場企業において社外取締役の選任が進む中、実際にガバナンス体制を機能させるうえでの社外取締役の役割や、社外取締役をサポートする企業側の体制のあり方について検討する。

④の「監査等委員会設置会社の活用」では、監査等委員会設置への移行が相次いでいることを踏まえ、実際に監査等委員会設置に移行した上場企業の状況や監査等委員会設置会社の活用事例を整理したうえで、重要な業務執行の決定を取締役会から業務執行取締役に委任するといったガバナンス体制向上に向けた具体的な活用策が検討される。

CGS研究会は、2017年6月の定時株主総会に間に合うよう、同年2月頃に報告書を取りまとめる方向だ。