2015/12/03 (新用語・難解用語)マテリアリティマップ

 企業に求められるCSR(corporate social responsibility)は、従来の「企業の社会的責任や規範」から、環境・社会・ガバナンスというESGを軸とした企業の持続性(サステナビリティ)を高めるための取組みへと大きく変化してきている。

 ただ、一口にサステナビリティと言っても、それを実現するために必要な課題は多岐にわたる。そこで重要になるのが、多岐にわたる課題の中で「自社にとって重要な課題は何か?」を把握することであり、その際に有効なのが「マテリアリティマップ」を用いた課題の優先順位付けだ(マテリアリティとは、「重要性」を意味するCSR用語)。

 マテリアリティマップとは、・・・

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2015/12/03 (新用語・難解用語)マテリアリティマップ(会員限定)

 企業に求められるCSR(corporate social responsibility)は、従来の「企業の社会的責任や規範」から、環境・社会・ガバナンスというESGを軸とした企業の持続性(サステナビリティ)を高めるための取組みへと大きく変化してきている。

 ただ、一口にサステナビリティと言っても、それを実現するために必要な課題は多岐にわたる。そこで重要になるのが、多岐にわたる課題の中で「自社にとって重要な課題は何か?」を把握することであり、その際に有効なのが「マテリアリティマップ」を用いた課題の優先順位付けだ(マテリアリティとは、「重要性」を意味するCSR用語)。

 マテリアリティマップとは、横軸に「経営への影響度」、縦軸に「ステークホルダーの関心度・ステークホルダーへの影響度」を取り、各課題を配置したもの。大阪ガスが作成している下記のマテリアリティマップが非常に分かりやすい。

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出典:大阪ガスのウェブサイト「CSRにおけるマテリアリティの検討と特定

 サステナビリティを巡る課題認識の一般的な手順は、
(1)課題の把握・抽出
      ↓
(2)各課題の重要性・各課題への取組み状況の把握
      ↓
(3)重要課題の特定
となるが、このうち「(2)各課題の重要性・各課題への取組み状況の把握」の段階でマテリアリティマップを用いると、「(3)重要課題の特定」が容易になる。

 基本的には、原点に近い部分、つまり「経営への影響度」が低く、かつ「ステークホルダーの関心度・ステークホルダーへの影響度」も低い課題は自社にとって重要ではなく、原点から遠ざかるにしたがって重要度は高まることになる。ただし、経営への影響度が小さくてもステークホルダーの関心が高い項目や、逆にステークホルダーの関心が低くても経営への影響度が高い項目もある。これらは、状況を見極めつつ対応すべき「重要性の高い課題」に他ならない。このように、1つの軸で考えていると、もう一方の軸で見た場合の重要課題を見落とすことが往々にしてある。線ではなく「面」で重要課題を理解できる点が、マテリアリティマップの優れた点と言えよう。

2015/12/02 日本で株式報酬を支給できない理由

コーポレートガバナンス・コードで、経営陣の報酬に中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させることを求めるコード(4-2、4-2①)が入ったことを受け、役員報酬制度の見直しを検討している企業は多い。役員報酬というと、海外ではパフォーマンス・シェアリストリクテッド・ストックといった株式報酬が普及しているが、日本で導入している企業はない。これは何故だろうか。先日、上場企業の監査役を務める会員から「理由を教えて欲しい」との問い合わせを受けた。インターネットで検索しても、その理由を明記しているサイトは見当たらなかったという。

パフォーマンス・シェア : Restricted Stock=一定期間の譲渡制限が付された株式報酬
リストリクテッド・ストック : Restricted Stock=一定期間の譲渡制限が付された株式報酬

結論から言うと、・・・

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2015/12/02 日本で株式報酬を支給できない理由(会員限定)

コーポレートガバナンス・コードで、経営陣の報酬に中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させることを求めるコード(4-2、4-2①)が入ったことを受け、役員報酬制度の見直しを検討している企業は多い。役員報酬というと、海外ではパフォーマンス・シェアリストリクテッド・ストックといった株式報酬が普及しているが、日本で導入している企業はない。これは何故だろうか。先日、上場企業の監査役を務める会員から「理由を教えて欲しい」との問い合わせを受けた。インターネットで検索しても、その理由を明記しているサイトは見当たらなかったという。

パフォーマンス・シェア : Restricted Stock=一定期間の譲渡制限が付された株式報酬
リストリクテッド・ストック : Restricted Stock=一定期間の譲渡制限が付された株式報酬

結論から言うと、「日本の会社法上では株式報酬を付与できない」というのがその理由だ。根拠条文は199条1項2号から4号である(下記参照)。これらの規定を見ると、日本の会社法では、株式の発行は金銭等の「払込み」があることを前提としていることが分かる。欧米型の株式報酬のように「株式をタダであげる」ということは、「払込みがゼロ」ということを意味するため、日本の会社法上では認められないというわけだ。日本で“1円ストックオプション”と呼ばれる株式報酬型ストックオプションが普及して来た理由もここにある。

会社法199条1項
株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
1 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
2  募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
3 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
4 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
   以下略

そこで現在、経済産業省が導入を推進しようとしているのが、金銭報酬債権の現物出資を活用した株式報酬である。これは、(1)会社が役員に金銭報酬債権を付与、(2)役員が当該金銭報酬債権を「現物出資財産」として会社に払い込み、その対価として会社が役員に株式を発行する――というスキーム。要するに、一旦金銭報酬債権という債権を作り、これを払い込むものであり、こうすれば、「払込みがゼロ」ではなくなるため、会社法上の問題もクリアできる。

ただ、金銭報酬債権の現物出資スキームを使って株式報酬を支給する場合、「金銭報酬債権の付与時」に給与課税が行う必要があるのかどうかという点が現時点では明らかでない。役員は金銭報酬債権付与時において実際に金銭を得ているわけではないため、もしこの時点で税負担が生じるとなれば、このスキームは普及しない可能性が高い。

現在、経済産業省は財務省とこの点について協議しており、近いうちに結論が出るものとみられる。当フォーラムでは、結論が出次第、続報したい。

2015/12/01 TPP著作権条項が企業に及ぼす“隠れたインパクト”

TPP協定(環太平洋パートナーシップ協定)の項目の一つである「著作権」関係条項に対しては、著作権の保護期間の延長や非親告罪化といった点を中心に、協議段階から多くの批判が寄せられていたが、2015年11月24日のニュース「著作権のTPP、“青空文庫問題”は解決も「非親告罪化」で新たな懸念」でもお伝えしたとおり、現在では、「青空文庫やコミックマーケット(コミケ)といった草の根的な活動への影響は大きくない」という理解が広がり、状況は落ち着きを見せている。その背景には、協定の批准を急ぐ政府筋はもちろん、協定締結に向け脅威と目されていた権利者団体までもが“火消し”に走ったということがある。この点は、政府の知的財産戦略本部が11月24日に開催した会合で、安倍首相がわざわざ「二次創作が萎縮しないよう留意する」と強調したことからもうかがえるところだが、これをもってTPP著作権関係条項が企業にもたらしかねないリスクが消えたわけではない。

親告罪 : 被害者による訴えがなければ刑事訴追ができない犯罪類型。

日本の著作権法は、著作権者の利益への影響を個別に考慮することなく、一定の行為類型に該当すれば「著作権侵害」となるという考え方に則って作られている。現段階では、「著作権法によって阻害されるべきではない活動(二次創作)」の存在が関係者間で幅広く確認されたに過ぎない。今後、TPP協定の中に盛り込まれている「非親告罪化の対象を、市場との関連において当該著作権者等の利益に実質的かつ有害な影響を及ぼすものに“限定”する」というセーフガード規定の趣旨を、具体的な条文として著作権法の中に取り込む過程では、かなり難しい問題が出てくることが予想される。著作物を利用する側への“好意的な視線”は、あくまで既存の著作物を元に新たな著作物を創作(二次創作)する場面に対してのみ向けられており、それ以外の著作物の利用行為に関して、利用者側のリスクが増している状況に変わりがない、ということを企業は認識しておく必要がある。

例えば、会社の業務の中では、・・・

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2015/12/01 TPP著作権条項が企業に及ぼす“隠れたインパクト”(会員限定)

TPP協定(環太平洋パートナーシップ協定)の項目の一つである「著作権」関係条項に対しては、著作権の保護期間の延長や非親告罪化といった点を中心に、協議段階から多くの批判が寄せられていたが、2015年11月24日のニュース「著作権のTPP、“青空文庫問題”は解決も「非親告罪化」で新たな懸念」でもお伝えしたとおり、現在では、「青空文庫やコミックマーケット(コミケ)といった草の根的な活動への影響は大きくない」という理解が広がり、状況は落ち着きを見せている。その背景には、協定の批准を急ぐ政府筋はもちろん、協定締結に向け脅威と目されていた権利者団体までもが“火消し”に走ったということがある。この点は、政府の知的財産戦略本部が11月24日に開催した会合で、安倍首相がわざわざ「二次創作が萎縮しないよう留意する」と強調したことからもうかがえるところだが、これをもってTPP著作権関係条項が企業にもたらしかねないリスクが消えたわけではない。

親告罪 : 被害者による訴えがなければ刑事訴追ができない犯罪類型。

日本の著作権法は、著作権者の利益への影響を個別に考慮することなく、一定の行為類型に該当すれば「著作権侵害」となるという考え方に則って作られている。現段階では、「著作権法によって阻害されるべきではない活動(二次創作)」の存在が関係者間で幅広く確認されたに過ぎない。今後、TPP協定の中に盛り込まれている「非親告罪化の対象を、市場との関連において当該著作権者等の利益に実質的かつ有害な影響を及ぼすものに“限定”する」というセーフガード規定の趣旨を、具体的な条文として著作権法の中に取り込む過程では、かなり難しい問題が出てくることが予想される。著作物を利用する側への“好意的な視線”は、あくまで既存の著作物を元に新たな著作物を創作(二次創作)する場面に対してのみ向けられており、それ以外の著作物の利用行為に関して、利用者側のリスクが増している状況に変わりがない、ということを企業は認識しておく必要がある。

例えば、会社の業務の中では、権利者の許諾を得ずに市販の書籍や雑誌の記事をコピーしたり、インターネット上の地図や写真データをダウンロードしたりして会議資料等に使う、ということをついついやってしまいがちだが、これは、新たな創作を伴わない単純な「複製」であり、著作権を侵害する行為にほかならない。このような行為は、外形的には、今回のTPP協定でターゲットとされている“海賊版”の製造と何ら変わらない行為である。

 コピーやダウンロードをしている側からすれば、「我々は“海賊版”業者のような悪質な意図を持って複製をしているわけではない」と反論したいところだろうが、多くの社員を抱える会社で、一人ひとりの社員が無断でコピー等を行えば、「著作権者等の利益」に与える影響も決して小さなものとは言えないため、TPP協定を受けた著作権法改正により、「非親告罪」化の対象となっても全く不思議ではない。

これまでは、大企業と事を構えるリスクやコストを慮った権利者が、一種の“お目こぼし”をしていたこともあり、半ば“公然の事実”である会社内での著作物の無断利用が、正面から問題視されることは少なかった。しかし、「非親告罪」化により、権利者の意向にかかわらず、著作権侵害を刑事手続に乗せられるようになれば、これまで問題になっていなかったような何気ない企業内の複製行為が、刑罰の対象となるような事態も想定される。また、「非親告罪」化されれば、別件の捜査で押収した資料の中に無断複製された著作物が含まれていたような場合に、捜査当局がそれを著作権侵害罪で立件することも、これまでよりはずっとやりやすくなるという点にも留意する必要がある。

さらに、TPP協定で大筋合意された著作権関係条項の中には、著作権侵害に対する損害賠償について、権利者の救済をより実効的なものとするために、「法定損害賠償又は追加的損害賠償」を認める、という民事上の手当ても存在している。これまでの議論を見る限り、日本の著作権法に、米国の懲罰的損害賠償制度のような極端な規定が直ちに導入されることはないと思われるが、高額の損害賠償を認めることに慎重だった裁判所の態度がこれを機に改まることになれば、“お目こぼし”が多かった権利者側の行動姿勢にも少なからず影響が出ることが予想される。

追加的損害賠償 : 侵害行為の悪質性が高く、立証された損害賠償額では不十分であると裁判所が判断した場合などにおいて、追加的賠償を命じることができる制度

TPP協定が「加盟国の域内におけるルールの統一化」を目指すものであるという原則に立ち返れば、日本国内で生じる細々としたデメリットよりも、新興国でわが国のコンテンツが充実した保護を受けられるようになる、というメリットに積極的に目を向けるべき、という指摘もあろう。しかし、日本は「コンテンツ生産大国」であると同時に、世界最大規模の「コンテンツ消費大国」でもあり、各種コンテンツを通じて手軽に情報を入手し、広く享有できることが、国民の文化水準を高め、ひいては企業活動の質も高めている、ということは否定できない事実である。それだけに、今後、TPP協定での合意内容を著作権法などの法律に落とし込み、日本国内での具体的なルール化を進めていく作業が本格化する段階では、「コンテンツ消費国」として、権利者保護一辺倒ではない“したたかな法整備”が期待されるところだ。

2015/11/30 2015年11月度チェックテスト

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【問題1】

ISSの2016年版日本向け議決権行使助言方針(ポリシー)改定案によると、ISSは「取締役会に複数の社外取締役がいない企業の経営トップの選任議案」に反対を推奨する旨方針を変更する予定である。


正しい
間違い
【問題2】

米国の “Say on Pay”と同様の制度が、日本でも導入される可能性が高い。


正しい
間違い
【問題3】

親会社にグループの法務機能を集約したうえで、子会社が親会社の法務サービスを有償で利用するといった仕組みは、弁護士法違反に問われる可能性がある。


正しい
間違い
【問題4】

裁判所は、労働条件変更の正当性を「整理解雇の4要素」によって判断する傾向が見られる。


正しい
間違い
【問題5】

株式会社が計算書類や事業報告等を株主に提供する手段は、現在のところ原則として「紙」とされているが、今後「電子的な手段による提供」を原則とするよう制度が改正される可能性がある。


正しい
間違い
【問題6】

国連のPRI(Principles for Responsible Investment=責任投資原則)に署名している日本のアセットオーナーは多いのに対し、日本のアセットマネージャーでPRIに署名しているところは極めて少ない。


正しい
間違い
【問題7】

多重代表訴訟を提起できるのは「最終完全親会社」の株主に限られる。


正しい
間違い
【問題8】

既に複数社の社外取締役を務める者や著名人を社外取締役の候補者とする選任議案は、機関投資家から高く評価される。


正しい
間違い
【問題9】

会社が税務当局より追徴課税を受けたことの責任を問われ、取締役に対し株主代表訴訟が提起された場合、取締役に善管注意義務違反が認められるのが通常である。


正しい
間違い
【問題10】

朝型勤務を導入する唯一の目的は、社員の労働時間を短縮することである。


正しい
間違い

2015/11/30 2015年11月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
 朝型勤務を導入した結果、労働時間が短くなることは否定されるわけではありません。しかし、労働時間の短縮だけを目的にすると、業務量が減少し、その結果、従業員が生み出す付加価値が減少してしまう可能性があります。朝型勤務を導入する場合には、付加価値を減少させないことを前提に、人時(にんじ)生産性を向上させることを目的とすべきです。

こちらの記事で再確認!
2015/11/30 早朝勤務を導入する目的(会員限定)

2015/11/30 2015年11月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
 朝型勤務を導入した結果、労働時間が短くなることは否定されるわけではありません。しかし、労働時間の短縮だけを目的にすると、業務量が減少し、その結果、従業員が生み出す付加価値が減少してしまう可能性があります。朝型勤務を導入する場合には、付加価値を減少させないことを前提に、人時(にんじ)生産性を向上させることを目的とすべきです。

こちらの記事で再確認!
2015/11/30 早朝勤務を導入する目的(会員限定)

2015/11/30 2015年11月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
 会社が税務当局より追徴課税を受けたとしても、「脱税案件」でなければ、取締役の責任は認められない傾向にあります(問題文は「脱税案件」に限定せずに取締役の善管注意義務違反が認められるのが通常としている点で間違いです)。

こちらの記事で再確認!
2015/11/25 追徴課税に対する取締役の責任(会員限定)