2015/11/06 グループ経営の波は「弁護士法」の壁を越えられるか?

 子会社の法令違反やコンプライアンス上の問題によって、親会社の業績やレピュテーションに影響が生じることは多く、グループ経営を考える上で、「子会社の法務リスクをどのように管理するのか」は極めて重要な問題である。

 規模の大きい子会社であれば、社内に独自の法務部門を設け、法的なリスク管理を担うこともできるが、一般的な事業会社の子会社の多くはコンパクトな組織で運営されており、法務部門はおろか、法務の専任担当者を置く余裕すらないことも稀ではない。

 通常の経営者であれば、「それならば、親会社にグループの法務機能を集約して、子会社の法務関係業務も一括して担うようにすればよいのでは?」と考えるはずだが、ここで立ちはだかるのが・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2015/11/06 グループ経営の波は「弁護士法」の壁を越えられるか?(会員限定)

子会社の法令違反やコンプライアンス上の問題によって、親会社の業績やレピュテーションに影響が生じることは多く、グループ経営を考える上で、「子会社の法務リスクをどのように管理するのか」は極めて重要な問題である。

規模の大きい子会社であれば、社内に独自の法務部門を設け、法的なリスク管理を担うこともできるが、一般的な事業会社の子会社の多くはコンパクトな組織で運営されており、法務部門はおろか、法務の専任担当者を置く余裕すらないことも稀ではない。

通常の経営者であれば、「それならば、親会社にグループの法務機能を集約して、子会社の法務関係業務も一括して担うようにすればよいのでは?」と考えるはずだが、ここで立ちはだかるのが「弁護士法第72条」の壁だ。

弁護士法第72条は、弁護士や弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で他人の法律事務を取り扱うことを業とすることを禁じている。そして、弁護士法の所管官庁である法務省は、たとえ完全親子会社間であっても、「法人格は別」である以上、親会社が有償で子会社の法律事務の委託を受ければ、弁護士法第72条の禁止行為に該当する可能性があるとの見解をこれまで一貫して示しており、各企業にとって悩みの種となってきた(法務省が2003年に示した見解はこちら)。「無償委託」という整理であれば問題は生じないとされているが、親会社から子会社に対して無償でサービスを提供した場合、寄附金課税の問題が出てくるため、何らかの名目で「サービス対価」を設定せざるを得ないことが多い。

こうした中、先月末に開催された政府の規制改革会議「投資・促進等ワーキンググループ」では、しびれを切らした経団連が、「禁止行為に該当しないことを確認する」という従来のスタンスから一歩踏み出し、「弁護士法の改正も含めた見直し」を求めたものの(平成27年10月27日開催 投資・促進等WG資料)、法務省の見解は依然として消極的なものにとどまっている模様だ。

弁護士法第72条が主に反社会的勢力の介入防止を念頭に置いた規定であることを考えると、現行法の解釈の下でもそこまで神経質になる必要はない、という声はよく聞かれる。また、仮に法改正や見解の修正がなされたとしても、親会社に簡単に一元化できるほど法務業務は単純なものではないため、現在の実務が大きく変わることはないという見方も強い。

ただ、法人格を超えて「企業グループ全体」で内部統制、法令順守体制の構築に取り組むべきとされている時代に、弁護士法の世界にだけ“前時代的”な解釈が生き残っているというのは、やはり考え物というべきだろう。今回の経団連の問題提起が、企業がより自由度の高い法務リスク管理体制を構築できるようになるための一歩となることが期待される。

2015/11/05 (新用語・難解用語)Say on Pay

 経営者報酬の支給方針、支給額に対する「株主投票」のことで、経営者報酬水準の高騰を抑制するため、英独仏や米国で導入されている。株主総会に上程された経営者報酬(Pay)に関する議案について株主が意見表明をする(Say)ことからこのように呼ばれる。「Say」という言葉のとおり、基本的には投票結果に法的拘束力はなく、あくまで「勧告的決議」にとどまる()。ただ、法的拘束力はなくても、経営者報酬の支給方針や金額が否決されれば、株主や世間の関心を呼ぶことになるため、企業としても無視はできないだろう。したがって、決議内容は事実上一定の拘束力を持つと言える。

 米国では勧告的決議(Advisory vote)にとどまっているが、英国では、報酬方針に関する投票(3年ごと)については拘束力がある拘束的決議(Binding vote)、実支払報酬に関する投票(毎年)については勧告的決議という組み合わせになっている。

 気になるのは、日本でも今後同様の制度が導入されるのか否かということだが、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2015/11/05 (新用語・難解用語)Say on Pay(会員限定)

 経営者報酬の支給方針、支給額に対する「株主投票」のことで、経営者報酬水準の高騰を抑制するため、英独仏や米国で導入されている。株主総会に上程された経営者報酬(Pay)に関する議案について株主が意見表明をする(Say)ことからこのように呼ばれる。「Say」という言葉のとおり、基本的には投票結果に法的拘束力はなく、あくまで「勧告的決議」にとどまる()。ただ、法的拘束力はなくても、経営者報酬の支給方針や金額が否決されれば、株主や世間の関心を呼ぶことになるため、企業としても無視はできないだろう。したがって、決議内容は事実上一定の拘束力を持つと言える。

 米国では勧告的決議(Advisory vote)にとどまっているが、英国では、報酬方針に関する投票(3年ごと)については拘束力がある拘束的決議(Binding vote)、実支払報酬に関する投票(毎年)については勧告的決議という組み合わせになっている。

 気になるのは、日本でも今後同様の制度が導入されるのか否かということだが、欧米でSay on Payが導入された背景には、報酬水準の上昇による「経営者の過度なリスクテイク」を抑制する狙いがあるのに対し、日本では、コーポレートガバナンス・コード導入時に盛んに言われた「攻めのガバナンス」という言葉に象徴されるように、むしろ経営者の適切なリスクテイクを促すため、株式報酬や業績連動型賞与の導入促進が叫ばれており、欧米とは事情が全く異なる。また、日本においてはそもそも役員の報酬枠が株主総会の決議で定まることから、Say on Payを導入する実益がない。

 現時点における日本企業の経営者報酬の6割程度は「基本報酬」が占め、業績連動賞与、株式報酬等の長期インセンティブがそれぞれ2割程度、1割程度という構成となっているが、米国企業では長期インセンティブが7割程度、業績連動賞与が2割程度、基本報酬が1割程度と、基本報酬と長期インセンティブの割合が日本企業の経営者報酬とは完全に逆転している(英国の場合、長期インセンティブが4割程度で一番多いものの、3つの報酬がバランスよく支給されている)。今後は日本企業においても、コーポレートガバナンス・コード(4-2、4-2①)や株主からのプレッシャーを受け、現在圧倒的に小さい長期インセンティブの割合が増えて行くのは間違いないだろう。そうなったとしても、上述のとおり日本企業では株主が報酬枠を決議する以上、勧告的決議に留まるSay on Payよりも報酬の上限に歯止めがかかりやすいので、報酬の高騰が問題になる場面は欧米よりも少ないものと予想される。

2015/11/05 当フォーラムが後援するセミナー「海外事業展開におけるリスクマネジメントと企業の安全対策」が開催されました。

下記のセミナーは終了しました。

────────────────────────────────────────

2015年11月5日(木)に当フォーラムが後援するセミナー『海外事業展開におけるリスクマネジメントと企業の安全対策』が開催されます。
本セミナーでは、海外子会社に対するグループガバナンスと誘拐・テロ・拉致・脅迫対応の実務をそれぞれの専門家が解説します。

日時 2015年11月5日(木)13:30〜17:00
場所 富国生命ビル 14階セミナールームA
(アクセスはこちら
定員 100名様 (参加料無料、事前登録制)
主催 AIU損害保険株式会社
後援 新日本有限責任監査法人、宝印刷株式会社、東洋ビジネスエンジニアリング株式会社、株式会社オービックビジネスコンサルタント、上場会社役員ガバナンスフォーラム
講演内容 第一部 「海外子会社のリスク管理とグループガバナンス」
講師:新日本有限責任監査法人 アドバイザリー事業部 マネージャー・公認会計士 村松淳哉氏

第二部 「海外拠点のIT武装でグローバル経営を変える」
講師:東洋ビジネスエンジニアリング株式会社 プロダクト事業本部 マーケティング部 部長 山下武志氏

第三部 「海外での誘拐・拉致・脅迫の予防と発生後の対応」
講師:株式会社亀屋 代表取締役社長 危機管理コンサルタント 山崎正晴氏

お申込み先 セミナーに関する詳細やお申込みについては、株式会社オービックビジネスコンサルタントのこちらのURLにてご確認ください。
会員登録はこちらから

2015/11/04 欧州で問題化する“ゴールデン・スカート”現象

 女性の活躍を推進する政府方針や取締役会の多様化(ダイバーシティ)を求める株主の声を受け、女性の社外取締役候補への人気は高まる一方だ。あるエグゼクティブ・サーチ会社によると、女性社外取締役候補を求める上場会社からのオーダーは継続的にあるという。

 今年(2015年)8月25日に成立した女性活躍推進法では、大企業(301人以上)に対し「2016年4月1日」までに「女性の活躍の現状に関する情報」を公表することを義務付けている。公表する情報は下記の14項目の中から企業が選択することになるが、この中には「役員に占める女性の割合」も入っている。また、コーポレートガバナンス・コード・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2015/11/04 欧州で問題化する“ゴールデン・スカート”現象(会員限定)

 女性の活躍を推進する政府方針や取締役会の多様化(ダイバーシティ)を求める株主の声を受け、女性の社外取締役候補への人気は高まる一方だ。あるエグゼクティブ・サーチ会社によると、女性社外取締役候補を求める上場会社からのオーダーは継続的にあるという。

 今年(2015年)8月25日に成立した女性活躍推進法では、大企業(301人以上)に対し「2016年4月1日」までに「女性の活躍の現状に関する情報」を公表することを義務付けている。公表する情報は下記の14項目の中から企業が選択することになるが、この中には「役員に占める女性の割合」も入っている。また、コーポレートガバナンス・コード4-11①では、「取締役会は、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである」とし、取締役会の多様性を求めている。女性社外取締役候補の人気は今後も続くだろう。

①採用した労働者に占める女性労働者の割合
②採用における男女別の競争倍率
③労働者に占める女性労働者の割合
④男女の継続勤務年数の差異
⑤10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
⑥男女別の育児休業取得率
⑦一月当たりの労働者の平均残業時間
⑧雇用管理区分ごとの一月当たりの労働者の平均残業時間
⑨年次有給休暇の取得率
⑩係長級にある者に占める女性労働者の割合
⑪管理職に占める女性労働者の割合
⑫役員に占める女性の割合
⑬男女別の職種又は雇用形態の転換実績
⑭男女別の再雇用(定年後の再雇用を除く)又は中途採用の実績

 ただ、多くの上場会社が「2名以上の独立社外取締役」の確保にさえ窮する中、女性社外取締役の候補者探しは容易ではない。女性の管理職比率が40%を超える米国でさえ女性の取締役比率は20%を切っている(2015年2月20日のニュース「女性の登用、日本の現在地」参照)。2015年中に「FTSE100企業の取締役会に占める女性比率25%」という目標達成を目指してきた英国では、今年7月14日にこの目標を達成したが(2015年7月29日のニュース「取締役会の女性比率25%達成の英国、次は賃金格差の公表義務付け」参照)、同国はそれでもまだ十分とは考えておらず、女性取締役比率の引上げを求める対象をFTSE350構成企業へと拡大、さらに、女性取締役の比率も「2020年までに33%以上」と前回より引き上げることが提案されている。

FTSE100 : ロンドン証券取引所に上場する銘柄のうち時価総額上位100銘柄による時価総額加重平均型の株価指数。
FTSE350 : ロンドン証券取引所に上場する銘柄のうち時価総額上位350銘柄による時価総額加重平均型の株価指数。

 FTSE350構成企業における女性取締役比率が既に26%を超えたとされる英国であればあながち達成不可能な数値ではないだろうが、女性取締役比率を引き上げているのは「社外取締役」であり、社内取締役の割合はぐっと低くなる。

 FTSE100構成企業では、女性社外取締役比率は31.4%もあるが、社内取締役は9.6%に過ぎない。3倍を超える両比率の差からは、取締役候補となる女性の人材層が薄く、1人の女性が複数の会社の社外取締役を兼任する「黄金のスカート(golden skirt)」をはいている」と呼ばれる状況が生じていることが想定される。女性取締役比率が35%超と世界でもっとも高いと言われるノルウェーでも同じ状況があり、日本も例外ではないだろう。

 コーポレートガバナンス・コードの補充原則4-11②では、社外取締役や社外監査役の兼任社数は「合理的な範囲にとどめるべき」としており、関係者の間ではこれは「2人」と言われている(2015年3月10日のニュース「社外役員の兼任社数の上限は?」参照)。英国では、「女性取締役比率」のみならず、「女性“社内”取締役比率」への関心が高まっている。日本企業においても、社外のみならず社内の女性取締役比率向上も意識していく必要がありそうだ。

2015/11/02 セミナー「ガバナンスのベストプラクティスと会社法の解釈明確化」および「中長期の業績・リスクに連動した役員報酬制度導入のポイント」を2015年11月2日(月)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:ガバナンスのベストプラクティスと会社法の解釈明確化
WEBセミナー:中長期の業績・リスクに連動した役員報酬制度導入のポイント

上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2015年11月2日(月)の14時30分~17時40分に下記のセミナーを開催しました。

セミナーのパンフレットこちら

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:30

16:00
~取締役会への上程事項の絞り込み、
報酬債権の現物出資による株式報酬の支給…etc.~
ガバナンスのベストプラクティスと会社法の解釈明確化
経済産業省
経済産業政策局
産業組織課
課長 中原 裕彦 様
第二部
16:10

17:40
~自社に合った報酬制度とは?導入に向けてやるべきこと….etc.~
中長期の業績・リスクに連動した役員報酬制度導入のポイント
タワーズワトソン株式会社
経営者報酬部門 
コンサルタント
小川 直人 様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
コーポレートガバナンス・コードの導入を受け、日本企業にはガバナンス体制の強化が求められています。しかし、同コードが掲げる「攻めのガバナンス」を実現する上で、日本の法制が必ずしもこれに前提にしていなかったり、他社事例の積み上げが少なかったりといった現状においては、多くの企業が手探りで改革に取り組んでいるのが実態だと思います。
こうした中、先般、経済産業省の「コーポレート・ガバンナンス・システムの在り方に関する研究会」では、「コーポレート・ガバナンスの実践 ~企業価値向上に向けたインセンティブと改革~ 」と題する報告書を公表し、我が国企業や英米企業の取締役会の実務の具体例(ボードのプラクティス)を紹介するとともに、関係省庁との調整の下、「攻めのガバナンス」の実践において問題となりかねない会社法の解釈明確化について方向性を示しています。
本セミナーでは、報告書のとりまとめをご担当した経済産業省 経済産業政策局 産業組織課 課長の中原裕彦様をお招きし、報告書に記載された事項の背景、趣旨などを詳しく解説していただきます。取締役会への上程事項の絞り込みや、報酬債権の現物出資による株式報酬の支給など、役員の皆様に直接関係するテーマについて、実践的なお話が聞けることと思います。
講師の
ご紹介
中原 裕彦 様
経済産業省 経済産業政策局 産業組織課 課長
1991年東京大学法学部卒業、通商産業省(現経済産業省)入省。大蔵省(現財務省)証券局総務課、米国コーネル大学(人事院長期在外研究員)、法務省民事局参事官室、経済産業省経済産業政策局経済産業政策課、同局知的財産政策室長等を経て2013年より内閣府規制改革推進室参事官。2014年7月より経済産業省経済産業政策局産業組織課長。これまでに商法、会社更生法、証券取引法、信託法、産業活力再生特別措置法、動産債権譲渡特例法、不正競争防止法等の立案作業に携わる。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
コーポレートガバナンス・コードが経営陣の報酬に中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させることを求める中(4-2、4-2①)、役員報酬制度の見直しを検討されている企業も少なくないことと思います。
本セミナーでは、組織・人事のコンサルティング会社として最も権威があり、また、世界最大規模の経営者報酬データベースを有することでも知られるタワーズワトソン㈱の経営者報酬部門でコンサルタントを務める小川直人様をお招きし、複数年間の業績に連動した報酬や株式報酬をはじめ投資家が求める役員報酬制度にはどのようなものがあるのか、自社に合った報酬制度を選択する上での判断のポイント、導入に向けてやるべきこと・課題、税制への対応などについて解説していただきます。
上場・非上場、業界を問わず、数多くのグローバル企業およびローカル企業に対して経営者報酬制度の設計をアドバイスしてきた小川様のお話からは、自社の報酬制度改革に有用なヒントを得ることができるはずです。
講師の
ご紹介
小川 直人 様
タワーズワトソン株式会社 経営者報酬部門 コンサルタント
国内大手上場企業に対する経営者報酬コンサルティング、経営者報酬データベースの編集・分析、ストックオプションの導入概況調査、オプション算定モデル等を用いたストックオプションの評価単価算定、に関与する。
グローバル長期インセンティブに関する経験が豊富。キャッシュプラン、エクイティプランの各種ビークルについて、設計・導入支援から事務局への運用サポートまで幅広く従事。
タワーズワトソン入社以前は、大手会計事務所にて国際移転価格に係る税務コンサルティングに従事。
東京大学教養学部卒(地域文化研究学科フランス地域専攻)、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、CFA協会認定証券アナリスト

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は2万円(税込 ※)となっております。
※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

会員登録はこちらから

会員でない方のお振込方法等の詳細はお申込みの受付けメール(下記の「お申込みはこちらから」のボタンをクリック後、お名前等をご入力いただいた後自動送信されるメール)にてご連絡いたします。
ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 ガバナンスのベストプラクティスと会社法の解釈明確化
  • 第二部 中長期の業績・リスクに連動した役員報酬制度導入のポイント
  • 【日時】2015年11月2日(月)14時30分~17時40分
  • 【場所】六本木ヒルズ森タワー23階 TMI総合法律事務所セミナールーム
  • 【受付】六本木ヒルズ森タワー1階ロビー 14時より
  • 【講師】第一部 経済産業省 経済産業政策局 産業組織課 課長 中原 裕彦 様
        第二部 タワーズワトソン株式会社 経営者報酬部門 コンサルタント 小川 直人 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は2万円(税込)

セミナー参加費の請求書はこちらから

お申し込みはこちら

2015/11/02 ISSが近く議決権行使助言基準を改定、2016年株主総会への影響は?

 議決権行使助言の世界最大手ISS(Institutional Shareholder Services Inc.)は近く、2016年版の日本向け議決権行使助言方針(ポリシー)を決定する。それに先立ち、10月27日には同方針の改定案を発表し、今月9日までオープンコメントを募集している。

 改定案が2016年株主総会に影響を与える可能性を分析してみよう。・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2015/11/02 ISSが近く議決権行使助言基準を改定、2016年株主総会への影響は?(会員限定)

 議決権行使助言の世界最大手ISS(Institutional Shareholder Services Inc.)は近く、2016年版の日本向け議決権行使助言方針(ポリシー)を決定する。それに先立ち、10月27日には同方針の改定案を発表し、今月9日までオープンコメントを募集している。

 改定案が2016年株主総会に影響を与える可能性を分析してみよう。

1.取締役会構成要件の厳格化

2015年ポリシー 2016年ポリシー改定案
取締役会に社外取締役が1人もいない企業の経営トップに反対を推奨 取締役会に複数の社外取締役がいない企業の経営トップに反対を推奨

 この変更は2014年10月時点で公表されており、想定の範囲内と言える。多くの上場会社が、社外取締役を複数選任するか監査等委員会設置会社に移行するなどして既に対応済みか、2016年の株主総会に向けて対応を検討中であろう。

 注意したいのは、個別の機関投資家の動きだ。スチュワードシップ・コードは機関投資家に対し、「議決権行使助言会社の助言に機械的に依拠するのではなく、投資先企業の状況や当該企業との対話の内容等を踏まえ、自らの責任と判断の下で議決権を行使」することを求めている(指針5-4)。このため、個別の機関投資家が、社外取締役に独立性を求める、あるいは社外取締役の割合について基準を設ける(例えば「3分の1以上」など)など、ISS以上の厳格化を検討する動きが出て来る可能性がある。

2.買収防衛策ポリシーの厳格化

2015年ポリシー 2016年ポリシー改定案
第1段階:形式審査
●ISS基準に基づき独立しており、かつ出席率に問題のない社外取締役の比率が 5分の1以上(かつ2名以上)を占める
●買収提案を評価する特別委員全員がISS基準に基づき独立している
●招集通知が総会の3週間以上前に発送されている
●取締役の任期が1年である
●買収防衛策の発動水準が20%以上である
●有効期限が3年以内である
●他に防衛策として機能しうるものがない

第2段階:個別審査
●株主価値向上に向けた具体的な施策を発表し、その内容が妥当である

第1段階:形式審査
●ISS基準に基づき独立しており、かつ出席率に問題のない社外取締役の比率が3分の1以上(かつ2名以上)を占める
●買収提案を評価する特別委員全員がISS基準に基づき独立しており、かつ出席率に問題のない社外取締役か社外監査役である
●招集通知が総会の4週間以上前に証券取引所のウェブサイトに掲載されている
(以下、変更なし)

第2段階:個別審査
(変更なし)

 結論から言うと、この変更もほとんど影響を及ぼさないだろう。今回の改定では第一段階の形式審査において見直しが行われているが、ISSが買収防衛策に賛成を推奨するにあたっては、第1段階をクリアしても第2段階で厳しい審査があり、また、買収防衛策の更新に賛成推奨するには、同業他社を上回る株価パフォーマンスが求められる。このため、ISSが買収防衛策に賛成推奨するのは例年1~2件にとどまっている。そもそも支持を得ること自体が極めて難しいという状況に対して、今回の変更が何らかの影響を及ぼすことは考えにくい。

 以上をまとめると、「1 取締役会構成要件の厳格化」は既知の内容であること、「2 買収防衛策ポリシーの厳格化」はもとより賛成推奨を得るのが難しいことから、2016年の株主総会シーズンに対する直接的な影響は限定的だろう。コーポレートガバナンス・コードの適用開始などで「形式面」については議論が出尽くした表れとも考えられ、今後はISSの注目点もROE向上や株主還元など実質面に一層シフトすることが予想される。