2015/02/17 アウトソーシング先等が原因で起きた不祥事への対応

 かねてから頻発している食材の偽装問題や最近発生したベネッセの個人情報漏えい事件問題など、近年の企業不祥事の多くに共通するポイントがある。それは、サプライチェーンの上流やアウトソーシング先で起きた問題が自社の製品・サービスに影響を及ぼしているということである。

 そこで気になるのが、このようにアウトソーシング先等における問題によって事件が起きてしまった場合、自社の顧客に対してどこまで責任を負わなければならないのかという点だ。

 この点について検討する際には、・・・

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2015/02/17 アウトソーシング先等が原因で起きた不祥事への対応(会員限定)

 かねてから頻発している食材の偽装問題や最近発生したベネッセの個人情報漏えい事件問題など、近年の企業不祥事の多くに共通するポイントがある。それは、サプライチェーンの上流やアウトソーシング先で起きた問題が自社の製品・サービスに影響を及ぼしているということである。

 そこで気になるのが、このようにアウトソーシング先等における問題によって事件が起きてしまった場合、自社の顧客に対してどこまで責任を負わなければならないのかという点だ。

 この点について検討する際には、「社会的な責任」と「法的な責任」を分けて考える必要がある。

 まず社会的な責任としては、近年「サプライチェーンCSR」(個別企業、グループ企業内にとどまらず、取引先・パートナーを含むサプライチェーン全体でCSRを推進すること)という考え方が広がっているように、サプライチェーンの上流やアウトソーシング先の企業が起こした問題であるからといって「自社には責任はない」といった態度をとることは、不要な非難を招くだけである。

 一方、法的責任という観点からすると、アウトソーシング先等に対して「自社に責任がある」と言い切ることは、その後の「求償」に影響を及ぼしかねないため、避ける必要がある。例えば、サプライチェーンの上流の企業が製造した部品の不具合によって自社の製品の品質に大きな問題が発生し、顧客から損害賠償請求を受けたような場合、自社製品に瑕疵があった以上、まず自社が顧客に対し損害を賠償する必要がある。その後、部品供給契約締結の際に取り決めた「相手方に損害を発生させた場合には、損害賠償請求義務を負う」といった条項に基づき、当該部品会社に対し、顧客に損害賠償金を支払うことによって自社が被った損害について、その賠償を請求することになる(これが「求償」である)。

求償 : 賠償を求めること。ここでは、サプライチェーンの上流やアウトソーシング先の企業に賠償を求めることを想定している。

 取引先企業が原因となって引き起こされた問題にどこまで自社の責任を認めるかは、アウトソーシング先等が提供する部品やサービスなどの品質や管理に対して自社がどの程度コミットを求められていたか、監督責任を負っていたかにより左右される。例えばアウトソーシング先と言っても、事実上自社の監督下で作業にあたらせていたような場合には、求償は困難となることも考えられる。逆に、取引先を信頼して部品の製造等を任せ切っていたような場合には、しっかりと求償することが株主の利益に資する。求償すべきケースでしなければ株主代表訴訟のリスクがあることも念頭に置く必要がある。

2015/02/16 経営者出身の社外取締役が少ない理由とその解決策

 今年(2015年)6月1日から実施される予定の「コーポーレートガバナンス・コード」における重要項目の1つが(2人以上の)社外取締役の選任だが、既に多くの上場企業が社外取締役を登用している。その一方で、「なかなか適切な社外取締役候補がいない」という話もよく耳にする。

 社外取締役として是非お勧めしたいのが、他企業の元経営者である。実際に経営を経験した者が他企業を客観的な目でモニタリングすることは、企業経営上極めて有益だと言える。また、経営者にかかる重圧は経営を経験した者でないと理解できないと言われるが、同じ経験をした先輩から様々なアドバイスが期待できるというのは、経営陣にとっても心強い限りだろう。

 ところが日本では、社外取締役候補としての元経営者の供給に問題がある。というのも、・・・

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2015/02/16 経営者出身の社外取締役が少ない理由とその解決策(会員限定)

 今年(2015年)6月1日から実施される予定の「コーポーレートガバナンス・コード」における重要項目の1つが(2人以上の)社外取締役の選任だが、既に多くの上場企業が社外取締役を登用している。その一方で、「なかなか適切な社外取締役候補がいない」という話もよく耳にする。

 社外取締役として是非お勧めしたいのが、他企業の元経営者である。実際に経営を経験した者が他企業を客観的な目でモニタリングすることは、企業経営上極めて有益だと言える。また、経営者にかかる重圧は経営を経験した者でないと理解できないと言われるが、同じ経験をした先輩から様々なアドバイスが期待できるというのは、経営陣にとっても心強い限りだろう。

 ところが日本では、社外取締役候補としての元経営者の供給に問題がある。というのも、社長を務めた者はその後「会長」になり、さらには「相談役」になるというように、長期間にわたって同一企業に留まることになるのが多くの日本企業におけるパターンからだ。もちろん、自社の会長や相談役を務めながら他社の社外取締役になっている例は少なくない。しかし、この場合、自社の経営に多くの時間がとられてしまい、社外取締役としての役割に十分な時間を割けないことも考えられる。

 ここで、日本企業に対して1つ提案がある。社長が退任したら、自社の会長や相談役になるのではなく、自社を離れ、他社の社外取締役に就任する流れを作ることはできないだろうか。自社で会長や相談役となった場合、長年のしがらみから、経営上の問題点などを思うように指摘できないこともあろう。また、後継者である現在の社長が元社長に遠慮してしまう可能性もある。したがって、自社に留まるより他社に移った方が、自社に良い影響を及ぼすとともに、他社への貢献を通じ、日本経済の発展にも寄与することになる。「元経営者」の社外取締役が多くなればなるほど日本企業全体、そして日本経済が強くなるに違いない。日本企業の英断を期待したい。

2015/02/15 【役員会 Good&Bad発言集】コーポレートガバナンス・コードへの取り組み(1)

 東証第一部に上場しているCGC社(3月末決算)では、定例の取締役会が開催中である。ちょうど、すべての議題の審議が終了し、報告も一段落したところだ。そろそろ終了かと思われたとき、それまで腕を組んで目をつぶりながら報告を聞いていた社外取締役が、おもむろに鞄の中から書類を取り出し、スタッフに対して役員全員に配るよう指示を出した。社外取締役は、書類が全員にいきわたったのを確認して、ゆっくりとしゃべりだした。

「これは、先日までパブリックコメントを募集していたコーポレートガバナンス・コード原案です。皆さんもすでにご存じとは思いますが、近日中に本コードの確定版が公表される見込みです。当社でも、今後本コードを“Comply”するのか、 “Comply”せずに“Explain”するのかについての議論を深めていく必要があります。まずは、問題意識を持っていただくために、本日コピーをお持ちした次第です。」

 社外取締役の呼びかけに対して、それぞれが次のような発言をしました。次のAからCの発言のうち、誰の発言がGOOD発言でしょうか?

取締役A:「原則1-4には、政策保有株式ごとに『リターン』と『リスク』の見通しを検証し、検証結果を公表しないといけないとあります。わが社は得意先との関係強化のために、多くの得意先の取引先持株会に入っていますが、それも考え直さないといけないですね。」

取締役B:「補充原則4-1③に従うのであれば、最高経営責任者等の後継者の計画を作成しないといけなくなります。後継者の具体的な名前が入った計画書の作成が求められている以上、さっそく「計画書」に掲載する後継者の人選に着手しましょう。」

取締役C:「わが社の場合、6月の株主総会で社外取締役を追加選任する予定です。また、今年は社内取締役の方の選任も予定していると聞いています。“Comply or Explain”の方針をどうするのかは、新たに選任された方々を交えて議論を進めるべきではないでしょうか。そうであれば6月の定時株主総会直後に“Comply or Explain”の方針等を開示するのは不可能です。じっくりと議論をしたうえで今年の秋頃に開示するスケジュールでよいのではないでしょうか。」

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解説と正解はこちらをクリック
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2015/02/15 コーポレートガバナンス・コードへの取り組み(1)(会員限定)

<解説>
猶予期限を利用してじっくり議論

 コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議の第1回会議が開催されたのは昨年(2014年)8月のことでした。同年12月にはコーポレートガバナンス・コードの原案が公表され、今年(2015年)の1月までパブリックコメントの手続に付されていました。来月(2015年3月)には確定版が公表され、6月から適用されることになります。このスピード感は従来の制度改正にはないほどの速さであり、上場会社からは「拙速すぎる」との批判も上がっていますが、制度開始時期は2014年6月にとりまとめられた政府の成長戦略「『日本再興戦略』 改訂 2014」を受け、政治的に決められたスケジュールに基づくものであり、もはや導入が延期されることはありません。

 もっとも、2月24日に東京証券取引所が公表した上場規則の改正案「コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備について」によると、コーポレートガバナンス・コードに対応したコーポレート・ガバナンス報告書の提出は、定時株主総会後6か月後まで猶予があるとされています。3月決算の上場会社であれば、定時株主総会は6月下旬に開催されるのが通常ですが、その場合2015年12月下旬がコーポレート・ガバナンス報告書(コーポレートガバナンス・コード対応部分)の提出期限になるわけです(2015年2月25日のニュース「ガバナンスコード対応は12月まで猶予あり!?」を参照してください)。

 以上より制度自体は2014年6月よりスタートしますが、上場会社はスタートと同時に“Comply or Explain”の方針等を開示しなければならないわけではなく、3月決算の場合12月まで余裕があることになります。とりわけこの6月の定時株主総会で社外取締役を新たに選任したり、新たな社内取締役を選任したりする予定のある上場会社では、この猶予期限を利用して、新たなボードメンバーによる新鮮な視点を参考にしながら、自社のガバナンス体制のあるべき姿をじっくりと議論していただきたいところです。

取締役・監査役はコードの熟読が必須

 じっくり議論することが必要と言っても、方向性を間違えたままいたずらに議論に時間を掛けてしまうことは避けたいところです。コーポレートガバナンス・コードは法令のようなハードローと異なり、ソフトローであることから、厳密な定義規定は設けられていません。それだけに、解釈に幅が出る項目もいくつか見受けられるようです。今後公表されるコーポレートガバナンス・コードの確定版を取締役・監査役の全員が読み込んで熟読し、解説書等を照らし合わせて、コードが意図する内容を全員で共有したうえで“Comply or Explain”の方針を決める必要があります。

以上の解説とコーポレートガバナンス・コード(原案)をご覧いただければ、誰の発言がGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役C:「わが社の場合、6月の株主総会で社外取締役を追加選任する予定です。また、今年は社内取締役の方の選任も予定していると聞いています。“Comply or Explain”の方針をどうするのかは、新たに選任された方々を交えて議論を進めるべきではないでしょうか。そうであれば6月の定時株主総会直後に“Comply or Explain”の方針等を開示するのは不可能です。じっくりと議論をしたうえで今年の秋頃に開示するスケジュールでよいのではないでしょうか。」
コメント:コーポレートガバナンス・コード自体は2015年6月から上場会社に適用されることから、6月の株主総会直後に“Comply or Explain”の方針等を開示しようと思えばできなくもないでしょう。しかし、6月の株主総会で新たな取締役を選任する予定がある以上、その方々も議論に参画させるべきです。新たな取締役の方に会社の現状を理解してもらい、あるべきガバナンス体制についてじっくりと議論をするのであれば、3か月程度の時間がかかることは必至です。「誰が議論すべきか」という視点に基づくC取締役の発言はGOODです。

BAD発言はこちら
取締役A:「原則1-4には、政策保有株式ごとに『リターン』と『リスク』の見通しを検証し、検証結果を公表しないといけないとあります。わが社は得意先との関係強化のために、多くの得意先の取引先持株会に入っていますが、それも考え直さないといけないですね。」
コメント:コーポレートガバナンス・コード(原案)には「毎年、取締役会で主要な政策保有についてそのリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証」と記載されています。A取締役は「主要な政策保有」を「政策保有株式ごと」と誤読していることから、BAD発言となりました。何をもって「主要」とするのかは、各社が判断することになります。また、公表が求められているのは「検証結果」ではなく「保有のねらい・合理性」です。この点を誤読していることもBAD発言です。3月中に公表予定のコーポレートガバナンス・コード確定版でどのような表現に落ち着くのか注意したいところです。
取締役B:「補充原則4-1③に従うのであれば、最高経営責任者等の後継者の計画を作成しないといけなくなります。後継者の具体的な名前が入った計画書の作成が求められている以上、さっそく「計画書」に掲載する後継者の人選に着手しましょう。」
コメント:コーポレートガバナンス・コード(原案)には「最高経営責任者等の後継者の計画(プランニング)について適切に監督を行うべき」と記載されています。コード(原案)に記載されているのはあくまで「プランニング」であり、具体的な「計画書」(プラン)というドキュメントを作ることまでは求められていません。すなわち、コード(原案)の記載振りからは静的な“ドキュメント”ではなく、動的な“プロセス”が重視されていることを読み取ることができます。以上より、本コードに”Comply”する場合であっても、具体的な個人名を記した文書の作成は不要です(実際のところ、「作成しろ」と言われても、作成は不可能ではないでしょうか)。B取締役の発言は用語の言い回しの違い(「プランニング」と「プラン」の違い)に気付いていなかった点でBAD発言です。

2015/02/15 【特集】エンゲージメントの時代―スチュワードシップ・コードが意味するもの (3・会員限定)

4.日本版スチュワードシップの課題

【3つの課題】

 日本でスチュワードシップを展開するうえで3つの留意点がある。まず第1に、企業の持続的な成長へ寄与することがスチュワードシップ責任の重要な要素と考えられている点である。英国Stewardship Codeの2012年の改訂版でも企業の長期的な成功という観点は取り入れられているが、日本版ほど強調されていない。

 第2に、「代表性の問題」にどのように対処するかである。代表性の問題とは、エンゲージメントの当事者が機関投資家一般の意見をどの程度代表しているか、ということである。英国では、少なくも1990年代において当事者の代表性は特に問題とされなかった。これは、英国に特有の緊密な投資家コミュニティーが存在していたからで、考え方の均質性ゆえに合意形成も容易と考えられていた(注2)。一方、日本では緊密なコミュニティーという前提はもとより成立しない。

 第3の留意点は、会社のガバナンスのあり方である。日本企業は従来、組織内のステークホルダー間(例えば、経営成果をあげるために若手幹部の協力を引き出さねばならない経営トップと、経営トップの施策により会社の将来、ひいては自らの将来が左右される若手幹部の間)の相互チェックに重きを置いてきた(注3)。英米企業が内部より外部からのチェックを重視するのと対照的である。また、事業への長期的なコミットメントを持つ者が意思決定に関する発言権も持つべき、という考え方が日本企業では根強い。このような日本企業の特性に照らすと、投資家の主張を内部者の関心に共鳴させることが肝要である。

【投資家フォーラムの構想】

 以上のような3つの留意点を押さえ、機関投資家によるスチュワードシップ活動を前に進める装置として投資家フォーラムが構想されている。これは、機関投資家が中心となって設立するもので、その具体的な形と内容については、経済産業省・企業報告ラボ・投資家フォーラム作業部会に有志が集まって検討を重ねている(注4)。
 これまでの議論の中で、投資家フォーラムが備えるべき条件が明らかになってきた。最も重要なのは、発言内容に関して経営者に聞く耳をもたせるだけの見識と力量を投資家フォーラムが持つことである。また、見識と力量を備えたオピニオン・リーダーとして広範な機関投資家の支持を集めることも、上述した「代表性」という観点から必要な条件である。さらに、相互の信頼なくしては建設的な対話は行えないから、経営者との持続的な信頼関係を構築することが必要である。

 機関投資家が集う場としての投資家フォーラムには3つの異なる機能があると考えられる。1つは、投資家の見方を集約して経営者に提示する情報発信機能である。これはシンクタンク機能と言い換えられるかも知れない。2つ目は機関投資家の実力を高めるための教育機能、すなわち研究会あるいは勉強会を主催する機能である。最後は、英国のように機関投資家が連携して集団の力で経営者に圧力をかける装置としての機能である。それぞれの機能は独立しており、複数の投資家フォーラムがそれぞれの機能に特化することも十分考えられる。我々有志が目指すのはシンクタンク機能である。英国流の集団による力の行使は我々が目指すところではない。なぜなら、我々が考える投資家フォーラムの役割は、粘り強い対話を通じて、変化を目指す社内のイニシアティブを作り出し、それを後押しすることだからである。そのためには、見識と実力、広範な投資家の支持、経営者との信頼関係が極めて重要である。

【経営者がとるべき対応】

 投資家フォーラムの見識と実力を背景に機関投資家がエンゲージメント活動を展開するとき、経営者がとるべき対応を考えてみよう。
 エンゲージメントの時代の経営者と株主との関係は、株式持ち合い時代のそれとは大きく変化すると予想される。持ち合い時代の安定株主は金融機関や事業会社を中心とするモノ言わぬ株主だった。「新しい時代の安定株主」は、エンゲージメント活動を展開するモノ言う機関投資家なのである。実際、10社程度の有力機関投資家が経営者を支持すれば、株主総会で30~35%程度の支持票を確保でき、経営を安定化させられる。こうした新しい株主基盤を築くためには、経営者はスチュワードとなりうる機関投資家を見定め、これと持続的に対話することが必要である。機関投資家との対話の窓口として投資家フォーラムが果たすべき役割は大きいと考えられる。

5.おわりに

 日本版スチュワードシップ・コードはエンゲージメントに「目的を持った対話」という訳語を当てている。これは金融庁の独創でなく、英国のStewardship Codeでも同じように言い換えられている。その意味するところは、エンゲージメントが単なる対話でなく、議決権を背景に「株主が意図をもって行う交渉」の性格を持つということである。さらに、英国でスチュワードシップの概念が導入された歴史を振り返ると、エンゲージメントがもう1つ異なる意味を持たされていることが分かる。つまり、企業に対する規制強化という政策的な枠組みの中で機関投資家の役割が強化され、それに伴って、エンゲージメントは公共的な意味を帯びるようになった。日本版スチュワードシップ・コードも、民間企業の意識改革というアベノミクスの政策的要請から制定されている。

 一方、個々の会社経営というミクロの観点から見ると、エンゲージメントは、株式持ち合い後における安定的な経営者・株主関係の重要な要素と言える。すなわち、株式持ち合いに依存した経営者・株主関係が過去のものとなりつつある中で、経営者はかつてのモノ言わぬ与党株主に代わって、モノ言う「スチュワード」株主との対話に努め、その支持を持続的に取り付けることが求められる。すなわち、スチュワードシップと経営の安定化は両立しうるものである。投資家フォーラムは、こうした新しい経営者・株主関係を支える要の役割を果たすことになろう。

<注>
(1)江口(2013)、およびそこに引用されている文献を参照。
(2)詳細は江口(2013)を参照。
(3)組織内の相互チェックについては、江口(2014)が簡潔にまとめている。
(4)https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/if_sagyobukai.html

<参考文献>
◆Arcot, Sridhar and Valentina Bruno. 2011. Silence is not Golden: Corporate Governance Standards, Transparency and Performance, mimeo.
◆Chiu, Iris H-Y. 2010. The Foundations and Anatomy of Shareholder Activism, Oxford: Hart Publishing.
◆Luo, Yan and Steven E. Salterio. 2014. Governance Quality in a “Comply or Explain” Governance Disclosure Regime, Corporate Governance: An International Review, 22:460-481.
◆江口高顯「株式持ち合い『後』の経営者・株主関係における機関投資家の役割」『証券アナリストジャーナル』第51巻第10号41-51頁(2013年10月)。
◆江口高顯「エンゲージメントの時代―日本における展開」コラム(2014年9月)。https://www.rieti.go.jp/jp/projects/fcga2011/columns2/21.html
◆宮島英昭・新田敬祐「株式所有構造の多様化とその帰結―株式持ち合いの解消・「復活」と海外投資家の役割」(宮島英昭編著『日本の企業統治―その再設計と競争力の回復に向けて』第2章、東洋経済新報社、2011年)。
◆Interim Report of the Committee on Capital Markets Regulation, Washington: CCMR (November 30, 2006).
◆[Kay Review] The Kay Review of UK Equity Markets and Long-Term Decision-Making–Final Report, London: Department for Business, Innovation & Skills (July, 2012).
◆[Cadbury Report] Report of the Committee on the Financial Aspects of Corporate Governance, London: Gee (December 1, 1992).
◆[Walker Review] A Review of Corporate Governance in UK Banks and Other Financial Industry Entities–Final Report, London: Walker Review Secretariat (November 26, 2009).

2015/02/15 【特集】エンゲージメントの時代―スチュワードシップ・コードが意味するもの(2・会員限定)

2.何故いまエンゲージメントか?

【規制の担い手としての機関投資家】

 日本版スチュワードシップ・コードが手本とする英国のStewardship Codeが制定される直接のきっかけとなったのは、Walker Review(2009)における提言である。この報告書は、金融危機を引き起こした重要な要因が銀行をはじめとする金融機関の「ガバナンス不全」にあることを指摘し、機関投資家による投資先企業に対するスチュワードシップ責任の強化を求めた。報告書で問われたのは、過大なリスクをとった金融機関はもちろん、事業会社を含めた企業一般の行動に対する「規制」の問題である。この問題に対処するために、法令等による規制の強化に加えて、機関投資家による会社に対する働きかけの強化が求められた。そして、この政策意図の実効性を高めるためにStewardship Codeの制定が提言された。

 株主権限を介した企業への規制という発想は、この時期の米国にも見られる。民間研究団体 The Committee on Capital Markets Regulation (通称Paulson Committee)は有名な報告書 Interim Report(2006)を公表し、株主権限の強化を提案している。その背景には、エンロン事件後の企業に対する規制強化の流れの中で、機関投資家を中心とする株主に一定の役割を負わせようという政策意図がうかがえる。

 同様の発想は、日本版スチュワードシップ・コードでも貫かれている。企業の持続的成長というアベノミクスの政策課題を実現する手段として、機関投資家による会社との建設的な対話が位置付けられている。公共政策的な文脈の下で機関投資家の役割が強調されている点は、英米における一連の動きと轍を一にするものである。

【時代の潮流―エンゲージメントの時代】

 一方、公共政策的な文脈を離れて歴史的な観点に立つと、いま日本でエンゲージメントが注目されているのは、株式持ち合いの解消が進む中で、経営者と株主の関係が変化してきているからである。株式所有構造における相互持ち合いの浸透を反映して、高度成長期から1990年代前半までは、大企業の主要な株主は金融機関や事業会社だった。しかし2000年代以降は、内外の機関投資家の保有ウェートの方が大きくなっている(宮島・新田 2011)。
 先進国の中でいち早く株主構成が機関投資家中心となったのは英国だった。機関投資家によるエンゲージメントはそうした英国で発達し、経営者・株主関係を安定化させる要因となった(注1)。持ち合い解消により経営者・株主関係が不安定化する中で、英国の経験に倣い、エンゲージメントを軸とする新しい安定的な関係を模索することは自然な発想といえよう。

3.英国での経緯

【エンゲージメントとベスト・プラクティス・コード】

 英国では、分散的な株主構成の下で1980年代から90年代にかけて機関投資家による株式所有が進んだ。その中で、個々は少数株主である機関投資家が連携して投資先の会社に働きかけるという行動パターンが生まれた。当初、こうした行動は参加する個々の投資家の利益保護という私的な動機に基づくものだった。しかし、後に公共的な要素が付加されることにより性格が変化する(Chiu 2010)。変化の契機となったのが、Cadbury Report(1992)である。同報告書は、英国企業が遵守すべきコーポレート・ガバナンスの基準として「ベスト・プラクティス・コード」を提示し、対象となる上場会社に遵守状況の公表を求めた。その後、遵守状況の開示は上場規則に取り入れられる。機関投資家には、上場規則の下で個々の会社と向き合って基準の遵守状況をチェックする役割が期待された。
 機関投資家の役割について説明するためには、コンプライ・オア・エクスプレイン(comply or explain)に触れる必要がある。これは、定められた基準の遵守を自発的に促すための1つの方法であり、ベスト・プラクティス・コードでもこの方法がとられた。具体的には、ベスト・プラクティス・コードあるいはそれを取り入れた上場規則は、上場会社に対し「遵守状況の開示」を求めた、すなわち、コードが示す基準を会社が既に遵守している場合はその旨を開示し、一方、遵守していない場合にはその理由を開示することを求めたのである。強制的に遵守を求めるのでなくこのようなソフトな方法をとる理由は、コーポレート・ガバナンスに関して、すべての会社に一様に適用できる万能の基準はないと考えるからである。こうした考えに基づきコーポレート・ガバナンスの多様性が重視され、基準遵守に関しても柔軟な対応が認められた。この考え方は、ベスト・プラクティス・コードを母体とする現在の英国ガバナンス・コード(The UK Corporate Governance Code 2014年9月版)にも受け継がれている。そして、コンプライ・オア・エクスプレイン型の規制ルールを採用した日本のガバナンス・コードにも影響を与えているものと推測される。

 ただ、基準の多様性と遵守への柔軟な対応を重視した場合に生じる1つの懸念が、基準から乖離する正当な理由がないにもかかわらず基準の非遵守を表明することがまかり通ってしまいかねない点である。実際、内容がどんなに乏しく形式的だったとしても、一定の説明さえ開示すれば義務を果たしたことになるので、確信犯的にそのような開示戦術をとる会社があったとしてもおかしくない。そこで期待されるのが機関投資家の働きである。会社の説明が不十分と判断すれば対話を呼びかけ、会社に納得の行く説明を求める。こうした機関投資家の行動により、会社に対して十分な説明を行う圧力がかかり、その結果として、正当化できない基準からの乖離が排除されることになる。一方、機関投資家が納得できる説明さえ提供すれば基準からの乖離も許容されるので、会社ごとの多様性が損なわれることがない。実際、「根拠ある基準からの乖離」を尊重することは重要である。コンプライ・オア・エクスプレイン型の規制の下で非遵守項目に関する説明をしっかり行う会社は、すべての項目を遵守する会社よりもむしろ企業パフォーマンスが良い、とする実証分析の結果が報告されている(Arcot & Bruno 2011, Luo & Salterio 2014)。

【公共的な要請とビジネスモデルの不調和】

 このように英国では、機関投資家に対し、基準の遵守状況に関して個々の会社と向き合う役割が期待された。ただ、実はここに問題がある。それは、こうした要請と機関投資家、なかでも運用会社の利益は必ずしも一致しないということである。一連の不祥事や企業破綻を受けて英国でベスト・プラクティス・コードが導入された経緯からも分かるように、投資家にとって、基準遵守によるガバナンス向上の意義は「最悪の事態」を回避することにあると考えられる。一方、そのことが運用成果にどれだけプラスに貢献するかは必ずしも明らかでない。仮に基準遵守による運用成果への貢献が一定程度あるにしても、それは長期的な性格のものとみることが恐らく妥当だろう。会社と向き合うことに伴うコストは確実であるのに対し、その便益は必ずしも定かでなく、さらに他の株主と分かち合わなければならない。そうだとすれば、運用会社が、会社と向き合う役割は他者に押しつけて自分は動かないという行動パターンをとったとしてもおかしくない。

 しかも、基準の遵守状況について個々の会社と向き合うことは、運用会社の投資手法と調和しないという事情もある。実際、大手運用会社の市場における存在意義は、零細投資家に対しても低いコストで分散投資の機会を提供することである。投資手法は「広く浅く」が前提で、個々の会社と向き合うために必要とされる「集中とコミットメント」とは相反するのである。

【エンゲージメントの梃入れとスチュワードシップ】

 このように機関投資家への期待と機関投資家自身の意識が乖離する一方、1990年代以降はエンゲージメントの制度化が進んだ。これに伴い、多くの運用会社が定期的に投資先の会社と面談するようになったが、対話の内容は、取締役会の構成や役員報酬の在り方など、企業経営の内容まで立ち入らなくとも論じられる事柄が中心だった。

 このような制度化したエンゲージメントを問題視したのがWalker Review(2009)である。同報告書は、会社ごとの事情にもっと立ち入り、とりわけ企業パフォーマンス向上を意図したエンゲージメントを行うことを機関投資家に対して求めた。そして、エンゲージメント強化のため、機関投資家の責任をスチュワードシップ・コードの形で明確にすることを提案した。すなわち、かつては自己の利益保護を目的とした交渉テクニックでしかなかったエンゲージメントが、ここにおいて明確に公共的な責務として「義務化」されることになった。スチュワードシップ強化の問題意識はKay Review(2012)に引き継がれる。同報告書は市場に蔓延する短期主義に警鐘を鳴らし、機関投資家に対し、会社の長期的なパフォーマンスに資するエンゲージメントを求めている。

「4.日本版スチュワードシップの課題」へ(会員限定)

2015/02/15 【特集】エンゲージメントの時代―スチュワードシップ・コードが意味するもの

江口 高顯
一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士後期課程在籍
経済産業省企業報告ラボ「投資家フォーラム」作業部会メンバー
(金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」元メンバー)

1.はじめに

 2013年6月、安倍内閣は「日本再興戦略」を閣議決定し、そのアクションプランの中で日本企業のガバナンス強化を打ち出した。アクションプランの柱の1つが2014年2月に公表された「責任ある機関投資家の諸原則」、日本版スチュワードシップ・コード である。そして、もう1つの柱が同年12月にまとめられた「コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)」、コーポレートガバンス・コード原案 である。本稿では日本版スチュワードシップ・コードに盛り込まれたスチュワードシップの考え方を中心に、日本におけるエンゲージメントの展開を論じたい。ここでいうエンゲージメントとは、投資先企業の株主総会で行使する議決権を背景に、年金基金や生命保険会社といった機関投資家および機関投資家から株式運用を受託する運用会社(以下、併せて「機関投資家」)が経営陣と行う対話活動をいう。日本版スチュワードシップ・コードでは「目的を持った対話」という訳語を当てており、スチュワードシップの中核をなす概念である。

 本稿の主張は、次のようにまとめられる。すなわち、(1)日本企業の特性に合わせて取り組まれるエンゲージメントを軸として今後の経営者・株主関係が形作られる、(2)株式持ち合いに基づく関係が崩れる中、経営者がとるべき対応は、持続的な対話にもとづき新しい株主基盤を築き上げることである――の2点である。

 本稿では、最初に「何故いまエンゲージメントが注目されるのか」について、公共政策的な文脈および時代の潮流という2つの観点から論じる。日本版スチュワードシップ・コードの手本となったのは、2010年6月に初版が公表された英国のStewardship Codeである。そこで次に、英国でスチュワードシップの考え方が打ち出された経緯を振り返る。そこから浮かび上がるのは、エンゲージメントに付加された責任の観念である。続くセクションでは、話題を再び日本に戻す。スチュワードシップを展開していくうえでの課題を整理し、スチュワードシップ活動を前に進める装置としての「投資家フォーラム」構想を紹介する。さらに、経営者がとるべき対応についても論じたい。

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筆者略歴
1976年東京大学理学部物理学科卒業。同理学系研究科修士(科学史)。
米ペンシルバニア大学大学院修士(経済学)。2003年から英系および米系の運用会社にて議決権行使業務に従事。金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」元メンバー。経済産業省・企業報告ラボ「投資家フォーラム作業部会」メンバー。現在は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士後期課程(経営法務)に在籍する傍ら、コーポレート・ガバナンスに関連する活動に従事している。

2015/02/15 【総務等】コンサルティング契約を締結したい

 

その課題、自力で解決できますか?

会社は、何らかの課題を常に抱えているのが通常です。会社の規模が拡大することで自然に解決に至る課題もあれば、逆に大きくなったがゆえに浮上する課題もあります。課題を一つ解決するたびに、別の課題が浮上する様子は、まさに“イタチごっこ”です。既存事業のテコ入れ、新事業の開拓、海外進出、M&A、生産・物流改革、社内システムの一元化、アウトソーシングの拡大、人事制度の変更等、会社の生き残りを賭けて解決しなければならない課題は、極めて多岐にわたります。

このような課題を解決しようにも、次のような状況があると、自力での解決ができません。
・社内だけで考えていても答えが出ない(ノウハウ不足)
・社内のリソースだけでできるかもしれないが、確実性に欠け(不確実性)、時間がかかりすぎる(時間的制約)

変化の激しい現代では、こういったリソース不足に直面する企業は少なくありません。リソース不足の解消には、そのようなノウハウを備えた人材をヘッドハンティングしたり、ノウハウや人材を備える会社を買収したり、その分野に長けたコンサルティング会社の力を借りたりといった策が考えられます。

また、上に加えて次のような状況もあれば、リソース不足の解消策としてコンサルティング会社の利用が有効です。
・課題解決に伴うリスクを可能な限り小さくしたい(リスクマネジメント)
・外部の専門家を入れることで、課題解決に説得力を持たせたい(社内の抵抗勢力を抑えたい)

もっとも、コンサルティング会社の利用の仕方によっては、狙いどおりの効果が得られないばかりか、かえって不利益を生む可能性もあります。例えば、コンサルティング会社の提案を丸呑みするケースがその一例です。コンサルティング会社によっては、戦略立案から業務プロセスの設計、実際の導入からその後のオペレーションまでワンストップで対応可能なところもあるので、すべてをアウトソーシングすることもあるでしょう。しかし、課題解決に向けてサポートしてもらうだけでなく、最終目標の提案まで依頼して、それを社内で何ら検討せずに丸呑みするようでは、上場会社としての適格性に欠いていると言われても仕方がありません。投資家の負託に応えるためには、重要な意思決定は、いわば“通りすがり”のコンサルタントではなく、会社の理念や企業文化、事業内容を肌感覚で熟知している会社の取締役が担うべきだからです。取締役は、明確なビジョンのもと、自らの責任でゴールを設定して、そのゴールにたどり着くために必要な手段としてコンサルティング会社の利用を検討すべきです。また、取締役はコンサルティング会社との間で何を(幅)どこまで(深さ)依頼するのかを事前に合意しておき、工程表で進捗管理をしながら、部分的に納品を受け検収を行い、段階的に意思決定をすることが重要です。

また、事業内容や企業文化にマッチしないシステムや仕事の進め方、報酬制度などが導入されることで、現場が混乱し、かえって効率が悪化したり、従業員のモチベーションが低下したりするケースも耳にします。そういった事態に陥ることを防ぐために、取締役としては、コンサルティング会社の提案が、会社の風土になじむものか、こちらの意図を汲んだものであるか、現実を無視した一方的なものになっていないかの検討が求められます。

その他、コンサルティング会社に過度に依存することで、社内の人材が育たない、もしくは従業員のモチベーションが低下するといったデメリットがあることにも留意すべきです。

取締役は、そういったデメリットも考慮しながら、コンサルティング会社を利用するかどうかを判断する必要があります。

コンサルティング会社の選び方

コンサルティング会社を利用する可能性が高まった場合、次に検討するのはコンサルティングを受けることの費用対効果です。コンサルティング費用は高額になるケースが多いため、果たしてそれに見合った成果を得られるのか、原則として複数のコンサルティング会社から提案をしてもらい、相見積りを取ります。もっとも、コンサルティングはコモディティなサービスではないため、単純に価格だけで判断できません。サービスの内容や費用対効果の程度を慎重に検討する必要があります。

コモディティ : 石油や金属、小麦のような市況製品。転じて、製品・サービスの機能・品質などが均質である状態。

コンサルティング会社は、それぞれ「戦略系」「会計系」「IT系」「人事系」など得意分野を有しています。「業界特化系」「シンクタンク(総合研究所)系」といった会社も存在します。また、外資系・国内系といった違いから規模の大小まで様々です。インターネットで検索すれば各分野の主要なコンサルティング会社がすぐに見つかりますので、特に当てがなければ、まずはそこから何社かピックアップすればよいでしょう。プロジェクトの規模にもよりますが、各社から一般的な情報(サービス案内、価格等)を入手し一次選考としてふるいにかけ、二次選考で詳細な情報を与えて具体的な提案を受けるといったステップを踏むことが基本になります。

提案を受ける事前情報として、例えば以下の内容をコンサルティング会社に伝えます。・・・

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社内での諸手続から契約まで

上記の検討を行い、最終的にはコンサルティング会社を1社に絞るわけですが、社内手続としてその意思決定過程を明確に記録しておく必要があります。どのような選定プロセスを踏んで、どのような理由で誰が最終的な決裁を行ったか、その判断の過程を記録を残し、万が一判断の合理性・正当性が後日問題になった時に・・・

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プロジェクトへの取り組み方と成果の測定

高額な費用をかけてコンサルティングを依頼したうえで、「理屈はわかるが実際は無理」「絵に描いた餅」「助言どおりに実行しても、大した効果がなかった」というような結果に陥ることは避けなければなりません。そのためには、・・・

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特定の利害関係者との契約は避ける

取締役が個人で株式を所有している会社のような、自社と特別な利害関係を有するコンサルティング会社(以下、「関連当事者会社」とします)とコンサルティング契約を結ぶ場合は、いくつか注意すべき点があります。

「李下に冠を正さず」といった故事があるとおり、関連当事者会社との契約は可能な限り締結すべきではありません。関連当事者会社への評価基準が甘くなったり、取締役に遠慮して自社の要望を強く主張できなかったりして、想定した効果が満足に得られないまま、会社財産が不当に流出する可能性があるからです。また、たとえ相見積もりを取ったとしても、コンサルティングの場合、上述したとおりコモディティなサービスではないため、単純に費用だけで判断できるものではないからです。それでもなお関連当事者会社にコンサルティングを依頼する場合、利益相反取引の承認の必要性を検討すべきです。

なお、上場会社がこのような関連当事者会社と取引を行う場合には、・・・

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独立性強化のきっかけはエンロン事件

会計、経理、財務および内部統制等に関する分野では、財務諸表や内部統制の監査業務を通じて自社の状況を熟知している会計監査人にコンサルティング業務を依頼した方が何かと利便性が高いと考えるかもしれません。しかし、会計監査を行っている会計監査人があたかも経営者のように会社の業務の遂行や意思決定を行うと、結果的に自らの業務を自らが監査する(これを「自己監査」と言います)ことになり、また多額のコンサルティング報酬を受け取り、やがてその報酬に監査人自体が依存するようになると、第三者としての客観的な視点で監査意見を表明できなくなるのではないかという懸念が発生します。これは、過去より指摘されてきたいわゆる監査人の独立性に関する問題ですが、米国における2001年のエンロン事件を発端として社会的な法改正機運が高まり、・・・

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