2014/07/03 (新用語・難解用語)ISDS

 今年(2014年)の株主総会でパナソニックが「脱日本依存」を打ち出すなど、日本企業の海外進出は加速する一方だが、企業が海外に投資する際に考慮しなければならないのが、カントリーリスク*だ。例えば、X国で投資活動を行っているY国のA社とX国政府との間で利害の不一致が発生し、紛争に発展するようなことが起こり得る。この場合、X国の司法手続きに中立性があればX国で裁判をすればよいが、特に新興国では、この中立性に懸念があるケースが少なくない。そこで活用されているのが「ISDS(Investor-to-State Dispute Settlement=国家と投資家の間の紛争解決)」という国際仲裁による投資紛争解決の仕組みだ。上記例で言うと、A社はX国ではなく「Y国」において国際仲裁による中立的な解決ができるよう、X国とY国の間でISDSを締結することになる。

* 投資や貿易を行う国の政治・経済情勢や新たな取引規制などにより受けるビジネス上のリスクのこと。一般に、カントリーリスクは先進国より発展途上国の方が高い。

 ISDSは、投資協定*1に「ISDS条項」を盛り込むことで適用が可能であり、投資を呼び込みたい新興国(上記の例ではX国)と自国企業の海外投資リスクを軽減したい先進国(同Y国)の間の投資協定やEPA*2(Economic Partnership Agreement、経済連携協定)の多くに盛り込まれている。日本政府も、海外進出する日本企業の保護の観点から、既に締結している25本のEPAや投資協定のうち実に24本について、ISDS条項を盛り込んでいる。

*1 企業が海外に会社や工場を設立したり、海外企業を買収する際の条件やルールを二国間(投資する側、される側の国)であらかじめ決めておくこと。

*2 関税撤廃などを定めた自由貿易協定(FTA=Free Trade Agreement)をベースに、投資規制の撤廃、知的財産制度など経済制度の調和、各種の経済分野での協力などを追加した条約。

 日本企業の投資先としては現状、新興国が中心となっているため、ISDSはほぼ新興国との間のみで締結されている。もちろん、市場として魅力のある先進国への投資も検討されるべきであるが、実は先進国の中にはISDSの締結を認めないところもあるので注意する必要がある。

 例えば・・・

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2014/07/02 企業の採用意欲に影響の恐れ 修正版IFRSに調整表を添付も

 既にお伝えしたとおり、修正版IFRS*1については、「のれんの非償却」「OCI*2ノンリサイクリング*3」の2点をIFRSから削除したものとする方向で議論が収束しつつあり、7月中あるいは8月にも公開草案が公表される見込みとなっている(のれんの非償却については2014年4月7日のニュース「IFRS敬遠理由の1つ「のれん=非償却」という世界の常識は変わるか?」、OCIのノンリサイクリングについては2014年4月16日のニュース「持合株式の売却益は“利益操作”の道具か」参照)。

*1 IFRSの一部を自国会計基準に取り込んだもの(IFRSの一部を自国会計基準に取り込むことを「エンドースメント」という)。

*2 IFRSでは、会計上の操作がやりやすい「純利益」よりも、会社の資産の増減、すなわち「期末の純資産額-期首の純資産額」により求められる「包括利益(CI=Comprehensive Income)」が重視されている。この包括利益と純利益の関係を算式で表わせば「包括利益=純利益+その他の包括利益」となる。すなわち、「その他の包括利益(OCI= Other Comprehensive Income)」とは、純利益と包括利益の差額であり、「純資産のうち純利益(損益計算書)とは関係のないもの(=損益計算書に記載されず、直接貸借対照表に計上されるもの)」を指す。例えば、持合株式のような長期保有目的の有価証券の評価差額(帳簿価格と時価の差額)などはこれに該当する。同様に、持合株式の売却益もOCIとなり、永久に純利益として計上されることはない。

*3 その他の包括利益=OCIから純利益への振り替えを認めないこと。認めることを「リサイクリング」という。

 あとは修正版IFRSの名称をどうするかという問題さえクリアすればという段階まで来ているかと思いきや(2014年6月9日のニュース「IFRS採用企業数を左右する日本版IFRSの“ネーミング問題”」参照)、ここに来て、企業の修正版IFRS採用意欲に大きく影響しかねない問題が浮上した。

 これは、・・・

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2014/07/02 企業の採用意欲に影響の恐れ 修正版IFRSに調整表を添付も(会員限定)

 既にお伝えしたとおり、修正版IFRS*1については、「のれんの非償却」「OCI*2ノンリサイクリング*3」の2点をIFRSから削除したものとする方向で議論が収束しつつあり、7月中あるいは8月にも公開草案が公表される見込みとなっている(のれんの非償却については2014年4月7日のニュース「IFRS敬遠理由の1つ「のれん=非償却」という世界の常識は変わるか?」、OCIのノンリサイクリングについては2014年4月16日のニュース「持合株式の売却益は“利益操作”の道具か」参照)。

*1 IFRSの一部を自国会計基準に取り込んだもの(IFRSの一部を自国会計基準に取り込むことを「エンドースメント」という)。

*2 IFRSでは、会計上の操作がやりやすい「純利益」よりも、会社の資産の増減、すなわち「期末の純資産額-期首の純資産額」により求められる「包括利益(CI=Comprehensive Income)」が重視されている。この包括利益と純利益の関係を算式で表わせば「包括利益=純利益+その他の包括利益」となる。すなわち、「その他の包括利益(OCI= Other Comprehensive Income)」とは、純利益と包括利益の差額であり、「純資産のうち純利益(損益計算書)とは関係のないもの(=損益計算書に記載されず、直接貸借対照表に計上されるもの)」を指す。例えば、持合株式のような長期保有目的の有価証券の評価差額(帳簿価格と時価の差額)などはこれに該当する。同様に、持合株式の売却益もOCIとなり、永久に純利益として計上されることはない。

*3 その他の包括利益=OCIから純利益への振り替えを認めないこと。認めることを「リサイクリング」という。

 あとは修正版IFRSの名称をどうするかという問題さえクリアすればという段階まで来ているかと思いきや(2014年6月9日のニュース「IFRS採用企業数を左右する日本版IFRSの“ネーミング問題”」参照)、ここに来て、企業の修正版IFRS採用意欲に大きく影響しかねない問題が浮上した。

 これは、修正版IFRSとIFRSとの比較可能性を高めるために、修正版IFRSに基づく会計数値がIFRSではどうなるのかを示す「調整表」を作成すべきかどうかというもので、元々は、修正版IFRSの開発を担う企業会計基準委員会(ASBJ)の「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」に参加するアナリストや会計士から出た意見だ。

 こうした意見も一理ないわけではないが、作成者である企業側の反応は非常にネガティブなものとなっている。

 修正版IFRSの創設により、我が国には、現行の日本基準、米国基準、IFRSと合わせて“4つの会計基準”が並存することになるが(2014年6月23日のニュース「日本の会計基準が4つに!企業の選択は?」参照)、これらの4つの会計基準はすべて“同格”というのが市場関係者の総意となっている。しかし、「IFRSとの違い」を示すための調整表を作成するとなると、修正版IFRS とIFRSとの間に、IFRSを「主」、修正版IFRSを「従」とする主従関係が存在するようにも見えかねない。そうなれば、修正版IFRSを使うことに二の足を踏む企業も出て来るだろう。

 また、調整表を作成すること自体、企業にとってはかなりの手間であり、今後、実務上難解な基準でIFRSの削除や修正が行われれば、作成の難易度が格段に上がる。

 さらに、今回、修正版IFRS-IFRS間での調整表の作成が決まれば、他の基準間での調整表も作成すべきとの議論が起こる可能性もある。実際、「できれば4つの基準間のすべての組み合わせで調整表が欲しい」との意見を述べるアナリストもいる。

 いずれにせよ、この問題については、公開草案の公表までに結論を出す必要がある。議論の行方は、修正版IFRSの普及に大きな影響をもたらすことになりそうだ。

2014/07/01 【2014年7月の課題】シニア人材の活用

2014年7月の課題  シニア人材の活用

 2013年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行されてから1年以上が経過する中、社長は、近い将来急増する自社のシニア人材の活用策について頭を悩ませています。
 その社長から役員であるあなたに、「我が社はこれからどうやってシニア人材を活用していったらよいだろうか?」との質問が投げかけられました。
 あなたは役員として、シニア人材問題について、どのような点に着目して、社長にアドバイスするべきでしょうか?

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2014/07/01 改正景表法、課徴金を回避する2つの方法

 不当表示に対して表示の是正を求める措置命令*は、平成23年度~25年度にかけて、順に30件、40件、48件と増加傾向にある。消費者行政に対する世間の期待の高まりからすると、その数は今後も増えて行く可能性が高い。

* 商品の品質や価格について不当表示を行った業者に対し、消費者庁がその撤回、再発の防止を命じる行政処分のこと。

 こうした中、昨年(2013年)秋の食品の偽装表示問題を契機に議論が開始された不当表示に対する課徴金制度は、今秋の臨時国会に提出される予定の景品表示法改正法案に盛り込まれる(2014年5月16日のニュース「景表法改正案が月末にも成立、「課徴金」を課されないための体制整備とは?」、同6月13日のニュース「メーカーが景表法違反に問われる可能性も」参照)。

 もし課徴金が課されることになれば、企業や商品のブランドイメージは大きく傷付く。企業としては課徴金だけは避けたいところだが、改正景表法案には、企業が「自主的対応」をとれば、課徴金額を減額する仕組みが盛り込まれる予定となっている。

 ここでいう「自主対応」とは、・・・

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2014/07/01 改正景表法、課徴金を回避する2つの方法(会員限定)

 不当表示に対して表示の是正を求める措置命令*は、平成23年度~25年度にかけて、順に30件、40件、48件と増加傾向にある。消費者行政に対する世間の期待の高まりからすると、その数は今後も増えて行く可能性が高い。

* 商品の品質や価格について不当表示を行った業者に対し、消費者庁がその撤回、再発の防止を命じる行政処分のこと。

 こうした中、昨年(2013年)秋の食品の偽装表示問題を契機に議論が開始された不当表示に対する課徴金制度は、今秋の臨時国会に提出される予定の景品表示法改正法案に盛り込まれる(2014年5月16日のニュース「景表法改正案が月末にも成立、「課徴金」を課されないための体制整備とは?」、同6月13日のニュース「メーカーが景表法違反に問われる可能性も」参照)。

 もし課徴金が課されることになれば、企業や商品のブランドイメージは大きく傷付く。企業としては課徴金だけは避けたいところだが、改正景表法案には、企業が「自主的対応」をとれば、課徴金額を減額する仕組みが盛り込まれる予定となっている。

 ここでいう「自主対応」とは、企業による消費者への返金を指す。このような対応は消費者にとっても望ましいものであり、仮に課徴金制度の導入が企業の自主対応を阻害するようなことがあれば本末転倒と言える。そこで、課徴金制度を導入する一方で、消費者に返金がなされた場合には返金額を課徴金額から控除する仕組みとすることで、企業の自主的な対応を促そうというわけだ。

 もっとも、食品などの消費財は購入後すぐに消費されてしまううえ、そもそも販売先さえ分からないのが通常のため、企業が返金対応を行うことは現実には困難だろう。ただ、だからと言って自主対応を行わなくてもよいということになると、結果として、企業の“やり得”となりかねない。そこで改正景表法案には、返金に加えて、企業が消費者被害回復業務を行う団体(例えば、現在同種の活動を行っている適格消費者団体が考えられるが、具体的には今後検討される)に「寄附」した場合にも、寄附金額を課徴金額からの控除することを認める規定が盛り込まれる方向となっている。

 ただし、本来的には不当表示によって生じた被害を個々の消費者に返金(賠償)するのが筋であり、寄附はそれが困難である場合の“補完的”な位置付けに過ぎない。このため、課徴金額からの減額対象となる寄附を行うことができる期間には制限が設けられることになりそうだ。

 企業としては、景表法上の問題が発生した場合のファースト・プライオリティはあくまで返金や商品回収といった自主対応であると認識し、改めて具体的な流れを確認したうえで、マニュアル化しておくべきだろう。

2014/06/30 2014年6月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
 6月24日に閣議決定された「日本再興戦略(改訂版)」では、有価証券報告書に「役員の女性比率」の記載を義務付ける方針が示されています。2014年度内に実現する見通しです。
 また、同戦略には、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書において、企業における役員、管理職への女性の登用状況や登用促進に向けた取組みを記載するよう各金融商品取引所に要請する」との一文も盛り込まれており、女性登用促進に向けた政府の強い意思が感じられます。

こちらの記事で再確認!
2014/06/27女性の役員比率開示義務化決定 政策達成のために利用される開示(会員限定)

2014/06/30 2014年6月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
 6月24日に閣議決定された「日本再興戦略(改訂版)」では、有価証券報告書に「役員の女性比率」の記載を義務付ける方針が示されています。2014年度内に実現する見通しです。
 また、同戦略には、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書において、企業における役員、管理職への女性の登用状況や登用促進に向けた取組みを記載するよう各金融商品取引所に要請する」との一文も盛り込まれており、女性登用促進に向けた政府の強い意思が感じられます。

こちらの記事で再確認!
2014/06/27女性の役員比率開示義務化決定 政策達成のために利用される開示(会員限定)

2014/06/30 2014年6月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
 「事前警告型ライツプラン」の基本的な流れは、(1)買収者に対して、提案内容など詳細な情報を要求する、(2)社外有識者などによる独立委員会が買収提案を精査する、(3)独立委員会の勧告を踏まえて取締役会が対応を決定する、となります。機関投資家としては、取締役会の過半数が「“社内”取締役」で占められていると、上記のうち(3)において、役員が自己の保身のために、株主の利益に反してライツプランを発動してしまうのではないか、という懸念を払拭できません。
 買収防衛策に関して機関投資家に賛成票を投じさせるためには、社外取締役を1人や2人選任するだけでは不十分であり、取締役会の過半数を社外取締役とするような思い切ったボード改革が望ましいと言えます。

こちらの記事で再確認!
2014/06/25機関投資家に賛成される買収防衛策とは?(会員限定)

2014/06/30 2014年6月度チェックテスト第9問解答画面(正解)

正解です。
 「事前警告型ライツプラン」の基本的な流れは、(1)買収者に対して、提案内容など詳細な情報を要求する、(2)社外有識者などによる独立委員会が買収提案を精査する、(3)独立委員会の勧告を踏まえて取締役会が対応を決定する、となります。機関投資家としては、取締役会の過半数が「“社内”取締役」で占められていると、上記のうち(3)において、役員が自己の保身のために、株主の利益に反してライツプランを発動してしまうのではないか、という懸念を払拭できません。
 買収防衛策に関して機関投資家に賛成票を投じさせるためには、社外取締役を1人や2人選任するだけでは不十分であり、取締役会の過半数を社外取締役とするような思い切ったボード改革が望ましいと言えます。

こちらの記事で再確認!
2014/06/25機関投資家に賛成される買収防衛策とは?(会員限定)