2026/03/04 実質株主の把握へ大量保有報告制度と同様の通知義務、違反者は議決権停止

名義上の株主と、実際に議決権を指図する主体が異なるケースは珍しくない。このように経営陣が向き合うべき相手が見えなければ、エンゲージメントの対象も定まらず、株主総会の帰趨を見通すことも難しくなる。こうした中、・・・

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2026/03/04 実質株主の把握へ大量保有報告制度と同様の通知義務、違反者は議決権停止(会員限定)

名義上の株主と、実際に議決権を指図する主体が異なるケースは珍しくない。このように経営陣が向き合うべき相手が見えなければ、エンゲージメントの対象も定まらず、株主総会の帰趨を見通すことも難しくなる。こうした中、法務省の法制審議会・会社法制(株式・株主総会等関係)部会は、実質株主の把握を可能にする実質株主確認制度の検討を進めてきたが(2025年9月5日のニュース「実質株主確認制度、アクティビスト等の議決権行使制限に現実味」参照)、その内容が固まった。同部会は今月3月18日にも実質株主確認制度を含む「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」を取りまとめたうえでパブリックコメントに付し、令和8年度中に「会社法制の見直しに関する要綱」を決定する。


実質株主 : 株主名簿の背後に存在する投資判断や議決権を行使する権限を持つ株主のこと。これに対し、株主名簿に載っている株主を名義株主という。個人株主や事業会社が株主となる場合などは「実質株主=名義株主」となるが、信託銀行が信託勘定で「管理」だけをする株式は、実質株主と名義株主は一致しない。機関投資家が保有する株式は基本的に後者のケースとなる。

「名義株主」については、会社法上の株主名簿や有価証券報告書等における大株主の状況の開示により現在でも把握することが可能だが、「実質株主」については、大量保有報告制度の適用対象となる場合を除き、これを把握する制度は存在しない。そのため、多くの上場会社が株主判明調査を利用しているが、コストや時間を要するうえ、すべての実質株主が判明するわけではない。


大量保有報告制度 : 市場の透明性・公正性を高め、投資者保護を図ることを目的として、株券等の大量保有者に対し「大量保有報告書(or変更報告書)」の提出を義務付ける金融商品取引法上の制度。具体的には、①保有割合が5%超となった場合、②その後、保有割合が1%以上増減するなど重要な変更があった場合、それぞれ提出事由が生じた日から5営業日以内に「大量保有報告書(or変更報告書)」の提出が求められる(②の場合に提出するのは「変更報告書」)。

そこで中間試案は、実質株主確認制度を創設し、上場会社が名義株主である仲介機関(証券会社や信託銀行など)に対し、実質株主の情報の提供を請求できるようにするとしている。仲介機関の背後にさらに仲介機関がある場合には、その請求を最終の仲介機関まで順次転送する。各仲介機関は、自らが保有する情報、すなわち議決権の行使を指図できる権限を有する者(指図権者)等の氏名・名称、住所、株式数などを上場会社に提供する。これにより、実質株主(指図権者)を確認できる仕組みとする。

また、支配に関する重要な情報の把握・開示を目的に、金融商品取引法の大量保有報告制度と同様、株式等保有割合が5%を超える株主(共同保有者などを含む)に対し、上場会社への通知を義務付ける制度も創設する。違反した株主は議決権制限の対象とする。具体的には、会社が違反した株主に対し通知し、通知から一定期間が経過すると(その期間内に違反が是正されない場合には)議決権が停止する仕組みとする方向。通知義務違反の典型例が共同保有だ。例えば、それぞれの株式等保有割合が5%を超えない複数の者が代表取締役の選任といった株主提案を共同で行うことに合意し、大量保有・変更報告書を提出せず共同保有者であることを明らかにしないまま一斉に議決権を行使、その結果として株主提案を可決させたような場合には、違反者による議決権行使として、株主総会決議の取消事由となり得るとの考え方には、部会でも多くの賛同が得られている。

2026/03/03 CGコード第三次改訂案、原則数は83から28に大幅減も「序文」および「解釈指針」を踏まえた対応必要に(会員限定)

金融庁は2026年2月26日、「コーポレートガバナンス・コードの改訂に関する有識者会議(第2回)」(以下、有識者会議)を開催し、コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の第三次改訂に向けた改訂案を公表した。2026年1月27日のニュース「CGコード第三次改訂、原則数減少の一方で分量に大きな変化はない可能性も」でお伝えしたとおり、有識者会議は令和7年10月21日に開催された第1回会合から4か月を超える長いインターバルを経て、ようやく第2回会合の開催に漕ぎ着けた形。改訂案は第1回会合で示された「スリム化・プリンシプル化」の方向性が色濃く反映された内容となっている。以下、改訂案のポイントを解説する。

1.原則数は83から28(基本原則4、本原則24)に大幅減、第5章は第1章に統合
今回の改訂でまず注目されるのが、原則数の大幅な絞り込みだ。現在83ある原則(基本原則5、原則31、補充原則47)は基本原則4、本原則24の合計28原則へと激減する。章立ても再編され、現行の第5章(株主との対話等)が第1章(株主の権利・平等性の確保)に統合される。併せて、株主との対話の重要性に鑑み、現行原則5-1、現行補充原則5-1①の内容を盛り込んだ対話に関する原則が第1章の冒頭に「原則1-1」として配置される。

スリム化の例としては、現行CGコードにおけるサステナビリティに関する原則(原則2-3補充原則3-1③補充原則4-2②など)が、改訂案では新設の原則4-4「取締役会の役割・責務(4)」に統合・整理された。また、買収防衛策に関する原則1-5、公開買付け(TOB)の対象となった場合に関する補充原則1-5①、資本政策(増資、MBO等を含む)に関する原則1-6は、金融商品取引法や証券取引所の上場規程との重複があることから、改訂案では削除されている。

2.補充原則の多くは新設の「解釈指針」に移行も、序文含む全体の分量はほぼ同じ
原則数が大幅に減少する一方で、削除された補充原則等の多くは、各原則に新設される「解釈指針」に移行している。

「解釈指針」は第1回会合では「考え方」と称されていた(事務局説明資料(金融庁)11ページ参照)ことからも分かるように、コンプライ・オア・エクスプレインの対象外だが、企業の実質的な対応を支援する役割を担うものとして「各原則の背景となる考え方、目的」「ベストプラクティス」「グッドプラクティス」を示す(改訂案3ページ7行目~)。

また、プリンシプルベース・アプローチやコンプライ・オア・エクスプレインの趣旨を改めて周知するため、改訂案の冒頭には「序文」が追加された。これは、2015年のCGコード策定時における「原案」に掲載されていた「序文」(2015年6月1日版CGコードの「資料編」参照)をベースとしたもので、形式的なコンプライではなく、むしろ「エクスプレインを積極的に選択すべき場合」があることが強調されている。

「序文」の追加と「解釈指針」の新設(補充原則からの移行)により、改訂案のページ数は現行の26ページから25ページとなった。原則数は減少するものの、全体のボリュームはほとんど変わらない。

3.有報の総会前開示、解釈指針に「3週間以上前」を明記
グローバル投資家等から強く要望されてきた有価証券報告書の株主総会前開示は、原則1-2「株主総会における権利行使」に新たに盛り込まれている。さらに、同原則の解釈指針においては「3週間以上前に提出されることが最も望ましい」旨が明記され、その実現のために、株主総会開催日や議決権行使に係る基準日を後ろ倒しすることも検討すべきとされている。


基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。

なお、解釈指針では、総会前開示が必要な理由として、「役員報酬や政策保有株式等のガバナンス情報」など投資家の意思決定における重要な情報が含まれていることを挙げている。

4.現預金の「有効活用」については、原則4-2の解釈指針で「不断の検証」を要請
日本企業の資本効率が低迷している要因として指摘されてきた現預金の過剰な保有、成長投資のための資源配分に関する問題については、原則4-2「取締役会の役割・責務(2):適切なリスクテイクを支える環境整備」の解釈指針で、「現預金を投資等に有効活用できているか」「不断に検証を行うべき」とされている。原則本文には「現預金」という文言は出てこないものの、同原則を適切にコンプライするためには、取締役会において現預金の活用状況やその妥当性を検証するプロセスを確立することが期待されていると言えよう。

5.原則4-13の解釈指針で取締役会事務局の機能強化を明示
原則4-13「取締役会における審議の活性化等」の解釈指針では、取締役会事務局の「機能強化等の取組みを推進」することが重要とされた。原則本文には「取締役会事務局」という文言はないため、取締役会事務局がないこと等をもって即エクスプレインが求められるわけではないと考えられるものの、原則本文には「(3)上場会社は、取締役会を支える部署等の人員面を含む取締役・監査役の支援体制を整えるべきである。」とあることから、少なくとも当該部署等の役割・機能を明確化するとともに、人員や運用体制を整備することが求められよう。

今回の改訂案を見ると、原則数こそ大幅に減ったものの、序文および解釈指針を踏まえたうえで各原則に対応することが求められているため、企業にとっては決して負担が軽くなったとは言えない。改訂CGコードは、今後の有識者会議における議論やパブリックコメントを経て2026年6月には確定し、運用が開始される見込み。このタイトなスケジュールの中、経営陣は「各原則への対応の実質化」を求める今回の改訂の趣旨を踏まえ、早めに社内の関係部署間の情報共有を進め、対応方針を検討する必要があろう。

2026/03/03 CGコード第三次改訂案、原則数は83から28に大幅減も「序文」および「解釈指針」を踏まえた対応必要に

金融庁は2026年2月26日、「コーポレートガバナンス・コードの改訂に関する有識者会議(第2回)」(以下、有識者会議)を開催し、コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の第三次改訂に向けた改訂案を公表した。2026年1月27日のニュース「CGコード第三次改訂、原則数減少の一方で分量に大きな変化はない可能性も」でお伝えしたとおり、有識者会議は令和7年10月21日に開催された第1回会合から4か月を超える長いインターバルを経て、ようやく第2回会合の開催に漕ぎ着けた形。改訂案は第1回会合で示された「スリム化・プリンシプル化」の方向性が色濃く反映された内容となっている。以下、改訂案のポイントを解説する。・・・

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2026/03/02 【2026年3月の課題】各運用機関の2026年議決権行使方針

2026年3月の課題

2026年6月の株主総会シーズンに向けて、多くの機関投資家が議決権行使ガイドラインの改定を実施しています。主要国内機関投資家の改定内容を確認し、本年の株主総会において自社が留意すべき点について考えてみてください。
これまでに議決権行使方針の改定を公表した主な投資家は以下のとおりです。

大和アセットマネジメント(2025年10月公表)

野村アセットマネジメント(2025年11月公表)

りそなアセットマネジメント(2025年11月公表)

三井住友トラスト・アセットマネジメント(2025年12月公表)

三井住友DSアセットマネジメント(2026年1月公表)

アモーヴァ・アセットマネジメント(2026年2月公表)

三菱UFJ信託銀行(2026年2月公表)

三菱UFJアセットマネジメント(2026年2月公表)

アセットマネジメントOne(2026年2月公表)

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2026/02/27 2026年2月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
マネジメントソリューションズが2026年2月16日に公表したリリースによれば、同社では経営幹部職員等が委託先から総額4,300万円超のキックバックを受領していたことが発覚しました。これを受けて、同社では事実関係を究明するため特別調査委員会を設置し、その費用として特別調査費用等引当金繰入額88,784千円を特別損失に計上しています。この事案は、不祥事による直接的な被害額を上回るコストを特別調査委員会の設置に要した例の一つと言えます(問題文は正しいです)。不正調査は企業の信頼回復のために不可欠である一方で、そのコストと効果のバランスをいかに図るかが今後の課題であるといえます。

こちらの記事で再確認!
2026年2月20日 【失敗学第140回】マネジメントソリューションズの事例(会員限定)

2026/02/27 2026年2月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
マネジメントソリューションズが2026年2月16日に公表したリリースによれば、同社では経営幹部職員等が委託先から総額4,300万円超のキックバックを受領していたことが発覚しました。これを受けて、同社では事実関係を究明するため特別調査委員会を設置し、その費用として特別調査費用等引当金繰入額88,784千円を特別損失に計上しています。この事案は、不祥事による直接的な被害額を上回るコストを特別調査委員会の設置に要した例の一つと言えます(問題文は正しいです)。不正調査は企業の信頼回復のために不可欠である一方で、そのコストと効果のバランスをいかに図るかが今後の課題であるといえます。

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2026年2月20日 【失敗学第140回】マネジメントソリューションズの事例(会員限定)

2026/02/27 2026年2月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
問題文のとおり、MBO等を行う上場会社が設置した特別委員会では、第三者評価機関が用いた事業計画の予測期間が妥当であるかどうかを慎重に検証しなければなりません(問題文は正しいです)。なぜなら、予測期間の設定が最終的な事業価値に決定的な影響を与えるからです。

こちらの記事で再確認!
2026年2月19日 MBO等における事業計画の予測期間(会員限定)

2026/02/27 2026年2月度チェックテスト第9問解答画面(正解)

正解です。
問題文のとおり、MBO等を行う上場会社が設置した特別委員会では、第三者評価機関が用いた事業計画の予測期間が妥当であるかどうかを慎重に検証しなければなりません(問題文は正しいです)。なぜなら、予測期間の設定が最終的な事業価値に決定的な影響を与えるからです。

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2026年2月19日 MBO等における事業計画の予測期間(会員限定)

2026/02/27 2026年2月度チェックテスト第8問解答画面(不正解)

不正解です。
東証の様式変更に伴い、上場会社はCG報告書の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の冒頭で取組みの概要や主な目標設定など、開示内容のサマリーを記載できるようになりました。もっとも、東証の新様式では、CG報告書以外の他資料において詳細に開示している場合には、リンク(URL)の掲載だけでなく、当該資料のサマリーを記載することが求められています(問題文の「リンク(URL)の掲載だけで十分」は誤りです)。

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2026年2月18日 東証がフォーマットを再改訂、重みを増す「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示企業一覧表(会員限定)