2023/11/24 外形標準課税逃れ防止策導入へ 減資を検討中の企業がとるべき対応(会員限定)

資本金が1億円以下の企業は、税務上は「中小企業」として扱われ、軽減税率や中小企業向けの特別償却など法人税法等における様々な中小企業向け特例措置の適用を受けることができる(ただし、資本金が1億円以下であっても「資本金5億円以上の会社の100%子会社等」であれば、こうした中小企業向け特例措置の適用を受けることはできない。一定の大法人等の100%子法人等における中小企業向け特例措置の不適用については国税庁のサイトを参照)。なかでも、税務上の「中小企業」にとってメリットが大きいのが、「法人事業税の外形標準課税」(以下、「外形標準課税」)が適用されないということだ。


100%子会社等 : 株式会社を前提にすると、資本金の額が5億円以上の法人による完全支配関係がある普通法人を指す。完全支配関係とは、一の者が、法人の発行済株式等の全部を直接または間接に保有する関係または一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係を指す。100パーセント子法人は当然のこと、例えば親会社が50パーセントしか持っていなくても残りを別の100%子会社を通じて支配していれば完全支配関係があることになる。

外形標準課税は法人税法ではなく地方税法上の制度であり、上記で説明した法人税法のように「法人税法上の資本金が1億円以下であっても資本金5億円以上の会社の100%子会社等であれば中小企業のメリットを受けられない」という制限は設けられていない。すなわち、純粋に資本金が1億円以下か・1億円を超えるかが、課税・非課税の境界線となる。

外形標準課税が適用されない企業にも法人事業税は適用されるが、法人事業税は通常「所得」のみをベースに計算される(これを「所得割」という)ため、赤字で法人税が課税されない企業であれば事業税も課税されない。これに対し外形標準課税は、社員への給与や事務所の家賃などの「付加価値」や「資本金等」も課税ベースに含まれるため(前者を「付加価値割」、後者を「資本割」という)、赤字企業にも容赦なく課税される。典型的には資本金・社員数が多く、事業所面積が広い赤字企業にとって、外形標準課税は重い負担となる。

こうした中、近年、減資により資本金を1億円以下にして外形標準課税の適用を逃れる企業が相次いでいる。シャープは1,218億円あった資本金を1億円にしようとして社会的批判を浴び、方針を撤回したが、コロナ禍による旅行需要の低迷に苦しんだJTBは2021年に23億円あった資本金を1億円に減らし、また、同業界のHISも2022年に247億円あった資本金を1億円に減らしている。HISのリリースを見ると、減資の目的の一つに「税負担の軽減を図ること」が堂々と掲げられているのが目を引く。また、持株会社化や分社化の際に、中小企業としての税制上の恩恵を受けるため資本金を1億円以下に設定する事例も多い。「付加価値割」と「資本割」に基づく外形標準課税によって計算された法人事業税は、損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されるが、減資により外形標準課税が不適用になれば法人事業税(所得割)は損益計算書の「税引前当期純利益」の下の「法人税、住民税及び事業税」に計上されることから、外形標準課税の対象会社でなくなれば営業利益が改善する効果も期待できる。


減資 : 資本金を減らして資本剰余金を増やすこと。単なる係数上の振替に過ぎないが、会社法上は株主総会の特別決議や債権者保護手続きなどを経る必要がある。

上記のような大企業による外形標準課税回避による地方税収の低下を懸念した総務省は2022年8月、地方財政審議会に「地方法人課税に関する検討会」(以下、検討会)を設置し、外形標準課税回避を封じるための議論を重ねてきた。そして、検討会が2023年11月14日に公表した第2次中間整理では、「資本金が1億円以下の法人であっても、資本金と資本剰余金の合計額が一定水準を上回る法人を外形標準課税の対象として追加することが適当」との考え方が示されている(改正案の概要については、地方法人課税に関する検討会 第2次中間整理(概要)の1ページ目を参照)。さらに同日、地方財政審議会は第2次中間整理の内容を反映した「令和6年度地方税制改正等に関する地方財政審議会意見」を総務大臣に提出している。その内容は来月(12月)中旬にとりまとめられる税制改正大綱に反映される見通しだ。


資本剰余金 : 資本準備金(株主が払い込んだ資金のうち資本金に回されなかった分)とその他の資本剰余金(減資差益など)で構成される純資産の項目。
税制改正大綱 : 税制改正は毎年1回行われるのが通常だが、翌年度の税制改正の内容を大まかにとりまとめたものが税制改正大綱であり、毎年12月中旬頃に政府(与党)が公表する。

資本金を減らしても(減資)、減らした資本金はそのまま資本剰余金に計上されるため、減資の前後で「資本金と資本剰余金の合計額」に変わりはない()。したがって、この地方税法改正が実現すれば、外形標準課税逃れのためにわざわざ資本金を1億円に減らした企業も資本剰余金の額次第で再度外形標準課税の対象とされる可能性が高い。

 もっとも、さらに株主総会の決議を経て、資本準備金以外の資本剰余金(その他資本剰余金)を欠損填補に使えば、資本剰余金が利益剰余金に振り替わることで資本剰余金を減らすことができる(「その他資本剰余金」を用いた欠損てん補については2022年4月27日のニュース『会計基準違反が相次ぐ「その他資本剰余金」を用いた欠損てん補』を参照)。また、資本剰余金を原資として配当することでも資本剰余金を減らすことができる。

しかも、冒頭で説明したとおり、現在は外形標準課税の課税対象の判定にあたり親会社の規模は考慮されないが、第2次中間整理では、「資本金が1億円以下の法人であっても、資本金と資本剰余金の合計額が一定水準を上回る法人との間にその法人による完全支配関係がある法人等を外形標準課税の対象として追加することが適当」との考え方も示されている(第2次中間整理の13ページを参照)。ただし、第2次中間整理では、いずれも「一定水準」(上記の赤字部分を参照)をいくらにするのかは示されておらず、「政府の経済施策や経済団体等の意見を踏まえた検討が必要」と述べるに留まっている(第2次中間整理の16ページを参照)。

なお、外形標準課税の課税対象の判定にあたり「株主資本」や「純資産」を指標とする案も考えられるが、検討会は「これらを指標として採用した場合、資本金や資本剰余金が小さく利益剰余金が大きい法人が新たな外形対象法人となり得るなど、制度改正の影響が広範に及ぶ可能性があり、必要以上に多くの法人に制度見直しの影響を及ぼさない観点からは不適当」として、株主資本や純資産を指標とする案を明確に退けている(第2次中間整理の9ページを参照)。

また、法人税法の概念である「資本金等」を指標に用いる案もあり得るが、その案も採用されなかった。なぜなら、そもそも「資本金等」は「過去の資本等取引の積み上げで金額を算出するものであるため、課税庁(都道府県)にとって調査の負担が大きい」だけでなく、「仮に申告誤りがあった場合、課税方式の変更による納税者(法人)の負担が大きくなるおそれ」も懸念されるからだ。一方、「資本金と資本剰余金の合計額」は貸借対照表を見れば一目瞭然であるというメリットがある。また、自己株式は「資本金等」の算定にあたり控除されるが、外形標準課税が法人の事業規模に対して課税する趣旨である以上、事業規模を測る指標としては、自己株式を取得しても変動しない「資本金と資本剰余金の合計額」の方が「資本金等」よりは適切という理由もある(第2次中間整理の12ページを参照)。

現時点では肝心の「一定水準」が明らかではないため、新たに外形標準課税の課税対象になりそうな企業としては対応策を検討すべきかどうか、悩ましいところだろうが、外形標準課税の課税対象拡大に対しては企業側の強い反発が予想され、そもそも制度改正が実現するかどうかも怪しい状況にある。仮に実現したとしても、「納税者(法人)及び課税庁(都道府県)の準備期間を確保するため、制度の施行まで一定の期間を確保することが適当」とされている。以上を踏まえれば、現時点であわてて対応する必要はない。

では、今まさに資本金の減資を計画中の企業はどうすればよいのだろうか。減資の目的が欠損てん補だけであれば、地方税法の改正に関係なく、着々と取り組めばよい。世間から見た資本金の額の重みは以前に比べ軽くなっている一方、欠損を放置しているか、てん補するかで決算書の見た目が全く違うからだ。また、資金は手厚いものの減損などで利益剰余金が薄くなってしまった企業の中には配当水準を維持するために減資した資本金を使って「資本剰余金を原資とする配当」()を行うことを検討している企業もあるだろう。そのような企業にも法改正の動向は関係ない。資本コストを超える投資機会を見い出せないのであれば、資本剰余金を原資とする配当の実施により余剰資金を株主に還元するのは理にかなっており、結果として自己資本が圧縮されROEの向上につながるという副次的な効果もある。一方、純粋に外形標準課税の回避だけを視野に入れている企業にとっては、今は法改正の動向を注視するしかない。まずは税制改正大綱で「一定水準」が明らかになってから今後の策を検討すべきだろう。


減損 : 固定資産による将来の現金回収見込額が簿価を下回った場合に、下回った分だけ損失を計上すること。
配当 : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。
ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)

 直近の事例では双葉電子工業(東証プライム上場)が2023年6月の期末配当を資本剰余金を原資として実施し、さらに2023年11月10日にも資本剰余金を原資とする中間配当の実施をリリースしている。なお、資本剰余金を原資とする配当は税務上「資本の払戻し」となり、通常の利益剰余金からの配当とは源泉徴収や株主側の確定申告の内容も変わってくることから、株主への注意喚起が必要となる(双葉電子工業の「第80期期末配当金の税務上の取扱いについて」を参照)。

2023/11/22 四半期報告書を廃止する改正金商法が成立、最後の四半期報告書はいつの分まで?

第1四半期と第3四半期の四半期報告書を廃止する金融商品取引法等の一部を改正する法律が2023年11月20日に国会で成立した。これにより、上場会社の第1・第3四半期の開示は、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化されることになる。四半期報告書の廃止について当フォーラムでは、2022年4月12日のニュース「四半期報告書の廃止が事実上決定」で一般メディアより数か月前に報じて以来、それに伴う四半期決算短信の内容とともに繰り返しお伝えしてきたが、ここにきてようやく法改正が実現することとなった。

2022年4月18日のニュース『本日開催のDWG、四半期報告書を維持すべきとの意見は半減
2022年4月20日のニュース『第二四半期報告書に代わって半期報告書の復活はあるか?
【2022年5月の課題】法定開示の見直しと自社にとっての影響・課題
2022年5月18日のニュース『第2四半期開示の行方
2022年6月7日のニュース『DWG報告案、企業の負担増に配慮の跡
2022年10月5日のニュース『四半期決算短信の任意提出、レビュー対象化の行方
2022年11月25日のニュース『四半期開示に関する議論が事実上決着、「四半期決算短信を任意に」は誤解
2023年1月11日のニュース『DWG報告第二弾 企業と投資家の意見対立踏まえ、四半期開示に関する記述が「案」段階から変更
2023年6月27日のニュース『東証が「四半期開示の見直しに関する実務検討会」を設置
2023年6月29日『新たな四半期決算短信と同調圧力
2023年7月7日『新たな四半期決算短信の信頼性は事実上3段階に
2023年9月27日『新四半期決算短信、1Q・3Qで増す“負担”の内容
2023年10月27日『新たな四半期開示制度、CF計算書は「積極的な開示」から「投資者ニーズに応じた開示」に“緩和”

一方、第2四半期については今後、・・・

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2023/11/22 四半期報告書を廃止する改正金商法が成立、最後の四半期報告書はいつの分まで?(会員限定)

第1四半期と第3四半期の四半期報告書を廃止する金融商品取引法等の一部を改正する法律が2023年11月20日に国会で成立した。これにより、上場会社の第1・第3四半期の開示は、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化されることになる。四半期報告書の廃止について当フォーラムでは、2022年4月12日のニュース「四半期報告書の廃止が事実上決定」で一般メディアより数か月前に報じて以来、それに伴う四半期決算短信の内容とともに繰り返しお伝えしてきたが、ここにきてようやく法改正が実現することとなった。

2022年4月18日のニュース『本日開催のDWG、四半期報告書を維持すべきとの意見は半減
2022年4月20日のニュース『第二四半期報告書に代わって半期報告書の復活はあるか?
【2022年5月の課題】法定開示の見直しと自社にとっての影響・課題
2022年5月18日のニュース『第2四半期開示の行方
2022年6月7日のニュース『DWG報告案、企業の負担増に配慮の跡
2022年10月5日のニュース『四半期決算短信の任意提出、レビュー対象化の行方
2022年11月25日のニュース『四半期開示に関する議論が事実上決着、「四半期決算短信を任意に」は誤解
2023年1月11日のニュース『DWG報告第二弾 企業と投資家の意見対立踏まえ、四半期開示に関する記述が「案」段階から変更
2023年6月27日のニュース『東証が「四半期開示の見直しに関する実務検討会」を設置
2023年6月29日『新たな四半期決算短信と同調圧力
2023年7月7日『新たな四半期決算短信の信頼性は事実上3段階に
2023年9月27日『新四半期決算短信、1Q・3Qで増す“負担”の内容
2023年10月27日『新たな四半期開示制度、CF計算書は「積極的な開示」から「投資者ニーズに応じた開示」に“緩和”

一方、第2四半期については今後、「半期報告書」と第2四半期の四半期決算短信の両方を作成・開示する必要が生じる(半期報告書の提出期限は決算後45日以内)。以上をまとめると下図のとおりとなる。

金商法改正後の四半期開示資料
金商法改正後の四半期開示資料
東証の「四半期開示の見直しに関する実務検討会」の第3回会合資料より引用)

半期報告書と言っても、記載内容は現行の第2四半期報告書と同程度となることが見込まれるため(今後、この点について規定した開示府令改正案がパブリックコメントに付される見込み)、今回の金商法改正により上場会社の負担が増えるわけではない。半期報告書には現行の第四半期報告書と同様、監査人によるレビューも求められる。

今回の金商法改正では、半期報告書、臨時報告書の公衆縦覧期間が5年間に延長された(現行の公衆縦覧期間は、半期報告書3年、臨時報告書1年)。これにより、課徴金の除斥期間と各開示書類の公衆縦覧期間が同じになる(改正の意図については『四半期開示に関する議論が事実上決着、「四半期決算短信を任意に」は誤解』の下の表の最下段を参照)。このほか、虚偽の財務書類の開示を行った企業等に対する課徴金納付命令に係る審判手続のデジタル化が図られている。


除斥期間 : 法律関係を確定させるため、一定期間の経過をもって法律上の権利を消滅させる場合における当該期間を除斥期間という。例えば金融商品取引法では、課徴金の対象となる違反行為が行われた日から一定期間を経過した場合には、審判手続開始の決定もできず、課徴金も賦課されない。

四半期報告書廃止関連の改正法施行日は2024年4月1日とされている。したがって、3月末決算の上場会社であれば2025年3月期の第1四半期から改正法が適用される。つまり、3月末決算の上場会社にとっては、「2024年3月期の第3四半期報告書」が最後の四半期報告書になる。これに対し、2024年4月1日より「前」に開始した四半期に係る四半期報告書について、改正法には「従前の例による」とする経過措置が設けられている(改正金商法の附則を参照)。例えば12月末決算の上場会社を前提にすると、2024年4月1日より前に開始した四半期の四半期報告書まで(=2024年12月期の第1四半期報告書まで)は現行の四半期報告書の提出が必要となる。また、2月末決算の上場会社を前提にすると、2024年4月1日より前に開始した2024年2月期の第3四半期報告書だけでなく、2025年2月期の第1四半期報告書までは現行の四半期報告書の提出が必要となる。

金商法改正により、四半期報告書関連のコスト(監査法人のレビューや開示コンサルティング会社のチェックなど)が減少し、予算の修正が必要になることも考えられる。また、取締役会で四半期報告書を承認(あるいは報告)することをルール化()している会社では、金商法改正に対応して付議事項一覧等の手直しも必須となるので、失念しないようにしたい。

 取締役会で四半期報告書を付議するかどうかについて法律に特段の定めはない。

2023/11/21 株式報酬を検討する際、本質的に必要な2つの論点

既に多くの日本企業が株式報酬を導入しているが、ここにきて株式報酬への関心が一層高まっている。実際、株式報酬の比率向上を求める機関投資家の意向に沿う形で、2024年度に向け株式報酬の比率をもう一段引き上げようという企業が増えている。特にグローバルに事業を展開している企業では、既に経営陣の株式報酬の比率が極めて高くなっているケースも出てきた。例えば・・・

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2023/11/21 株式報酬を検討する際、本質的に必要な2つの論点(会員限定)

既に多くの日本企業が株式報酬を導入しているが、ここにきて株式報酬への関心が一層高まっている。実際、株式報酬の比率向上を求める機関投資家の意向に沿う形で、2024年度に向け株式報酬の比率をもう一段引き上げようという企業が増えている。特にグローバルに事業を展開している企業では、既に経営陣の株式報酬の比率が極めて高くなっているケースも出てきた。例えばソニーグループでは、CEOの報酬全体の4分の3を株式報酬が占め、ほとんど欧米企業と変わらなくなっている。

また、こうした動きと並行して、従業員層への株式報酬の拡大もホットな論点になっている。従業員層への株式報酬は、従業員に対する賃上げの必要性、経営陣と従業員の報酬格差の緩和、従業員の自律的な貢献意欲を高める人的資本経営の必要性、スタートアップ企業との人材獲得競争など、従業員を巡る様々な課題を一気に解消する可能性を持っている。現状、水面下では様々な主体、経済団体が、株式報酬の利用促進のための法改正に向けて提言を取りまとめる動きがあり、今後、株式報酬の活用が経営課題として注目を集めるだろう。

一方、多くの企業では株式報酬に関する検討が未だに単なる“商品”を選択するだけの議論になっている。「譲渡制限付株式報酬」「パフォーマンスシェア」「有償ストックオプション」「XXX信託」「ZZZ信託」「RSU」など、受け取った提案書そのままに、株式報酬の本質的な機能(後述)はほとんど議論されず取捨選択が行われている。本来であれば、報酬委員会で、インセンティブとして適切かどうか、有効に機能するかどうかの議論により多くの時間が割かれるべきだろう。


譲渡制限付株式報酬 : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬で、企業が株式を無償取得することとなる事由(没収事由:例えば所定の期間勤務を継続しないなど)が定められているものを指す。「リストリクテッド・ストック」という呼び方も定着している。
パフォーマンスシェア : 「パフォーマンス・シェア」とは文字通り一定期間(以下、業績等評価期間)における「業績」や「株価」によって交付する株式数が変動するタイプの株式報酬のこと。業績評価期間の最初に株式を交付するものは単に「パフォーマンス・シェア(通称:PS)」と呼ばれるが、まずポイント(ユニット=単位)を付与し、業績等評価期間終了後に評価の結果に応じてポイント数を変動させ、当該ポイントに応じた株式を交付するのが「パフォーマンス・シェア・ユニット(通称:PSU)」である。業績や株価条件のある株式交付信託は、パフォーマンス・シェア・ユニットに区分される。
有償ストックオプション : 役職員が金銭を払い込むことで付与されるストックオプションのこと。金銭の代わりに、役職員が会社に対して持つ報酬債権が用いられることもある。
RSU : 譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック)には、株式交付のタイミングによって、「事前交付型」(リストリクテッド・ストック(略称:RS))と「事後交付型」(リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU))に分けられる。事前交付型は、取締役等の報酬対象勤務期間の開始後、速やかに取締役等に株式の発行(or自己株式の交付)を行い(この時が会社法上の「割当日」に該当)、取締役等と会社の契約において、当該株式に譲渡制限を付しておき、権利確定条件(例えば「3年間勤務する」「3年後に株価を倍増させる」など)が達成された場合に譲渡制限が解除され(すなわち、取締役等は当該株式を売却して換金できる)、権利確定条件が達成されない場合には企業が無償で株式を取得(没収)する仕組み。事後交付型とは、取締役等と会社の契約において、株式の発行等について権利確定条件が付されており、権利確定条件が達成された場合に株式の発行等が行われる仕組み。

株式報酬の検討において本質的に必要な論点は、「どのような基準で」「誰に」付与するか、の2つしかない。「どのような基準で」という論点は、具体的には「業績評価をどのように行うか」「待機期間を何年にするか、あるいは年数の経過とともに何割ずつ渡すのか」といったKPIや条件設定を検討することであり、これらはインセンティブ、アトラクションリテンション機能を考えて株式報酬を設計していくうえで最もコアな要素である。「誰に」という論点は、その報酬制度の適用対象をどこまで広げるのかを検討することであり、近年、海外幹部や従業員を含めて全社的・グローバル一体的に成長マインドを高めていく必要性が認識されつつある中で、こちらも重要度の高い論点と言える。報酬委員会は、この2つの論点について、自社の長期的な成長と価値創造の観点から、十分な時間を費やして議論を行うべきだ。


アトラクション : 惹きつけること
リテンション : 役職員を引き留めること

そしてこれらの議論を経て、最後に「どのように株式を渡すか」というデリバリー方法を決める。具体的には、「最初に渡すのか」「評価の確定後あるいは条件達成後に渡すのか」、「会社から直接渡すのか」「一旦信託等にプールしてそこから間接的に渡すのか」「ストックオプションや仮想ユニットを経由するのか否か」、が論点となる。いずれにせよ、株式のデリバリー方法は、「どのような基準で」「誰に」という上記2つの論点について答えが出れば自ずと最適な形が決まり、また資本政策上の制約、事務負担上の制約との兼ね合いでも選択肢は大幅に絞り込まれる。デリバリー方法の若干の違いで個性を与えられているに過ぎない「XXX制度」、「XXX信託」という商品比較を上流の論点として扱うのは時間の無駄であり、株式報酬のツールとしての機能を最大限に発揮するための適切な議論が妨げられてしまう。株式報酬がますます重要になりつつある昨今、議論の順序・流れにも十分留意する必要があろう。

2023/11/20 上場会社役員がタムロン不正経費精算事案から学ぶべきこと

レンズメーカーのタムロン(東証プライム上場)は2023年11月2日に「特別調査委員会の調査報告書」(以下、本調査報告書)を公表したが、上場会社社長が二代続けて行ってきた公私混同の内容とそれに対する弁明が話題を呼んでいる。・・・

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2023/11/20 上場会社役員がタムロン不正経費精算事案から学ぶべきこと(会員限定)

レンズメーカーのタムロン(東証プライム上場)は2023年11月2日に「特別調査委員会の調査報告書」(以下、本調査報告書)を公表したが、上場会社社長が二代続けて行ってきた公私混同の内容とそれに対する弁明が話題を呼んでいる。

本事案発覚のきっかけとなったのが、同社が運営する内部通報制度における外部窓口宛への通報(2023年7月9日)だ。内部通報の内容は、タムロンの代表取締役社長(当時)である鯵坂氏が、埼玉県大宮市で飲食店を経営するホステスS氏を出張に同伴させ、同社の経費を私的に流用しているというもの。同社は、本内部通報の内容は監査役および社外取締役による調査でも裏付けが取れたとして、外部の専門家を含めた特別調査委員会を設置し、事実調査を委嘱していた。本事案の概要は既に【失敗学第110回】タムロンの事例でお伝えしたところだが、本調査報告書はさらに踏み込んだ調査結果と役員の責任、再発防止策などを示しており、他社にとっても参考になるものとなっている。

特別調査委員会は、まず鯵坂氏とS氏の関係について、「一般のホステスと客との関係に留まるものではなく、もう一歩深い、恋人あるいは愛人関係にあったと認めるのが相当」と認定している(本調査報告書32ページ)。そして、鯵坂氏はそのS氏のために自身の出張時にリムジンを手配してもらいS氏と同宿・飲食・観光する等して、これに要した費用をタムロンに負担させていた。本調査報告書では、これらの経費精算は取締役としての善管注意義務に違反するとして、鯵坂氏はタムロンに生じた損害を賠償する責任を負うとしている。

鰺坂氏はS氏との同伴出張に留まらず、ホステスS氏が経営に関与する飲食店(以下、S氏関連店)において多額の社内飲食費を費やしていたが、特別調査委員会は一般論として「S氏関連店での飲食費を会社経費負担としたことは、直ちに取締役の経営判断の裁量を逸脱しているとまでは言えない」としている。なぜなら、「慰労・親睦目的での社内関係者との飲食費を会社が経費負担することには業務効率向上などの目的から一定の合理性が認められる」からだ。しかし、特別調査委員会は、「その利用偏向により利用回数が多数に及んだこと、その利用態様により利用金額が不必要に多額に及んだこと、その利用内容の明細を全く確認しなかったことなどについて、S氏と鯵坂氏の関係を合わせて鑑みれば、著しく不適切であったと言わざるを得ない」としている(本調査報告書54ページ)。具体的には、S氏関連店のうち「特にクラブYやラウンジXにおいては、鯵坂氏の個人負担ではなく会社にて経費負担することが適切であるか否かを全く検討することなく、既に食事を済ませてきた社内関係者には不要な料理や、シャンパン2~3本を、毎回のように鯵坂氏が説明する「女の子にねだられたから」という理由で注文をし、剰え、不必要に多くのホステスの指名料までもが、会社にて経費負担させられていることなど、その内容の問題として相当性を欠くものが多い」という点を問題視している。2013年から2023年7月までの鯵坂氏によるS氏関連店での出費(タムロンに経費負担させていた額)は次表のとおり(本調査報告書の51ページより引用)。特別調査委員会は「このうち純粋な取引先接待に用いられたものはわずか」としている。


剰え : あまつさえ。「それだけでなく」という意味。

20231120表1

さらに鯵坂氏は、自己が単独で飲食店で飲食した費用(単独飲食費)もタムロンに経費負担させていた。その年度別の件数・金額は下表のとおり(本調査報告書の54ページより引用)。

20231120表2

単独利用の飲食費を会社経費にする合理的理由など存在しない。誰とも交際や会議をしているわけではなく、業務との関連性が皆無であり、単なる遊興に過ぎないからだ。特別調査委員会の調査に対し鯵坂氏は、社長就任の際に前社長の小野氏から「交際費は接待や部下の慰労のために使うほか、社長はストレスも大きく1人で考えることもあるため、1人でも使ってよい、その部分については必要経費である」という引継ぎがあり、当該引継事項が交際費のルールであると認識し、以後、それに従っていたと述べている。この点について本調査報告書は、「役員であれ従業員であれ、およそ仕事というものは大なり小なりストレスを伴うものであり、そのストレスの発散は個々人の費用で賄うべきものであって、社長だから会社経費にできるというに及んでは開いた口が塞がらない」「鯵坂氏が、社長として、タムロンにおいて誰よりも多額の報酬等を支給されていたことをまずもって想起すべきである」と厳しく批判している(以上については本調査報告書の56ページ)。

さらに鯵坂氏は、ホステスのS氏を同伴して飲食した費用(以下、同伴飲食費)までタムロンに負担させていた。なお、同伴飲食費の精算をしていたのは鰺坂氏だけではない。前社長の小野氏も、ラウンジX、クラブB、クラブA等のホステスを同伴して飲食した費用をタムロンに会社経費として負担させていた。その年度別の件数・金額は下表のとおり(本調査報告書の63ページより引用)。

20231120表3

実は小野氏自身はアルコールを飲むことができない体質であった。それにもかかわらず、単独利用で、「女性の分のシャンパンやワインのボトルを注文し、女性とカラオケやカード遊びをするために指名料を払い、女性からねだられるがままに料理や酒を注文していた」(本調査報告書の63~64ページ)。そして小野氏は、2016年3月にタムロンの社長の座を退き、鰺坂氏にバトンタッチし、自身は取締役でない相談役に就任しているが、小野氏は社長退任後の2017年に代表取締役社長時代よりも多額の費用を同社に負担させていた。特別調査委員会が小野氏に対して「相談役になって以降もこれらの費用を会社負担とすることができる理由」を尋ねたところ、「鯵坂氏による会社の経営に口出しをすることを我慢することより生ずるストレスを発散する必要があった」と弁明しており、特別調査委員会は「呆れ果てて言葉を失う」としている(本調査報告書の64ページ)。

結局のところ、小野氏にしても鯵坂氏にしても、「自分の懐が痛まないが故にホステスにねだられるままにシャンパン・ワインを注文して、その場を楽しんでいたのであって、そこにはタムロンの金は自己の金ではなく、上場企業として不特定の株主から預かっている大切な他人の金であるという考えは全く見られない」(本調査報告書の70ページ)。本調査報告書では、小野氏・鰺坂氏のこれらの経費精算は取締役としての善管注意義務に違反するとして、タムロンに生じた損害を賠償する責任を負うとしている。

ここで疑問となるのは、小野氏や鯵坂氏の不正経費精算がなぜこれまで問題にされてこなかったのかという点だ。2016年3月以降に取締役、2020年3月から2023年8月まで常務取締役を務めていた大塚氏は、鰺坂氏の交際費支出の決裁をしていた。大塚氏は特別調査委員会の調査に対し、鰺坂氏の単独利用について鰺坂氏に「問題がある」旨一度は指摘したものの鯵坂氏に無視されたと述べている。本来、大塚氏は取締役として取締役会や監査役に本件を報告すべきであった。しかし、それをしなかった大塚氏について、特別調査委員会は取締役としての監視義務違反が成立し得るとしている。また、大塚氏は、鯵坂氏の単独利用を認識したうえで鰺坂氏の支出の決裁をした分があれば、会社の損害について連帯責任を負うとしている。さらに、特別調査委員会の調査により、大塚氏自身も単独飲食費をタムロンに会社経費として負担させていたことが分かった。まさに“モラルハザードの連鎖”と言えよう。本調査報告書は、大塚氏の単独飲食費の経費精算は取締役としての善管注意義務に違反するとして、タムロンに生じた損害を賠償する責任を負うとしている。本調査報告書では、その他のタムロンの現職または退任した取締役および監査役についても、鯵坂氏の単独利用の経費精算について認識していたにもかかわらず、本件調査に至るまでこれを黙認していたとすれば、損害賠償について鯵坂氏と連帯責任を負うとしている。

本件不正の最大の原因は「二代続けてモラルを欠いた社長が登場」したことであったと言えるが(本調査報告書の71ページ)、タムロンでは、そもそも如何なる場合に社内飲食費を会社経費として負担させることができるのかについて何らルールが策定されておらず、また、1回あたりの金額の目安や上限額などのルールがなかったことも不正の原因となったことは間違いない。そのうえ、他の取締役・監査役も単独飲食費や同伴飲食費を黙認していたというガバナンス不在の状況であれば、不正は起こるべくして起きたと言えよう。

他の上場会社の役員としてもタムロンの不正から学ぶべきことは多い。まず、自社において社内飲食費の精算ルールが規程で明文化されていることを確認し、当該規程から単独飲食費、同伴飲食費の精算が禁止されていることを明確に読み取れるかどうかを確認すべきだ。また、これを機に役員の単独飲食費、同伴飲食費が会社経費として精算されていないことを、サンプル調査、決裁者や経理部員・役員秘書等への聞き取り調査により確認したうえで、各役員の認識(単独飲食費や同伴飲食費を会社経費として精算している役員を知っているかどうか)についてもアンケート調査を実施したい。さらに、内部監査室が役員の経費精算を監査の対象外にしていないかも確認しておくべきだ。そして、これらの調査結果は調査手法とともに社外取締役や社外監査役にも必ず報告される必要がある。調査にあたり忖度が発生しかねないからだ。加えて、社内飲食費の精算についてのルールの周知徹底のための社内研修を行うことが望ましい。これらの取り組みより役員交際費の多い会社ほど何らかの改善点が見つかるはずだ。これらの取り組みは、会社資金の流出防止だけを目的とするものではない。上に立つ者が襟を正すことで、従業員のモラールを維持・向上する効果の方が重要と言えよう。


モラール : 「士気」や「やる気」を指す。「倫理」「道徳」を指す「モラル」とは区別される。

2023/11/17 上場企業に株価向上圧力 金融庁が運用機関の高度化等に関する報告を取りまとめへ

政府が2,000兆円の家計金融資産を企業の持続的成長に活かす「資産運用立国」を目指す方針を打ち出す中、金融庁の金融審議会 市場制度ワーキング・グループと資産運用に関するタスクフォース(以下、TF)は来週11月22日、・・・

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2023/11/17 上場企業に株価向上圧力 金融庁が運用機関の高度化等に関する報告を取りまとめへ (会員限定)

政府が2,000兆円の家計金融資産を企業の持続的成長に活かす「資産運用立国」を目指す方針を打ち出す中、金融庁の金融審議会 市場制度ワーキング・グループと資産運用に関するタスクフォース(以下、TF)は来週11月22日、運用機関の高度化等に関する報告(以下、報告)を取りまとめることが当フォーラムの取材により判明した。報告は厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会での検討結果とともに、政府の新しい資本主義実現会議の下に設置された資産運用立国分科会(分科会長:鈴木内閣府特命担当大臣(金融))に年内に提出され、政策プランとして決定される方向だ。

報告の内容は、6月16日に公表された「骨太の方針2023」(5ページ下から6行目~)や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023 改訂版」(59ページ「2.資産運用立国に向けた取組の促進」参照)にも盛り込まれており、具体的には、資産運用会社やアセットオーナーのガバナンス改善・体制強化やスチュワードシップ活動(企業との対話)の実質化、国内外の資産運用会社の新規参入の支援拡充・競争促進、資産運用力の向上及び運用対象の多様化に向けた環境整備等を通じて、資産運用業等を抜本的に改革することを狙いとするもの。


アセットオーナー : 年金基金や保険会社

基本的には資産運用業界の改革に関する事項が多いが、企業にとって気になるのは「スチュワードシップ活動の実質化」だ。ここでは、スチュワードシップ活動の実質化に向けて、機関投資家に対し「投資先企業の中長期的な企業価値向上を目指した建設的な対話、エンゲージメント」が求められており、このような活動に対するインセンティブが働く環境の整備が期待されている。一方、企業には、ステークホルダーの期待に応え、資本コストや株価を意識した経営を実現するため、東証の要請に基づき、現状分析・計画の策定・開示・取り組みの実行が求められる。このほか、協働エンゲージメントを行う投資家が増えることもスチュワードシップ活動の実質化を進展させるものとして位置付けられている。


資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

特に企業年金はアクティブ運用に消極的だが、今回の取り組みにより、資産運用業界の活性化やスチュワードシップ活動の実質化に向けた環境整備が図られ、年金基金等の運用委託先の競争が働くようになれば、企業に対する株価向上圧力も高まることになろう。

2023/11/16 リース会計基準の適用時期と企業の対応

同じ「リース」でも、借入れによる物の購入とみなされるファイナンス・リースではリース資産を貸借対照表(B/S)上の「資産」に計上するとともに、リース債務(未経過リース料)をB/S上の「負債」にそれぞれ計上することが求められるのに対し、「物を借りて賃借料を払う」という本来のリースであるオペレーティング・リースは、毎期の支払いリース料を費用計上するだけで済み、B/Sには何も計上しなくてもよい(=オフバランス)。ROAの分母が小さくなり数値が改善される効果もあるオペレーティング・リースを利用している企業は少なくない。しかし、IFRSや米国会計基準では、オペレーティング・リースを含むすべてのリースは「資産および負債」に計上することが求められている。そこで日本の企業会計基準委員会(ASBJ)は国際的なルールとの整合性を図るため、2023年5月2日に「リースに関する会計基準(案)」(以下、新リース会計基準案)を公表し、2023年8月4日(金)までパブリックコメントを募集していたところ(新リース会計基準案の内容や財務諸表等への影響などについては2023年6月22日『ROAの悪化は確実 上場企業の役員が押さえておきたい「新リース会計基準」が経営に与える影響』参照)。こうした中、企業の大きな関心事となっていたのが・・・


ファイナンス・リース : 「支払いリース料総額の現在価値が、見積もり現金購入価額の90%以上」または「リース期間が耐用年数の75%以上」で中途解約もできないリースを指す。
リース資産 : 新リース会計基準では、現行の「リース資産」は「使用権資産」となる。「使用権資産」とは、借手が原資産(リースの対象となる資産)をリース期間にわたり使用する権利を表す資産のことをいう。
リース債務 : 新リース会計基準では、科目名が「リース債務」ではなく「リース負債」となる。

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