2023/03/03 金融庁がインパクト投資の「指針」策定に着手、新しい資本主義実行計画に反映へ

金融庁が「インパクト投資等に関する検討会」を設置し、インパクト投資のあり方について検討を進めていることは既報のとおり(2022年12月6日のニュース「急ピッチで進むインパクト投資の普及に向けた議論」参照)。また、ESG投資の発展形と言われるインパクト投資の広がりとともに、ESGの定義の拡大・再編も行われている(2023年1月19日のニュース「変貌するESG投資の概念」参照)。このようにESG投資の定義が複雑化する中、企業から「分かりやすい」と評判を呼んでいるのが、・・・

インパクト投資 : 社会問題・環境問題を解決することを目的として投資すること
ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。

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2023/03/03 金融庁がインパクト投資の「指針」策定に着手、新しい資本主義実行計画に反映へ(会員限定)

金融庁が「インパクト投資等に関する検討会」を設置し、インパクト投資のあり方について検討を進めていることは既報のとおり(2022年12月6日のニュース「急ピッチで進むインパクト投資の普及に向けた議論」参照)。また、ESG投資の発展形と言われるインパクト投資の広がりとともに、ESGの定義の拡大・再編も行われている(2023年1月19日のニュース「変貌するESG投資の概念」参照)。このようにESG投資の定義が複雑化する中、企業から「分かりやすい」と評判を呼んでいるのが、2023年2月22日に開催された同検討会の第5回会合に金融庁の事務局が提出した資料に掲載された下の図だ。政府の担当省庁が示した定義となれば“重み”もあり、信頼度も高い。今後、ESG投資やその一類型であるインパクト投資について理解を深めるうえで活用されたい。

インパクト投資 : 社会問題・環境問題を解決することを目的として投資すること
ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。

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本資料のポイントは、金融庁が「インパクト投融資の基本的指針」(以下、指針)案の方向性を示していることにある(7~11ページ参照)。内閣官房に設置された「新しい資本主義実現会議」が本年夏にも取りまとめる「新しい資本主義実行計画」に反映させるべく、インパクト投資等に関する検討会も“アウトプット”に向けた議論を開始したと見てよいだろう。

金融庁は指針を策定する意義として、「資金の出し手と受け手の間で共通理解を進める」ことを通じ、「投融資・事業のプロセス全体での投資家・企業の間の対話が促進・具体化し、また、経験・知見の蓄積・向上」につなげることなどを挙げている(資料の7ページ参照)。

指針の編集方針として、「ルールベースの規定を策定するというよりも、基本的事項は盛り込みながら、個別の投融資・企業戦略等に対して柔軟性を確保して取りまとめる(具体的な対応手法等は創意工夫を促す)よう留意する必要」があるとの意見があり、「指針」とはいっても、その内容には一定の“幅”を持たせる方向性が示されている。その一方で、「ウォッシュ等への対応の視点も早くから留意していくことは、投資家保護等の観点のほか、今後、市場全体が順調・健全に発展していくためにも重要」との指摘もあり、ウォッシュ等を防止するための何らかの対応の必要性も示唆されている(8ページ参照)。そこには、ソーシャル・インパクトの測定基準等はまだ開発途上の分野であり、コンセンサスも形成されていない中で、会計基準のような厳密さが求められるものではないとの認識がある反面、いい加減なものではKPIとしての信頼性や、投融資をする側の信用が得られないという悩ましい問題がある。

ウォッシュ : ここでは「インパクト・ウォッシュ」のことを指す。インパクト・ウォッシュとは、実態が伴わないにもかかわらず、社会や環境にインパクトがあるかのように見せかけること。

また、指針の検討にあたっては、投融資先について、「中小企業・ベンチャーなのか、または大企業なのか」「途上国での社会事業も対象なのか」「地域やコミュニティへの社会的価値の提供といったことを念頭に指針を策定するのか」といった論点がある(9ページ参照)ほか、投融資する主体として、財団、アセットオーナー、金融機関、ベンチャーキャピタル、PEファンドなど多様な投融資を行う主体の参入を視野に入れている(10ページ参照)。さらに、インパクト投資の要件や特性など、インパクト投資について“深掘り”した定義も指針に書き込まれる方向となっている(12ページ~参照)。

PEファンド : プライベート・エクイティ・ファンド (Private Equity Fund) の略。投資家から集めた資金を未公開株(プライベート・エクイティ)に投資するとともに、投資先企業の経営にも関与し、企業価値を高めた後に売却することを目的とした投資ファンド。ベンチャーキャピタルとの違いは、PEファンドは既にベンチャーキャピタルの投資対象ではない一定の事業規模を有する企業を投資の対象とするという点にある。

以上のとおりインパクト投資等に関する検討会では論点の整理が進んできているとはいえ、内容的にはいまだ振れ幅のある議論が展開されている。本検討会がどのような着地点を見出すのか、続報したい。

 

 

 

2023/03/02 議決権行使助言会社を巡る問題への“現実解”(会員限定)

イーロン・マスク氏は1月14日、「ISSやグラス・ルイスといった議決権行使助言会社に権力が集中し過ぎている。事実上、株式市場を支配している」とツイートし、話題を読んだ。これは、米国の株式市場の現状を嘆いたものだが、実は日本も例外とは言えない状況にある。

周知のとおり、議決権行使助言会社(以下、助言会社)とは、機関投資家から対価を得て、株主総会における議決権行使について「賛成」あるいは「反対」の推奨という形の助言を行う企業である。日本の株式市場も、ISS(Institutional Shareholder Services)とグラス・ルイスの2社による寡占状態となっているが、その2社の活動に対し、多くの日本企業から不満の声が上がっている。

そもそもの背景としては、パッシブ・インデックス運用を行うファンドが増加したことに伴い、多数の株式銘柄を保有する機関投資家が全保有銘柄の議案を精査したうえで議決権を行使することが困難となり、助言会社を活用せざるを得ないという事情がある。国際的な認知度のある助言会社の推奨に従ったとなれば、年金基金等のアセットオーナーへの説明もつく。こうして、実質的に相当数の議決権行使が委ねられる助言会社の株式市場における存在感が高まっているというわけだ。

パッシブ・インデックス運用 : 東証のTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指し、株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社は定性的な判断を入れずに機械的に投資判断を行う運用手法のこと。パッシブとは「消極的な」という意味である。パッシブ運用に対し、銘柄を選別し、魅力のある銘柄を購入する一方で、見劣りする銘柄を売却するなどして利益を得ようとする投資手法がアクティブ運用である。

しかし、助言会社の存在感の高まりとともに、企業側の不満は増してきている。

企業が抱く第一の不満が、助言会社の推奨内容が“事実誤認”とも言える判断に基づいている場合があるということである。賛否推奨の対象となる企業が異議の申し立てや対話をしようにも、助言会社側が聞く耳を持たないといった指摘もある。

二つ目が、推奨内容が形式的かつ画一的なものになっているということである。推奨にあたっては、個々の企業が持つ背景や実情を考慮する必要があるはずだが、企業側からは「そうはなっていない」との声が上がっている。

三つ目が「利益相反」への疑念だ。ISSは子会社に投資判断をサポートするコンサルティング会社を持つため、推奨内容が歪められる可能性を指摘する声はかねてから存在している。さらに、上記一つ目、二つ目の問題の根本的な原因として、助言会社の人的・物的リソースの不足も指摘されている。

以上のような状況を踏まえ、2017年に実施された(日本の)スチュワードシップ・コードの改訂では、助言会社の業務体制や利益相反管理、助言の策定プロセス等の取組みの公表(指針5-5参照)、2020年の再改訂では、①日本拠点の整備を含む人的・組織的体制の充実、②助言策定プロセスの透明性の確保、③企業との積極的な意見交換、の3点が新たに盛り込まれた(指針8-2~8-3参照)。両助言会社はスチュワードシップ・コードを受け入れているものの、「実態は変わっていない」との指摘があるのも事実であり、その意味では、現状、助言会社を律するものは何もないとも言える。

では、この現状を打破する解決策はあるのだろうか。機関投資家が自らリソースを割き、個別に精査したうえで議決権を行使すること、あるいは助言会社が体制を充実させ、企業との対話をよりきめ細やかに行ったうえで助言を行うことなどが考えられるが、これまでの経緯や現状を踏まえると、これらはまだまだ理想論に過ぎない。

“現実解”として、筆者は大きく三つの方向性があると考える。

一つ目は規制強化である。例えば、金融商品取引法で議決権行使助言会社を当局の監督下に置く、あるいは、オーストラリアのようにライセンス制とし、ライセンスを付与する条件として情報開示の充実等を課すといったことが考えられる。ただし、このような規制強化を実現するハードルは高く、また、強い規制を課すことによって、助言会社が日本市場から撤退してしまうことも想定される。

二つ目は、助言会社の影響力が増している根本的原因を取り除くことである。それは、機関投資家が助言会社に頼らなくてよい状況を作るということだ。そのためには、英国のように機関投資家の業界団体が議決権行使のガイドラインを出すなど、個々の機関投資家の活動をサポートすることも一案であろう。ただし、日本の大量保有報告制度上、たとえ単独での保有割合が5%以下でも、「保有者との間で、共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者」がいる場合には当該「共同保有者」の保有割合も合算する必要があり、大量保有報告書の提出が求められるケースが出てくる恐れがあることなどから、この案の実現は難しいとの指摘もある。

大量保有報告制度 : 市場の透明性・公正性を高め、投資者保護を図ることを目的として、株券等の大量保有者に対し「大量保有報告書(or変更報告書)」の提出を義務付ける金融商品取引法上の制度。具体的には、①保有割合が5%超となった場合、②その後、保有割合が1%以上増減するなど重要な変更があった場合、それぞれ提出事由が生じた日から5営業日以内に「大量保有報告書(or変更報告書)」の提出が求められる(②の場合に提出するのは「変更報告書」)。

三つ目は、ソフト・ロー的な規制によって外堀を埋めていくことである。助言会社に対し、スチュワードシップ・コードへの「コンプライ・オア・エクスプレイン」の徹底をはかりつつ、ESGを評価する側に説明責任を問う「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」(同規範の詳細は2022年11月22日のニュース「速報 ESG評価・データ提供機関の行動規範案の修正事項」参照)の対象であるとし、受け入れを求めることも考えられる。

これまで述べてきたように、助言会社を巡る問題は複雑に絡み合っており、現状では特効薬はない。しかし、静観していてよい問題でもないため、規制当局や機関投資家の協力の下、解決に向けて動きだす時が近づいていると言えよう。

2023/03/01 フジテックで社外取解任、アクティビストとの闘争の行方の鍵を握る第三者委員会

香港のアクティビストファンドであるオアシスマネジメント(以下、オアシス)が、フジテックの社外取締役の解任など()を求め臨時株主総会の招集を請求したことは2022年12月8日のニュース『オアシスがフジテックに総会招集を請求 「責務を果たさない」社外取全員の解任を目指す』でお伝えしたとおり。

 本臨時株主総会では、社外取締役の選任・解任議案以外に、オアシスから報酬プランに関する下記の議案も提案されていた。それぞれの成否や賛成割合は次のとおり。
第4号議案「社外取締役の個人別の基本報酬額の決定の件」可決(51.23%)
第5号議案「社外取締役に対する事後交付型株式報酬の付与の件」可決(50.98%)
第6号議案「社外取締役に対する株価条件付後交付型株式報酬の付与の件」否決(47.57%)
第7号議案「取締役(社外取締役を除く)に対する株価条件付後交付型株式報酬の付与の件」否決(47.91%)

その後、2023年2月24日に開催された臨時株主総会では、会社提案の社外取締役の選解任議案はすべて(2名)否決される一方、オアシス提案の社外取締役解任議案は5名中2名が否決、さらに同社外取締役選任議案も5名中2名が否決されるなど、“痛み分け”となった。候補者ごとの決議結果と議決権行使助言会社の推奨内容をまとめると下表のとおり(青字は否決された議案)。・・・

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2023/03/01 フジテックで社外取解任、アクティビストとの闘争の行方の鍵を握る第三者委員会(会員限定)

香港のアクティビストファンドであるオアシスマネジメント(以下、オアシス)が、フジテックの社外取締役の解任など()を求め臨時株主総会の招集を請求したことは2022年12月8日のニュース『オアシスがフジテックに総会招集を請求 「責務を果たさない」社外取全員の解任を目指す』でお伝えしたとおり。

 本臨時株主総会では、社外取締役の選任・解任議案以外に、オアシスから報酬プランに関する下記の議案も提案されていた。それぞれの成否や賛成割合は次のとおり。
第4号議案「社外取締役の個人別の基本報酬額の決定の件」可決(51.23%)
第5号議案「社外取締役に対する事後交付型株式報酬の付与の件」可決(50.98%)
第6号議案「社外取締役に対する株価条件付後交付型株式報酬の付与の件」否決(47.57%)
第7号議案「取締役(社外取締役を除く)に対する株価条件付後交付型株式報酬の付与の件」否決(47.91%)

その後、2023年2月24日に開催された臨時株主総会では、会社提案の社外取締役の選解任議案はすべて(2名)否決される一方、オアシス提案の社外取締役解任議案は5名中2名が否決、さらに同社外取締役選任議案も5名中2名が否決されるなど、“痛み分け”となった。候補者ごとの決議結果と議決権行使助言会社の推奨内容をまとめると下表のとおり(青字は否決された議案)。

<会社提案議案>
決議事項 候補者氏名 決議結果 賛成割合 賛成株主数 反対株主数 ISS グラスルイス
第1号議案
社外取締役2名選任の件
岩崎 二郎氏 否決 46.01% 1,575 224 反対推奨 賛成推奨
海部 美知氏 否決 45.11% 1,567 233 反対推奨 反対推奨
<オアシス提案議案>
決議事項 候補者氏名 決議結果 賛成割合 賛成株主数 反対株主数 ISS グラスルイス
第2号議案
社外取締役5名解任の件
杉田 伸樹氏 可決 57.23% 214 1,582 賛成推奨 賛成推奨
山添 茂氏 可決 57.24% 217 1,579 賛成推奨 賛成推奨
遠藤 邦夫氏 否決 49.77% 184 1,609 賛成推奨 反対推奨
三品 和広氏 否決 46.79% 176 1,620 賛成推奨 反対推奨
大石 歌織氏 可決 50.64% 202 1,594 賛成推奨 賛成推奨
(当初議案にあった引頭 麻美氏は2023年2月21日に辞任したため、最終的な議案から外れている) 賛成推奨 反対推奨
第3号議案
社外取締役6名選任の件
浅見 明彦氏 否決 46.59% 162 1,638 賛成推奨 反対推奨
トーステン・ゲスナー氏 可決 56.77% 215 1,586 賛成推奨 賛成推奨
クラーク・グラニンジャー氏 可決 51.82% 181 1,620 賛成推奨 反対推奨
海野 薫氏 可決 58.74% 212 1,589 賛成推奨 賛成推奨
ライアン・ウィルソン氏 否決 48.75% 200 1,601 賛成推奨 賛成推奨
嶋田 亜子氏 可決 51.10% 199 1,601 賛成推奨 賛成推奨

上表のとおり、オアシス提案議案を見ると、「数」では賛成株主が反対株主を大きく下回っているにもかかわらず、賛成割合が反対割合を上回る議案が多かったことから推測すると、持株割合9.7%以上のオアシス自体に加えて、保有株式数が相対的に多い機関投資家がオアシス提案議案に賛成した可能性が高い。

会社提案の社外取締役候補者のうち最も多くの反対票が集まったのが、海部 美知氏だ。同氏について、ISSとグラスルイスはいずれも「フジテックの代理人弁護士を務める三浦法律事務所の三浦亮太弁護士と同じ会社(テクマトリックス)で社外取締役をしている」点を問題視している。海部氏はフジテックと取引関係があるわけではなく、形式上は独立性があるように見えるが、“社外取締役つながり”が透けて見える安易な人選に対して株主が「No」を突き付ける格好となった。自社の社外取締役のネットワークで他社の社外取締役を自社に招聘するということは一般的にあり得るだけに、上場会社各社は注意したいところだ。

いずれにせよ、各候補者の賛成割合がいずれも接戦となっていることから分かるように、蓋を開けるまではどちらに転ぶのか見えない状況だった。そのような中で引頭 麻美氏が臨時株主総会の直前(3日前)になって辞任(辞任のリリースはこちら。ちなみに、辞任か解任かにより社外取締役としての責任の軽重が変化することはない)したことを、“票読み辞任”と捉えた株主は少なくないと思われる。これは、昨年(2022年)の定時株主総会の直前(当日)にフジテックが内山高一社長の取締役再任議案を取り下げたことの再現とも言えるものであり、株主にネガティブな印象を与え、フジテックにとって不利に働いた可能性がある。なお、フジテックは当初のリリースで、引頭氏の辞任理由を「一身上の都合」と説明していたが、臨時株主総会後のリリースでは、引頭氏本人の希望により、辞任理由を「一身上の都合」から「ガバナンスに関する考え方が当社とは大きく異なるため」に訂正している。もっとも、「引頭氏のガバナンスに関する考え方」と「フジテックのガバナンスに関する考え方」の具体的な違いについての説明は一切ない。

フジテックの臨時株主総会前後における取締役会の構成の変化は下表のとおり。

<フジテックの臨時株主総会前後における取締役会の構成の変化>
役職 2023年2月20日 2023年2月21日
(引頭氏辞任後)
2023年2月24日
(臨時株主総会開催後)
代表取締役社長 岡田 隆夫氏 岡田 隆夫氏 岡田 隆夫氏
代表取締役専務 浅野 隆史氏 浅野 隆史氏 浅野 隆史氏
取締役 土畑 雅志氏 土畑 雅志氏 土畑 雅志氏
社外取締役(従来) 杉田 伸樹氏
山添 茂氏
遠藤 邦夫氏
引頭 麻実氏
三品 和広氏
大石 歌織氏
杉田 伸樹氏
山添 茂氏
遠藤 邦夫氏
(辞任)
三品 和広氏
大石 歌織氏
(解任)
(解任)
遠藤 邦夫氏
(解任)
三品 和広氏
(解任)
社外取締役(オアシス提案により選任) トーステン・ゲスナー氏
クラーク・グラニンジャー氏
海野 薫氏
嶋田 亜子氏

臨時株主総会後におけるフジテックの取締役の総数は9名で、そのうち4名がオアシス提案により選任された社外取締役となった。すなわち、オアシス提案により選任された社外取締役だけでは取締役会の過半数を取れていない。しかし、従来の社外取締役に対しては、取締役を退任したばかりの内山高一氏の会長就任を承認するなどの行動が「株主の利益のために行動したか疑問」として英国の投資ファンドであるアセット・バリュー・インベスターズが責任を追及する構えを見せるなど、社外取締役の役割を果たしていたのか疑問視する声もあっただけに、臨時株主総会を経て、解任を回避できた社外取締役2名の行動が変わる可能性がある。そうなれば、フジテックの取締役会は「株主の利益のために行動」する社外取締役だけで3分の2を占めることになり、同社のガバナンスは大幅に改善し、これが創業家の呪縛を解く契機となりうる。

既報のとおり、フジテックはオアシスが問題視する創業家の内山家による同社の私物化への批判を受けて第三者委員会を設置するとともに、「第三者委員会の調査結果の報告を受けるまでの間、内山高一氏は当社の取締役に就任しない」「当該調査の結果、当社の一部株主より指摘を受けた関速当事者取引その他行為につき問題のないことが確認された際には、改めて、同氏の取締役就任の是非を株主の皆様に諮るべき」との考えを示している(2022年7月1日のニュース「創業家社長、アクティビストへの対応が後手に回り社長の座を失う」を参照)。しかし、フジテックの第三者委員会は2022年8月に調査を受嘱してから(フジテックの第三者委員会設置のリリースはこちら)、中間報告もないまま半年間にわたり沈黙を続けている。今後、臨時株主総会前の取締役会が委嘱したメンバー構成のままの第三者委員会が何らかの報告を行うのか、あるいはメンバーを入れ替えて再スタートを切るのかなど、複数の選択肢がありうる。仮にメンバーを入れ替えるとなれば、それは「メンバー次第で第三者委員会の報告書の内容が変わる」ことを意味し、新メンバーの中立性も問われることになろう。内山家による私物化批判を展開するアクティビストとフジテック旧経営陣の闘争の行方は、第三者委員会の動向がカギを巡っていると言えそうだ。

関速当事者取引 : 「関連当事者」とは、取締役や主要株主、親会社など会社と関係の深い個人や法人のことであり、「会社と関連当事者との取引」は有価証券報告書等で開示(これを「関連当事者取引注記」という)しなければならない。

2023/02/28 2023年2月度チェックテスト

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【問題1】

「トランジッション・ファイナンス」とは、脱炭素社会への長期的な戦略にのっとった温室効果ガス(GHG)の削減に取り組む企業に対し、その取り組みを支援するために行う資金供給の手法を言う。


正しい
間違い
【問題2】

2023年1月31日に施行された開示府令の改正について、12月決算企業が【サステナビリティに関する考え方及び取組】の新設のみ早期適用して2022年12月期の有価証券報告書を作成し、【従業員の状況】や【コーポレート・ガバナンスの状況等】の改正については早期適用しない(1年遅らせる)といったように、改正項目のうち選択した一部のみを早期適用することも可能とされている。


正しい
間違い
【問題3】

独占禁止法の確約手続は既に複数の適用例があり、効果を上げている。

正しい
間違い
【問題4】

当期のディスクロージャーのミスが原因で翌期以降の役員報酬の支払い額の算定が不適切なものとなることはありうる。


正しい
間違い
【問題5】

時価発行新株予約権信託は、権利行使時に課税が行われる可能性がある。


正しい
間違い
【問題6】

日本のサステナビリティ開示基準にはISSBが策定するマテリアルのすべてが取り込まれる見込みである。


正しい
間違い
【問題7】

株主が招集請求した臨時株主総会では、その決議によって、株式会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することができる。


正しい
間違い
【問題8】

最近、米国では有力企業のCEOの報酬減額が相次いでおり、その背景の一つに米国で昨年(2022年)末から施行された「Pay versus Performance(PVP=報酬と業績の相関)」開示規制があることが指摘されている。


正しい
間違い
【問題9】

業績目標を、前期の売上目標やその達成状況等を参考に、機械的・画一的に数%加算した数値として決定することは、不正を引き起こすきっかけになる可能性がある。


正しい
間違い
【問題10】

米国証券取引委員会(SEC)は気候変動リスクの開示規制案の内容の緩和を検討しはじめた。


正しい
間違い

2023/02/28 2023年2月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
米国証券取引委員会(SEC)は上場企業を対象とした気候変動リスクの開示規制を策定中ですが、規制対応のコストや複雑さに対し、企業のみならず、投資家や政治家からの反発が予想以上に大きかったことから、緩和を模索しています(問題文は正しいです)。「開示規制が企業の気候変動対応を進展させる」という考え方は“正論”とは言えるかもしれませんが、開示対応のコスト面や情報の客観性なども看過できなくなっており、妥協点を探る動きが続きそうです。

こちらの記事で再確認!
2023年2月27日 「開示」は企業の気候変動対応を促進するか(会員限定)

2023/02/28 2023年2月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
米国証券取引委員会(SEC)は上場企業を対象とした気候変動リスクの開示規制を策定中ですが、規制対応のコストや複雑さに対し、企業のみならず、投資家や政治家からの反発が予想以上に大きかったことから、緩和を模索しています(問題文は正しいです)。「開示規制が企業の気候変動対応を進展させる」という考え方は“正論”とは言えるかもしれませんが、開示対応のコスト面や情報の客観性なども看過できなくなっており、妥協点を探る動きが続きそうです。

こちらの記事で再確認!
2023年2月27日 「開示」は企業の気候変動対応を促進するか(会員限定)

2023/02/28 2023年2月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
業績目標を、前期の売上目標やその達成状況等を参考に、機械的・画一的に数%加算した数値として決定することは、業績目標が実態と乖離してしまい、従業員に過度のプレッシャーを与え、業績目標を達成するために不正を惹起する可能性があるので、やめるべきです(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2023年2月24日 【失敗学第104回】島津製作所の事例(会員限定)