2022/08/02 スキル・マトリックス、2年目の実態

2021年6月のコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂からスキル・マトリックスの開示が始まり、2年目を迎えた。しかし、本年6月総会の事業報告等を見る限り、CGコードの趣旨に沿ってスキル・マトリックスを作成できている会社はまだまだ少ない。

現に多くの企業は、取締役会のメンバーが有する特性を“スキル・マトリックス風”に図解しているに過ぎない。昨年はもとより、導入2年目となった今年においても、いまだ多くの企業で以下のような実態がある。・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2022/08/02 スキル・マトリックス、2年目の実態(会員限定)

2021年6月のコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂からスキル・マトリックスの開示が始まり、2年目を迎えた。しかし、本年6月総会の事業報告等を見る限り、CGコードの趣旨に沿ってスキル・マトリックスを作成できている会社はまだまだ少ない。

現に多くの企業は、取締役会のメンバーが有する特性を“スキル・マトリックス風”に図解しているに過ぎない。昨年はもとより、導入2年目となった今年においても、いまだ多くの企業で以下のような実態がある。

● 事務局が経営トップに対し、CGコード対応としてスキル・マトリックスの作成と開示が必須になることを報告。しかし、経営トップは「上手く対応しなさい。まずは案を持ってきなさい。」と事務局に丸投げ。
● 事務局は他社事例を基に投資家に評価されるスキル・経験のラベルを定義、これに現任の取締役会のメンバーを当てはめ、叩き台を作成。通常、海外駐在経験があれば「国際性」、女性取締役は「ダイバーシティ」、その他の取締役は役職に応じて「財務」「リスク管理」、それ以外の社内取締役は全員「企業経営」に区分。
● 指名委員会等で様々な意見が出る。「〇が一つしかつかない取締役がいるのでもっと細かくスキルを分類してはどうか」「〇が多い取締役は次期社長という意味か。自分(社長)には一つしかついていない」「このスキルを保有していると自信を持って言えるのか。複数のスキルを統合して表現を弱めたほうが良いのでは」「マトリックスではなく、経験を文章で書くにとどめた方が良いのでは」「そもそも何のためにやっているのか。これを出すと株価が上がるのか」など。以降、事務局への差戻し、再提案の練り上げ、委員会審議の繰り返し。

こうして、現任の取締役のスキルや経験をバランスよく配置することだけを目的とした“落としどころ”としてのスキル・マトリックスが出来上がる。

本来、スキル・マトリックスは投資家との対話において活用することを目的としているため、取締役会がしかるべき役割と責任を果たしているかが投資家に見えるように開示する必要がある。具体的には、企業が持続的に価値を創造していくうえで必要となる取締役会の役割や機能を自ら定義し、それを踏まえて取締役会に求められる知識・能力・経験等のスキルを特定したうえで、これらのスキルを取締役会が実際に備えているのかを示すことが期待されている。仮に現時点では理想的な取締役会の姿になっていなくても、ありのままを開示し、ギャップを縮める努力をすることを約束する方が投資家には好意的に受け止められるはずだ。現体制の正当化で終わってしまっては成長もない。

理想的な取締役会の姿を追求することが、現取締役会メンバーの自己否定につながる可能性がある以上、真に対話のツールとして機能するスキル・マトリックスを示すハードルは高い。社外取締役にリード役が期待されるとしても、彼らも当事者であり、自己保身に走らないとも限らない。スキル・マトリックスの登場により、ステークホルダーに対する長期的な価値還元という観点から高いスチュワードシップ意識を持つ社外取締役を招聘する必要性は益々高まることになろう。

スチュワードシップ : 企業価値の向上や企業の持続的成長を促すことにより、受益者等の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任のこと。

2022/08/01 経営者不正を防ぐ“眼”

企業内で不正が起きた際に必ずと言ってよいほど社内外で投げかけられるのが、その不正は「内部統制」では防げなかったのか、という問いだ。そして、仮にその不正が経営者によるものであれば、「内部統制は経営者不正に対しては無力である」という結論にたどり着くのがお決まりのパターンとなっている。なぜなら、内部統制は経営者が構築するものであるため、従業員不正に対しては抑止力となっても、経営者自身は内部統制をすり抜けて行動することができてしまうからだ。結局のところ、内部統制が弱い部分はガバナンスを強化するしかないが、その頼みの綱のガバナンスも前提次第で効果が変わってくることは頭に入れておく必要がある。

先日、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2022/08/01 経営者不正を防ぐ“眼”(会員限定)

企業内で不正が起きた際に必ずと言ってよいほど社内外で投げかけられるのが、その不正は「内部統制」では防げなかったのか、という問いだ。そして、仮にその不正が経営者によるものであれば、「内部統制は経営者不正に対しては無力である」という結論にたどり着くのがお決まりのパターンとなっている。なぜなら、内部統制は経営者が構築するものであるため、従業員不正に対しては抑止力となっても、経営者自身は内部統制をすり抜けて行動することができてしまうからだ。結局のところ、内部統制が弱い部分はガバナンスを強化するしかないが、その頼みの綱のガバナンスも前提次第で効果が変わってくることは頭に入れておく必要がある。

先日、社外調査委員会の最終報告を公表したピクセルカンパニーズ(東証スタンダード市場)で発生した不祥事はその典型例と言える。ピクセルカンパニーズが2022年7月1日に公表した社外調査委員会の最終報告によると、同社の吉田社長が、自身の個人的な目的による借入れ(下記の3件)のために、会社に無断で代表取締役印を使用し、同社を連帯保証人にしていたことが分かった。
<社長が会社に無断で会社を連帯保証人にした金銭消費貸借契約の日付と借入額>
2020年11月12日付:5,000万円
2021年3 月31日付:1 億円
2021年10月1日付:5,000万円

会社法上、取締役個人の債務を会社が連帯保証する場合には、会社と当該取締役との利益が相反することから、当該取締役は、取締役会でその取引についての重要な事実を開示したうえで、取締役会の承認を受けなければならないこととされている(会社法356条1項3号、同法365条1項)。また、ピクセルカンパニーズの取締役会規則でも、利益相反取引は取締役会の決議事項とされており、1 億円以上の債務保証についても取締役会の決議事項とされている。それにもかかわらず、同社の吉田社長は社内ルールを破り、会社法が求める取締役会での承認も得ずに、勝手に同社の代表取締役印を使用して、同社を連帯保証人とする金銭消費貸借契約を締結していた。

この場面で同社のガバナンスが全く効果を発揮しなかった理由は、そもそも他の取締役や監査役が吉田社長による印鑑の冒用を知りようがなかったという点にある。すなわち、会社のガバナンスを担う取締役や監査役が適時に情報を把握できなければ、代表取締役の暴走に歯止めをかけようがないということだ。また、同様の理由から、内部監査でも今回の不正は発見しようがなかったと言える。

冒用: 名義の権利者の同意を得ないまま、その名称等を使用して法律行為を行ったり、文書を偽造したりすること。

関連当事者との取引を網羅的にキャッチするため、期末に取締役や監査役に関連当事者の範囲やグループ内の会社と関連当事者との取引の有無を確認するためのアンケートを実施している企業は多い。ピクセルカンパニーズでも毎年期末日後に各役員に対して「関連当事者取引に関するアンケート」を実施しているが、吉田社長は会社が自身の債務を連帯保証している件について当該アンケートで報告をしたことはなかった。やはり申告するかどうかを本人の意思に依存している内部統制の効果の弱さは否めない。

関連当事者 : 取締役や主要株主、親会社など会社と関係の深い個人や法人のこと。「会社と関連当事者との取引」は有価証券報告書等で開示(これを「関連当事者取引注記」という)しなければならない。

ピクセルカンパニーズの印章管理規定によると、代表取締役印の管理責任者は管理本部長とされており、代表取締役印の押印を申請する者は、押印を必要とする文書を押印依頼申請書と併せて管理本部総務担当部門に提出し、管理本部総務担当部門が当該文書の内容を確認後、押印は原則として社長が行うこととされている。社長であればこのような内部統制手続きを容易に乗り越えられることは言うまでもない。実際、同社では押印依頼申請書による申請等の手続を経ずに押印が行われているケースも相当程度あり、管理本部長は吉田社長の求めに応じて代表印を渡すこともあったという。もちろん本件でも押印依頼申請書は作成されておらず、管理本部長は会社が連帯保証契約書を締結していたことを認識できていなかった。

社外調査委員会の最終報告によると、ピクセルカンパニーズの取締役管理本部長は吉田社長の幼馴染であった。そもそも社長の幼馴染に牽制役を期待するのは困難な話だ。つまり、本件はガバナンスの担い手の選定ミスが招いた事件とも言える。ピクセルカンパニーズでは、再発防止策として取締役管理本部長を交代させ、後任の取締役管理本部長が印章管理の責任者として印章を金庫で施錠管理することとなった。なお、押印依頼申請書に抜けがないかどうかは、内部監査において、契約書に対応する押印依頼申請書が作成されているかどうかを確認していれば把握できるが、本件のような会社に原本が保管されていない契約書についてはその存在にたどり着きようがない。

社外調査委員会の最終報告では、吉田社長の法令遵守・コンプライアンス意識が希薄であったことも本件が発生した一因として挙げられている。法令遵守・コンプライアンス意識は、日々の行動や言動の節々に現れるものだ。取締役や監査役は、他の取締役の法令遵守・コンプライアンス意識に目配せをしながら、不正の兆候を見落さないように心掛けたい。また、最も効果的な不正防止策は、こうした法令遵守・コンプライアンス意識が希薄な人物を取締役に選任しないようにする指名・報酬委員会の“眼力”にあると言えよう。

2022/08/01 【2022年8月の課題】自社の株主総会における各議案の賛成率分析

2022年8月の課題

コロナ禍以降、3回目となった今年の株主総会シーズンですが、ほぼ全ての3月決算企業の定時株主総会が終了し、臨時報告書(議案ごとの賛成率)も出揃いました。
そこで、自社の株主総会における各議案の賛成率について、他社における同種議案の賛成率や自社の前年の賛成率との比較を踏まえて分析してみてください。
なお、分析にあたっては下表(東証プライム市場上場企業の議案別平均賛成率)も参考にしてください。
63942

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

模範解答を見る
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2022/07/31 【役員会 Good&Bad発言集】執行役員制度

東証スタンダード市場に上場しているS社の取締役会では、執行役員制度を導入にすることを検討中です。これに関して次の4人が下記の発言を行いました。誰の発言がGood発言でしょうか?

取締役A:「執行役員は株主総会で選任されるので、株主総会での決議事項が増えますね。」

取締役B:「執行役員を選任するのは株主総会ではありませんが、有価証券報告書で執行役員の経歴や保有株数を開示しなければなりません。」

取締役C:「執行役員になっても結局は雇用契約しか選べないので、取締役とどれほど目線合わせができるか、疑問です。」

取締役D:「執行役員は会社法上の役員ではないので、その構成や属性は制度開示の対象ではありませんが、制度導入後は当社の各分野の業務執行の最終的な責任を負っているトップマネジメントチームとして、ダイバーシティの面も含め積極的に開示してはどうでしょうか。」

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

解説と正解はこちらをクリック
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2022/07/31 【役員会 Good&Bad発言集】執行役員制度(会員限定)

<解説>
執行役員制度導入のメリット・デメリット

執行役員とは、委員会設置会社以外の会社で実際の業務執行の責任者である従業員等を指します。委員会設置会社の「執行役」とは異なり、会社法上の役員ではありません(よって株主総会で選任する必要はありません)が、監督と執行の分離を進めていくために執行役員制度を導入する企業は多く、日本監査役協会が実施したアンケート結果によると、執行役員制度を導入している上場企業は監査役会設置会社の回答企業(1,359社)や監査等委員会設置会社の回答企業(628社)のうち約8割(第22回インターネット・アンケート集計結果<監査役(会)設置会社版>の28ページおよび同<監査等委員会設置会社版>の26ページを参照)となっています。

執行役員制度を導入するメリットとデメリットは次のとおりです(雇用型や委任型については後述します)。
<メリット>
・取締役会が監督および重要な意思決定を行い、その執行は執行役員が担うことで、取締役会がモニタリングボードとしての機能を発揮しやすくなる。
・執行役員に権限が委譲されることで、迅速な意思決定が可能になる。
・企業規模の拡大に伴い、現場と取締役の間の距離が離れていかざるを得ないが、執行役員は現場と取締役の間に入り、両者のコミュニケーションの仲介役として機能する。
・執行役員が取締役と同じ目線で仕事に取り組みやすくなる。これにより、次世代の取締役候補として、マネジメントのトレーニングを積むことができる。
・委任型にすることで、成果についての意識が強まり、緊張感を持って仕事に取り組んでもらえる。
・株式報酬を付与することで、企業価値に責任感を持たせやすくなる。

<デメリット>
・報酬が固定のままであったり、権限委譲が進まなかったりすれば、執行役員といえども従業員としての意識が抜けず、取締役と同じ目線に立ちにくくなる。
・委任型にすると、執行役員にとっては地位の不安定化につながる。

ガバナンス強化の観点から執行役員との契約を雇用契約ではなく委任契約にする会社も増えてきています(従業員が委任契約の執行役員になる場合、いったん退職することになります。その場合、退職金制度があれば、委任契約の執行役員になった従業員に退職金を支給することになります)。また、取締役が執行役員を兼ねるケースも多く見受けられます。

会社によっては、機能毎の最高責任者(CXO)を設置する会社も増えています。CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)やCFO(最高財務責任者)は相当普及していますが、最近ではCTO(最高技術責任者)、CMO(最マーケティング責任者)、CSO(最高戦略責任者)、CIO(最高情報責任者)、CLO(最高法務責任者)なども増えています。執行役員制度とCXO制度の双方を導入している企業では、執行役員がCXOを兼務するケースが多いと言えます。

執行役員制度を導入する場合は、事前に執行役員規程を定めておき、責任・権限を明確にしておかなければなりません。執行役員同士の情報交換や現場のルール作りの場として、執行役員を構成員とした執行役員会を設けることも検討すべきです。また、執行役員の選任・解任基準も事前に定めておきます(【役員会 Good&Bad発言集】経営陣幹部の選解任の方針と手続 を参照)。執行役員は重要な使用人として取締役会で選任することになりますが、選任や報酬の確定に先立ち、任意の報酬委員会・指名委員会での検討を行う会社もあります。

執行役員への株式報酬支給時の留意点

執行役員への報酬は、雇用型の場合は一般従業員と同様の賃金テーブルまたは年俸制となります。委任型の場合は、委任契約に基づく報酬となります。任期は1年ないし2年が多く(任期を設けないこともあります)、再任されない場合や解任された場合は、雇用型であれば一般従業員に戻ることになり、委任型であれば会社から離れる(あるいは再雇用)ことになります。

執行役員に企業価値向上へのインセンティブを持ってもらうために、株式報酬を付与する会社も少なくありません。この点、2021年3月1日に施行された改正会社法202条の2(取締役の報酬等に係る募集事項の決定の特則)により、「無償」で株式報酬を支給することが可能となりましたが、株式の無償交付の対象者はあくまで「上場会社」である「自社の取締役等(取締役、執行役)」に限定される(2020年9月25日のニュース『改正会社法で導入された株式報酬、「事前交付」と「事後交付」の違い』参照)ため、執行役員には無償での株式を交付することはできないということには注意が必要です(2020年10月5日のニュース「子会社の取締役等に株式が無償交付できないことにより生じる手間」を参照)

執行役員にも求められるダイバーシティやスキル・マトリックス

コーポレートガバナンス・コードの原則2-4には、「女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保」と題して、「上場会社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保を推進すべきである。」と定められています。この「社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保」は、当然のことですが、執行役員にも求められます。イノベーション創出のため、執行役員といえども、ダイバーシティの確保は重要となってきます。

また、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード補充原則4-11①には、「各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべき」と記載されています。この改訂には、取締役会に対し、スキル・マトリックス等の作成・開示を通じて、自社の経営戦略に沿った取締役会の構成を意識させようという狙いがあることは2022年5月26日のニュース「取締役会におけるスキルと属性の多様性を同時に実現する一案」でお伝えしたとおりです。執行役員は次世代の社内取締役候補である以上、取締役に求められることは執行役員にも同様に求められると考えるべきです。すなわち、執行役員の構成は自社の経営戦略に沿っている必要があり、さらにその考え方を推し進めると、取締役だけでなく執行役員についてもスキル・マトリックスを作成すべきということになります。執行役員のスキル・マトリックスは必要に応じて開示してもよいでしょう。実際に、執行役員のスキル・マトリックスも示す会社がすでに出てきています(【2021年5月の課題】スキル・マトリックス作成上のポイント を参照)。

現在の有価証券報告書では【役員の状況】において、取締役の経歴を開示するようになっていますが、執行役員については開示の対象にはなっていません。もっとも、2022年7月19 日に公表された改訂版コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)でも、「執行役員は会社法上の役員ではないため、その構成や属性は制度開示の対象ではないが、各分野の業務執行の最終的な責任を負っているトップマネジメントチームについては、ダイバーシティの面も含めた積極的な開示がなされることが望ましい」(CGSガイドライン44ページを参照)とされており、今後は任意開示の枠組みの中で執行役員の構成や属性を開示する上場会社が増えることが予想されます。

さて、以上の解説をご覧いただければ、誰の発言がGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役D:「執行役員は会社法上の役員ではないので、その構成や属性は制度開示の対象ではありませんが、制度導入後は当社の各分野の業務執行の最終的な責任を負っているトップマネジメントチームとして、ダイバーシティの面も含め積極的に開示してはどうでしょうか。」
コメント:『執行役員は会社法上の役員ではないこと』『執行役員の構成や属性は制度開示の対象ではないこと』を正しく理解したうえで、さらに取締役に求められる『ダイバーシティ』『スキル・マトリックス等の開示』について執行役員にも積極的に拡大して適用するという姿勢は、改訂CGSガイドラインなど最近のトレンドを押さえたGood発言です。

BAD発言はこちら

取締役A:「執行役員は株主総会で選任されるので、株主総会での決議事項が増えますね。」
コメント:これだけ執行役員制度が普及したにもかかわらず、そもそも執行役員の選任権限がどこにあるのかをまったく理解していないBad発言です。

取締役B:「執行役員を選任するのは株主総会ではありませんが、有価証券報告書で執行役員の経歴や保有株数を開示しなければなりません。」
コメント:取締役Bは、執行役員を選任するのが株主総会ではないということを理解している点で、少なくとも取締役Aよりはましですが、取締役と同様、執行役員も有価証券報告書で経歴や保有株数を開示するという誤解をしており、Bad発言です。

取締役C:「執行役員になっても結局は雇用契約しか選べないので、取締役とどれほど目線合わせができるか、疑問です。」
コメント:執行役員制度は雇用型だけでなく委任型もあるという点を理解していないBad発言です。