2022/06/06 役員報酬の“枠超え”、社外役員で多発(会員限定)

3月決算会社の定時株主総会が集中する6月に突入した。定時株主総会では多くの役員の選・退任があるが、役員の選・退任に伴い役員報酬も見直し(改定)されることになる。その際、法定の報酬委員会がある指名委員会等設置会社(株主総会での役員報酬決議は不要)以外の会社で必ず確認しておく必要があるのが、報酬総額が株主総会で決議した枠()内に収まっているか、という点だ。

 会社法上、取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益については、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定めることとされている(会社法361条1項)。ほとんどの株式会社で、定款ではなく、株主総会で取締役報酬・監査役(監査等委員)報酬の枠(総額)を決議し、当該枠の範囲内で各人別の報酬を取締役会(場合によってはさらに代表取締役に委任)・監査役会(監査等委員会)で決議している。

「そんなことは今更言われるまでもない」という声も聞こえてきそうだが、実はこの“役員報酬枠超え”は毎年のように起きている。特に注意すべきは「監査役」および「社外取締役」の報酬だ。

この1年間における上場会社の役員報酬枠超え事例としては、前澤工業(2021年8月3日のニュース「社外取締役増員がもたらすコンプラ違反」参照)、メディアスホールディングス(2021年8月27日のニュース「相次ぐ役員報酬の上限規制違反、今度は監査役報酬の超過が発覚」参照)、ビーブレイクシステムズのほか、直近では名証ネクスト市場に上場しているギガプライズがある。ギガプライズが2022年5月27日にリリースした「株主総会決議を超過する監査役報酬の支払について」によると、同社の監査役報酬の枠(総額)は月額2,000千円以内(20003年2月25日開催の株主総会において決議)とされているが、実際に支払った監査役報酬は2021年3月期(7月から3月までの9か月)が180円、2022年3月期が240千円であり、2023年3月期(4月分と5月分のみ)において40千円超過していたことが発覚した。同社のリリースのとおり、同社の“役員報酬枠超え”は2022年3月期にとどまらず、3年間にもわたっていた。適法性の監査を担う監査役が、自身への報酬に生じていた会社法違反を見逃していたことになる。

注目されるのは、これらの4社のうち前澤工業を除く3社で枠を超えていたのは「監査役」の報酬であり、前澤工業でも「社外取締役」という取締役の中でも別枠で決議が必要となる者の報酬であったということだ。逆に「社内取締役」の報酬枠超過事例は少なくともこの1年間では見当たらない。報酬枠超過事例が「監査役」や「社外取締役」に偏っている要因として、そもそも監査役の報酬枠や社外取締役の報酬枠は社内取締役の報酬枠よりも少ないのが通常であり、社内取締役に比べると増員・増額によってすぐに枠を超過しがちということが挙げられる。

監査役や社外取締役にとっては超過額への対応も気になるところだろう。結論から言えば、枠を超えて支払った部分は「無効」となるため、枠超え部分の報酬は返還を余儀なくされる。例えばギガプライズは監査役に対して超過部分について返還請求を行い、2022年5月26日までに返金を受けたとしている。

ギガプライズは再発防止のため監査役報酬の決定プロセスおよび上限枠の適正な金額設定について今後検討するとしているが、これを「名証ネクスト市場上場会社の例外的な事例」と看過してはならない。上場会社各社はいま一度、役員報酬が株主総会の決議の枠の範囲内であることを確認するとともに、役員の増員(特に社外役員)や報酬の増額時には改めて株主総会で決議した枠の範囲内に収まっていることを確認しておくべきだ。また、そもそも報酬総額が上限(枠)に迫っている会社では、株主総会で当該枠を広げる変更議案の提出を検討する必要があろう。

2022/06/04 【WEBセミナー】『「人的資本」開示にどう向き合うべきか』

概略

【WEBセミナー公開開始日】2022年6月4日

人的資本に関する開示を有価証券報告書で求めるという政府の方針に対し、そもそも「人的資本」とは何なのか、なぜそれを開示する必要があるのか、どのように開示すればよいのかなど、企業からは多くの疑問の声が上がっています。
そこで本セミナーでは、金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」のメンバーであり、開示をご専門の一つとされている一橋大学大学院・経営管理研究科教授の円谷昭一先生に、企業が『「人的資本」開示にどう向き合うべきか』とのテーマでご講演いただきます。具体的には、人的資本開示が求められるようになった背景を、データや世界の潮流、企業と投資家の認識のギャップなどを踏まえご説明いただくほか、5月23日に金融庁・金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループが公表した「報告(案)」について、全体像を概観しつつ、特に「人的資本・多様性」に関する開示にフォーカスして解説していただきます。また、そもそも人的資本とは何なのか、どのように開示すればよいのかという本質的な問題にも踏み込んでいただきます。我が国で最も早くスキル・マトリックスに着目した研究者である円谷先生は、「人的資本」(に関する)項目がスキル・マトリックス項目にある日本企業の少なさに問題意識を抱かれているほか、人事部門長(CHRO)と投資家との接点・意見交換を増やすべきとのご意見もお持ちです。法定開示にとどまらない人的資本への取り組みのあり方についても語っていただきます。

【講師】
一橋大学大学院・経営管理研究科教授
円谷 昭一(つむらや しょういち)様

セミナー資料 「人的資本」開示にどう向き合うべきか.pdf
セミナー動画

「人的資本」開示にどう向き合うべきか

62997

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2022/06/04 WEBセミナー『「人的資本」開示にどう向き合うべきか』配信開始!

新型コロナウイルス禍において会員の皆様に必要な情報をいち早くお届けするべく、2022年6月4日(土)より下記のWEBセミナーの配信を開始いたしました。

テーマ 講 師
「人的資本」開示にどう向き合うべきか 一橋大学大学院・経営管理研究科教授
円谷 昭一(つむらや しょういち)様

■WEBセミナーの詳細

セミナー
の内容
人的資本に関する開示を有価証券報告書で求めるという政府の方針に対し、そもそも「人的資本」とは何なのか、なぜそれを開示する必要があるのか、どのように開示すればよいのかなど、企業からは多くの疑問の声が上がっています。
そこで本セミナーでは、金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」のメンバーであり、開示をご専門の一つとされている一橋大学大学院・経営管理研究科教授の円谷昭一先生に、企業が『「人的資本」開示にどう向き合うべきか』とのテーマでご講演いただきます。具体的には、人的資本開示が求められるようになった背景を、データや世界の潮流、企業と投資家の認識のギャップなどを踏まえご説明いただくほか、5月23日に金融庁・金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループが公表した「報告(案)」について、全体像を概観しつつ、特に「人的資本・多様性」に関する開示にフォーカスして解説していただきます。また、そもそも人的資本とは何なのか、どのように開示すればよいのかという本質的な問題にも踏み込んでいただきます。我が国で最も早くスキル・マトリックスに着目した研究者である円谷先生は、「人的資本」(に関する)項目がスキル・マトリックス項目にある日本企業の少なさに問題意識を抱かれているほか、人事部門長(CHRO)と投資家との接点・意見交換を増やすべきとのご意見もお持ちです。法定開示にとどまらない人的資本への取り組みのあり方についても語っていただきます。
講師の
ご紹介
円谷 昭一(つむらや しょういち)様
一橋大学大学院・経営管理研究科教授、金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」メンバー、日本IR協議会・客員研究員
IRを中心としたディスクロージャーを専門とし、国内外の開示制度や先進的な開示事例に精通するほか、企業との接点も多く、ディスクロージャーと関係が深いコーポレートガバナンスや議決権行使なども研究テーマとしている。
<論文・寄稿・著書(共著を含む)等>
「人的資本をめぐる動向と主要国比較調査・・・『資本市場』2021年12月
「スキル・マトリックス作成の目的・現状・留意点-コーポレートガバナンス・コード改訂を見据えながら」・・・『株式懇話会会報』2021年3月
「取締役ダイバシティの主要国比較-スキル・マトリックスを中心に」・・・『資本市場』2021年3月
「コーポレート・ガバナンスの新潮流と会計士界の課題」・・・『会計・監査ジャーナル』2020年9月
「政策保有株式と会計数値の関係」・・・『資本市場』2020年5月
「日本企業の安定株主の実態」・・・『資料版商事法務』2020年5月
「議決権行使個別開示データの分析」・・・『証券アナリストジャーナル』2019年6月
「IFRS適用是非の意思決定に与える影響-経営者持株比率に焦点を当てて」・・・河﨑照行編著『会計制度のパラダイムシフト』中央経済社,2019年3月
「政策保有株式と会計数値の関係」・・・『資本市場』2020年5月
「日本企業の安定株主の実態」・・・『資料版商事法務』2020年5月
「議決権行使個別開示データの分析」・・・『証券アナリストジャーナル』2019年6月
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会員の方は下記URLよりWEBセミナーを視聴いただくことができます。
■会員向けURL(ログインが必要です)
/member/webseminar-webseminar-l/62989/

非会員の方は下記URLよりWEBセミナーの視聴をお申込みいただけます。
■非会員向けURL(グーグルフォームが立ち上がります)
https://forms.gle/kLRQED4kiTiEFqbG9

<収録月>
2022年6月

<収録時間>
1時間3分

<視聴環境>
ブラウザー上で視聴できます。インターネットエクスプローラー、エッジで再生できない場合は、ChromeまたはFirefoxなど他のブラウザーをお試しください。また、インターネットに接続する際にプライベートネットワークやプロキシサーバーを経由している場合やファイアーウォールのセキュリティレベルが高い場合には、サンプル動画が再生されない可能性があります。
万が一、こちらのサンプル動画が再生されない場合、端末を管理するシステム管理者にお問い合わせください。

2022/06/04 WEBセミナー『「人的資本」開示にどう向き合うべきか』(会員限定)

概略

【WEBセミナー公開開始日】2022年6月4日

人的資本に関する開示を有価証券報告書で求めるという政府の方針に対し、そもそも「人的資本」とは何なのか、なぜそれを開示する必要があるのか、どのように開示すればよいのかなど、企業からは多くの疑問の声が上がっています。
そこで本セミナーでは、金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」のメンバーであり、開示をご専門の一つとされている一橋大学大学院・経営管理研究科教授の円谷昭一先生に、企業が『「人的資本」開示にどう向き合うべきか』とのテーマでご講演いただきます。具体的には、人的資本開示が求められるようになった背景を、データや世界の潮流、企業と投資家の認識のギャップなどを踏まえご説明いただくほか、5月23日に金融庁・金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループが公表した「報告(案)」について、全体像を概観しつつ、特に「人的資本・多様性」に関する開示にフォーカスして解説していただきます。また、そもそも人的資本とは何なのか、どのように開示すればよいのかという本質的な問題にも踏み込んでいただきます。我が国で最も早くスキル・マトリックスに着目した研究者である円谷先生は、「人的資本」(に関する)項目がスキル・マトリックス項目にある日本企業の少なさに問題意識を抱かれているほか、人事部門長(CHRO)と投資家との接点・意見交換を増やすべきとのご意見もお持ちです。法定開示にとどまらない人的資本への取り組みのあり方についても語っていただきます。

【講師】
円谷 昭一(つむらや しょういち)様

セミナー資料 「人的資本」開示にどう向き合うべきか.pdf
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「人的資本」開示にどう向き合うべきか

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2022/06/03 12月決算会社の有報におけるサステナビリティ関連情報の開示

周知のとおり、コーポレートガバナンス・コード補充原則3-1③は上場会社に対し、「経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示」することを、さらにプライム市場上場会社に対しては、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実」を求めている。

TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになりつつある。

現在、金融庁の金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループでは気候変動をはじめとするサステナビリティ情報の開示の義務化について議論が行われているが、具体的な開示内容までは決まっていない。ただし、2022年1月13日のニュース「現行の開示制度の下で求められる気候変動開示」でもお伝えした通り、現行制度のルールの下でも、例えば気候変動が企業経営に重要な影響を与えるリスクがあるのであれば、それを【事業等のリスク】等で開示することが必要になる。つまり、現状は気候変動をはじめとするサステナビリティ情報について有価証券報告書で何を開示すべきかといった細かなルールが決まっていないだけに過ぎず、投資情報として重要なものは有価証券報告書で開示しなければならないということだ。

2022年3月には2021年12月決算会社(551社)が有価証券報告書を提出しているが、下表のとおり、・・・

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2022/06/03 12月決算会社の有報におけるサステナビリティ関連情報の開示(会員限定)

周知のとおり、コーポレートガバナンス・コード補充原則3-1③は上場会社に対し、「経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示」することを、さらにプライム市場上場会社に対しては、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実」を求めている。

TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになりつつある。

現在、金融庁の金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループでは気候変動をはじめとするサステナビリティ情報の開示の義務化について議論が行われているが、具体的な開示内容までは決まっていない。ただし、2022年1月13日のニュース「現行の開示制度の下で求められる気候変動開示」でもお伝えした通り、現行制度のルールの下でも、例えば気候変動が企業経営に重要な影響を与えるリスクがあるのであれば、それを【事業等のリスク】等で開示することが必要になる。つまり、現状は気候変動をはじめとするサステナビリティ情報について有価証券報告書で何を開示すべきかといった細かなルールが決まっていないだけに過ぎず、投資情報として重要なものは有価証券報告書で開示しなければならないということだ。

2022年3月には2021年12月決算会社(551社)が有価証券報告書を提出しているが、下表のとおり、【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】【事業等のリスク】【コーポレート・ガバナンスの概要】の各開示項目において、「サステナビリティ」や「気候変動」に言及している会社が著しく増加していることが確認できる。

キーワード 【経営方針、経営環境及び
対処すべき課題等】
【事業等のリスク】 【コーポレート・
ガバナンスの概要】
2020年12月期 2021年12月期 2020年12月期 2021年12月期 2020年12月期 2021年12月期
サステナビリティ 40社 110社
(175%増)
18社 34社
(88%増)
22社 54社
(145%増)
気候変動 27社 61社
(125%増)
65社 98社
(50%増)
4社 6社
(50%増)

この結果は、上記のとおりコーポレートガバナンス・コードが改訂され、各社のサステナビリティに関する取り組みへの意識が変化していることが大きな要因と思われる。こうした中、同業他社がサステナビリティ関連情報を開示しているにもかかわらず自社が何ら開示していないとなると、投資家から「サステナビリティ経営を推進していない」「気候変動に無関心」といったネガティブな印象を持たれかねない。これは近く提出される2022年3月期の有価証券報告書でも変わらないはずだ。

また、【コーポレート・ガバナンスの概要】においては、「サステナビリティ推進委員会」「サステナビリティ推進課」「サステナビリティ委員会」「サステナビリティ会議」といった会議体等に言及している例も目に付く。サステナビリティ経営の実現に向け、サステナビリティ関連の委員会等を設置する会社が増加してきたことを示していると言えるだろう。

キーワード 【コーポレート・ガバナンスの概要】
2020年12月期 2021年12月期
「サステナビリティ推進委員会」「サステナビリティ推進課」「サステナビリティ委員会」「サステナビリティ会議」 12社 38社
(216%増)

例えば(株)アウトソーシング(現在はプライム市場上場)は、サステナビリティ委員会の構成や活動内容について【コーポレート・ガバナンスの概要】の中で以下のとおり説明している。前期には一切の言及がなかった点にも注目したい。

2020年12月期 2021年12月期
(記載なし) (サステナビリティ委員会)
任意の機関であるサステナビリティ委員会は、2022年3月30日現在、6名(うち社外取締役2名)で構成しており、その委員長は代表取締役が務めております。サステナビリティ委員会は、SDGsの目標達成に向けた取組及びESG経営の高度化を含むサステナビリティの視点を踏まえた経営をグループ全社で横断的に推進させることを目的とし、当社グループのサステナビリティ方針・戦略、重要課題を含む中長期的テーマ及び方向性の審議、KPI進捗のモニタリング等を行い、取締役会に上程しております。

金融庁は、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報に関する開示例として、「気候変動関連」の開示例及び「経営・人的資本・多様性等」の開示例を公表している。有価証券報告書の作成や提出前の最終チェックにあたって参考になろう。

2022/06/02 100歳会長への16億円の特別功労金は肯定されるか

一部の新聞等でも報じられているとおり、日本有数のタクシー会社である第一交通産業が、2022年6月に退任する創業者・代表取締役会長の黒土始氏に対し、積立済の役員退職慰労金とは別に、功労加算金と役員特別功労金の合計(特別功労金)として15億9,400万円を贈呈すると発表した。同様の事例としては、2015年3月期に、33年超在任した経営トップに対し44億6,900万円を支給したオリックスが日本企業としては異例の高額事例として記憶に新しいが、同社は指名委員会等設置会社ゆえ当該支給について株主総会決議は不要であるため、株主総会の論点になることはなかった。一方、第一交通は監査役会設置会社であり、特別功労金の贈呈は株主総会に付議されることになるが、今回の発表と同時に、当期純利益の通期予想の大幅な下方修正(15億5千万円⇒△8億4千万円)も行っている。コロナ禍や燃料単価の高騰の影響もあったようだが、特別功労金の計上がなければ少なくとも黒字には留まったはずだ。こうした中、果たして、無事に株主の承認を得ることができるのか。

結論から言えば、・・・

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2022/06/02 100歳会長への16億円の特別功労金は肯定されるか(会員限定)

一部の新聞等でも報じられているとおり、日本有数のタクシー会社である第一交通産業が、2022年6月に退任する創業者・代表取締役会長の黒土始氏に対し、積立済の役員退職慰労金とは別に、功労加算金と役員特別功労金の合計(特別功労金)として15億9,400万円を贈呈すると発表した。同様の事例としては、2015年3月期に、33年超在任した経営トップに対し44億6,900万円を支給したオリックスが日本企業としては異例の高額事例として記憶に新しいが、同社は指名委員会等設置会社ゆえ当該支給について株主総会決議は不要であるため、株主総会の論点になることはなかった。一方、第一交通は監査役会設置会社であり、特別功労金の贈呈は株主総会に付議されることになるが、今回の発表と同時に、当期純利益の通期予想の大幅な下方修正(15億5千万円⇒△8億4千万円)も行っている。コロナ禍や燃料単価の高騰の影響もあったようだが、特別功労金の計上がなければ少なくとも黒字には留まったはずだ。こうした中、果たして、無事に株主の承認を得ることができるのか。

結論から言えば、第一交通の主要株主は、関係会社である株式会社第一マネージメントや、会長本人を含む親族によって過半数近くが構成されているため、否決の可能性は低い。また、創業者として62年間にわたり経営手腕を振るい、日本一のタクシー保有台数を誇るタクシー会社に成長させただけでなく、不動産・バスなど多角化した企業グループの礎を築いたことは自他ともに認める稀有な功績であり、会長本人が退任意向であることや御年100歳であることを鑑みれば、業績悪化とタイミングが重なったことは致し方なしとして、一般株主の納得も得やすいのではないかと予想される。

とはいえ、2005年前後以降、上場企業において、その不透明性に対する株主・世間からの強い懸念を受け廃止が相次いだ役員退職慰労金を巡る議論の経緯を踏まえると、株主総会議案では単に金額を示すだけでなく、主な功績の内容(特に、定量的に示しやすいもの)や金額の算定根拠といった支給基準も記載した方が、株主はもちろん世間の肯定的な評価を得るためには望ましいだろう。また、本来であれば、その検討過程において、報酬委員会や社外役員だけで構成される特別な会議体等の実質的な関与により決定プロセスの客観性・透明性を高いレベルで確保することや、そもそも業績や企業価値がしっかり反映されるような報酬体系とし、在任中から報いていくことなども検討されるべきであろう。

上記のとおり、今回の特別功労金は、積立済の役員退職慰労金とは「別に」支給されるものである。2021年3月期の開示資料を見ると、慰労金引当額は7,000万円のみ計上されており、創業時からの在任年数の長さを鑑みると、退職慰労金だけでも相応な額になるはずだ。御年100歳にして数十億円の一括受給。所得税のほか、不謹慎ではあるが相続税の問題、使い道など、可決された後も動向が注目されそうだ。

2022/06/01 【2022年6月の課題】自社におけるボード3.0の有用性

2022年6月の課題

長期投資家が取締役として戦略立案に積極的な参画をするべきとする新たな取締役会のモデル「ボード3.0」の議論が米国において広がっており、日本企業のコーポレートガバナンス議論にも影響を及ぼしつつあります。

この「ボード3.0」を自社で検討・導入する場合における留意点として、どのような事項を想定すべきか考えてみてください。

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2022/06/01 プライム市場上場会社にさらに厳しいガバナンス体制が求められる可能性

5月16日に開催された今年度最初の金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下、フォローアップ会議)では、今年度の同会議において何を議論すべきか、アウトプットとして何を目指すべきかが議論された。具体的には大きく2つのテーマ、①コーポレートガバナンス・コード再改訂(2021年6月)後の中間点検、②個別論点(持続的な成長に向けた課題、エンゲージメントに係る課題)が提起されている。

①においては、2021年6月の改訂によってコーポレートガバナンス・コードの細則化が進み、企業に“コンプライ至上主義”が蔓延する原因となったことへの反省、企業価値ひいては時価総額の向上という本来の趣旨に還るべきとの意見が強く示された。②の「持続的な成長に向けた課題」としては、企業にとって成長投資(特に人的資本)の重要性が認識される中、内部留保が右肩上がりで増加している現状に疑問が呈され、株主還元の更なる積極化も含めた資本政策の再考が期待されている。②の「エンゲージメントに係る課題」としては、協働エンゲージメントとして許容される範囲が未だ不明確(共同保有者重要提案行為との関連など。この点については2018年4月11日のニュース『機関投資家が語る「集団的エンゲージメント」が普及するために必要なこと』、2017年5月30日のニュース『「集団的エンゲージメント」明記で今後の機関投資家の動きは?』参照)、またパッシブ化が進展する中で運用機関におけるエンゲージメントの負担が過大であることなどが指摘された。

細則化 : 具体的なルールを細かく規定すること。本来、コーポレートガバナンス・コードは、大まかな原理・原則だけを定め、細かな運用は現場の判断に任せるという規制方法である原則主義(プリンシプルベース・アプローチ とも呼ばれる)をとっている。
共同保有者 : 大量保有報告制度上、たとえ単独での保有割合が5%以下でも、「保有者との間で、共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者」のこと。当該「共同保有者」がいる場合、その保有割合も合算して保有割合を判定する。
重要提案行為 : 投資先企業の株主総会において、又は、その「役員」に対し、発行者の事業活動に重大な変更を加え、又は重大な影響を及ぼす行為として「一定の事項」を提案する行為。「一定の事項」としては、例えば代表取締役の選解任、株式交換・移転、会社の分割・合併、配当に関する方針の重要な変更、資本政策に関する重要な変更などがある。
パッシブ : 東証のTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指し、株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社は定性的な判断を入れずに機械的に投資判断を行う運用手法のこと。パッシブとは「消極的な」という意味である。パッシブ運用に対し、銘柄を選別し、魅力のある銘柄を購入する一方で、見劣りする銘柄を売却するなどして利益を得ようとする投資手法がアクティブ運用である。

企業にとっては、フォローアップ会議の議論が今後のコーポレートガバナンス改革の方向性およびスピード感に対してどのような影響を与えるのか気になるところだが、その意味では、・・・

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