不正解です。
問題文のとおり、監査役会設置会社を選択しながらモニタリング・ボードを志向することは「望ましくない」「中途半端は良くない」との批判があるのは事実です。この指摘の背景として、監査役会設置会社には権限移譲に法的な限界が生じることがあるといった問題点の存在が指摘されています。
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2022年5月11日 社外取締役の報酬改革などが俎上に 第3期CGS研究会の主要論点(会員限定)
不正解です。
問題文のとおり、監査役会設置会社を選択しながらモニタリング・ボードを志向することは「望ましくない」「中途半端は良くない」との批判があるのは事実です。この指摘の背景として、監査役会設置会社には権限移譲に法的な限界が生じることがあるといった問題点の存在が指摘されています。
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2022年5月11日 社外取締役の報酬改革などが俎上に 第3期CGS研究会の主要論点(会員限定)
正解です。
問題文のとおり、監査役会設置会社を選択しながらモニタリング・ボードを志向することは「望ましくない」「中途半端は良くない」との批判があるのは事実です。この指摘の背景として、監査役会設置会社には権限移譲に法的な限界が生じることがあるといった問題点の存在が指摘されています。
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2022年5月11日 社外取締役の報酬改革などが俎上に 第3期CGS研究会の主要論点(会員限定)
不正解です。
業績の悪化や不祥事の発生によって役員報酬を返上もしくは削減するという対応は、欧米企業ではほとんど見られません。日本企業に固有の極めて特異な報酬慣行と言えます。
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2022年5月9日 吉野屋の「社長の報酬減額」に見る有事における欧米企業との対応の違い(会員限定)
正解です。
業績の悪化や不祥事の発生によって役員報酬を返上もしくは削減するという対応は、欧米企業ではほとんど見られません。日本企業に固有の極めて特異な報酬慣行と言えます。
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2022年5月9日 吉野屋の「社長の報酬減額」に見る有事における欧米企業との対応の違い(会員限定)
改正公益通報者保護法の施行(2022年6月1日~)に伴い、上場会社各社は社内規程を改正したうえで、公益通報対応業務の責任者を定め、業務従事者を指定することが求められる。施行日が明後日に迫る中、既に多くの上場会社が内部公益通報対応体制の整備(詳細は下記の【役員会 Good&Bad発言集】やニュースを参照)や社内周知の徹底などを終えていることだろう。
公益通報対応業務 : 内部公益通報を受け、並びに当該内部公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務をいう(公益通報者保護法11条1項)。
業務従事者 : 公益通報者保護法11条1項に定める公益通報対応業務従事者を指す。公益通報者を特定させる事項(通報者特定事項)を伝達される者が該当する。
指定 : 公益通報者保護の改正により、業務従事者には通報者を特定させる情報の守秘が義務付けられ、同義務違反に対しては刑事罰が導入されることから、業務従事者に該当することを本人に認識させるため、書面などによる「指定」が必要となる。
内部公益通報対応体制 : 事業者が内部公益通報に応じ、適切に対応するために整備する体制のこと(公益通報者保護法11条2項)
<公益通報者保護法の改正についてのニュース等>
【役員会 Good&Bad発言集】内部公益通報制度の設計(1)
【役員会 Good&Bad発言集】内部公益通報制度の設計(2)
【役員会 Good&Bad発言集】内部公益通報制度の設計(3)
2021年11月4日のニュース『内部通報制度を機能させるための「範囲外共有」防止策』
2021年10月25日のニュース『内部公益通報指針の解説が公表、既存制度は早目にアップデートを』
2021年9月10日のニュース『取締役全員が「公益通報対応業務従事者」として刑事罰の対象となる恐れ』
2020年6月23日のニュース『CGコードの遵守状況に影響も 改正公益通報者保護法改正のポイント』
改正公益通報者保護法の施行日である2022年6月1日の前後にマスコミ報道などで改正公益通報者保護法の解説や各社の取組みが報じられると、それを目にした従業員(退職してから1年内の元従業員も含む)による通報が一時的に増える可能性は否定できない。また、業務従事者の刑事罰が法定される改正法の施行を待ってから内部通報を行うなど通報の“改正待ち”も6月1日以降の通報増加の一因となることも予想される。
こうした中、一部の会社が頭を悩ませているのが、監査役等(監査役・監査等委員設置会社の監査等委員・指名委員会等設置会社の監査委員)や社外取締役を業務従事者に指定するべきかどうかということだ。冒頭でも触れたとおり、今回の公益通報者保護法の改正の目玉の一つは業務従事者の指定にある。従事者は正当な理由なく通報者特定事項を漏らすと刑事罰(30万円以下の罰金)を科される可能性があるからだ(改正公益通報者保護法12条、21条)。経営を監督する立場にある社外取締役や監査役等は業務従事者には適任との考えもあるが、会社の規模や内部通報制度の設計によっては監査役等や社外取締役は通報者特定事項を伝えられなくても職務遂行は可能であり、あえて刑事罰を受ける可能性のある業務従事者の指定を受ける必要はないという考えを持つ監査役等や社外取締役もいるであろう。また、業務従事者の指定にあたって、①事前に特定の人物や役職を指定しておく方法、②通報の都度、個別に指定する方法のいずれの方法によることも可能とされているので、常勤監査役等一部の役員だけ事前に業務従事者として指定しておき、案件の内容次第で、他の監査役等や社外取締役を案件単位の業務従事者に追加で指定(都度指定)することもできる。適任と言えるが、改正公益通報者保護法上、「通報の都度」指定することも可能とされている。一部の役員につき業務従事者として事前に指定することはせずに、案件の内容次第で都度指定することを選択した企業は、いざ通報があった場合、刑事罰を受ける可能性のある業務従事者に社外取締役や監査役を指定すべきかどうか、判断に迷うところだろう。
通報者特定事項 : 改正公益通報者保護法12条の「公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるもの」を指す。
この点、・・・
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改正公益通報者保護法の施行(2022年6月1日~)に伴い、上場会社各社は社内規程を改正したうえで、公益通報対応業務の責任者を定め、業務従事者を指定することが求められる。施行日が明後日に迫る中、既に多くの上場会社が内部公益通報対応体制の整備(詳細は下記の【役員会 Good&Bad発言集】やニュースを参照)や社内周知の徹底などを終えていることだろう。
公益通報対応業務 : 内部公益通報を受け、並びに当該内部公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務をいう(公益通報者保護法11条1項)。
業務従事者 : 公益通報者保護法11条1項に定める公益通報対応業務従事者を指す。公益通報者を特定させる事項(通報者特定事項)を伝達される者が該当する。
指定 : 公益通報者保護の改正により、業務従事者には通報者を特定させる情報の守秘が義務付けられ、同義務違反に対しては刑事罰が導入されることから、業務従事者に該当することを本人に認識させるため、書面などによる「指定」が必要となる。
内部公益通報対応体制 : 事業者が内部公益通報に応じ、適切に対応するために整備する体制のこと(公益通報者保護法11条2項)
<公益通報者保護法の改正についてのニュース等>
【役員会 Good&Bad発言集】内部公益通報制度の設計(1)
【役員会 Good&Bad発言集】内部公益通報制度の設計(2)
【役員会 Good&Bad発言集】内部公益通報制度の設計(3)
2021年11月4日のニュース『内部通報制度を機能させるための「範囲外共有」防止策』
2021年10月25日のニュース『内部公益通報指針の解説が公表、既存制度は早目にアップデートを』
2021年9月10日のニュース『取締役全員が「公益通報対応業務従事者」として刑事罰の対象となる恐れ』
2020年6月23日のニュース『CGコードの遵守状況に影響も 改正公益通報者保護法改正のポイント』
改正公益通報者保護法の施行日である2022年6月1日の前後にマスコミ報道などで改正公益通報者保護法の解説や各社の取組みが報じられると、それを目にした従業員(退職してから1年内の元従業員も含む)による通報が一時的に増える可能性は否定できない。また、業務従事者の刑事罰が法定される改正法の施行を待ってから内部通報を行うなど通報の“改正待ち”も6月1日以降の通報増加の一因となることも予想される。
こうした中、一部の会社が頭を悩ませているのが、監査役等(監査役・監査等委員設置会社の監査等委員・指名委員会等設置会社の監査委員)や社外取締役を業務従事者に指定するべきかどうかということだ。冒頭でも触れたとおり、今回の公益通報者保護法の改正の目玉の一つは業務従事者の指定にある。従事者は正当な理由なく通報者特定事項を漏らすと刑事罰(30万円以下の罰金)を科される可能性があるからだ(改正公益通報者保護法12条、21条)。経営を監督する立場にある社外取締役や監査役等は業務従事者には適任との考えもあるが、会社の規模や内部通報制度の設計によっては監査役等や社外取締役は通報者特定事項を伝えられなくても職務遂行は可能であり、あえて刑事罰を受ける可能性のある業務従事者の指定を受ける必要はないという考えを持つ監査役等や社外取締役もいるであろう。また、業務従事者の指定にあたって、①事前に特定の人物や役職を指定しておく方法、②通報の都度、個別に指定する方法のいずれの方法によることも可能とされているので、常勤監査役等一部の役員だけ事前に業務従事者として指定しておき、案件の内容次第で、他の監査役等や社外取締役を案件単位の業務従事者に追加で指定(都度指定)することもできる。一部の役員につき業務従事者として事前に指定することはせずに、案件の内容次第で追加で都度指定することを選択した企業は、いざ通報があった場合、刑事罰を受ける可能性のある業務従事者に社外取締役や監査役を指定すべきかどうか、判断に迷うところだろう。
通報者特定事項 : 改正公益通報者保護法12条の「公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるもの」を指す。
この点、日本監査役協会が2022年4月25日に公表した「改正公益通報者保護法施行に当たっての監査役等としての留意点―公益通報対応業務従事者制度との関係を中心に―」(以下、本留意点)では、「非業務執行者であり執行側から独立した立場である監査役等も、要件を満たす場合には、業務従事者として事業者から指定されなければならないのか」とのQに対し(本留意点のQ1およびQ2-3を参照)、監査役等であっても下記の要件を充たすのであれば業務従事者への指定が必要となるとしている。
| 内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務(内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置の全て又はいずれかを主体的に行う業務及び当該業務の重要部分について関与する業務を行う場合に該当)を行う者であること かつ 当該業務に関して公益通報者を特定させる事項(通報者特定事項)を伝達される者であること |
本留意点は、監査役等が内部通報窓口の一つになっている場合となっていない場合に分けて消費者庁に照会を行った結果をまとめたものであり、監査役等ではない社外取締役はカバーしていないが、社外取締役についてもこの考え方は参考になろう。
会社法上、監査役等には、会社の業務及び財産の状況に対する調査権並びに取締役等および支配人その他の使用人に対する報告徴求権が付与されているが(会社法381条2項、399条の3第1項、405条1項)、報告徴求権があるからと言って業務従事者への指定が不要になるわけではなく、上記の要件に該当すればたとえ監査役等であっても業務従事者への指定が必要となる。監査役等ではない社外取締役も、上記の要件に該当すれば業務従事者への指定は必須となる。
最近はガバナンス強化の観点から、監査役や社外取締役が内部通報窓口と連携(情報共有)しているという会社も少なくない。もし、内部通報窓口と通報者特定事項も含めて連携するようになっている場合は、監査役や社外取締役が上記の要件に該当するかどうかを検討しておく必要がある。
もちろん、監査役や社外取締役が「内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置の全て又はいずれかを主体的に行う業務及び当該業務の重要部分について関与する業務」を行わないのであれば、形式的には上記の要件を充たさないため、業務従事者への指定は不要という判断も可能となる。しかし、本留意点は、そもそも「監査役等が、内部通報について報告を受ける際に、内部通報体制の運用状況について一般的な報告を受けるにとどまらず、通報者特定事項をも含む形で報告を受けている場合には、監査役等は、その必要があるときは、監査役等の有する監査権限を行使して、報告を受けた具体的な内部通報について、当該通報者に対する聞き取り調査等を含め、調査、是正のため「必要な措置」を行うことも想定されていると考えられる」と指摘したうえで、仮に監査役等が「必要な措置」を行うことが想定されていないのであれば、それでもなお「窓口部門等が監査役等に通報者特定事項を伝達することは、通報者特定事項を「正当な理由」なく漏らす場合(改正法12条)に該当するのではないかという疑いもある」ことから、「実務上の取扱いとしては、監査役等が通報者特定事項を含む形で内部通報について報告を受けている場合には、当該監査役等を業務従事者に指定する必要があると解することが、適切であると考えられる」としている(本留意点の6ページから7ページにかけての解説を参照)。監査役に求められている機能や窓口部門のコンプライアンス確保という点を考慮すると、たとえ形式的には要件を充たさないように見えても、通報者特定事項の共有があるのであれば監査役等や社外取締役も業務従事者に指定しておいた方が“無難”であろう。
逆に言えば、内部通報窓口による監査役への連携内容が、通報者特定事項の共有を常勤監査役等限りとし、他の監査役等には共有しないとされているのであれば、当該常勤監査役等のみを業務従事者に指定すれば足りることになる。もっとも、その場合は常勤監査役等が監査役会等(監査等委員会・監査委員会も含む)というクローズドな場であっても他の監査役等に通報者特定事項を漏らさないように神経を使わなければならず、結果として監査役会等での議論が不完全燃焼となる可能性もある。それを避けるため、あえて全監査役等を業務従事者に指定するのも一案と言えよう。
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AIを活用した自動翻訳ソフト事業等を営むメタリアル(マザーズ:当時)で、ソフトウェアや研究開発費の会計処理に誤りがあり、過年度の利益や資産が膨らんで表示されていた(2021年2月期は親会社株主に帰属する当期純利益が実際は△68,691千円と赤字であったにもかかわらず、会計処理の誤りにより140,463千円の黒字になっていた)。
メタリアルが2022年1月31日に東京証券取引所に提出した「改善報告書」(以下、本改善報告書)等によると、一連の経緯は次のとおり。
2021年
10月11日~12日:メタリアルはMT事業における開発プロジェクトおよびプロダクトの一部について、外部機関より「収益認識及び期間帰属の妥当性」および「ソフトウェア資産計上の妥当性」等について指摘を受ける。
10月15日:上記指摘を受け、メタリアルの取締役会は特別調査委員会を設置を決議する(同社のリリースはこちら)。
11月30日:メタリアルは特別調査委員会より受領した調査報告書を公表し、あわせて過年度の決算短信等の修正を公表する。
2022年
1月17日:東京証券取引所がメタリアルに改善報告書を徴求する(こちらを参照)。
1月31日:メタリアルが東京証券取引所に「改善報告書」を提出する。
メタリアルが2022年1月31日に東京証券取引所に提出した「改善報告書」によると、調査により判明した事実ならびに原因および改善策は次のとおりとされている。
| 内容 | ■売上の過大計上 メタリアルがX社と製品を共同開発した際に、メタリアルではX社より受け取った共同研究開発にかかる制作費用の分担額を売上高として計上していた。しかし、本来はX社の分担額をメタリアル側で一時的に負担した制作費用総額から減額し(すなわち売上ではなく費用のマイナス)、減額後のメタリアル負担分を研究開発費として費用処理すべきであった。 ■ソフトウェアの過大計上 ■償却・減損の未実施 |
| 原因 | 代表取締役を含む経営幹部の会計基準等に関する理解不足 これまで、メタリアルでは、ソフトウェアの資産性評価において、「会計制度委員会報告第12号 研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」に則り、「ソフトウェアの制作予算が承認された社内稟議書、ソフトウェアの制作原価を集計するための制作番号を記入した管理台帳等」の証憑が作成・承認された時点を資産計上の開始時点であると考えており、そのフローを経た開発内容をすべて資産計上していた。本来は、収益獲得及び費用削減の確実性を立証するための実質的な要件・論点として、新規性や収益確実性の判断時における客観的な指標を用いた基準による判断が必要であることについて経営幹部の理解が不足していた。 経理部門の脆弱性 会計監査人とのコミュニケーションの不足 ソフトウェアの資産性評価の見直し契機の逸失 契約内容及び権利関係の整理の不足 ソフトウェア仮勘定の取扱いに関する情報共有および管理の不十分性 監査役会と会計監査人とのコミュニケーションの不足 |
| 再発防止策 | 経営幹部を含む役員等が会計基準等への理解を深める機会の付与 会計処理に係る社内基準の策定及び運用並びにモニタリングの実行 管理部門に関する体制の強化 会計監査人とのコミュニケーション不足の解消 経営幹部を含む役員等の間でのコミュニケーションの確保 契約内容及び権利関係の整理の不足を補うための取組み 開発プロジェクト管理に関するルールの策定及び運用並びにモニタリングの実行 監査役会と会計監査人とのコミュニケーション不足の解消 実効性のある内部監査を実施するための環境整備 適切な内部通報制度の設計及び報告窓口の指定 |
メタリアルでは意図的な利益操作は行われておらず、単に会計知識の不足などから会計処理の誤謬が発生していました。その結果、本来は赤字であるにもかかわらず、黒字決算となっていました。経営と会計は表裏一体となっているため、会計が間違っていたことで、適切な経営行動をとれなかった可能性があります。誤謬と言えども決して侮ることはできません。
その原因となったのが、メタリアルの経理部門での人的リソースの不足です。同社では、会社内の会計上の論点・問題を発見し、適切に対処するための能力が不足した状態が継続していました。また、経理部門は財務報告に係る内部統制に深く組み込まれているはずですが、開発部門に対して経理部門から牽制を掛けることができない状況となっていました。経理部門が全体として手薄であったり、ルーチン処理はできても高度な会計処理に対応できる人材が不在であれば、今後の誤謬防止のためにも人材への投資を惜しむべきではありません。
メタリアルでは、共同開発契約の契約書の記載内容が十分に整理されたものではありませんでした。契約書の見直しは収益認識会計基準の絡みでも必要となってきます。履行義務を特定できない契約書が少なくないからです。契約書は会計処理の出発点になることから、法務担当の取締役は、新規の契約にあたり、契約書が履行義務を特定できる内容になっているかどうかについて、法務部門が経理部門と連携を取りつつ確認する業務フローを整備・運用するようにしておくべきです。
周知のとおり、昨年(2021年)6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード補充原則4-11①は、「各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべき」としている。この改訂には、取締役会に対し、スキル・マトリックス等の作成・開示を通じて、自社の経営戦略に沿った取締役会の構成を意識させようという狙いがある。
日本の上場企業の大部分は監査役会設置会社か監査等委員会設置会社が占めており、社外役員にまずは「監査」の役割を担わせるために公認会計士や弁護士等の人材が社外監査役や監査等委員である社外取締役として招聘されることが必然的に多くなる。しかし、・・・
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周知のとおり、昨年(2021年)6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コード補充原則4-11①は、「各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべき」としている。この改訂には、取締役会に対し、スキル・マトリックス等の作成・開示を通じて、自社の経営戦略に沿った取締役会の構成を意識させようという狙いがある。
日本の上場企業の大部分は監査役会設置会社か監査等委員会設置会社が占めており、社外役員にまずは「監査」の役割を担わせるために公認会計士や弁護士等の人材が社外監査役や監査等委員である社外取締役として招聘されることが必然的に多くなる。しかし、原則4-11①では「独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めるべきである」とされているため、経営戦略を的確にリードできる他企業の経営経験者、あるいは(日本にまだ少ないが)経営のスペシャリストである“プロ経営者”を招くことも必要であろう。
一方で、補充原則4-10①では、指名や報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たっては、スキルに加えて「ジェンダー等の多様性」の検討を促している。同原則は、スキルの多様性(「タスク・オリエンテッド」の多様性)に対し、属性の多様性(「リレーション・オリエンテッド」の多様性)ともいうべき、人種や性別、年齢などの多様性を念頭に置いており、いわば、バックグラウンドの違いによる価値観の多様性の実現を求めている。
しかし企業からは、スキルの多様性と属性の多様性の両方を同時に実現するのは非常に難しいとの声が聞かれる。ある企業では、まず自社にとって必要なスキルを有する役員候補者をリストアップし、その次に属性の多様性を考えるという。このため、結果として性別や年齢などに偏りが生じてしまうとこぼす。株主・投資家側からすれば、属性は「一見すれば明らか」な要素であるが、スキルは取締役候補者の経歴等をしっかり読み込まなければ理解できないことも多い。特に社内人材(例えばエンジニア)については、どのような分野を専門とするのか容易には分かりにくい。このため、投資家にとっては、「属性」の多様性の方が、最初の段階で企業をガバナンス体制の観点からスクリーニングする材料となりがちである。こうした中、一部の企業が進めているのが、社内における属性の多様化だ。
もちろん、自社内に多様なスキルを身に着けられる環境があるに越したことはない。しかし、日本企業においてもジョブ型採用が増加してはいるとはいえ、いまだメンバーシップ型採用も根強く残る中で、“この道一筋”といった尖ったスキルを有する人材を育てることは簡単ではないことに加え、社内ではどうしても身に着けられないスキルもある。また、経営陣には自社を俯瞰的に見ることができる人材も必要であり、尖ったスキルを有する人材ばかりを育成することが自社にとって良いことではないだろう。そこで、人種・国籍や性別、年齢、学歴など様々な人材を採用・育成して、将来の幹部候補、役員候補に育成していく方が属性の多様性を確保するには近道ではないかと考える企業が出て来ている。一方で社外役員はスキルの多様性の観点から選抜し、多様な属性を持つ社内人材と組み合わせれば、スキル、属性ともに多様性に富んだ取締役会構成を実現することができる。多様性を社外ではなく社内人材に求めるという発想の転換を図ったうえで将来の幹部候補、役員候補を育成するという戦略的な人材プール作りも検討に値しよう。
ジョブ型採用 : 「特定のポスト」や「特定の職種」の専門家として人材を採用する手法であり、欧米で普及している。ジョブ型が浸透した欧米では、様々な企業の経営者を経験した人材も「プロの経営者」として流動化している。
メンバーシップ型採用 : 自社の“メンバー”としてふさわしい人材になれるかどうかという観点から人選を行う採用手法。入社後は、ジョブローテーション等によりゼネラリストへと育成する。メンバーシップ型では、終身雇用が前提となる。