2022/02/05 【WEBセミナー】ISS・グラスルイスの2022年版議決権助言方針(会員限定)

概略

【WEBセミナー公開開始日】2022年2月5日

本セミナーでは、運用会社の議決権行使に大きな影響を与えるISSおよびグラスルイスの2022年版議決権助⾔方針を中心に、両社の議決権助言方針に精通する日本シェアホルダーサービス 研究開発/コンサルティング部でチーフコンサルタントを務める藤島 裕三 様にご講演いただきます。
2022年版ポリシーでは、ISSが、取締役会に女性取締役が1人もいない企業の経営トップの選任議案に反対するという新たな方針を設定(2023年2月以降適用)、既に同様の方針(女性役員が1名)を導入していたグラスルイスは、その対象を東証1・2部上場会社から全上場会社に拡大したほか、2023年以降は、女性役員を「女性取締役」としたうえで、人数ではなく10%という「割合」をプライム市場上場会社に対して求めることとしました。また、ISSは、「純資産の20%以上」に相当する過度な政策保有株式を保有する企業の経営トップの選任議案に反対する方針の適用猶予期間を今年から解除します。本セミナーでは、ジェンダーダイバーシティ、社外取締役、政策保有に関する投資家の議決権行使基準全般についても解説していただきます。

【講師】
藤島 裕三(ふじしま ゆうぞう)様
日本シェアホルダーサービス 研究開発/コンサルティング部 チーフコンサルタント
慶應義塾大学大学院法学研究科修了後、1994年に株式会社大和総研入社。企業調査部アナリスト、同社経営戦略研究所経営戦略研究部 主任研究員 、企業経営コンサルティング部 副部長・シニアコンサルタントを経て2014年、EY総合研究所に入社、未来経営研究部 部長 主席研究員に就任。コーポレートガバナンス改善計画の策定支援、敵対的買収対応に関わる体制整備の支援、IRや株主対応に関する改善支援・アドバイザリーなどに従事。2017年9月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。慶應義塾大学非常勤講師(2003-2005年)、京都大学大学院非常勤講師(2006―2008年)、財務省 財政投融資ガバナンス委員会 委員(2005ー2006年)、経済産業省コーポレート・ガバナンスの対話の在り方分科会 委員(2013年-)。
『コーポレートガバナンス・マニュアル 21世紀日本企業の条件』(中央経済社、第1版 2005年1月、第2版2008年1月):共著、『現代の財務経営1 コーポレートファイナンス』(中央経済社、2009年3月):共著、『ガイダンス コーポレートガバナンス』(中央経済社、2009年10月):共著など著書・論文多数。

セミナー資料 ISS・グラスルイスの2022年版議決権助言方針.pdf
セミナー動画

ISS・グラスルイスの2022年版議決権助言方針

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2022/02/05 【WEBセミナー】野村アセットマネジメントの議決権行使(会員限定)

概略

【WEBセミナー公開開始日】2022年2月5日

本セミナーでは、国内トップクラスの運用会社である野村アセットマネジメントの責任投資調査部でシニアESGスペシャリストを務める深澤 寛晴 様をお招きし、野村アセットマネジメントの議決権行使の方針、コーポレートガバナンスの考え方、2022年の株主総会を対象とした議決権行使基準の概要について解説していただきます。
同社は他の運用会社に比べて早い時期(毎年11月)に議決権行使基準を改定することから、運用会社全般の動向を把握するうえでも参考になることが期待されます。本セミナーは、2022年の株主総会に向け、運用会社の議決権行使の責任者の声を聞く貴重な機会となります。

【講師】
深澤 寛晴(ふかさわ ひろはる)様
1994年 大和総研入社 エコノミスト、通商産業省(現在の経済産業省)出向等を経て2001年よりジャーディン フレミング投信投資顧問(現在のJ.P.モルガン・アセット・マネジメント)にて営業支援。2004年より大和総研にてファイナンシャル・アナリスト、コンサルタント。2014年よりEY総合研究所。2017年より現職(野村アセットマネジメント 責任投資調査部シニアESGスペシャリスト)。

セミナー資料 野村アセットマネジメントの議決権行使.pdf
セミナー動画

野村アセットマネジメントの議決権行使

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2022/02/04 近い将来の法人税増税の方向性鮮明に

企業のキャッシュフローに大きな影響を与える法人税負担増加の方向性が鮮明になっている。

令和4年度(2022度)税制改正では、岸田政権が掲げる「成長と分配」政策の柱である“賃上げ税制”に注目が集まっているが(2021年12月13日のニュース「パートナーシップ構築宣言と賃上げ宣言の違い」参照)、・・・

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2022/02/04 近い将来の法人税増税の方向性鮮明に(会員限定)

企業のキャッシュフローに大きな影響を与える法人税負担増加の方向性が鮮明になっている。

令和4年度(2022度)税制改正では、岸田政権が掲げる「成長と分配」政策の柱である“賃上げ税制”に注目が集まっているが(2021年12月13日のニュース「パートナーシップ構築宣言と賃上げ宣言の違い」参照)、来年度の税制改正の概要をまとめた税制改正大綱には、来年度(令和5年度)税制改正での法人税の増税を示唆する記述が多数盛り込まれていることは意外と見過ごされているようだ。来年度税制改正での増税を強く示唆しているのが、与党税制改正大綱の前文「令和4年度税制改正の基本的考え方」(1ページ~)に盛り込まれた記述である。

近年、日本政府は企業側からの要望に応える形で法人税率を引き下げてきた。昭和末期には43.3%あった法人税率は現在は23.2%まで下がっている(法人税率の推移はこちらを参照)。これに対し与党税制改正大綱では、「(3)未来への投資等に向けた経済界への期待」の中で、近年、企業の前向きな投資や賃上げを促す観点から、法人実効税率の引下げをはじめとする様々な税制上の取組みを行ってきたにもかかわらず、「賃金水準は、実質的に見て30年以上にわたりほぼ横ばいの状態にあり、その伸び率は他の先進国に比して低迷している」「人的資本や無形資産への投資の規模や、設備の経過年齢を見ても、主要国に見劣りする水準にある」と指摘しつつ、企業が株主還元や内部留保を増やしていることへの不満を示している。そして、「近年の累次の法人税改革も、意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ない」と断言しており、政府の企業に対する“失望”が伝わってくる(以上、3ページ参照)。

法人実効税率 : 法人税、住民税、事業税といった会社の利益に課税される税の総合的な負担率のこと。

同時に、これは累次の法人税減税分を今後取り戻すとの政府の意思表明とも言える。コロナ禍はただでさえ財政状態の厳しい日本政府に予定外の財政出動を迫ることとなったが、他国でも同じことが起きている。英国政府は、コロナ禍に伴う財政出動を取り戻すべく2023年4月から大企業向けの法人税率を現行の19%から25%に引き上げるなど、これまで企業誘致のために各国が競ってきた法人税率の引下げ競争に歯止めがかかり、法人税率引上げの機運が出てきている。令和5年度改正では法人税率の引上げが検討されることも十分考えられるだろう。

また、「十分な投資余力があるにもかかわらず活用されていない場合に、企業の行動変容を促すためにどのような対応を講ずるべきかといった視点からも、幅広く検討を行う」との記述(4ページ上部参照)も気になるところだ。日本企業が内部留保を増やし投資に回さないことは機関投資家からも批判を受けてきたが、令和5年度税制改正以降、内部留保に対する課税が検討される可能性もあろう。

2022/02/03 「スキル等の組み合わせ」開示、様子見企業相次ぎコンプライ率が大幅低下

2021年6月に実施されたコーポレートガバナンス・コード(CGコード)改訂の目玉の一つとして、補充原則4-11①で上場会社に取締役の「スキル等の組み合わせ」の開示が求められることとなった点が挙げられる。しかし、2022年1月12日のニュース「改訂CGコード対応後における招集通知のスキル・マトリックスのあり方」でお伝えしたとおり、当フォーラムがTOPIX100採用企業(昨年12月末現在)の昨年の株主総会招集通知を調査したところ、未だ半数近くはスキル・マトリックスを掲載していなかった。こうした中、補充原則4-11①のコンプライ率に注目が集まっていたが、・・・

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2022/02/03 「スキル等の組み合わせ」開示、様子見企業相次ぎコンプライ率が大幅低下(会員限定)

2021年6月に実施されたコーポレートガバナンス・コード(CGコード)改訂の目玉の一つとして、補充原則4-11①で上場会社に取締役の「スキル等の組み合わせ」の開示が求められることとなった点が挙げられる。しかし、2022年1月12日のニュース「改訂CGコード対応後における招集通知のスキル・マトリックスのあり方」でお伝えしたとおり、当フォーラムがTOPIX100採用企業(昨年12月末現在)の昨年の株主総会招集通知を調査したところ、未だ半数近くはスキル・マトリックスを掲載していなかった。こうした中、補充原則4-11①のコンプライ率に注目が集まっていたが、東京証券取引所の調査で、やはり同補充原則のコンプライ率は大きく低下していたことが明らかになった。

補充原則 4-11① ※赤字が2020年6月改訂部分
取締役会は、経営戦略に照らして自らが備えるべきスキル等を特定した上で、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。その際、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めるべきである。

東京証券取引所が2022年1月26日に公表した「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況(2021年12月末時点)」(以下、東証資料)によると、補充原則4-11①のコンプライ率は市場第一部で71.1% に過ぎず、2020年8月時点の調査結果と比較すると25.8ポイント低下している。さらに市場第二部では57.8%と、同月比で38.6ポイントも低下しており、JASDAQに至っては43.8%と半数を切っている(なお、JASDAQ上場企業に対しては2020年8月時点では基本原則のみ適用されていたため、2020年8月比はなし)。ここまでコンプライ率が下がったのは、「スキル等の組み合わせ」の開示を求められたことが大きな要因と考えざるを得ない。もっとも、今回のコンプライ率低下の背景には企業側の「様子見」ということもあろう。実際、東証資料には、「同原則をエクスプレインしている会社の記載内容としては、今後、取締役のスキル等の組み合わせの開示を検討するという事例が多く見られる」(東証資料8ページ参照)とあることから、翌期(3月決算会社の場合は2022年3月期、12月決算会社の場合は2021年12月期)の定時株主総会の招集通知等では「スキル等の組み合わせ」を開示する企業が一転して急増し、コンプライ率も大幅に改善することが予想される。

また、東証資料8ページによるとTOPIX100採用企業が「スキル等の組み合わせ」を開示している場所として、もっとも多いのは実は招集通知ではなく、コーポレート・ガバナンスに関する報告書(以下、ガバナンス報告書)であることも分かった(下記のグラフ(東証資料8ページより引用)参照)。

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しかし、株主にとって、「スキル等の組み合わせ」の情報は議決権行使にあたり参考になる(ボードメンバーの構成を理解し、株主総会での質問などに活かすことができる)ため、「スキル等の組み合わせ」の情報は、株主総会後にアップデート版が公表されるガバナンス報告書ではなく、株主総会前に株主が確認できる招集通知で開示されている方が有用性は高い。株主のニーズに応えるため、開示媒体を見直すことも検討の余地があろう。

2021年6月のCGコード改訂で新設され、「女性・外国人・中途採用者の中核人材への登用等の多様性の確保の考え方、目標、状況」「多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針とその実施状況」の公表を求める補充原則2-4①も、対応に苦慮する企業が多い原則と言える。

補充原則2-4① (新設)
上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである。
また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである。

東証資料によると、この原則のコンプライ率は市場第一部でさえ66.8%であり、上述した「スキル等の組み合わせ」の開示を求める補充原則4-11①よりも低い(東証資料8ページを参照)。改訂当初から、「外国人」「中途採用者」に関する目標値を開示する必要性を疑問視する声があり、東証もガバナンス報告書の記載要領で、基本的には「女性」「外国人」「中途採用者」の3項目全てについて「自主的かつ測定可能な目標」の開示が必要としつつも、一部の項目でこれを示さない場合にはその理由を記載することでコンプライとして構わないとのスタンスを示していた(東証のスタンスについては2021年9月9日のニュース「“中核人材”3項目について投資家の間で存在する序列」を参照)。それにもかかわらず、蓋を開けてみれば、東証一部上場企業のうち3社に1社が「外国人」「中途採用者」はもとより「女性」についても目標値の設定・開示ができなかったことになる。近い将来、有価証券報告書において男女別の賃金開示が求められるようになることが既定路線となる中(有価証券報告書における男女別の賃金開示については2022年1月24日のニュース『岸田総理が「有価証券報告書」における男女別賃金の開示を明言』を参照)、女性を管理職に登用するという経営課題のプライオリティが高まることは間違いないだけに、目標値の設定・開示すらできない企業には投資家から厳しい目が向けられることになりそうだ。

一方、TOPIX100採用企業に限定すると、補充原則2-4①をコンプライしている企業は89社あり、そのうちほぼすべての企業(86社)が「女性」の中核人材への登用等について測定可能な目標を設定している。ただし、「外国人」「中途採用者」の中核人材への登用について測定可能な目標を設定している企業は20社をやや上回る程度となっており、「女性」と比較すると圧倒的に少ない(下のグラフ(東証資料9ページより引用)を参照)。おおむね予想通りの結果と言えよう。

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上記補充原則 4-11①、補充原則2-4①を「人材」をテーマとした原則とすると、2021年6月のCGコード改訂のもう一つの大きなテーマと言えるのが「サステナビリティ」だ。

補充原則3-1③(新設)
上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。
(以下略)

補充原則4-2② (新設)
取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すべきである。
また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。

市場第一部におけるコンプライ率は、補充原則3-1③が66.2%、補充原則4-2②が78.8%となっている。自社のサステナビリティを巡る取り組みについて、補充原則4-2②は「方針の策定」を求め、補充原則3-1③は「取組みの開示」を求めていることが両補充原則のコンプライ率の差12.6%(=78.8%-66.2%)につながったものとみられる。基本的な方針は策定したものの実際の取り組みについては開示を躊躇した企業が少なくなかったことをうかがわせる。

また、補充原則3-1③には「人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべき」とあるが、同原則をコンプライしたTOPIX100採用企業でも、人的資本や知的財産の投資について言及したところは7割台にとどまっている(下記のグラフ(東証資料11ページより引用)を参照)。知的財産については、2022年1月28日に「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer1.0)」が公表されたばかりであり、今後の知的財産の投資の開示にあたっては同ガイドラインが参考にされることになろう。それとともに、同原則のコンプライ率も上昇していくことが予想される(同ガイドラインについては2021年12月23日のニュース「知財・無形資産ガバナンスガイドラインとCGコードの関係」を参照)。
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「サステナビリティ」に関する原則が求める開示で企業にとって最もハードルが高いと思われるのは、2022年4月4日の新市場区分への移行後にプライム市場上場会社向けに適用される補充原則 3-1③の「TCFDまたは同等の枠組みに基づく開示」だろう(この点については2021年9月29日のニュース「TCFD開示に関する補充原則3-1③のコンプライの“強度”」を参照)。TOPIX100採用企業では、既に対応済が76社、検討中が9社となっている(東証資料11ページを参照)。我が国を代表する企業によって構成されるTOPIX100採用企業ならではの順調な滑り出しと言える。

TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになりつつある。

補充原則 3-1③ ※赤字が2020年6月改訂部分
(前略)
特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。

もっとも、東京証券取引所が2022年1月11日に公表した「新市場区分の選択結果について」によると、2022年1月11日時点の全上場会社3,777社の約半数(49%)にあたる1,841社がプライム市場を選択しており、その中には “背伸び”をして同市場を選択した企業が多く含まれる。こうした企業にはTCFDまたは同等の枠組みに基づく開示と英文開示(補充原則3-1②)などの開示負担が重くのしかかることから(英文開示については2022年1月20日のニュース『補充原則3-1②の英文開示で「必要とされる情報」の意味』および2022年1月26日のニュース「有報、CG報告書の英文開示、プライム市場選択会社にとっては底辺からの検討課題に」を参照)、今後はプライム市場全体のコンプライ率の足を引っ張ることも予想される。そうなれば、プライム市場全体のコンプライ率の指標としての有用性の低下を招く恐れもあろう。

2022/02/02 政策保有株式開示を巡る期待ギャップが解消しない理由

周知のとおり、政策保有株式に関する開示については、2019年3月期から適用が開始されている改正開示府令により開示内容の充実が図られている。具体的には、「政策保有株式の保有方針」「保有の合理性を検証する方法」「保有目的」「保有の効果」「政策保有の相手方の株式の保有の有無」「株式数の増加の理由」といった事項を有価証券報告書で開示することを求めるとともに、開示対象となる個別銘柄数も従来の30銘柄から60銘柄へと拡充された。しかしながら、開示制度の充実とは裏腹に、投資家が期待する開示と実際の開示内容の乖離はいまだに大きいと言われており、残念ながら今後も解消しない可能性が高い。以下、その理由を説明しよう。・・・

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2022/02/02 政策保有株式開示を巡る期待ギャップが解消しない理由(会員限定)

周知のとおり、政策保有株式に関する開示については、2019年3月期から適用が開始されている改正開示府令により開示内容の充実が図られている。具体的には、「政策保有株式の保有方針」「保有の合理性を検証する方法」「保有目的」「保有の効果」「政策保有の相手方の株式の保有の有無」「株式数の増加の理由」といった事項を有価証券報告書で開示することを求めるとともに、開示対象となる個別銘柄数も従来の30銘柄から60銘柄へと拡充された。しかしながら、開示制度の充実とは裏腹に、投資家が期待する開示と実際の開示内容の乖離はいまだに大きいと言われており、残念ながら今後も解消しない可能性が高い。以下、その理由を説明しよう。

政策保有株式開示を巡る期待ギャップが大きいことは、金融庁が「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」を公表しているにもかかわらず、企業による実際の開示に基づく「好事例集」がいまだに示されていないことからも裏付けられる。

コーポレートガバナンス・コードでは、原則1-4において、上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には「縮減に関する方針・考え方」の開示を求めているほか、補充原則1-4①では自社の株式を政策保有している相手方による株式売却を妨げるべきではないこと、同1-4②では政策保有株主との取引についての懸念が示されている。これらを踏まえれば、政策保有株式は基本的に「縮減すべきもの」「保有するべきではないもの」と考えるのが妥当だ。

<政策保有株式に関するコーポレートガバナンス・コードの原則>
【原則1-4.政策保有株式】
上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、 政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきである。上場会社は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための具体的な基準を策定・開示し、その基準に沿った対応を行うべきである。

補充原則
1-4① 上場会社は、自社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有株主)からその株式の売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆することなどにより、売却等を妨げるべきではない

1-4② 上場会社は、政策保有株主との間で、取引の経済合理性を十分に検証しないまま取引を継続するなど、会社や株主共同の利益を害するような取引を行うべきではない。

投資家が政策保有株式の保有を問題視する理由は、「資本コスト」と「安定株主」の2つの観点から説明できる。

  投資家が考える問題点
資本コスト 政策保有株式は資本コストを下回る収益しか期待できない。内部留保は低収益の政策保有株式の保有に充てるのではなく、高収益の本業や成長事業に投資すべき。
安定株主 業務提携や取引関係の維持強化のため、政策保有株式に係る議決権行使において、政策保有先企業の会社提案議案に賛成するという暗黙の了解があるとすれば、当該企業の放漫経営を許すことになり、他の株主との利益相反が生じる。

このような問題があるため、政策保有株式を保有の合理性を説明することは困難であり、合理的な保有理由は「資本コストを上回る収益を獲得している」「特殊な調達ルートを確保するために資本業務提携を必要とする」場合などに限定される。逆に言えば、こうした合理的な保有理由を開示すれば投資家の納得を得ることも不可能ではないはずだが、現実はそう簡単ではない。

現在、金融庁の金融審議会・ディスクロージャーワーキング・グループでは、気候変動開示のほか、政策保有株式を含むコーポレート・ガバナンスに関する開示が議論されている。政策保有株式については、「業務提携等を行っている場合の説明」「政策保有株式の議決権行使の基準の説明」「純投資目的の株式についての個別銘柄等の開示」など、有価証券報告書における開示のさらなる強化がテーマとなっている。一方、企業側は、「コーポレートガバナンス・コードを踏まえ政策保有株式の縮減を進めており、開示強化の必要性は相対的に低下している」と反発している。現在浮上している開示強化案と、それぞれの案に対する企業側の主な反対理由は下表のとおりだ。

純投資目的 : 「純投資目的」とは、専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする場合をいう。純投資目的以外の株式が「政策保有目的株式」に分類される。

(注)単に政策保有株式から純投資目的の株式に振り替えるといった見せかけの削減を行っている事例が存在すること、本来政策保有株式に分類すべきと考えられる株式を純投資目的株式に分類している事例が存在することから、純投資目的の株式についても政策保有株式と同様に個別銘柄等を開示させ、真の保有目的を明らかにすることを狙いとしている。
開示強化案 企業側の反対理由
業務提携等を行っている場合の説明 相手方との守秘義務に抵触したり、営業機密に該当したりするという問題が生じ得るため、開示できる情報は既にプレスリリースされた内容等に限定される(つまり、開示できる情報は既に開示されている)
政策保有株式の議決権行使の基準の説明 様々な状況を勘案して議決権を行使しているため、「議決権行使の基準」を形式的に定めることは困難であり、「各議案が当該企業の企業価値向上に資するかどうかで判断する」程度のことしか言えない。そのような開示の意義は小さい。
純投資目的の株式についての個別銘柄等の開示(注) 「純投資目的の株式」である個別銘柄の開示は、具体的な投資戦略の秘匿性に照らせば考え難い一方で、包括的な開示は財務諸表の注記(金融商品に関する注記)と重複する可能性があり、現在の開示以上の内容を強制すべきではない。

ディスクロージャーワーキング・グループの議論からは、投資家が「政策保有株式は基本的には保有するべきではなく、縮減の方向の中で、例外的かつ一時的に保有するもの」との認識に基づき、開示の充実を図って欲しいと考えている一方、企業側は、営業機密に該当するなどの理由から政策保有株式に関する開示は制限されることが多く、投資家の望む開示を完全に達成することは困難と考えている図式が見える。例えば、ある政策保有株式がなぜ資本コストを上回る収益を獲得しているかについては、営業機密との関係で定量的な保有効果の検証過程の情報開示が進まないといった事情がある中、投資家としては、情報が不足している状況では当該政策保有株式の保有の是非を判断できず、結果として、一律に政策保有株式の削減を求める傾向に一層拍車がかかるという事態に陥っている。

以上を踏まえれば、仮に政策保有株式に関する開示内容が拡充され、政策保有株式を保有しづらい環境を作ることができたとしても、政策保有株式に関する開示を巡る投資家との間の期待ギャップは解消しない可能性が高いと言えよう。

2022/02/01 【2022年2月の課題】非財務指標の役員報酬への組込み

2022年2月の課題

2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは、サステナビリティを巡る課題への積極的な取組みが求められています。また、2021年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が公表したガイダンスでは、「経営幹部の報酬において気候変動への対応に連動する割合」が開示すべき指標の一つとして明記されるなど、非財務情報の開示のみならず、報酬制度への組込みについても、議論の射程に入りつつあります。こうした背景および自社のサステナビリティに関する経営戦略を踏まえ、役員報酬へ非財務指標の組込みを検討する際に考慮すべき点と、それに対するアプローチについて検討してみてください。

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2022/02/01 サステナブル経営に対する投資家の本音

ESG経営やサステナブル経営と業績・株価の相関関係の分析や研究が進んでいるが、まだ“定説”と言えるものはないのが現状だ。ESG経営やサステナブル経営は将来の不確実性を軽減するという点で投資家にとってはリスク低減につながるという指摘や、ESG経営を実践している企業は企業価値が高く、資本コストが低いといったポジティブな評価が多くある一方で、ESG要素と投資パフォーマンスには相関関係がない、あるいはネガティブスクリーニング(ESGの観点から見て何らかの問題がある企業への投資を避ける手法)を行ったESG投資はむしろパフォーマンスが低いとった指摘も一部にはある。

資本コスト : 資本コストとは「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」を指す(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。
ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。

こうした中、・・・

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