2020/09/23 コロナ禍で大量退職、巨額退職金を分割払いする場合の法的留意点

かつて、経営不振に陥った大手メーカーが希望退職を募集したところ予想をはるかに超える応募があり、割増退職金を分割払いせざるを得なくなったことがあったが、コロナ禍がこれ以上長期化すれば、一部の上場企業で同様のことが起こる可能性も否定できない。実際、従業員の大量退職(解雇を含む)にあたって「退職金が支払えない」という経営者の声もちらほら聞かれるようだ。

もっとも、就業規則等で退職金を支払う旨が明文化されている場合は言うに及ばず、こうした明文規定がない場合であっても慣行的に退職金を支払ってきたのであれば(民法92条にいう「慣習」があったのであれば)、「支払わない」という選択肢はあり得ない。懲戒解雇のケースですら、「労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な背信行為がない限り退職金の不支給は許されない」とする裁判例(昭和47年4月28日名古屋地裁判決、平成15年12月11日東京高裁判決など)もある。

民法92条 : 民法92条(任意規定と異なる慣習)は、「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う」と規定している。

また、「減額して支払う」ことは、「退職金支払い債務の不完全履行」に該当する。就業規則を変更して退職金の計算式を変えるという(小手先の)手法も考えられなくもないが、まず労働契約法第10条に列挙された要件を満たすのはハードルが高いうえ、そもそも、・・・

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2020/09/23 コロナ禍で大量退職、巨額退職金を分割払いする場合の法的留意点(会員限定)

かつて、経営不振に陥った大手メーカーが希望退職を募集したところ予想をはるかに超える応募があり、割増退職金を分割払いせざるを得なくなったことがあったが、コロナ禍がこれ以上長期化すれば、一部の上場企業で同様のことが起こる可能性も否定できない。実際、従業員の大量退職(解雇を含む)にあたって「退職金が支払えない」という経営者の声もちらほら聞かれるようだ。

もっとも、就業規則等で退職金を支払う旨が明文化されている場合は言うに及ばず、こうした明文規定がない場合であっても慣行的に退職金を支払ってきたのであれば(民法92条にいう「慣習」があったのであれば)、「支払わない」という選択肢はあり得ない。懲戒解雇のケースですら、「労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な背信行為がない限り退職金の不支給は許されない」とする裁判例(昭和47年4月28日名古屋地裁判決、平成15年12月11日東京高裁判決など)もある。

民法92条 : 民法92条(任意規定と異なる慣習)は、「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う」と規定している。

また、「減額して支払う」ことは、「退職金支払い債務の不完全履行」に該当する。就業規則を変更して退職金の計算式を変えるという(小手先の)手法も考えられなくもないが、まず労働契約法第10条に列挙された要件を満たすのはハードルが高いうえ、そもそも、法的に義務づけられていない退職金制度を導入した当初の趣旨とも矛盾するため、できれば避けたいところだ。

労働契約法第10条に列挙された要件 : 労働契約法10条は、就業規則の変更により会社が“一方的に”労働条件を変更することを認めてはいるものの、労働契約法上、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」のが原則であり(同法9条)、変更する場合には、それが「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである」必要がある(同法10条)。このため、万が一訴訟に発展した場合に裁判所がどう判断するか分からないというリスクが残るなど、就業規則を変更する方法を採用するのはハードルが高い。

では、冒頭で触れた「分割払い」は許されるのかというと、これも、就業規則等に定められた支払い期日までに全額を支払わない以上、「履行遅滞」ということになる。ちなみに、就業規則等に支払い期日の定めが無い場合は(ただし、支払期日を定めていないこと自体、労働基準法89条違反となる)、労働基準法23条が適用され、請求された日から7日以内に支払わなければならない(昭和60年12月23日大阪地裁判決)。

労働基準法89条 : 労働基準法89条(作成及び届出の義務)では、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定の事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない(変更した場合も同様)としており、そのうちの一つに「退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」がある(同条三の二号)。
労働基準法23条 : 労働基準法23条(金品の返還)1項は、「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない」と規定している。

とはいえ、会社の資金繰り事情から一時金で支払うのが難しいのであれば、それを退職者に真摯に説明し、分割払いを了解してもらうしかない。「分割払い」のほか、「支払いの延期」も退職者が同意すれば可能だが、退職者にしてみれば、本当に支払ってもらえるのか不安がぬぐえない「支払いの延期」よりも、支払いの意思が見える「分割払い」の方が、同意を得やすいだろう。なお、会社が退職者を説得するにあたり強迫や詐欺があってはならないことは言うまでもなく、会社は退職者に対してあくまで“お願い”の姿勢を貫く必要がある。

そして、退職者の同意を得られた場合には、必ず「同意書」を交わしておきたい。これは、退職者が分割払いに同意したことの証拠となるだけでなく、退職者を安心させる材料ともなるため、後々トラブルに発展しにくくする効果が期待できよう。

2020/09/18 コロナ禍で変貌する監査役監査・内部監査

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い上場企業のガバナンスの在り方に変化が生じている。

社外取締役や社外監査役が取締役会や監査役会にリモートで参加するようになり、その結果、社外役員の出席率が向上したこともその一つだ。リモート参加は現行会社法でも認められており(2019年4月22日のニュース「TV/電話会議の導入で取締役会規則を改正する必要は?」参照)、これまでもリモート参加を実施している企業は見受けられたが、せいぜい電話による参加であり、TeamsやZOOMによる参加は一般的ではなかった。これには、「リアルで顔と顔を突き合わせること」に重きを置く従来の価値観が、企業・社外役員双方にとって、リモート参加への心理的なハードルとなっていたという背景もあろう。ところが、コロナ禍でリモート会議が一気に普及し、取締役会や監査役会へのリモート参加がニューノーマルとなった。これにより、兼務が多い社外役員の移動時間は削減され、日程調整が容易になったことが、出席率の向上につながった。

また、リモート参加の心理的ハードルが低くなったことで、そこまで切迫性のない承認決議であっても臨時取締役会を開催しやすくなり、「次の定時取締役会まで待つ」ことをしなくてもよくなったという企業も少なくない。

さらに新型コロナウイルスの感染拡大は監査役や内部監査室の監査業務にも多大な影響を与えている。コロナ禍により、支店監査や工場監査といった遠隔地への往査は難しくなり、リモートによる監査を余儀なくされているが、監査役監査・内部監査の計画立案時にこのような事態を想定していなかった企業では、監査計画を修正してリモートによる監査を前提にした監査手続きに変更する必要性が生じている。例えば、従来は支店長や工場長、工場の総務部長などと膝と膝を突き合わせて実施していた面談は、Teamsなどを利用してのリモート面談になった。監査で必要となる書類で現地に行かなければ見ることができないものがあれば、事前に本社内部監査室に郵送してもらうか、スキャンしてメールしてもらうことで対応することとなった。新工場棟や新製造ラインの見学、危険物の保管状況や金庫の中、法定書類の整備・保管状況を確認したい場合は、・・・

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2020/09/18 コロナ禍で変貌する監査役監査・内部監査(会員限定)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い上場企業のガバナンスの在り方に変化が生じている。

社外取締役や社外監査役が取締役会や監査役会にリモートで参加するようになり、その結果、社外役員の出席率が向上したこともその一つだ。リモート参加は現行会社法でも認められており(2019年4月22日のニュース「TV/電話会議の導入で取締役会規則を改正する必要は?」参照)、これまでもリモート参加を実施している企業は見受けられたが、せいぜい電話による参加であり、TeamsやZOOMによる参加は一般的ではなかった。これには、「リアルで顔と顔を突き合わせること」に重きを置く従来の価値観が、企業・社外役員双方にとって、リモート参加への心理的なハードルとなっていたという背景もあろう。ところが、コロナ禍でリモート会議が一気に普及し、取締役会や監査役会へのリモート参加がニューノーマルとなった。これにより、兼務が多い社外役員の移動時間は削減され、日程調整が容易になったことが、出席率の向上につながった。

また、リモート参加の心理的ハードルが低くなったことで、そこまで切迫性のない承認決議であっても臨時取締役会を開催しやすくなり、「次の定時取締役会まで待つ」ことをしなくてもよくなったという企業も少なくない。

さらに新型コロナウイルスの感染拡大は監査役や内部監査室の監査業務にも多大な影響を与えている。コロナ禍により、支店監査や工場監査といった遠隔地への往査は難しくなり、リモートによる監査を余儀なくされているが、監査役監査・内部監査の計画立案時にこのような事態を想定していなかった企業では、監査計画を修正してリモートによる監査を前提にした監査手続きに変更する必要性が生じている。例えば、従来は支店長や工場長、工場の総務部長などと膝と膝を突き合わせて実施していた面談は、Teamsなどを利用してのリモート面談になった。監査で必要となる書類で現地に行かなければ見ることができないものがあれば、事前に本社内部監査室に郵送してもらうか、スキャンしてメールしてもらうことで対応することとなった。新工場棟や新製造ラインの見学、危険物の保管状況や金庫の中、法定書類の整備・保管状況を確認したい場合は、ノートPCとウェブカメラのセットやスマートフォンを活用して、遠隔でモニターすればよい。現金や小切手の実査、在庫や換金性の高い備品の実査も、ウェブカメラを利用して、現地側担当者にカウントさせるなどの代替手法が考えられる。出張に伴う交通費や交際費が激減することで余った予算は、監査計画修正後の内部監査を支えるIT機器(ノートPC、ウェブカメラ、マイク付きヘッドフォン、リモート面談用スペース等)への投資に回すことも検討すべきだ。

往査 : 監査対象会社の本社、営業所、工場などに監査の一環で赴くこと。
実査 : 監査を行う者が実際に現物にあたること。

こういった“リモート監査”について、「従来の“リアル監査”に比べ質が劣るのではないか」との懸念を持つ向きもあろう。しかし、必ずしもそうとは限らない。例えば、従来のリアル監査では出張旅費の制約から往査人数に限りがあったが、リモート監査では全監査役・全内部監査室メンバー、さらには経理や人事など他部署のメンバーが本社や自宅から同時に参加することが可能になる。監査への参加人数が増えれば増えるほど、従来の制約された人数では見落としかねないルール違反や改善の種を見つけることができる確率は高まる。また、他部署を巻き込むことは、他部署にとっても遠隔地の拠点を理解する良いきっかけになり、結果として「何をしているかよく分からない監査」というイメージの払拭にもつながる。このほか、従来は出張時の限られた時間に様々な対象者とのインタビューを詰め込んでいたため過密スケジュールになりがちで、「監査を受ける側」にも無理が生じていたが、リモート監査ではインタビューする側とされる側の双方が都合の良い日程でリモート面談を設定することができるため、インタビューされる側の負担感を軽減させることができる。インタビューする側もインタビュー後に調書をまとめる時間を十分に確保でき、しかも、リモート面談内容を録画すれば調書作成時にも役に立つ。監査をする側が監査される側に社内チャットツールを使って質問を投げかければ、回答内容をそのまま監査調書にコピー&ペーストすることができるため、監査調書の作成にかかっていた時間の節約にもつながる。社内チャットツールに社外役員も招待しておけば、わざわざ社外役員のために報告書を作成する必要もない。

新型コロナウイルスという災難は、皮肉にも監査役監査・内部監査の効率化をもたらしたと言えそうだ。

2020/09/17 プラスチックごみ問題解決の手段

CO₂と並ぶ環境問題に位置付けられるプラスチックごみだが、このプラスチックごみ問題をより深刻化させることになりそうなのがコロナ禍だ。宅配やテイクアウト食品用の使い捨て容器、感染防止のためのフェイスシールドや医療用手袋などプラスチック製品の利用が世界中で急増しており、例えば米国では今年の使い捨てプラスチック製品の消費が例年と比べ300%増加するとの予測もある。ESG投資を行う機関家は企業に対し、一層のプラスチックごみ削減努力を求めてくるだろう。

ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。

ただ、「利便性」を求める現代人の本質が変わらない以上、プラスチックごみの削減は容易なことではなく、ここにプラスチックごみ問題の根深さがある。それを象徴するのが、・・・

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2020/09/17 プラスチックごみ問題解決の手段(会員限定)

CO₂と並ぶ環境問題に位置付けられるプラスチックごみだが、このプラスチックごみ問題をより深刻化させることになりそうなのがコロナ禍だ。宅配やテイクアウト食品用の使い捨て容器、感染防止のためのフェイスシールドや医療用手袋などプラスチック製品の利用が世界中で急増しており、例えば米国では今年の使い捨てプラスチック製品の消費が例年と比べ300%増加するとの予測もある。ESG投資を行う機関家は企業に対し、一層のプラスチックごみ削減努力を求めてくるだろう。

ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。

ただ、「利便性」を求める現代人の本質が変わらない以上、プラスチックごみの削減は容易なことではなく、ここにプラスチックごみ問題の根深さがある。それを象徴するのが、世界中で進むレジ袋の有料化だ。

日本でも(2020年)7月1日からレジ袋の有料化がスタートしており、今後、レジ袋自体の利用は減少していくだろう。しかし、それがプラスチックごみ全体の削減につながるかどうかは不透明と言える。日本よりだいぶ先行してレジ袋の有料化を実施している英国(イングランドが2015年〜、スコットランド、ウェールズなど英国のその他の地域では2011~2014年に実施)の例を見ると、有料化以降、レジ袋の利用は大幅に減少し、例えばイングランドでは、大手スーパー7社が有料化前の2014年に無料で配布したレジ袋は76億枚だったが、2019年4月7日~2020年4月6日の1年間に有料で販売したレジ袋はわずか2億2,600万枚と、有料化から約4年で以前の3%の水準まで減少している(もっとも、レジ袋の利用激減の背景には、レジ袋の販売自体をやめる大手スーパーが相次いだということもある)。その一方で利用が急増しているのが、“厚手”のプラスチック製袋だ。英国では、有料化の対象となるレジ袋の厚さは0.07ミリ以下(ちなみに日本では0.05ミリ未満)とされており、厚手のプラスチック製袋は有料化の対象外だが、現在大手スーパーではこれが10~30ペンス(約14~42円)程度で販売されている。英国の大手スーパー8社における厚手プラスチック製袋の販売枚数は、2018年の9億6,000万枚から2019年には12億4,300万枚と約30%増加し、業界最大手のTescoでは66%も増えている。そして、結局これらはプラスチックごみとして廃棄される。また、英国では、レジ袋有料化後の1年で、プラスチック製のごみ袋の販売数が11.3%増加したとの調査結果が出ている。これは、これまでレジ袋をごみ袋代わりに使っていた人が、プラスチック製のごみ袋を使うようになったため。要するに、レジ袋を有料化、さらには販売することさえやめても、プラスチック製品全体の削減には必ずしもつながっていないということだ。今後、日本でも英国と同じ現象が起きても不思議ではない。

このようにプラスチックごみ問題は一筋縄ではいかない難題であり、益々深刻化する傾向にあるが、逆に言うと、プラスチックごみ削減に取り組む企業にとっては、ESG投資を呼び込むチャンスとなろう。ただ、プラスチックごみを削減するためには、プラスチックに代わる素材の開発・利用などが必要になり、それには大きなコストがかかる。こうした中、今年7月には、洗剤、シャンプーなど日用品の世界的メーカーであるドイツのヘンケル(Henkel)が、調達資金の使途を廃プラスチック削減に限定した世界初の社債を発行、その全額(7,000万ドル=約74億円)を日本の機関投資家である第一生命保険と同社グループの第一フロンティア生命保険が購入している。ヘンケルは、2025年までに全ての自社商品の包装材にリサイクルもしくは再利用可能な素材を使うことなどを目標としたプロジェクトを進めており、調達した資金もこのプロジェクトの実現のために使用されるという。

ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。

ヘンケルのプロジェクトが成功するかどうかは分からないが、このような社債を発行すること自体が、ESG投資家への強いアピールとなる。日本ではようやくレジ袋有料化がスタートしたばかりだが、 “廃プラ削減債”を利用したプラスチックごみの削減は日本企業も参考にしたい取り組みと言えよう。

2020/09/16 KAMが監査役等に与える影響

周知のとおり、2021年3月期の金商法の監査報告書から、監査上の主要な検討事項(KAM:Key Audit Matters)の記載が求められる(2020年3月期からの早期適用が可能。早期適用の開示状況は2020年7月2日のニュース「速報 KAMを記載した2020年3月決算企業の社数・属性、KAMの数と内容」参照)。KAMは、次の二つのステップを踏まえて金商法の監査を担う監査法人または公認会計士(以下、監査人)が選定する。

①監査人は、監査役等(監査役、監査役会、監査等委員会または監査委員会)とコミュニケーションをとった事項の中から、財務諸表の監査において、特に注意を払った事項を決定する。その決定に当たっては、以下のa~cが考慮される必要がある。
a.特別な検討を必要とするリスクが識別された事項、または重要な虚偽表示のリスクが高いと評価された領域
b.見積りの不確実性が高いと識別された会計上の見積りを含む、経営者の重要な判断を伴う財務諸表の領域に関連する監査人の重要な判断
c.当年度において発生した重要な事象または取引が監査に与える影響等

会計上の見積り : 繰延税金資産の回収可能性の判断、減損会計における将来キャッシュ・フローの見積りなど、財務諸表を作成するにあたって必要になる様々な見積りのこと。

②監査人は、上記の特に注意を払った事項の中から、当年度の財務諸表の監査において職業的専門家として特に重要であると判断した事項を、KAMとして決定する。

ポイントは、①にあるとおりKAMは「監査役等とコミュニケーションを行った事項の中から」選定されるという点だ。このことは監査役等に主として以下の影響を与えることになる。

(1)コーポレート・ガバナンス
監査計画、期中監査、期末監査といった各段階における監査人と監査役等との間の連携およびコミュニケーションが必然的に強化される。従来から、監査人は、不正リスクに対応するため、監査役等と協議する等適切な連携を図らなければならないことになっているが、監査役等はこれまで以上に監査人の監査に協力する必要性が高まる。

また、KAMの記載を巡っては、監査人と監査役等だけではなく、監査役等と経営者との間でも綿密な協議がなされるようになると予想される。特に、KAMの項目、記載の詳細さの程度について、監査人と経営者との間で相違がある場合、監査役等には両者の間に立って主導的な役割を果たすことが期待される。

監査人、監査役等、経営者との間でコミュニケーションが図られることは、コーポレート・ガバナンスの観点から極めて重要となろう。

(2)能力
KAMは財務諸表の監査において監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項であり、場合によってはその理解に高い専門性が必要になる可能性がある。このため、監査人のKAMに関する記載内容を理解できるように監査役等がその能力を高めるか、・・・

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2020/09/16 KAMが監査役等に与える影響(会員限定)

周知のとおり、2021年3月期の金商法の監査報告書から、監査上の主要な検討事項(KAM:Key Audit Matters)の記載が求められる(2020年3月期からの早期適用が可能。早期適用の開示状況は2020年7月2日のニュース「速報 KAMを記載した2020年3月決算企業の社数・属性、KAMの数と内容」参照)。KAMは、次の二つのステップを踏まえて金商法の監査を担う監査法人または公認会計士(以下、監査人)が選定する。

①監査人は、監査役等(監査役、監査役会、監査等委員会または監査委員会)とコミュニケーションをとった事項の中から、財務諸表の監査において、特に注意を払った事項を決定する。その決定に当たっては、以下のa~cが考慮される必要がある。
a.特別な検討を必要とするリスクが識別された事項、または重要な虚偽表示のリスクが高いと評価された領域
b.見積りの不確実性が高いと識別された会計上の見積りを含む、経営者の重要な判断を伴う財務諸表の領域に関連する監査人の重要な判断
c.当年度において発生した重要な事象または取引が監査に与える影響等

会計上の見積り : 繰延税金資産の回収可能性の判断、減損会計における将来キャッシュ・フローの見積りなど、財務諸表を作成するにあたって必要になる様々な見積りのこと。

②監査人は、上記の特に注意を払った事項の中から、当年度の財務諸表の監査において職業的専門家として特に重要であると判断した事項を、KAMとして決定する。

ポイントは、①にあるとおりKAMは「監査役等とコミュニケーションを行った事項の中から」選定されるという点だ。このことは監査役等に主として以下の影響を与えることになる。

(1)コーポレート・ガバナンス
監査計画、期中監査、期末監査といった各段階における監査人と監査役等との間の連携およびコミュニケーションが必然的に強化される。従来から、監査人は、不正リスクに対応するため、監査役等と協議する等適切な連携を図らなければならないことになっているが、監査役等はこれまで以上に監査人の監査に協力する必要性が高まる。

また、KAMの記載を巡っては、監査人と監査役等だけではなく、監査役等と経営者との間でも綿密な協議がなされるようになると予想される。特に、KAMの項目、記載の詳細さの程度について、監査人と経営者との間で相違がある場合、監査役等には両者の間に立って主導的な役割を果たすことが期待される。

監査人、監査役等、経営者との間でコミュニケーションが図られることは、コーポレート・ガバナンスの観点から極めて重要となろう。

(2)能力
KAMは財務諸表の監査において監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項であり、場合によってはその理解に高い専門性が必要になる可能性がある。このため、監査人のKAMに関する記載内容を理解できるように監査役等がその能力を高めるか、記載内容を理解できるような能力を持つ監査役等が1人以上選任される必要がある。

(3)監査役等の監査の充実
KAMの記載内容は、監査役等が監査人に対し適切に質問する材料となることが期待される。これまで多くの監査役等にとって、監査人が監査結果報告で監査の概要を説明した際に、それに対して自信をもって質問することは難しかったかもしれない。しかし、KAM及びそれに対する監査人の対応が記載されていれば、それに基づき、会計の内容にとどまらず、監査人との間でディスカッションが活発になり、その結果、充実した監査役等の監査に繋がることが期待される。

(4)対株主
上述のとおりKAMは「監査役等とコミュニケーションを行った事項の中から」選定されたものであるため、株主等は、監査役等の監査において監査役等がKAMにどのように対応したのかを確認したいと考える可能性がある。場合によっては、株主が株主総会でKAMへの対応について質問する予想される。このため、監査役等としても、監査人から知らされた重要事項に真摯に対応することが必要になる。

(5)有価証券報告書の開示
有価証券報告書の「【コーポレート・ガバナンスの状況等】 (3) 【監査の状況】① 監査役監査の状況」においては、監査役及び監査役会(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)の活動状況として主な検討事項等を記載することとされている。この主な検討事項等として、KAMに対する監査役等の対応を記載することが考えられる。参考事例として、KAMを早期適用している三井物産の有価証券報告書を挙げておく。

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(6)監査役の監査報告書
会社法上の会計監査人の監査報告書にKAMが記載されている場合には、その記載内容も含め、会計監査人の監査の妥当性を判断することになろう。

2020/09/15 機関投資家協働対話フォーラム、政策保有株の保有・被保有企業にレター送付

投資先企業との対話強化のために企業年金連合会と大手金融機関の連携により設立(2017年10月)された、信託銀行などパッシブ運用を行う運用機関が集団的エンゲージメント)を行うためのプラットフォーム「一般社団法人機関投資家協働対話フォーラム(IICEF)」は(2020年)9月9日、新たなエンゲージメント・アジェンダ「政策保有株式に関する方針」を公表し、政策保有株式を保有する企業へ協働対話をお願いするレターを送付した(機関投資家協働対話フォーラムの詳細は2017年11月8日のニュース『集団的エンゲージメントを支援する「機関投資家協働対話プログラム」が始動』を参照)。

パッシブ運用 : 東証のTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指し、株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社は定性的な判断を入れずに機械的に投資判断を行う運用手法のこと。パッシブとは「消極的な」という意味である。パッシブ運用に対し、銘柄を選別し、魅力のある銘柄を購入する一方で、見劣りする銘柄を売却するなどして利益を得ようとする投資手法がアクティブ運用である。

 機関投資家協働対話フォーラムでは、「集団的エンゲージメント」ではなく「協働エンゲージメント(企業との協働対話)」という言葉を用いている。

同フォーラムは2019年3月にも同様のアジェンダを公表し、企業との協働対話を行っており、政策保有株式に関する方針をアジェンダに選定するのは今回が2度目となる。

同フォーラムの2019年9月期活動報告によると、前回は各業界の主要企業複数社と協働対話を行い、政策保有株式の実情を認識するとともに、削減に向けた企業の努力を理解したが、その一方で、コーポレートガバナンス(以下、CG)・コード原則1-4①に反して保有株式売却の打診を断る企業の存在も確認し、今後の対話の参考にしたとしている。

コーポレートガバナンス(以下、CG)・コード原則1-4 : 上場会社は、自社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有 株主)からその株式の売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆す ることなどにより、売却等を妨げるべきではない。

今回のレターでは、前回の協働対話を踏まえ、政策保有株式の保有額が大きい主要な企業や、多くの企業に株式を政策保有されている企業の経営トップおよび社外取締役との協働対話を依頼しており、質問事項も前回と比べかなり踏み込んだ内容となっている(下表参照)。・・・

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2020/09/15 機関投資家協働対話フォーラム、政策保有株の保有・被保有企業にレター送付(会員限定)

投資先企業との対話強化のために企業年金連合会と大手金融機関の連携により設立(2017年10月)された、信託銀行などパッシブ運用を行う運用機関が集団的エンゲージメント)を行うためのプラットフォーム「一般社団法人機関投資家協働対話フォーラム(IICEF)」は(2020年)9月9日、新たなエンゲージメント・アジェンダ「政策保有株式に関する方針」を公表し、政策保有株式を保有する企業へ協働対話をお願いするレターを送付した(機関投資家協働対話フォーラムの詳細は2017年11月8日のニュース『集団的エンゲージメントを支援する「機関投資家協働対話プログラム」が始動』を参照)。

パッシブ運用 : 東証のTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指し、株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社は定性的な判断を入れずに機械的に投資判断を行う運用手法のこと。パッシブとは「消極的な」という意味である。パッシブ運用に対し、銘柄を選別し、魅力のある銘柄を購入する一方で、見劣りする銘柄を売却するなどして利益を得ようとする投資手法がアクティブ運用である。

 機関投資家協働対話フォーラムでは、「集団的エンゲージメント」ではなく「協働エンゲージメント(企業との協働対話)」という言葉を用いている。

同フォーラムは2019年3月にも同様のアジェンダを公表し、企業との協働対話を行っており、政策保有株式に関する方針をアジェンダに選定するのは今回が2度目となる。

同フォーラムの2019年9月期活動報告によると、前回は各業界の主要企業複数社と協働対話を行い、政策保有株式の実情を認識するとともに、削減に向けた企業の努力を理解したが、その一方で、コーポレートガバナンス(以下、CG)・コード原則1-4①に反して保有株式売却の打診を断る企業の存在も確認し、今後の対話の参考にしたとしている。

コーポレートガバナンス(以下、CG)・コード原則1-4 : 上場会社は、自社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有 株主)からその株式の売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆す ることなどにより、売却等を妨げるべきではない。

今回のレターでは、前回の協働対話を踏まえ、政策保有株式の保有額が大きい主要な企業や、多くの企業に株式を政策保有されている企業の経営トップおよび社外取締役との協働対話を依頼しており、質問事項も前回と比べかなり踏み込んだ内容となっている(下表参照)。

2019年3月の質問事項 2020年9月の質問事項
①具体的な縮減の方針の有無、縮減の規模や進め方 ① 具体的な縮減の方針はあるか。縮減の規模や進め方はどのようなものか。
② 相手先が売却の意向を示してきた場合の対応方針はどのようなものか。CGコード補充原則1- 4①の「妨げるべきではない」を遵守している場合、どのように社員に売却を妨げることがないように徹底しているか。CG報告書にその方針を記載し、保有先・取引先に明確に姿勢を示すべきと考えるが、どのように考えるか。
②各政策保有株式の分析の詳細、売却による事業への影響のシミュレーション ③ 各政策保有株式の分析の詳細はどのようなものか。実際に政策保有株式を売却した場合の事業活動や業績への影響などのシミュレーションを行ったか。もし営業活動に支障ありと判断した 場合、相手先がCGコード補充原則1-4①を実際には遵守しないと考えたことになるが、これをどのように考えるか。
③取引を前提とした政策株式保有の法的な懸念についての考え
④ 政策保有株式に関する投資家の様々な懸念(後述「3.政策保有株式に対する投資家の考え 方」)について、どのように考えるか。
④株式保有が取引関係の拡大・強化に結び付く理由 ⑤ なぜ株式保有が取引関係の維持・向上に結び付くと考えるのか。
⑤相互保有による安定株主政策についての考え方、今後の方針 ⑥ 相互保有による安定株主政策について、どのように考えているか。

また今回のレターでは、政策保有株式を持たせている側が、取引関係を盾にとって取引先を安定株主にしようとすることに強い反対の姿勢を示しており、このような古い日本的経営の思考やシステムから抜け出すべきと警鐘を鳴らしている(「3.政策保有株式に対する投資家の考え方」参照)。さらに、政策保有株式には、時代の変化、経営環境の変化とともに、以下のような様々な懸念が増大していると指摘している。

法令に抵触する懸念
多くの企業が政策保有の理由に「取引関係の維持・向上」を挙げているが、取引関係の維持・向上と株式保有は分離して考えるべきものであり、株式保有が「安定的な取引関係継続の条件」になっているという慣行自体が、海外から「日本市場は閉鎖的」とみなされる一因となっている。
 
また、取引関係の維持・向上といった理由での政策保有には、特定株主に対する会社法上の利益供与に該当する懸念や、(取引先に株式保有を強要しているような場合には)独占禁止法上の優越的地位の濫用に該当する懸念などの法的論点が存在するとともに、取引先としての利益と株主としての利益を相反させる可能性がある。

会社法上の利益供与 : 会社法上、「株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない」と規定されている(会社法120条1項)。元々は“総会屋対策”として導入された規定である。「何人に対しても」とあるとおり、ここでいう「利益供与」の対象は株主に限定されない。これは、総会屋はターゲットとした会社の株式を取得しないことの対価として利益の供与を要求することが多かったため。「株式の権利」には、株式買取請求権、議決権、株主提案権、株主総会における質問権、代表訴訟提起権など、株主としてのあらゆる権利が含まれる(例えば「議決権を行使しない」など「行使しないこと」も含まれる)。本規定に違反した場合、利益供与をした者には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、利益供与を受けた者には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される。
優越的地位の濫用 : 自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のこと。この行為は、独占禁止法により、不公正な取引方法の一類型として禁止されている。
取引先としての利益と株主としての利益を相反 : 例えば、取引価格を下げられないよう、本来であれば反対票を投じたい株主総会議案に賛成することなどが考えられる。

財務面の懸念
「政策保有する株式のリターンが資本コストを上回っているからよい」という発想は、本業でない株式運用に資金を投じることにつながりかない。その結果、資本効率性の面で事業価値を最大化できず、株価のディスカウント要因となったり、将来的な資金調達能力の低下につながったりすることがある。また、資金が固定化し、運転資金などに有効に利用ができないデメリットもある。

資本コスト : 株主など資本提供者の期待利回りのこと。資本コストが小さい=投資家にとってのリスクが小さいということになる。ここで「株主など」としたのは、負債にも資本コストはあるためである。株主資本により資金調達を行った場合のコストが「株主資本コスト」であり、株主資本の提供者である株主が期待する収益率のことを指す。一方、他人資本コストとは要するに借入金の金利を指す。この株主資本と他人資本を合わせた「総資本」のコストが「総資本コスト」である。総資本コストは、株主資本コストと他人資本コストを、株主資本(株式の時価総額)と他人資本(負債総額)の合計額に占めるそれぞれ額で按分(加重平均)した上で合計するため「加重平均資本コスト」、英語では「Weighted Average Cost of Capita=WACC(ワック)」と呼ばれる。

事業戦略上の懸念
株式を持たれている(持たせている)場合の懸念として、重要な取引先を変更しなければならなくなった際に、政策保有株式の存在が取引先変更を困難なものとし、その結果、事業戦略の遂行に齟齬を来す可能性がある。

ガバナンスや倫理面の懸念
投資家にとってこれが最大の懸念であり、経営陣を無条件支持する「安定株主政策」によって、経営陣の間で株主からの負託に対する緊張感が薄れ、経営に甘さが出る可能性がある。
 
また、安定株主政策は、社員にもガバナンスに対する間違った認識をもたらし、事業活動を非効率的にする可能性がある。具体的には、経営陣が安定株主政策を求めることで、非効率な取引を助長させるだけでなく、「与党である株主に便益を与えるのは当然」との誤った倫理観を醸成させることにもつながりかねない。

今回のレターは、「このような背景から、政策保有株式を必要と考える企業は、政策保有による「経営の安定性」という考え方から脱却し、投資家からの強い支持を得た「経営の安定性」に向けて、経営の舵を切っていただきたいと考えています」と締めくくっている。

政策保有株式については、グラスルイスに続いてISSも、政策保有株式の純資産に占める割合が著しく大きい企業の経営トップの再任に反対行使することを検討している( 2020年8月3日のニュース「ISS、社外取締役1/3基準の全面適用を検討」参照)ことに加え、東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、プライム市場の上場維持基準を満たしていない東証一部企業がプライム市場を選択するための条件の一つである流通株式率の算定上、分子となる流通株式数から政策保有株式数が控除される予定となっている(2020年3月5日のニュース「政策株保有、東証の市場改革で「持たれる側」にもプレッシャー」)参照)など、企業を政策保有株式の縮減に向かわせる動きが後を絶たない。

流通株式率 : 流通株式数を上場株式数で除した値

今回のレターでも指摘されているとおり、株式相互保有は、戦後の株式買占めや資本自由化に伴う外国資本の参入に対する企業防衛の目的で発生した日本特有の慣行に他ならない。“相互扶助精神の賜物”と言えば聞こえは良いが、令和の時代においては前時代のレガシー以外の何物でもない。企業が政策保有に見切りをつけるうえで、経営トップや社外取締役に対する協働対話が有効に機能することが期待されるところだ。