2020/09/02 従業員のメンタルヘルスを脅かす新たな要因

労働安全衛生法の改正により、企業に「年1回以上」のストレスチェックを実施することを義務付けるストレスチェック制度が2015年12月から導入されたことなどにより、日本企業でも従業員のメンタルヘルスへの関心が高まっているが(ストレスチェック制度については、2015年5月18日のニュース「ストレスチェックはいつ受診させるべき?」、【2015年7月の課題】ストレスチェック制度、2016年1月15日のニュース「業務に起因して精神疾患にかかった従業員は休職制度の対象外」参照)、近年、従業員のメンタルヘルスを脅かす新たな要因が生じている。

ストレスチェック : 労働者に対する心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度。

まず、従業員のメンタルヘルスの不調が企業にどれだけの・・・

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2020/09/02 従業員のメンタルヘルスを脅かす新たな要因(会員限定)

労働安全衛生法の改正により、企業に「年1回以上」のストレスチェックを実施することを義務付けるストレスチェック制度が2015年12月から導入されたことなどにより、日本企業でも従業員のメンタルヘルスへの関心が高まっているが(ストレスチェック制度については、2015年5月18日のニュース「ストレスチェックはいつ受診させるべき?」、【2015年7月の課題】ストレスチェック制度、2016年1月15日のニュース「業務に起因して精神疾患にかかった従業員は休職制度の対象外」参照)、近年、従業員のメンタルヘルスを脅かす新たな要因が生じている。

ストレスチェック : 労働者に対する心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度。

まず、従業員のメンタルヘルスの不調が企業にどれだけの不利益(コスト)をもたらすかを見てみよう。従業員のメンタルヘルスの不調によってもたらされる主なコストとしては、①メンタルヘルスの不調による生産性の低下に伴う損失、②欠勤に伴う損失、③退職に伴う損失が挙げられる。英国企業の例ではあるが、大手コンサルティング会社Deloitteの調査によると、①が3兆7,800億円~4兆600億円(※「1ポンド=140円」として計算)、②が9,800億円、③が1兆2,600億円に上るという(出所:Mental health and employers Refreshing the case for investment January 2020 9ページ~)。トータルでは実に6兆円を超え、従業員1人当たりに換算すると、年間23万円余りとなる。

従業員のメンタルヘルスの不調の要因としては、これまで「キャパシティーを超える業務量」「長時間労働(残業)」「高すぎる達成目標」「有給休暇がほとんど取れない」といったことが挙げられてきたが、近年、新たにこれらに加わったのが“always-on”だ。これは、休暇や就業時間外でも仕事から離れられない状態を指す。その背景には、インターネット等による通信技術の急速な発達がある。オフィス以外の場所での就業が容易になったことで、就業時間外や休暇を取得している日でも「つい仕事をしてしまう」という従業員は決して少なくないと思われるが、このような従業員は、コロナ禍に伴うリモートワークの普及・定着により一段と増加することが見込まれる。

リモートワークには通勤負担を減らすなど多くのメリットがある一方で、仕事とプライベートの切り替えを難しくするというデメリットもある。実際には仕事をしなかったとしても、「いざとなれば何時でも仕事と繋がることができる状態」は従業員に精神的な疲労をもたらす。また、勤勉な従業員ほどalways-onに陥りがちであり、その結果、いわゆる“燃え尽き症候群”や、最悪の場合、退職を招く恐れがある。

こうした事態を防ぐためには、「業務」と「プライベートな時間」に明確な境界線を設け、それを社内ルール化することに加え、always-onの従業員を発見する仕組み(例えば従業員からの定期的な聞き取り調査の実施や、従業員からの相談窓口の設置)を作ることが有効だ。また、always-onの従業員が発生する背景には、そもそも業務の配分が適切でない(特定の従業員に業務が集中している)という問題が潜んでいることが多い。リモートワークの本格導入を機に業務を再配分することも検討に値しよう。

2020/09/01 コロナ影響下の「会計上の見積りに用いた仮定」、早くも2社が変更

既報のとおり、企業会計基準委員会(ASBJ)は今年6月、「四半期決算」における新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示について、前年度において有価証券報の(追加情報)等に記載した「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定」に重要な変更があれば四半期決算において開示することが求められ、また、仮に重要な変更がない場合であっても、重要な変更を行っていない旨の開示が財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断される場合はその旨の記載が望まれる、との考え方を示したところだ(2020年7月1日のニュース『四半期決算におけるコロナの影響 仮定に「重要な変更」なくても開示』参照)。

そこで当フォーラムがTOPIX100構成銘柄の3月決算会社(83社)が8月に提出した第1四半期報告書(2020年6月決算)を調査したところ、「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定」に関する(追加情報)等の開示状況は下表のとおりだった。・・・

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2020/09/01 コロナ影響下の「会計上の見積りに用いた仮定」、早くも2社が変更(会員限定)

既報のとおり、企業会計基準委員会(ASBJ)は今年6月、「四半期決算」における新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示について、前年度において有価証券報の(追加情報)等に記載した「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定」に重要な変更があれば四半期決算において開示することが求められ、また、仮に重要な変更がない場合であっても、重要な変更を行っていない旨の開示が財務諸表の利用者にとって有用な情報となると判断される場合はその旨の記載が望まれる、との考え方を示したところだ(2020年7月1日のニュース『四半期決算におけるコロナの影響 仮定に「重要な変更」なくても開示』参照)。

そこで当フォーラムがTOPIX100構成銘柄の3月決算会社(83社)が8月に提出した第1四半期報告書(2020年6月決算)を調査したところ、「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定」に関する(追加情報)等の開示状況は下表のとおりだった。

ほとんどの会社は「前年度の有価証券報告書に記載した(追加情報)の内容から変更ない」又は「重要な変更はない」旨記載している。

(注1)前年度の有価証券報告書の(追加情報)等の仮定と同一の内容を四半期報告書の(追加情報)等で記載している会社を含む。
(注2)IFRS採用会社では、「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定」は、(追加情報)ではなく「重要な会計上の見積り及び判断」等の注記に記載されている。
  記載パターン 社数
「前年度の有価証券報告書に記載した(追加情報)の内容から変更ない」又は「重要な変更はない」
(注1、2)
55
前年度の有価証券報告書の(追加情報)等に記載した「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定」について変更あり。
「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定」について特段の記載なし。 23

上表の『②前年度の有価証券報告書の(追加情報)等に記載した「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定」について変更があった』ケースは、以下の2つのパターンに分かれる。

(注)前年度の有価証券報告書と第1四半期報告書の(追加情報)等の記載を比較し、いずれのパターンに該当するかと判定。
  パターン 社数
(ア) 前年度の(追加情報)に記載した仮定を変更。
(イ) 前年度は記載していなかったが、四半期報告書で新たに仮定を開示した。(注)

上表(ア)の前年度の(追加情報)に記載した仮定を変更した2社の開示内容は以下のとおり。2020年5月25日に緊急事態宣言が解除されたため、前年度末(2020年3月末)より当第1四半期末(2020年6月末)の方が見積りが改善する可能性もあったが、その後、感染者はむしろ増加傾向となったことから、2社とも当初の見積りを引き下げる方向で「仮定」を変更している。

住友商事(2020年6月期第1四半期報告書「見積り及び判断の利用」注記から参照されている(減損損失)より)
(注)住友商事はIFRS採用会社。
6 減損損失
 当第1四半期に、当社の100%子会社であるSummit Ambatovy Mineral Resources Investment B.V.を通じて47.7%を出資しているマダガスカルにおけるニッケル採掘事業会社であるAmbatovy Minerals S.A.及びニッケル精錬会社であるDynatec Madagascar S.A.(以下両社を称して「プロジェクト会社」)において、新型コロナウイルス感染拡大に伴う操業の一時停止及びニッケル中・長期価格見通しの下落等を踏まえ、プロジェクト会社の事業計画を見直した結果、プロジェクト会社が保有する固定資産につき、回収可能価額まで減損損失を計上しております。これに伴い、プロジェクト会社に対する投資につき、54,956百万円の損失を要約四半期連結包括利益計算書の「持分法による投資損益」に計上しております。 なお、プロジェクト会社の見直し後の事業計画における操業再開時期は、当社2020年度第4四半期内と仮定を置いております。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(2020年6月期第1四半期報告書(追加情報)より)
(2021年3月期中間連結財務諸表に影響する在外子会社の与信関連費用)
 当社が子会社の四半期決算日(2020年3月末)の財務諸表により連結している主要な在外子会社は、当第1四半期連結会計期間の期首より新会計基準(ASU第2016-13号「金融商品-信用損失」)の適用に伴い予想信用損失の考え方を導入し、マクロ経済指標等の将来予測情報を織り込んで貸倒引当金を計上しております。
 当該主要な在外子会社の2020年12月期第2四半期(2020年4月~6月)において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を主因とした経済指標の予測の悪化や取引先の信用状況の悪化等により、与信関連費用(貸倒引当金繰入額、貸出金償却、与信に係る偶発損失引当金繰入額)が増加しており、現時点の見積りでは、総額で10百億円程度発生する見込みです。当該与信関連費用は、当社の2021年3月期中間連結財務諸表に反映される予定です。

なお、四半期累計期間中に会計上の重要な見積り及び当該見積りに用いた仮定を変更した場合には、四半期報告書の【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(MD&A)においても当該変更の記載が求められるので、記載漏れがないよう注意したい。

MD&A : 「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations」の略で、「経営陣による財政状態および経営成績の検討と分析」と訳される。有価証券報告書では【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】欄に記載する。


 
 
 
 

2020/08/31 【2020年9月の課題】2020年6月株主総会 議決権行使結果の個別開示を踏まえた機関投資家の動向

2020年9月の課題

2020年6月株主総会における機関投資家による議決権行使結果の個別開示が概ね出揃いました。本年のスチュワードシップコード・コード改訂を受け、議案ごとの賛否に加えて、反対理由を開示する投資家も出てきています。各機関投資家の議決権行使結果を分析し、本年の株主総会における機関投資家の動向について検討してみてください。

・主な国内機関投資家による議決権行使結果の個別開示
アセットマネジメントOne

大和アセットマネジメント

日興アセットマネジメント

野村アセットマネジメント

三井住友トラストアセットマネジメント

三菱UFJ信託銀行

りそなアセットマネジメント

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2020/08/31 【役員会 Good&Bad発言集】継続企業の前提(会員限定)

<解説>
2020年3月期の上場企業でGC注記は25社

新型コロナウイルスの感染者増加に伴う外出抑制や消費行動の変化に伴い、業績が落ち込んだ企業は、ホテル、飲食、旅行、航空、鉄道、バス、タクシー、自動車メーカー、スポーツジム、レジャー産業、チケットサービス、アパレルなど多岐にわたります。そういった業種に属する企業やそれらの企業との取引依存度が高い企業で気になるのが「継続企業の前提の注記」を記載すべきかどうかです。

東京商工リサーチの調べによれば、2020年3月期決算を発表した上場企業2,386社のうち、決算短信で「継続企業の前提に関する注記」を記載した会社は25社で、「継続企業に関する重要事象」を記載した53社と合計すると78社になり、2019年3月期の58社から20社増加したことが分かりました。70社を上回るのは、2013年3月期の73社以来、7年ぶりとのことです。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い継続企業の前提に黄信号がともった上場企業が増えたことが分かります。

一般的に「倒産アラート」としてとらえられがちな「継続企業の前提の注記」について、どのような場合にどのような記載が求められるのかは、役員として知っておくべき知識と言えます。

そもそも継続企業の前提とは、企業が予測し得る将来にわたって存続し、事業を継続することを前提に、財務諸表が作成されるというものです。継続企業の前提は、ゴーイング・コンサーンあるいは端的にGCと称されることもあります。継続企業の前提に基づくことが適切な場合、企業の資産及び負債は、通常の事業活動において回収または返済できることを想定して財務諸表に計上されることになります。例えば、減価償却費の計上はその最たるものであり、最低でも固定資産の経済的耐用年数の期間は企業が存続し続けることを前提に、残存耐用年数の期間にわたり費用計上(定額法であれば均等に計上)されることになります。もし事業継続が不可能になり、いますぐ会社をたたむことを決めた場合、事業に用いていた固定資産があれば、当該固定資産は処分価値で評価すべきであり、今後も企業が継続することを前提として計上する減価償却費の金額とは異なる費用(損失)を計上しなければなりません。

「いますぐ会社をたたむ」とは極端な例(継続企業の前提がなくなった例)ですが、財務報告においてはその手前の段階で、財務諸表の読者にどのようにしてそれを伝えるのかが重要になります。すなわち、経営者は適切な財務報告を行う必要があり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況があれば、それに対応しなければなりません。具体的には財務諸表の注記として継続企業の前提に関する注記を行う必要があります。

52121

なお、貸借対照表日後において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が解消し、または改善したため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められなくなったときには、「継続企業の前提に関する注記」を行う必要はありません。ただし、この場合には、当該継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況を解消し、または改善するために実施した対応策が重要な後発事象として注記対象となることも考えられるので、留意が必要です(日本公認会計士協会 監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」を参照)。

継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況の具体例

それでは、貸借対照表日において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況として、具体的にはどのような事象または状況が該当するのでしょうか。日本公認会計士協会 監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」によると、以下のような項目が掲げられています。

財務指標関係 ・ 売上高の著しい減少
・ 継続的な営業損失の発生または営業キャッシュ・フローのマイナス
・ 重要な営業損失、経常損失または当期純損失の計上
・ 重要なマイナスの営業キャッシュ・フローの計上
・ 債務超過
財務活動関係 ・ 営業債務の返済の困難性
・ 借入金の返済条項の不履行または履行の困難性
・ 社債等の償還の困難性
・ 新たな資金調達の困難性
・ 債務免除の要請
・ 売却を予定している重要な資産の処分の困難性
・ 配当優先株式に対する配当の遅延または中止
営業活動関係 ・ 主要な仕入先からの与信または取引継続の拒絶
・ 重要な市場または得意先の喪失
・ 事業活動に不可欠な重要な権利の失効
・ 事業活動に不可欠な人材の流出
・ 事業活動に不可欠な重要な資産の毀損、喪失または処分
・ 法令に基づく重要な事業の制約
その他 ・ 巨額な損害賠償金の負担の可能性
・ ブランド・イメージの著しい悪化

なお、これらの項目はあくまで例示に過ぎません。その企業の規模や業種等により、金額的重要性や質的重要性を加味して判断すべき事項もあり、また、その企業が営む業種の特殊性等により、これらの項目と異なる財務指標を用いることが適切な場合や、これらとは異なる事象または状況が継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような場合もあるので、上記の例示に機械的に当てはめて該当の有無が決まるわけではないことに注意が必要です。

解消または改善するための対応策

貸借対照表日に「継続企業の前提」に重要な疑義を生じさせるような事象または状況があっても、財務諸表の作成時点において、経営者の評価、当該事象または状況に関する経営者の対応策について、重要な不確実性がないのであれば、財務諸表に「継続企業の前提に関する注記」を記載する必要はありません。この「当該事象または状況に関する経営者の対応策」については効果的で実行可能なものでなければなりません。

具体的な対応策の内容としては、例えば、次のようなものが考えられます。

(1) 資産の処分(有価証券、固定資産等の売却等)に関する計画
(2) 資金調達(新規の借入れまたは借換え、新株または新株予約権の発行、社債の発行、短期借入金の当座貸越枠の設定等)の計画
(3) 債務免除(借入金の返済期日の延長、返済条件の変更等)の計画
(4) その他(人員の削減等による人件費の削減、役員報酬の削減、配当の支払いの減額等)

こういった対応策が、会社が置かれた状況を解消するために十分なものであり、その実行にあたり重要な不確実性がないことを確認できれば、「継続企業の前提に関する注記」を行う必要はありません。

会社が置かれた状況 具体的な対応策の内容
借入金の契約条項の履行が困難 企業が保有する有価証券若しくは固定資産等の資産の処分に関する計画、新規の借入れ若しくは借換え、または新株若しくは新株予約権の発行等の資金調達の計画など
重要な市場または得意先の喪失 他の同等な市場または得意先の開拓といった計画など
具体的な注記の内容

「継続企業の前提に関する注記」には次の内容を記載します。

(1) 当該事象または状況が存在する旨およびその内容
(2) 当該事象または状況を解消し、または改善するための対応策
(3) 当該重要な不確実性が認められる旨およびその理由
(4) 当該重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しているか否かの別

また、有価証券報告書の【事業等のリスク】においては、リスク情報として、下記の事項を分かりやすく記載する必要があります。

・提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象(以下、重要事象等)が存在する場合には、その旨及びその具体的な内容
・当該重要事象等を解消し、または改善するための対応策(当該提出会社に係る財務の健全性に悪影響を及ぼしている、または及ぼし得る要因に関して経営者が講じている、または講じる予定の対応策の具体的な内容(実施時期、実現可能性の程度、金額等を含む))

さらに有価証券報告書の【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(以下、MD&A)では、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて、当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響など、有価証券報告書の【経理の状況】に記載した会計方針を補足する情報を記載する必要があります(ただし、記載すべき事項の全部または一部を【経理の状況】の注記において記載した場合には、その旨を記載することによって、当該注記において記載した事項の記載を省略することができます)。MD&Aでの記載内容については2020年5月22日のニュース『金融庁、「非財務情報」におけるコロナの影響の開示充実を強く要請』を参照してください。

さて、以上の解説をご覧いただければ、誰の発言がGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役A:「来週には金融機関との間でコミットメントラインを設定する契約を締結できる見通しです。継続企業の前提の注記は回避できるのではないでしょうか。」
コメント:取締役Aの発言は「継続企業の前提」に重要な疑義を生じさせるような事象または状況があることと、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無を峻別して理解したうえでの発言であり、Goodです。

BAD発言はこちら
取締役B:
「継続企業の前提の注記は事業年度末の状況で判断するので、事業年度末以降にコミットメントラインを設定できたとしても、継続企業の前提の注記の有無には影響を与えないのではないでしょうか。せいぜい、後発事象として記載するかどうかだと思います。」
コメント:貸借対照表日に「継続企業の前提」に重要な疑義を生じさせるような事象または状況があったとしても、貸借対照表日後において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が解消し、または改善したため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められなくなったときには、「継続企業の前提に関する注記」を行う必要はありません。「事業年度末以降にコミットメントラインを設定」し、それが「当該事象または状況に関する経営者の対応策」として効果的で実行可能なものであれば、継続企業の前提の注記は不要となります。取締役Bの発言は事業年度末以降にコミットメントラインを設定したことが継続企業の前提に関する重要な不確実性をなくすものであるかどうかの視点が欠落したBad発言です。
取締役C:
「営業活動から生ずる損益・キャッシュ・フローは、今期はマイナスになることは間違いないが、少なくとも前期はプラスでした。営業活動から生ずる損益・キャッシュ・フローは2期継続してマイナスの状況ではないので、当社には継続企業の前提の注記が必要な兆候はないと考えます。」
コメント:「営業活動から生ずる損益・キャッシュ・フローは2期継続してマイナス」というのは固定資産の減損の兆候の判定の要件です。取締役Cの発言は、減損の兆候判定とGC注記の要件を混同したBad発言です。
取締役D:
「継続企業の前提の注記がつくと上場廃止になるので、それだけは避けなければなりません。」
コメント:証券取引所の上場廃止基準に「GC注記があること」という要件はありません。取締役Dの発言は「GC注記がつくと上場廃止になる」という箇所が、上場廃止要件に対する理解が不足しているBad発言です。

2020/08/31 【役員会 Good&Bad発言集】継続企業の前提

東証一部上場企業のGC社では、長年にわたり業績が低迷していたところ、新型コロナウイルスの感染者増加に伴う消費行動の変化により、売上がさらに激減し、手元資金も目減りし、金融機関の融資姿勢も厳しくなってきました。GC社では、先月末に同社の事業年度が終了し、監査法人の残高監査が始まりました。同社の取締役会では、経理部長より、監査法人が「継続企業の前提」をテーマアップしているとの報告が行われたところです。「継続企業の前提」を巡る下記の4人の発言のうち、誰の発言がGood発言でしょうか?

取締役A:「来週には金融機関との間でコミットメントラインを設定する契約を締結できる見通しです。継続企業の前提の注記は回避できるのではないでしょうか。」

取締役B:「継続企業の前提の注記は事業年度末の状況で判断するので、事業年度末以降にコミットメントラインを設定できたとしても、継続企業の前提の注記の有無には影響を与えないのではないでしょうか。せいぜい、後発事象として記載するかどうかだと思います。」

取締役C:「営業活動から生ずる損益・キャッシュ・フローは、今期はマイナスになることは間違いないが、少なくとも前期はプラスでした。営業活動から生ずる損益・キャッシュ・フローは2期継続してマイナスの状況ではないので、当社には継続企業の前提の注記が必要な兆候はないと考えます。」

取締役D:「継続企業の前提の注記がつくと上場廃止になるので、それだけは避けなければなりません。」

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2020/08/31 2020年8月度チェックテスト

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【問題1】

2020年11月1日以降JASDAQスタンダード市場への新規上場等に係る申請を行う会社から、コーポレートガバナンス・コードの全原則(基本原則・原則・補充原則)について、各原則を実施するのか、実施しない場合にはその理由を「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」において説明することが必要とされる。


正しい
間違い
【問題2】

会社法の規定により、定款において株主総会開催地を規定する必要がある。


正しい
間違い
【問題3】

2020年6月に実施した調査によると、多くの会社で労働時間(特に残業時間)が以前より短くなっていることが分かった。


正しい
間違い
【問題4】

英国ではコロナ禍を踏まえ、9月末までの時限措置として、定款を変更していない企業でもバーチャル株主総会を開催することを可能にする新法を6月末に制定していたことから、FTSE350構成企業のうち大半の企業が今年の株主総会を「ハイブリッド型」または「バーチャルオンリー型」で開催している。


正しい
間違い
【問題5】

TCFDは気候関連の財務リスクに焦点を当てており、プラスチックごみによる海洋汚染や土壌汚染等、気候以外の自然関連の大きなリスクは網羅していないため、TCFDとは別にTNFDの設置が必要であると説明されている。


正しい
間違い
【問題6】

上場会社において配当が財源規制により算定された分配可能額を超えて実施されていたことが事後的に判明した場合、株主に対して配当の返還を迫るのが通常である。


正しい
間違い
【問題7】

会計処理を取り消す際には、当初の計上時と異なり、特段の承認や検証は不要である。


正しい
間違い
【問題8】

収益会計基準の早期適用会社13社を調査したところ、収益の分解情報において用いた区分は「地理的区分別(例えば、国又は地域)」がもっとも多かった。


正しい
間違い
【問題9】

株主が会社に対して取締役に対する責任追及訴訟提起を請求した場合、会社が30日以内に取締役に責任追及の訴えを提起しない場合には、当該請求をした株主は会社のために責任追及の訴えを提起できることになっている。


正しい
間違い
【問題10】

株主が会社に対して「監査役に対する責任追及訴訟提起」を請求した場合に、会社の調査により当該監査役に善管注意義務違反があり、会社が勝訴する可能性が高いとの感触を得ていても、会社が監査役に対する責任追及訴訟を提起しないという判断をすることもありうる。


正しい
間違い

2020/08/31 2020年8月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
株主が会社に対して「監査役に対する責任追及訴訟提起」を請求した場合に、会社の調査により当該監査役に善管注意義務違反があり、会社が勝訴する可能性が高いとの感触を得ていても、回収が期待される利益が訴訟に要する費用を上回るとは考え難いことなどを理由に、会社が監査役に対する責任追及訴訟を提起しないという判断をすることもありえます(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2020年8月28日 関西電力の株主代表訴訟、会社訴訟を遥かに超える対象者数、金額に(会員限定)

2020/08/31 2020年8月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
株主が会社に対して「監査役に対する責任追及訴訟提起」を請求した場合に、会社の調査により当該監査役に善管注意義務違反があり、会社が勝訴する可能性が高いとの感触を得ていても、回収が期待される利益が訴訟に要する費用を上回るとは考え難いことなどを理由に、会社が監査役に対する責任追及訴訟を提起しないという判断をすることもありえます(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2020年8月28日 関西電力の株主代表訴訟、会社訴訟を遥かに超える対象者数、金額に(会員限定)