2020/06/04 コロナ収束時期の仮定を追加情報に記載しない場合に生じ得る問題

既報のとおり、企業会計基準委員会(ASBJ)や金融庁は上場企業に対し、コロナ影響下の会計上の見積りに用いた仮定を、有価証券報告書の報告書の【経理の状況】における「追加情報」において具体的に開示することを求めている(2020年5月14日のニュース『有報作成に影響も ASBJが「コロナ収束時期の仮定」の開示を強く要請』、2020年5月22日のニュース『金融庁、「非財務情報」におけるコロナの影響の開示充実を強く要請』を参照)。しかし、すべての上場企業がこの追加情報を記載しているわけではない(2020年6月1日のニュース『コロナ収束時期の「最も悲観的なシナリオ」』、2020年6月3日のニュース「コロナ収束時期、小売・流通系が集中する2月決算企業はどう書いた?」参照)。

当フォーラムが2月決算企業の有価証券報告書および12月決算企業の第1四半期報告書の追加情報欄をレビューしたところ、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/06/04 コロナ収束時期の仮定を追加情報に記載しない場合に生じ得る問題(会員限定)

既報のとおり、企業会計基準委員会(ASBJ)や金融庁は上場企業に対し、コロナ影響下の会計上の見積りに用いた仮定を、有価証券報告書の報告書の【経理の状況】における「追加情報」において具体的に開示することを求めている(2020年5月14日のニュース『有報作成に影響も ASBJが「コロナ収束時期の仮定」の開示を強く要請』、2020年5月22日のニュース『金融庁、「非財務情報」におけるコロナの影響の開示充実を強く要請』を参照)。しかし、すべての上場企業がこの追加情報を記載しているわけではない(2020年6月1日のニュース『コロナ収束時期の「最も悲観的なシナリオ」』、2020年6月3日のニュース「コロナ収束時期、小売・流通系が集中する2月決算企業はどう書いた?」参照)。

当フォーラムが2月決算企業の有価証券報告書および12月決算企業の第1四半期報告書の追加情報欄をレビューしたところ、コロナ禍の影響を強く受けた上場企業の多くがASBJや金融庁の要請に沿った形で追加情報を記載しているものの、明らかに強い影響を受けているにもかかわらず追加情報は記載せず、「重要な後発事象」として開示するにとどまっている企業も散見された(なお、IFRS採用企業は、IFRSに基づき連結財務諸表注記の「重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」において「仮定」を記載するため、追加情報の記載はないのが通常。また、コロナ禍の影響を受けていないか、影響があったとしても(あるいは今後の影響を加味しても)重要ではない場合も追加情報での「仮定」の開示は不要となる)。

重要な後発事象」を注記するほどコロナ禍の影響が大きいのであれば、『会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する「追加情報」の開示』も必要になるはず。それにもかかわらず、「追加情報」で「仮定」の開示をしないのは、「投資家のニーズに応えている」とは言い難いところだろう。なお、「重要な後発事象」では「仮定」は開示されないため、重要な後発事象の開示をしたからといって、「追加情報」での「仮定」の開示が免除されるわけではない。

重要な後発事象 : 連結決算日後、連結会社並びに持分法が適用される非連結子会社及び関連会社の翌連結会計年度以降の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす事象のこと。

柿安本店の2020年2月期の有価証券報告書
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(前略)
当社をとりまく環境は、海外経済の減速や米中の貿易摩擦に警戒感が残る中で、輸出の落ち込みや設備投資意欲が停滞したことにより、企業収益にも弱さが見られました。個人消費は、相次ぐ自然災害による被害や、消費税増税後の反動落ちからの持ち直しが一部にみられたものの未だ停滞懸念は払拭できておらず、日本国内での新型コロナウイルス感染症の拡大防止策による外出機会の抑制や消費者の生活防衛意識の高まりも加わり、非常に厳しい経営環境が続いております。・・・

【連結財務諸表】
(追加情報)
コロナの収束仮定についての記載なし

(重要な後発事象)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすことが見込まれます。なお、影響額については、合理的に算定することが困難であります。

エービーシー・マートの2020年2月期の有価証券報告書
【連結財務諸表】
(追加情報)
コロナの収束仮定についての記載なし

(重要な後発事象)
 (新型コロナウイルス感染拡大による影響)
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年4月7日の緊急事態宣言発令を受け、当社直営店においても臨時休業や営業時間の短縮などの対応を行っております。新型コロナウイルス感染症の収束時期が現時点では見通せない状況であるため、翌連結会計年度以降の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性がありますが、影響額については、提出日現在において合理的に見積もることは困難であります。

市進ホールディングスの2020年2月期の有価証券報告書
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
(前略)
なお、新型コロナウィルスの感染拡大による当社グループに与える影響につきましては現段階で想定しうる影響額を加味しておりますが、今後の諸情勢にも適切かつ柔軟に対応してまいります。・・・

【連結財務諸表】
(追加情報)
コロナの収束仮定についての記載なし

(重要な後発事象)
特別損失の計上
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年3月から小学校、中学校、高等学校が臨時休校となりました。生徒の皆さんの安全と感染拡大防止を第一に考え、当社グループの学習塾も学校が休校である間は休校といたしましたが、休校期間中も当社グループの映像授業「ウイングネット」の活用やオンライン双方向授業の実施、また担当からの進捗確認等フォロー体制により、学習をサポートしてまいりました。生徒、保護者の皆様にもご理解とご協力をいただき、緊急事態宣言下におきましても教育サービスの提供を継続させていただいております。一方で、本来であれば教室へ来ていただき対面で学習する予定のところ、ご家庭で学習をしていただく状況が長引いていることから、ご理解とご協力をいただいている生徒、保護者の皆様に対して、授業料を一部返金させていただくことを2020年5月29日付け取締役会にて決議いたしました。当該返金につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によるものであり、特別損失として約2億円を2021年2月期第1四半期に計上する予定であります。

東宝の2020年2月期の有価証券報告書
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
(前略)
しかしながら、本年2月下旬以降の新型コロナウイルスの感染拡大は、一転して当社グループの主要事業にかつてない深刻な影響を与えています。・・・

【連結財務諸表】
(追加情報)
コロナの収束仮定についての記載なし

(重要な後発事象)
新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループの各事業において影響が生じております。
映画事業においては、配給作品の公開スケジュールを変更しております。劇場については、2020年3月には都市部での外出自粛要請に伴い一部の劇場で週末の営業を休止いたしました。2020年4月8日に7都府県を対象に緊急事態宣言の発令されたことにより対象地区の劇場を、16日に緊急事態宣言が全国に拡大されたことにより、18日からは全国の劇場で営業を休止いたしました。なお、一部自治体による映画館に対する休業要請の解除を受け、2020年5月15日以降、一部の劇場を再開しております。
演劇事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大にかかわる政府及び東京都の方針等を踏まえ、2020年2月28日以降、順次公演の中止を決定しております。演劇公演については緊急事態宣言が解除されたとしても、一定の準備期間を要することから、同年7月までの東京公演作品及びその全国ツアー公演の中止を決定しており、再開は2020年8月以降となる見通しです。
不動産事業においては、緊急事態宣言の発令を受けて、2020年4月8日から商業施設を臨時休館しておりましたが、緊急事態宣言の解除を受けて順次再開しております。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、当連結会計年度の会計上の見積りに反映しておりますが、当該営業休止等により翌連結会計年度以降の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローにも影響を及ぼすことが想定されております。

では、ASBJや金融庁が追加情報の記載を強く求める中で、コロナ禍の影響を強く受けた上場企業が有価証券報告書の追加情報で「仮定」を記載しなかった場合、どのような問題が生じ得るだろうか。

まず会計監査への影響だが、追加情報で「仮定」を書かなかったからといって、それが「不適正意見」に直結するとは考えにくい。仮にコロナ禍における「仮定」に関連して不適正意見が出るとすれば、それは「追加情報に仮定を書かなかった」からではなく、コロナ禍の影響が大きいにもかかわらず明らかに不合理な仮定(コロナ禍の影響は小さいとして見積りに反映させていない)を置いて、減損損失を計上しなかったり、繰延税金資産の取り崩しをしなかったりした場合に、監査法人が「財務諸表に重要な虚偽記載がある」と判断したケースだろう。

不適正意見 : 監査人が監査報告書で表明する「財務諸表が不適正である旨の意見」のこと。監査人が、経営者が採用した会計方針の選択およびその適用方法、財務諸表の表示方法に関して不適切なものがあり、その影響が財務諸表全体として虚偽の表示に当たるとするほどに重要であると判断した場合に表明される。

本件において企業が目を向けるべきは、むしろ金融庁や投資家と言える。

金融庁は2020年5月21日に公表した「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」と題するリリースで、追加情報において会計上の見積りに用いた仮定を具体的に開示することを求めるのみならず、当初(2020年3月27日)示した2020年度の有価証券報告書レビュー(以下、有報レビュー)の対象には含まれていなかった『会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する「追加情報」の開示』を急遽レビュー対象に追加して審査する旨をアナウンスしている(有報レビューの対象追加については2020年5月22日のニュース『金融庁、「非財務情報」におけるコロナの影響の開示充実を強く要請』を参照)。有報レビューの結果、「追加情報で開示すべきだったにもかかわらず開示されていなかった」と判断されれば、その重要性次第で訂正報告書の提出が求められることもあり得る。

有価証券報告書レビュー : ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応として、有価証券報告書の記載内容の適正性を確保するための審査。従来から、金融庁および財務局等が連携して実施している。毎年3月頃、金融庁のホームページにおいて、その事業年度に係る有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項とその年度に実施される具体的なテーマが公表される。
訂正報告書 : 提出した有価証券報告書等の記載事項に間違いがあったり、記載が不十分であったりした場合に、金融商品取引法により提出を求められる書類のこと。有価証券報告書の提出先である財務局に提出する。
また、金融庁は上記リリースで、非財務情報(記述情報)においてもコロナ禍の影響を開示するようを求めている。仮に記述情報で「影響は大きい」と言っておきながら追加情報で「仮定」を書かないという“矛盾”があれば、有報レビューの結果、「決算・財務報告プロセスが不適切だった」として、内部統制報告書の訂正を求められる可能性もある。

非財務情報(記述情報) : 有価証券報告書における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」を指す。2019年1月31日に公布・施行された開示府令により、2020年3月期決算企業から記載内容の充実が求められることとなった。
決算・財務報告プロセス : 決算を取りまとめて、財務報告として社外に開示するまでの情報の作成、伝達、承認等のプロセス。
内部統制報告書 : 会社の属する企業集団および当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要な体制について評価した報告書。

投資家からすると「情報開示が不十分=投資家に対し不誠実」と映るため、コロナ禍の影響についての開示が不十分で訂正報告書の提出や内部統制報告書の訂正を求められたとなれば、投資マインドは低下するだろう。

ちなみに、今般のコロナ関連の追加情報の記載は、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(2021年3月期から原則適用、2020年3月期からの早期適用可)の“前哨戦”と位置付けられる。というのも、同会計基準では下記の事項の開示を求めているからだ(詳細は2019年11月13日のニュース「重要会計基準改正解説第一弾 見積会計基準案が公表、MD&A、KAMへの影響」参照)。

(1) 当年度の財務諸表に計上した金額の算出方法
(2) 当年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定
(3) 翌年度の財務諸表に与える影響

ASBJが4月9日に公開した議事録は(2)に対応し、5月11日に公開した追補版は(3)に対応している(前者については2020年4月10日のニュース『コロナ影響下の会計上の見積りにおける「一定の仮定」と開示』参照、後者については2020年5月14日のニュース『有報作成に影響も ASBJが「コロナ収束時期の仮定」の開示を強く要請』参照)。残りの(1)は未適用の段階であるため、監査法人もさすがに「書いてください」とは言えないものの、少なくとも(2)(3)は現行の追加情報の考え方に基づき、(上記会計基準に則った場合と同じレベルまでは要求されないとはいえ)書くよう求めることができる。

企業からは「コロナ禍の先行きは誰にも分からない。このような状況の中で仮定を置くのは無理」との声も聞かれる。これは企業の本音とはいえ、減損や税効果会計で見積りをしている以上、そこで何がしかの仮定を置いているはずであり、ASBJや金融庁は、その“何がしかの仮定”を書いてくださいと要請しているに過ぎないことからすると、「無理」という言い訳は通用しないと考えるべきだろう。また、今期あたふたしているようでは、来期から原則適用となる上記「会計上の見積りの開示に関する会計基準」への対応も危ぶまれる。企業としては、今期は原則適用前の“予行演習”と考え、仮定の開示に取り組むべきだろう。

2020/06/03 コロナ収束時期、小売・流通系が集中する2月決算企業はどう書いた?

既報のとおり、これから有価証券報告書を作成する上場企業にとって、「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期」についてどのような仮定を置くべきかが悩ましい問題となっている。2020年6月1日のニュース『コロナ収束時期の「最も悲観的なシナリオ」』では、2020年12月決算企業の第1四半期報告書の【経理の状況】(追加情報)にコロナ影響下の会計上の見積りにおける「一定の仮定」を記載した企業は10社あり、そのうち6社が収束時期を「2020年6月まで」と仮定し、4社が「同年12月末まで」と仮定していた旨お伝えしたところだ。

では、2020年2月決算企業の有価証券報告書はどうだろうか。2月決算企業には良い意味でも悪い意味でもコロナ禍の影響を受けやすい小売や流通系企業が多いだけに、「追加情報」への記載内容は参考になろう。・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/06/03 コロナ収束時期、小売・流通系が集中する2月決算企業はどう書いた?(会員限定)

既報のとおり、これから有価証券報告書を作成する上場企業にとって、「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期」についてどのような仮定を置くべきかが悩ましい問題となっている。2020年6月1日のニュース『コロナ収束時期の「最も悲観的なシナリオ」』では、2020年12月決算企業の第1四半期報告書の【経理の状況】(追加情報)にコロナ影響下の会計上の見積りにおける「一定の仮定」を記載した企業は10社あり、そのうち6社が収束時期を「2020年6月まで」と仮定し、4社が「同年12月末まで」と仮定していた旨お伝えしたところだ。

では、2020年2月決算企業の有価証券報告書はどうだろうか。2月決算企業には良い意味でも悪い意味でもコロナ禍の影響を受けやすい小売や流通系企業が多いだけに、「追加情報」への記載内容は参考になろう。

当フォーラムが全上場市場を対象に調査したところ、2020年2月決算企業で、「追加情報」において新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りの仮定を開示した企業は39社あった。上述のとおり、2020年12月決算企業の第1四半期報告書では、収束時期は「2020年6月まで」あるいは「2020年12月まで」に二分され、「2021年以降」という記載は見られなかったが、2020年2月決算企業の有価証券報告書では記載内容にバリエーションがあり、「大きな影響なし」とする企業もあれば、「1年半程度(2022年2月期の半ばまで)」影響があるとする企業、「一定期間」といった表現でコロナ禍の影響が及ぶ期間を明確にしない企業もあった。

各社の開示内容は下表のとおり。2020年3月決算企業などは有価証券報告書の作成にあたり参考にされたい。

企業名 業種 新型コロナウイルス感染症の収束時期の仮定
コロナ禍は見積りに大きな影響を与えるものではないと判断
ローソン(東証1部) 小売 新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループにおける一部の商品販売やお客さまの来店動向などが変化しております。当社グループでは、固定資産の減損会計等の会計上の見積りにおいて、期末日以降財務諸表作成時までに入手可能であった3月以降の店舗売上等の実績を考慮し、当期末の見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。
コロナ禍の影響を「数か月」と仮定
イオンファンタジー(東証1部) サービス 当社グループは、当連結会計年度末日現在、有形固定資産の減損テストにおける予想される将来キャッシュ・フローの見積りに、各地域の新型コロナウイルス感染症の影響として、行政当局の要請による臨時休業期間の予測及び営業再開後の売上高の回復予測などの仮定を含めており、複数のシナリオに基づく感応度分析を実施しています。具体的には、日本における、2020年3月の臨時休業の状況及び中国における2020年1月下旬の行政当局からの全店舗臨時休業要請の状況などを踏まえて、2020年4月から順次営業を再開し、売上高が数カ月を経て回復する仮定に基づき、有形固定資産の減損テストにおける予想される将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。
ナルミヤ・インターナショナル(東証1部) 小売 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、当社グループの主な販売チャネルである、百貨店、ショッピングセンター等の臨時休業や営業時間の短縮が行われております。
これら営業活動の縮小は当社グループの今後の業績に影響を及ぼしますが、その影響が数カ月程度継続するものと仮定して繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
コロナ禍の影響を「半年程度」と仮定
イオン(東証1部) 小売 当社グループでは、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウイルス感染症による当社グループ事業への影響は、事業によってその影響や程度が異なるものの、営業収益減少等の影響がある事業については、半年程度で概ね回復する仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
イオン北海道(東証1部) 小売 当社では、固定資産の減損会計等の会計上の見積りにおいて、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、新型コロナウイルス感染症による営業収益等への影響が半年程度の期間にわたると仮定しております。
イオンモール(東証1部) 不動産 当社グループでは、固定資産の減損会計等の会計上の見積りにおいて、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、新型コロナウイルス感染症による営業収益等への影響が半年程度の期間にわたると仮定しております。
イオンディライト(東証1部) サービス 当社グループでは、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウイルス感染症による当社グループ事業への影響は、事業や地域によってその影響や程度が異なるものの、営業収益減少等の影響がある事業については、半年程度で概ね回復する仮定に基づき会計上の見積りを行っております。
わらべや日洋ホールディングス(東証1部) 食料品 当社は、新型コロナウイルス感染症の影響について、今後の広がり方や収束時期に関して不確実性が高い事象であると考え、本件が当社グループの業績に与える影響は2020年8月頃まで続くとの仮定を置き、会計上の見積りを行っております。
松屋(東証1部) 小売 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休業等により、売上高が減少する等足元の業績に影響が生じております。そのため、繰延税金資産の回収可能性の判断及び固定資産の減損の判定について、新型コロナウイルスの感染拡大影響が2020年夏まで続くものと仮定し、会計上の見積りを会計処理に反映しております。
リンガーハット(東証1部) 小売 当社は、新型コロナウイルス感染症拡大によるショッピングモールの休業や営業時間短縮等の影響を受けており、この状況が上半期に渡り徐々に正常化すると見込み、将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。
井筒屋(東証1部) 小売 なお、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う店舗の臨時休業等により、足元の業績に売上高減少等の影響が生じております。固定資産の減損及び税効果会計等におきましては、当該業績への影響が2020年秋まで続くものと仮定し、将来キャッシュ・フロー及び繰延税金資産の回収可能性等の見積りを行っております。
さいか屋(東証2部) 小売 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年4月8日から店舗の一部フロアの営業を取りやめておりましたが、5月27日より全館営業を再開しました。営業再開後も新型コロナウイルス感染症の影響は一定期間残ると想定しています。そのため2020年度上期においては、4月および5月の売上高の実績を考慮しつつ、売上高の回復が2020年度中盤以降になると仮定しております
ユナイテッド&コレクティブ(マザーズ) 小売 当社は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い政府・自治体からの自粛要請により店舗の営業時間の短縮や休業を余儀なくされるなど厳しい状態が続いており、国内での個人消費低迷及び来店客の減少等が想定されます。財務諸表の作成に当たっては、新型コロナウイルスの感染拡大により、翌事業年度については売上高の減少の影響が上期まで継続するものの、下期以降は徐々に回復すると仮定した計画を策定し、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損を検討しております。
ただし、現時点で出店・退店計画への影響等、全ての影響を計画に織り込むことは困難であり、終息時期等によって仮定した計画が変動した場合には、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損等についての判断に影響を及ぼし、当社の翌事業年度の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
日本色材工業研究所(JASDAQスタンダード) 化学 固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症による影響は、第1四半期及び第2四半期にわたると仮定しております。
アズ企画設計(JASDAQスタンダード) 不動産 当社では、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損会計等の会計上の見積りにおいて、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、新型コロナウイルス感染症による売上等への影響が半年程度の期間にわたると仮定しております。
コロナ禍の影響を「1年程度」と仮定
タカキュー(東証1部) 小売 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、店舗の来店客数の減少や営業休止・営業時間短縮による売上高の減少等、翌事業年度の当社業績への影響が見込まれます。このため、固定資産に関する減損損失の計上要否の判断、繰延税金資産の回収可能性の判断等の会計上の見積りを行うにあたっては、当事業年度末時点で入手可能な情報に基づき、翌事業年度の第1四半期の業績は大幅に下落するものの、第2四半期以降年度末にかけて徐々に回復していくものとの仮定を置いて判断しております。
ハイデイ日高(東証1部) 小売 内閣官房から発出される同感染症に関する情報、政府及び各自治体における各種取り組み等を参考にしたうえで、緊急事態宣言による外出自粛要請が5月末には解除され、その後は年内にかけて需要は回復していくものと仮定しており、当該仮定をもとに会計上の見積り(固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性)を行っております。
ドトール・日レスホールディングス(東証1部) 小売 当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症による店舗の休業期間等を6ヶ月間程度と見込み、業態に応じた一定の回復期間を経て、2021年度には例年並みの需要が見込まれると仮定し、固定資産の減損を検討しております。
ネオス(東証1部) 情報通信 新型コロナウイルス感染症の影響により著しく停滞している社会経済活動が、2020年夏頃にはある程度まで再開し翌期における当社グループの取り組み施策を推進できる環境が整ってくることを前提として、繰延税金資産の回収可能性の判断等の会計上の見積りを行っております。この場合においては、翌年度の連結財務諸表に与える影響は軽微であると考えております。
他方、一旦感染が収束したとしても、第二波、第三波と感染が広がることで、世界経済の低迷が長期化した場合は、当社グループの製品、サービスの需要減少をもたらし、翌年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
ポプラ(東証1部) 小売 新型コロナウイルスの拡大に伴い、当社グループにおいて、休業あるいは時短営業となっている店舗が増加しております。このような中、新型コロナウイルス感染拡大が2021年2月期中に収束するとの仮定を置き、固定資産の減損会計等の会計上の見積りを行っております。
SFPホールディングス(東証1部) 小売 当社グループは、現状、新型コロナウイルス感染症拡大により、2020年4月7日の緊急事態宣言発令等を受け、当社の直営店全店舗(SFPダイニング株式会社による運営店舗)において、同年4月8日より5月6日まで臨時休業しておりました。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、緊急事態宣言解除後から2021年2月期の下期にかけて緩やかに回復していくことを想定しております。
エスケイジャパン(東証1部) 卸売 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大は、経済や生活行動等に広範な影響を与える事象であり、現状1年程度その影響が続くものと想定しております。
ヨンドシーホールディングス(東証1部) 小売 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の意識が高まるなか、6月においても外出自粛が続くことが予測され、需要に対する影響も一定程度はあるものと捉えております。その後は翌事業年度にかけて回復していくものと仮定のもと、固定資産の減損の会計上の見積りを行っております。
なお、この仮定は不確実性が高く、収束が遅延し、影響が長期化した場合には将来において損失が発生する可能性があります。
魚喜(東証2部) 小売 新型コロナウイルス感染症に伴う当社グループの業績に関して、当社グループでは、当該感染症による影響が2021年2月まで続くものと仮定し、繰延税金資産の回収可能性及び固定資産の減損会計等の会計上の見積りを行っております。
日宣(JASDAQスタンダード) サービス 5月25日には緊急事態宣言が全面解除されましたが、提出日現在においてこれらの影響を合理的に見積もることは困難であります。そのため、当社としては外部の情報源に基づく情報等を踏まえて、今後、2021年2月期の1年間にわたり当該影響が継続すると仮定し、会計上の見積りを行っております。
 当社の属する広告業界は、クライアント企業の動向に影響を受けるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
コロナ禍の影響を「1年超」と仮定
オンワードホールディングス(東証1部) 繊維製品 当社グループにおいては、当該新型コロナウイルス感染症の影響は、長期化する不確実性を考慮しつつも、少なくとも2021年2月期の第1四半期までは深刻な状況が継続し、その後緩やかに改善し始め、年度末には概ね収束すると仮定して、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っています。
シー・ヴイ・エス・ベイエリア(東証1部) 小売 連結財務諸表の作成に当たっては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の縮小により、翌連結会計年度については、第2四半期期間中より一部需要が回復の兆しを見せるものの、学校の夏休み期間の短縮が見込まれることなどから、本格的な回復傾向は下期以降となると想定したことに加え、外国人観光客などの需要は来春まで見込めないと仮定した計画を策定し、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損判定を実施しております。
アルバイトタイムス(JASDAQスタンダード) サービス 現在の新型コロナウイルス感染症拡大に関する影響から、ヒトやモノの動きが鈍化している中、企業の業績悪化、採用の凍結等が生じており、2020年4月28日に静岡労働局が公表しました静岡県の3月度の有効求人倍率は前年同月比0.43ポイント下落の1.22倍となるなど雇用環境の急速な悪化により、人材ビジネスを主力としている当社グループの業績にも影響が及んでおります。当該事象は、税効果会計などの会計上の見積りの前提となる仮定を含め、翌期以降の当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが想定されます。
緊急事態宣言が一部都道府県を除き解除されたものの、新型コロナウイルス感染症に関しては不確実なことが多く、感染症拡大防止の対応期間や影響について先の見通しが困難なところではありますが、当社グループは雇用環境の悪化による人材採用活動の停滞が当社グループの上半期末(2020年8月)まで継続し、下半期(2020年9月~2021年2月)から緩やかに改善していくものと想定しております。
ライフフーズ(JASDAQスタンダード) 小売 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、来店客数の減少や営業時間の短縮により売上の減少が生じております。このため、有形固定資産に関する減損損失の認識要否の判断及び測定において、当事業年度末時点で入手可能な情報に基づき、一定の仮定(収束までの期間や減収率)を置き将来キャッシュ・フローの見積りを行っており、売上の減少は、期末日以降半年間は続くことを想定しております。
なお、この仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が今後長期化した場合や深刻化した場合には有形固定資産の減損損失が増加する可能性があります。
エスポア(名証セントレックス) 不動産 当社は売上高及び営業利益について、2020年6月からは回復基調に進むものの、一部テナントの業種においては、2022年2月期の半ばまで当影響が継続するとの仮定を置いて会計上の見積り(主として、継続企業の前提に係る資金繰り、固定資産の減損に係る部門別損益、繰延税金資産の回収可能性等)を実施しております。
「一定期間」とするなど、コロナ禍の影響期間を明確にしていないもの
良品計画(東証1部) 小売 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が少なくとも一定期間続くとの仮定のもと会計上の見積りを会計処理に反映しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、翌連結会計年度の当グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
セブン&アイ・ホールディングス(東証1部) 小売 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が少なくとも一定期間続くとの仮定を減損損失の判定に用いるなど、会計上の見積りを会計処理に反映しております。
また、2020年4月7日には日本においても緊急事態宣言が発令され、当社グループにおいて一部店舗の休業・営業時間の短縮等が発生したことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多いことから、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
DDホールディングス(東証1部) 小売 当該感染症の今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないものの、当社グループにおいては、減損の兆候がある資産又は資産グループに関する将来キャッシュ・フローの見積りについては、過去に発生した感染症事例や、当該見積りに影響を及ぼすと考えられる入手可能な情報を総合的に勘案し、当該感染症の影響が及ぶ期間につき仮定を置いた上で、一定のストレスを考慮して算定しております。
イオンフィナンシャルサービス(東証1部) その他金融 当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について、連結財務諸表作成時点までの債権の回収状況や、一部の海外子会社においては、決算日において入手可能な外部経済指標等を踏えて、貸倒引当金の見積りを行っています。なお、その見積りの不確実性は高く、その後の感染拡大による活動の停滞により、将来の損失額に影響を与える可能性があります。
アダストリア(東証1部) 小売 新型コロナウイルス感染症(以下、本感染症)の感染拡大により、外出自粛による消費マインドの低下、商業施設の休業や営業時間短縮などが、来店客数延いては売上に影響する状況が続いております。
本感染症は経済に広範な影響を与える事象であり、当社は外部の情報等を踏まえて、今後、2021年2月期の一定期間にわたり当該影響が継続することを想定しております。
スタジオアタオ(マザーズ) 小売 当社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、2020年4月8日から店舗の臨時休業を行っておりましたが、同年5月19日より順次営業を再開しております。今後も当面は一部店舗において時間短縮営業や平日のみの営業となる予定であり、また外出自粛等の影響を受けると考えておりますが、需要は徐々に回復していくものと仮定しており、当該仮定を固定資産の減損会計の適用に係る会計上の見積りに反映しております。
エスエルディー(JASDAQスタンダード) 小売 当該感染症の今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないものの、当社においては、減損の兆候がある資産又は資産グループに関する将来キャッシュ・フローの見積りについては、過去に発生した感染症事例や、当該見積りに影響を及ぼすと考えられる入手可能な情報を総合的に勘案し、当該感染症の影響が及ぶ期間につき仮定を置いた上で、一定のストレスを考慮して算定しております。
シーズメン(JASDAQスタンダード) 小売 新型コロナウイルス感染症の直接の影響や、国内外の景気悪化により消費が落ち込むことが予想されるなど、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、今後の業績については段階的に回復していくと仮定し、現時点で入手可能な情報に基づいて財務諸表を作成しております。
ゼットン(名証セントレックス) 小売 当該感染症の今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないものの、当社においては、減損の兆候がある資産又は資産グループに関する将来キャッシュ・フローの見積りについては、過去に発生した感染症事例や、当該見積りに影響を及ぼすと考えられる入手可能な情報を総合的に勘案し、当該感染症の影響が及ぶ期間につき仮定を置いた上で、一定のストレスを考慮して算定しております。

ちなみに、J.フロントリテイリングは追加情報の記載はないが、「重要な後発事象」において、下記の開示を行っている。

(新型コロナウイルス感染症の拡大)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年4月7日に日本政府による緊急事態宣言が発出され、2020年5月25日に緊急事態宣言の解除が発表されております。これにより、当社の翌事業年度の業績に重要な影響を与える可能性がありますが、現時点ではその影響を合理的に算定することは困難であります。

要するに「現時点でコロナ禍の影響を合理的に算定することは無理」と言っているわけだが、ある意味でこれが企業の本音とも言えそうだ。

このように同社の有価証券報告書には追加情報の記載がないため、「投資家への開示が不十分ではないか」と誤解されかねない。しかし、同社が追加情報を記載しなかったのは、同社はIFRS採用企業であるため、IFRSに基づき連結財務諸表注記の「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」において、下記のとおり「報告期間の末日時点」で合理的な見積りを実施していることを明記したうえで、連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り及び判断を詳細に記載しているためである(もともと「追加情報」は、他の注記だけでは開示が不十分な場合に開示を追加するためのバスケット条項的な規定に基づく開示項目である)。

バスケット条項 : 規制の対象となる事実を細かく列挙して定める際に、広く網をかけるために最後に設置される「その他●●なもの」といった規定のこと。状況の変化や当初想定していなかった事態が生じた際にも弾力的に対応できるメリットがある。

新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解は発表されておりませんが、各地域での感染拡大収束、経済活動再開に伴い、徐々に回復していくと仮定を置いた上で報告期間の末日時点での状況を踏まえ、合理的な見積りを実施しております。なお、不確実性が更に高まった場合は、将来の会計期間において資産又は負債の帳簿価額の見直しを行う可能性があります。

同社の開示に対する専門家の評価については続報したい。
 

 

 

2020/06/02 形式上は「解任」も!継続会を開催する場合の退任役員等の取扱い

2020年3月期決算の上場会社の株主総会招集通知の発送、ウェブサイトでの開示が相次いでいるが、決算作業・監査手続きの遅れにより、定款で定めた定時株主総会の開催時期までに計算書類等の作成が間に合わず、定時株主総会後に計算書類の報告・承認のための継続会を開催する2020年3月期決算の上場会社は100社を優に超える見通しとなっている(2020年5月15日のニュース「2020年3月決算企業の定時株主総会、継続会開催企業が増加も」参照)。

継続会 : 会社法上、株主総会は、延期または続行することができるとされている(会社法317条)。ここでいう「延期」とは株主総会の成立後に議事に入らずに開催日を後日に変更することであり、一般的には「延会」と呼ばれ、「続行」とは株主総会の成立後に議事に入るものの、全ての議事の審議を完了せず残りの議事の審議を後日に先送りすることであり、一般的に「継続会」と呼ばれる。

継続会の開催に伴い問題となるのが、定時株主総会終結の時が任期の末日とされている(=定時株主総会をもって退任する)役員等(=取締役、監査役、会計参与および会計監査人)の取扱いだ。

継続会とは、全ての議事の審議を完了せず株主総会を“続行”するものであるため、定時株主総会と継続会は「同一の株主総会」ということになる。したがって、そのまま何もしなければ、定時株主総会の終結をもって退任する予定だった役員等(以下、前任の役員等)も、継続会が終結するまではその地位に留まることになってしまう。そこで法務省は、定時株主総会の終結の時をもって前任の役員等を交代させる方法として、以下の2つの方法を・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/06/02 形式上は「解任」も!継続会を開催する場合の退任役員等の取扱い(会員限定)

2020年3月期決算の上場会社の株主総会招集通知の発送、ウェブサイトでの開示が相次いでいるが、決算作業・監査手続きの遅れにより、定款で定めた定時株主総会の開催時期までに計算書類等の作成が間に合わず、定時株主総会後に計算書類の報告・承認のための継続会を開催する2020年3月期決算の上場会社は100社を優に超える見通しとなっている(2020年5月15日のニュース「2020年3月決算企業の定時株主総会、継続会開催企業が増加も」参照)。

継続会 : 会社法上、株主総会は、延期または続行することができるとされている(会社法317条)。ここでいう「延期」とは株主総会の成立後に議事に入らずに開催日を後日に変更することであり、一般的には「延会」と呼ばれ、「続行」とは株主総会の成立後に議事に入るものの、全ての議事の審議を完了せず残りの議事の審議を後日に先送りすることであり、一般的に「継続会」と呼ばれる。

継続会の開催に伴い問題となるのが、定時株主総会終結の時が任期の末日とされている(=定時株主総会をもって退任する)役員等(=取締役、監査役、会計参与および会計監査人)の取扱いだ。

継続会とは、全ての議事の審議を完了せず株主総会を“続行”するものであるため、定時株主総会と継続会は「同一の株主総会」ということになる。したがって、そのまま何もしなければ、定時株主総会の終結をもって退任する予定だった役員等(以下、前任の役員等)も、継続会が終結するまではその地位に留まることになってしまう。そこで法務省は、定時株主総会の終結の時をもって前任の役員等を交代させる方法として、以下の2つの方法を提示している(商業・法人登記事務に関するQ&A【Q2-1】参照)。

(1)前任の役員等を、定時株主総会の時に、その終結の時をもって交代させるという決議をする(つまり、辞任ではなく株主総会決議で“解任”するということになる)。
(2)前任の役員等の任期は継続会終結の時まで続くものの、定時総会終結の時に“辞任”させる。

(1)の方法をとる場合には、【Q2-2】で示されているように、定時株主総会の終結の時をもって役員を交代させる旨を「議事録」に残し、当該議事録を法務局に持っていくことになる。なぜなら、役員等はあくまで“解任”されたのであって、辞任したわけではないため、「辞任届」を持っていきようがないからだ。

一方、(2)の方法をとる場合、役員等は“辞任”したことになるため、本来は辞任届を法務局に持っていく必要があるが、法務省は、議事録で辞任したことがわかるのであれば議事録だけでよいとの見解を示している(【Q2-3】参照)。なお、再任される役員等については、任期満了後に再任という形になる。ここでいう「任期満了」とは、上述のとおり「継続会終結の時」であり、会社は継続会の後に登記をしなければならないのため、別途、法務局に議事録を持っていく必要がある。

このように、(2020年)5月28日に更新されたばかりの【Q2-2】と【Q2-3】は異なるパターンについて説明しているので留意したい。

2020/06/01 コロナ収束時期の「最も悲観的なシナリオ」

現行の開示ルールでは、会計上の見積りに用いた仮定に「重要性」がある場合には、「追加情報」として開示が求められることになっているが、既報のとおり、企業会計基準委員会(ASBJ)はコロナ禍におけるこのルールの運用上、「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが財務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると思われ、開示を行うことが強く望まれる。」旨、企業に要請したところだ(2020年5月14日のニュース『有報作成に影響も ASBJが「コロナ収束時期の仮定」の開示を強く要請』)。その背景には、JALやANAといった明らかに重大な影響がありそうな企業の決算発表(東証の決算短信)で追加情報の記載がなかったということがある。このASBJの要請を政府の立場からも念押しする意味も込めて出されたリリースが、金融庁が(2020年)5月21日に公表した「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」ということになる(2020年5月22日のニュース「金融庁、「非財務情報」におけるコロナの影響の開示充実を強く要請」参照)。

会計上の見積り : 繰延税金資産の回収可能性の判断、減損会計における将来キャッシュ・フローの見積りなど、財務諸表を作成するにあたって必要になる様々な見積りのこと

「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期」については、おおむね以下のシナリオ(仮定)が考えられる(2020年5月22日のニュース『コロナ影響下の会計上の見積りにおける「一定の仮定」と開示』参照)。

①中国の武漢市の封鎖は約2か月半で解除されたことから、我が国も2020年の第1四半期末(3月末決算企業が前提、2020年6月末)までに収束する。
②高温多湿となる2020年度の第2四半期(3月末決算企業が前提、9月末)までには収束する。
③ワクチンが開発されるまで1年以上かかるとされていることから、少なくとも2020年度は現在の状況が続く。
④ワクチンが開発されていない現状を鑑みると2年くらいはこの状態が続く。
⑤5年程度はこの状態が続く。

自社としてどのようなシナリオを描くべきかは悩ましいところだろう。そこで当フォーラムが、12月決算会社の第1四半期報告書の【経理の状況】(追加情報)に、コロナ影響下の会計上の見積りにおける「一定の仮定」を記載している会社10社を調査したところ、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/06/01 コロナ収束時期の「最も悲観的なシナリオ」(会員限定)

現行の開示ルールでは、会計上の見積りに用いた仮定に「重要性」がある場合には、「追加情報」として開示が求められることになっているが、既報のとおり、企業会計基準委員会(ASBJ)はコロナ禍におけるこのルールの運用上、「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが財務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると思われ、開示を行うことが強く望まれる。」旨、企業に要請したところだ(2020年5月14日のニュース『有報作成に影響も ASBJが「コロナ収束時期の仮定」の開示を強く要請』)。その背景には、JALやANAといった明らかに重大な影響がありそうな企業の決算発表(東証の決算短信)で追加情報の記載がなかったということがある。このASBJの要請を政府の立場からも念押しする意味も込めて出されたリリースが、金融庁が(2020年)5月21日に公表した「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」ということになる(2020年5月22日のニュース「金融庁、「非財務情報」におけるコロナの影響の開示充実を強く要請」参照)。

会計上の見積り : 繰延税金資産の回収可能性の判断、減損会計における将来キャッシュ・フローの見積りなど、財務諸表を作成するにあたって必要になる様々な見積りのこと

「新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期」については、おおむね以下のシナリオ(仮定)が考えられる(2020年5月22日のニュース『コロナ影響下の会計上の見積りにおける「一定の仮定」と開示』参照)。

①中国の武漢市の封鎖は約2か月半で解除されたことから、我が国も2020年の第1四半期末(3月末決算企業が前提、2020年6月末)までに収束する。
②高温多湿となる2020年度の第2四半期(3月末決算企業が前提、9月末)までには収束する。
③ワクチンが開発されるまで1年以上かかるとされていることから、少なくとも2020年度は現在の状況が続く。
④ワクチンが開発されていない現状を鑑みると2年くらいはこの状態が続く。
⑤5年程度はこの状態が続く。

自社としてどのようなシナリオを描くべきかは悩ましいところだろう。そこで当フォーラムが、12月決算企業の第1四半期報告書の【経理の状況】(追加情報)に、コロナ影響下の会計上の見積りにおける「一定の仮定」を記載している会社10社を調査したところ、「2020年6月まで」と仮定した企業が6社、「同年12月末まで」と仮定した企業が4社あった。つまり、開示されている範囲では、収束時期を「2021年以降」としている企業はなく、最も悲観的なシナリオでも「年内に収束する」と考えているということだ。

企業名 業種 新型コロナウイルス感染症の収束時期の仮定
2020年の6月までに収束し、その後回復すると仮定
B-R サーティワン アイスクリーム(株) 食料品 この状況が5月中も継続し、6月においても外出自粛が一定程度影響するものと仮定。
(株)ダイナックホールディングス 小売業 この状況が5月中も継続し、6月においても外出自粛が一定程度影響するものの、その後は翌事業年度にかけて需要は回復していくものと仮定。
(株)NATTY SWANKY 小売業 この状況は2020年6月頃まで継続し、2020年7月頃から徐々に回復に向かうと仮定。
三井海洋開発(株) 機械 収束には今年の半ばまで要する。
(株)物語コーポレーション 小売業 緊急事態宣言による外出自粛要請が5月末には解除されると仮定しており、その後は徐々に当社の業績が改善することが見込まれるものの、感染拡大前の水準まで回復するには年内までの期間を要するものと想定。
ローランド ディー.ジー.(株) 電気機器 当連結会計年度の第2四半期連結会計期間以降については、一時的な需要低下があるものの、各地域での感染拡大収束、経済活動再開に伴い需要は徐々に回復していくと仮定。翌連結会計年度については、需要が前連結会計年度並みの水準に戻ることを仮定。
2020年度下期に収束し、2021年度に回復と仮定
(株)インソース サービス業 夏以降は緩やかに回復すると見込むものの、当下期まで続くと仮定。
(株)ユーザベース 情報・通信業 IMF(国際通貨基金)の2020年4月時点での「世界経済見通し(WEO)」等を参照し、2020年後半にパンデミックが収束し、2021年には政策支援もあって経済活動が正常化し、経済状況は改善に向かうであろうという仮定を採用
スター精密(株) 機械 当連結会計年度中は続くことを想定。
翌連結会計年度より新型コロナウイルスの感染拡大前の状況に戻るとの仮定。
(株)HANATOUR JAPAN サービス業 このような状況が2020年度を通じて継続することを想定。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は遅くとも2021年度には解消。

新型コロナウイルスが完全に消滅することはなく、共生せざるをえない現実を踏まえると、何をもって「収束」というのか、その定義は明確でない。辞書を開くと、「収束」とは「分裂・混乱していたものが、まとまって収まりがつくこと」とあり、ウイルスが完全に消滅することを意味するわけではないことがわかる。

ワクチンが開発され、相当程度世界中に行き渡る時期を収束時期とすることが最も合理性があると言えるかもしれないが、その時期は現時点では誰にもわからない。また、高温多湿になる夏にはウイルスの活動が弱まるとの説がある一方で、秋には第二波がやってくるとの予想もある。

このような状況の中では、緊急事態宣言が全面解除された5月25日を目安とするなど、政府の公式発表に基づき収束時期と判断することにも一定の合理性がありそうだ。日本公認会計士協会が公表している「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その2)」(5ページ「(2)会計上の見積りの合理性の検討」)によると、監査人は「その仮定が『明らかに不合理である場合』に該当しないことを確かめる」こととされ、「明らかに不合理」であるかどうかの判断基準は「過度に楽観的又は過度に悲観的か」に置かれている(2020年4月15日のニュース『コロナ渦中の会計上の見積り 「仮定の合理性」の解釈に注意』参照)。この点からも、緊急事態宣言の全面解除日を目安に収束時期を仮定することは許容範囲内と言えよう。

2020/05/29 【2020年6月の課題】リモートワーク導入に伴い検討すべき点(法的問題以外)と対処法

2020年6月の課題

2020年4月の「今月の課題」では、リモートワーク(在宅勤務等)の法的問題を取り上げましたが、実際にリモートワークを導入することとなった場合、例えばどのような機器・ツールが必要になるのか、リモートワーク導入にあたってはコンサルタントは入れるべきか、リモートワークの対象とする職種、リモートワーク下における人事評価、リモートワークに要した費用の負担、社員の出社頻度が減ったことに伴うオフィスのあり方など、検討すべきことは山積しています。
このようにリモートワークの導入に伴い自社で生じ得る論点とそれに対する対処法について考えてみてください。

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

模範解答を見る
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2020/05/29 2020年5月度チェックテスト

解答をご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

【問題1】

定款で配当基準日を定めている企業が、定款で定めた配当基準日とは別の日を基準日として配当しようとすると、定款そのものを変更するしか方法はない。


正しい
間違い
【問題2】

定時株主総会の招集の通知に際して書面により株主に提供することが求められていた貸借対照表や損益計算書についても、一定の条件の下、所定の期間、継続してインターネット上のウェブサイトに掲載し、そのURLを株主に通知すれば、株主に提供されたものとみなされることとなった。


正しい
間違い
【問題3】

ISSは、決算業務や監査業務が期限に間に合わないことから定時株主総会の継続会の開催を選択した企業については、配当(剰余金処分)議案、役員報酬議案、監査人選任議案のいずれについても「棄権」を推奨するとしている。


正しい
間違い
【問題4】

会計上の見積りに用いた仮定に「重要性」がある場合には、当該仮定を有価証券報告書の財務諸表注記の「追加情報」に開示しなければならない。


正しい
間違い
【問題5】

2020年3月決算会社の大半が定時株主総会の「継続会」を開催する見込みである。


正しい
間違い
【問題6】

企業にとっては、臨時株主総会よりも継続会の方が開催に伴う負担は小さい。


正しい
間違い
【問題7】

ISSの2020年版の助言基準では、「資本生産性が低く(過去5期平均の自己資本利益率[ROE]が 5%を下回り)かつ改善傾向にない場合、経営トップである取締役の選任議案に反対助言する」とされているが、ISSは、コロナ禍を踏まえて、この助言基準を6月1日以降は適用しない(反対助言しない)ことを明示している。


正しい
間違い
【問題8】

新型コロナウイルスの感染防止のため、株主に来場を控えるよう呼びかける上場会社は多いが、さらに踏み込んで、株主総会を「当社役員のみ」で開催することとし、招集通知で株主に「当社株主総会へはご来場されないよう」依頼した上場会社もある。


正しい
間違い
【問題9】

新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象については、有価証券報告書の財務情報である追加情報において「会計上の見積りに用いた仮定」を具体的に開示すれば、非財務情報の「事業等のリスク」や「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」では新型コロナウイルス感染症関連の開示は特段不要とされている。


正しい
間違い
【問題10】

業績予想を見込むことができない上場企業は、決算短信では「未定」と開示せざるを得ないが、それによりTOB(株式公開買付け)を仕掛けられるリスクは高まる。


正しい
間違い