2019/07/22 金融庁企画市場局・審議官ご登壇「2019年6月有価証券報告書における「役員の報酬等」の開示状況」に関するセミナーが開催されます。

本セミナーはすでに開催済みです。

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開示府令の改正により内容の大幅な充実が求められることとなった有価証券報告書(2019年6月提出分)の「役員の報酬等」の開示状況に関するセミナーが開催されます。
改正開示府令の立案を進められた金融庁企画市場局・審議官もご登壇する必見のセミナーです。

ウイリス・タワーズワトソン様のご厚意により、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員の方は本セミナーにご参加いただくことができます(無料)。詳細およびお申し込み方法は、下記をご参照ください。

○ 経営者報酬セミナー – 2019年6月有価証券報告書における「役員の報酬等」の開示状況 –

日 時 2019年7月29日(月)13:30-16:00 (13:00受付開始)
会 場 イイノホール(霞ヶ関駅直結)
費 用 無料 ※事前のお申込みが必要です。
講 演 内 容 ■コーポレートガバナンス改革と役員報酬の開示
<ゲストスピーカー> 金融庁企画市場局審議官古澤知之氏
*2019年7月5日より証券取引等監視委員会事務局長
■ 2019年6月有価証券報告書における開示状況とベストプラクティスの紹介
■ ステークホルダーの信頼を高める開示実務の更なる進展に向けて
詳細・
お申し込みウェブサイト
経営者報酬セミナー開催のご案内
■お申込みはこちら

※原則1社2名様までのご参加とさせて頂きます。
※定員になり次第受付終了となります。

2019/07/19 “スーパー新人”を受け入れる企業文化

新卒一括採用・年功序列のレールに乗ってきた古株の社員にとって、新入社員は“まだ右も左も分からない若者”に見えるかもしれない。しかし、最近はその新入社員にいきなり高額の年収を支払う企業が相次いでいることは周知のとおりだ。

ソニーは人工知能などの領域で高い能力を持つ新入社員に年収最大730万円、NECは研究職を対象に年収1千万円超、ファーストリテイリングは入社後最短3年で年収最大3千万円(欧米勤務の場合)となる給与制度を導入し、くら寿司は「26歳以下」を対象に、年収1千万円の幹部候補生を採用する。ファーストリテイリング同様、くら寿司も海外の店舗拡大に対応できる人材を想定している。くら寿司の社員の平均年収は450万円であることからすると、26歳以下で年収1千万円の年収は破格と言える。

若手社員に高給を提示する企業が相次いでいる背景には・・・

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2019/07/19 “スーパー新人”を受け入れる企業文化(会員限定)

新卒一括採用・年功序列のレールに乗ってきた古株の社員にとって、新入社員は“まだ右も左も分からない若者”に見えるかもしれない。しかし、最近はその新入社員にいきなり高額の年収を支払う企業が相次いでいることは周知のとおりだ。

ソニーは人工知能などの領域で高い能力を持つ新入社員に年収最大730万円、NECは研究職を対象に年収1千万円超、ファーストリテイリングは入社後最短3年で年収最大3千万円(欧米勤務の場合)となる給与制度を導入し、くら寿司は「26歳以下」を対象に、年収1千万円の幹部候補生を採用する。ファーストリテイリング同様、くら寿司も海外の店舗拡大に対応できる人材を想定している。くら寿司の社員の平均年収は450万円であることからすると、26歳以下で年収1千万円の年収は破格と言える。

若手社員に高給を提示する企業が相次いでいる背景には、優秀な学生が伝統的な日本の大企業を就職先に選ばなくなってきているということがある。最も優秀な層は、かつては理系出身者を中心に学生の人気の的だった大手メーカー等よりもGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)といった外資系IT企業のほか、コンサルティング会社、ベンチャー企業などを選択するケースが増えている。こうした企業は実力次第で高い給与が得られる可能性があるということに加え、若手社員の裁量が大きく、短期間で様々なことを経験し成長できるということも、優秀な学生には魅力的に映っているようだ。彼らはこうした企業に就職することを自らのキャリア形成におけるファーストステップと位置付けていることも多く(特にコンサルティング会社に就職する場合)、機を見て転職や起業など、次のステップへと進んでいく。日本の大手企業で大規模なリストラが行われることも珍しくなくなっているように、日本企業が社員の将来のキャリアに責任が持てなくなってきていることを若者は敏感に感じ取っており、キャリア形成に(企業任せにするのではなく)自分で責任を持とうとしている(持たざるを得ない)。逆に言えば、彼らにとって、人事ローテーション・年功序列を維持する伝統的な日本企業で働くことは、自らのキャリア形成においてリスクと捉えられているという現実を日本企業の経営陣は認識しなければならないだろう。

事業のICT化とグローバル化が急速に進展する中、多くの業種で、企業のイノーベーションや成長が特定の個人の能力に大きく依拠する時代になっている。そのような中で、企業にとっては、従来のように社員間の平等性を保つことよりも、優秀な個人を確保することの方が重要度が高くなっていると言えよう。上述したような優秀な若手を厚遇で迎える日本企業の採用戦略の転換は、海外企業との競争を考えれば遅きに失した感はあるが、今後急速に広がっていくことが予想される。中高年の社員にとっては、自分よりも年収がはるかに高い新入社員と一緒に働くということが珍しくなくなる時代が早晩訪れるだろう。そのような時代に備え、これまで年功序列を維持してきた日本企業においては、年齢に関係なく個人の能力をリスペクトするような企業文化の醸成も重要となる。年功序列はパワハラの一因になっているとの指摘も少なくない。年齢よりも能力をリスペクトする企業文化は、パワハラの防止にも一役買うことになりそうだ。

2019/07/18 ESG投資を呼び込むための視点とKPI

ESG投資の拡大に伴い、上場企業にはESG投資をより呼び込むための取り組みが不可欠となってきている(ESG投資の活発化に関する直近のニュースとしては2019年5月17日のニュース「機関投資家と温度差も 上場企業が選んだESG活動の主要テーマ」や2019年7月11日のニュース「GPIFによるESG活動の行方」を参照)。ESGは、「E」(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」それぞれ別モノとし捉えられがちだが・・・

ESG投資:ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。ESG投資とは文字通り「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資することをいう。

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2019/07/18 ESG投資を呼び込むための視点とKPI(会員限定)

ESG投資の拡大に伴い、上場企業にはESG投資をより呼び込むための取り組みが不可欠となってきている(ESG投資の活発化に関する直近のニュースとしては2019年5月17日のニュース「機関投資家と温度差も 上場企業が選んだESG活動の主要テーマ」や2019年7月11日のニュース「GPIFによるESG活動の行方」を参照)。ESGは、「E」(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」それぞれ別モノとし捉えられがちだが 、このうちE(環境)とG(ガバナンス)の相関関係を示しているのが、環境省に設置された環境サステナブル企業評価検討会(座長:北川 哲雄 青山学院大学大学院国際マネジメント研究科 教授)が2019年7月8日に公表した『「環境サステナブル企業」についての評価軸と評価の視点』(以下、環境サステナブル企業評価軸)だ。これは、環境要素を企業経営等に戦略的に取り込んでいる「環境サステナブル企業」を投資家が評価するにあたって参考となる評価軸と評価の視点をとりまとめたもの。もともとは投資家のための評価軸だが、企業にとってもESG投資を呼び込むために活用可能な情報が詰まっている。

ESG投資:ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。ESG投資とは文字通り「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資することをいう。

環境サステナブル企業:環境に関連する重要な機会とリスクを企業価値向上につなげるべく経営戦略に取り込み、企業価値を向上させるとともに環境にもポジティブな効果を生み出している企業のこと

環境サステナブル企業評価軸の中でも特に注目されるのが、E(環境)とG(ガバナンス)の関係だ。環境サステナブル企業評価軸においては、ガバナンスは「環境課題への取り組みを支える土台」として位置付けられている(環境サステナブル企業評価軸の4ページの下の図表1を参照)。環境サステナブル企業評価軸のガバナンスに関する箇所を抜き出したのが下表(評価軸と評価の視点の列)である。当フォーラムが視点ごとの留意点を右列に記載している。

評価軸 評価の視点 留意点
長期的な価値創造の観点での重要環境課題に関するガバナンス 経営理念や企業ミッション等から、環境の持続可能性への貢献を志向していることや、環境を事業存続の基盤として想定していることが読み取れるなど、企業のあるべき姿を示したステートメントに環境の重要性に対する認識が含まれている。 企業が「環境の重要性に対する認識」を有しているだけでは不十分。それが投資家に伝わらなくてはESG投資を呼び込むことにはつながらない。経営理念や統合報告、CSR/サステナビリティ/環境報告書などを通じて、環境の重要性に対する自社の認識を強調する必要がある。
企業トップが、中長期的な企業の価値向上に向けた取り組みの一環として、環境課題への対応に強いコミットメントを示している。(参考情報例:統合報告のトップメッセージでの環境課題に対する言及の有無・多寡、環境課題に対する取組みに関する意気込みが統合報告と環境関連報告書とで違わないか 等) 環境関連報告書以外の報告書でも企業トップが環境課題への取組みに対する意気込みを語れているか、自社の統合報告等を再点検しておきたい。
取締役会が、企業における中核的経営戦略を議論する際、環境課題を考慮している。(参考情報例:取締役会附属の環境関連諮問機関における第三者の関与有無、当該機関の議論の内容開示 等) 経営陣は経営戦略と環境課題がリンクしているかどうかを常に意識しておかなければならない。
取締役会や環境関連の諮問委員会の経験・知見が開示されている。それらは環境関連の課題に対応する能力を有している。 ボードメンバーに環境関連の課題に対応するスキルを持つ者がいれば、スキル・マトリックスで示すべきである(スキル・マトリックスについては、2018年11月16日のニュース『スキル・マトリクス、「ガバナンス」の項目で開示する企業も』を参照)。
環境・持続可能性にも配慮しつつ、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る観点から、独立した立場で経営の監督等を行うことができる独立社外取締役がいる。 独立取締役の選任にあたり、環境関連の課題に対応する能力の有無も考慮すべきである。
取締役会や環境関連の諮問委員会が、企業の環境課題について報告を受けるプロセスと頻度が示されている。 企業の環境課題(KPIなど)についての取締役会への報告手続きが適切に整備され、確実に運用されている必要がある。
環境課題が経営戦略の中で検討されるための社内連携体制を有している(例:環境・CSR 部と、経営企画部や財務部、IR 等との連携)。 課題への取り組みだけでなく、開示の局面でも連携するようにしておきたい。
環境課題に対する取り組みの進捗や KPI を監視する責任の所在が明確にされている。
取締役の報酬に環境課題に関連する実績評価等が反映される。
環境課題への取り組みついては、口先だけのコミットにとどまらず、役員報酬にも反映させるべきである。
環境情報の開示 環境報告は、データ羅列でなく、経年比較や原単位を示すなど工夫が見られ、その情報の意味合い、重要性
が理解できる開示になっている。
環境報告でただデータを並べるだけではなく、利用者がより理解しやすいよう「見せ方」の工夫を模索すべきである。
環境情報の第三者保証を受けている。 第三者機関の利用は、費用対効果も勘案しつつも、積極的に検討すべきである。
環境情報は、自社単体に加え、主要取引先、出資事業、グループ内企業、関連企業などを網羅して提供され
ている。
開示範囲の拡大に積極的に取り組むべきである。
環境課題に関する投資家との対話 投資家を含むステークホルダーとの建設的な対話についての方針が開示されている。その方針に、重要環境課題に関する各ステークホルダーの懸念・関心への対応が含まれている。 コーポレートガバナンス・コード原則5-1に基づき、ほぼすべての上場企業が建設的な対話についての方針を定めて開示しているものの、「重要環境課題に関する各ステークホルダーの懸念・関心への対応」まで盛り込んでいる企業は少ない。
環境関連リスク・機会の管理プロセス 環境関連リスク・機会の管理プロセスの効果的な実施を可能にする以下のような仕組みを有している。
・環境関連リスク・機会を管理・モニタリングする体制(責任、役割)
・環境関連法規の遵守計画
・環境影響を管理するためのルールや手順、およびそれらに関する教育訓練の定期的な実施
・環境への悪影響を予防し最小化するためのデューデリジェンスに関する方針(デューデリジェンスを実施する基準や確認項目など)
・製品ライフサイクル評価、環境影響を最小化する製品設計ポリシー
・国際的に認められた環境認証の取得や基準への準拠、イニシアチブ参加(ISO14001 の取得など)
・内部監査の実施
・サプライヤー監査の実施
・事故予防や緊急事態管理に関するルールや手順、およびそれらに関する教育訓練の定期的な実施
未導入の仕組みがあれば積極的に導入を図るべきである。

KPI:定量的に示される重要業績評価指標(Key Performance Indicators=KPI)のこと。KPIの例としては「新規顧客の獲得数」「従業員1人あたりの経費」「総資産額」などがある。

第三者保証:温室効果ガスの排出量等の記載内容が環境関連法令等に準拠した基準に従って算定され、開示されているかどうかについて、第三者である専門家がエビデンスに基づき保証すること。

ガバナンスにかかわる評価軸だけでもこれだけ様々な視点が示されており、これを読むと、E(環境)を改善するためには、必然的にG(ガバナンス)にも改善の余地があることが分かる。

また、環境サステナブル企業評価軸では、企業のビジネスにとって重要となる環境課題ごとに、KPIの項目例も示されている。まだ環境関連のKPIを設定できていない企業は是非とも参考にしたいところだ。

企業にとっての環境課題 KPI 項目例
気候変動 GHG排出量(スコープ 1):総量、原単位、排出源や生産活動別の内訳など
GHG 排出量(スコープ 2):総量、原単位、排出源や生産活動別の内訳など
GHG 排出量(スコープ 3):総量、原単位、排出源や生産活動別の内訳など
エネルギー・燃料消費量/生産量:総量、原単位、再生可能エネルギー・燃料の割合、自家発電量など
エネルギー資源の調達:石油・石炭等の生産量、生産能力、推定埋蔵量、資源利用の効率化・削減など
低炭素製品・サービス収益:クリーン技術、再生可能エネルギー、グリーンビルディングなど当該製品等の売上高割合
低炭素投資(研究開発、設備投資、事業投資):クリーン技術、再生可能エネルギー、グリーンビルディングなど当該活動への投資/支出割合
水資源 取水量:総量、原単位、水ストレスのある地域での取水量など
排水量:総量(+放出先別、処理方法別など)、原単位など
水消費量:総量、原単位、水ストレスのある地域での消費量など
節水に関する取組(水リサイクル・再利用等):総量、リサイクル率など
水資源保全等の関連製品・サービス収益:当該製品等000000000の売上高割合
水リスクに係るコスト/投資(節水機器導入など)の割合
生物多様性 バリューチェーンにおける生物多様性・土地利用に関するリスクと評価
生物資源の調達:生産効率、採取の制限・管理、ABS等の関連法制度の遵守
資源循環 廃棄物量、及び廃棄物の管理、処理、処分:包装材、家電、鉱業など
鉱物資源の調達:生産量、生産能力、推定埋蔵量、資源利用の効率化・削減など
リサイクル可能あるいは持続可能な原料の使用(総量、原単位など)
製品リサイクル・再利用の取組(使用済み商品の回収・リサイクルなど)
化学物質・汚染予防 大気汚染に関するリスクと管理(有害物質【SOxNOxVOCなど】の排出量など)
水質汚染に関するリスクと管理(有害物質【水銀など】の排出量、流出、使用量、BODCODなど)
土壌汚染に関するリスクと管理(有害物質の流出、使用量など)
汚染対策コスト(排水・浄化処理、低排出設備の導入、代替品の導入など)
汚染防止技術・サービス収益:売上高等

GHG:温室効果ガス(Greenhouse Gasの略)

スコープ 1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

スコープ 2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

スコープ 3:事業者の活動に関連する他社の排出(スコープ1・2以外の間接排出)

グリーンビルディング:環境性能が高い建物のこと

水ストレス:水需給が逼迫している程度を表す指標

ABS:遺伝資源の利用から生じた利益の公正で衡平な配分。Access to genetic resources and Benefit Sharingの略。

SOx:硫黄酸化物

NOx:窒素酸化物

VOC:揮発性有機化合物

BOD:生物化学的酸素消費量

COD:化学的酸素要求量

2019/07/17 【特集】個人情報・個人データ保護規制を巡る国際動向
~世界はEUの“GDPRモデル”に収れんするのか~(3・会員限定)

4.今後の動向

一方で、米国では、フェイスブック事件以降、プライバシー保護への意識が非常に高まっていることもあり、事業者としては、個人情報漏洩等による炎上リスクに備え、適切なセキュリティ措置を講じるなどの備えを行っておく必要がある。また、今後、カリフォルニア州以外でも異なった個人情報保護法制が導入される可能性があり、州ごとに異なる個人情報保護の仕組みを導入することが必要になることも想定される。米国で事業を行う事業者にとっては、その動向を注視する必要があろう。

実際、こうした州単位の個人情報保護法制制定の動きは広がりを見せており、ワシントンDC等でも法整備が進められている。さらに、州単位のみではなく、連邦法でも個人情報補保護法制を整備する動きがある。こうした米国の動きが国際的なデータを巡るルール形成にも影響を及ぼし、個人情報・個人データ「保護」の動き(欧州の“GDPR型化”)が加速化する可能性もある。

上述のとおり、個人情報のアクセス権の形式1つとっても、GDPRはデータポータビリティ権(上記「EUの動向」参照)という個人データに対する個人の権利を厳格に規律しているのに対し、カリフォルニアや日本では、個人の権利を重要視しつつも、企業の実務の実行可能性にも配慮した内容であることが分かる。国際的なルール形成という観点から考えると、しばらくは厳格なEUの“GDPR型”の規律と、個人の権利の保護と個人情報・データ活用の両面を重視する“米国型(日本型)”の規律が併存することになるだろう。中国による“国家管理型”のデータローカライゼーションモデルも含めて、どのモデルがグローバルスタンダードになっていくのか、日本企業としては個人情報・個人データを巡る国際動向を注視していく必要がある。

データローカライゼーション : ICTサービスの提供に用いられるサーバー設備等の国内設置を求める規制のこと。ここ数年来、特に新興国を中心に拡大しつつある。具体的には、ある国において(あるいは外国から当該国を対象に)特定の事業活動を営む場合には、当該事業活動に必要なサーバーやデータ自体の国内設置・保存が求められる。データローカライゼーション規制の下では、本人の同意により個人データを海外に移転(越境移転)することはできず、データの越境移転にあたっては政府の許可等が必要となることが多い。

2019/07/17 【特集】個人情報・個人データ保護規制を巡る国際動向
~世界はEUの“GDPRモデル”に収れんするのか~(2・会員限定)

2.EUの動向

まずEUは、個人が自身に帰属する情報やデータをコントロールすることは「人権」であるとの基本的な考え方のもと、個人情報・データの越境移転の原則禁止やデータポータビリティ規定()、高額な課徴金等、厳格な個人データ保護を定めた「一般データ保護規則(GDPR=General Data Protection Regulation)」を策定。これをグローバルスタンダードにしようと普及活動を展開している。

 欧州の一般データ保護規則(GDPR)」では、「データポータビリティ権」して、(1)自らの個人データを、機械可読性のある形式で取り戻す権利、(2)技術的に可能な場合には、自らの個人データを、ある管理者から別の管理者に直接的に移行させる権利-が認められている(詳細は2019年5月20日のニュース「個人データの消去“義務化”も 企業側は強い懸念示す」参照)。

機械可読性 : コンピューターにより文書構造が認識できること。機械可読性に配慮した文書(例えばXML(Extensible Markup Language=拡張可能なマークアップ言語)により作成された文書)はインターネットで検索されやすく、それゆえ流通しやすい。文書流通がインターネットを中心とするようになり、機械可読性を高めた文書の重要性が増してきている。

EUがGDPRを策定したのは、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に対抗するために他ならない。GAFAがEU市民の個人データを吸い上げて不当に利益をあげているとの問題意識から、GDPRにより個人データの保護を厳格化し、企業が個人のコントロールの及ばないところで個人データを利用できないようにしたという経緯がある。

3.米国の動向

米国の状況はどうか。米国には、日本の個人情報保護法やEUのGDPRに当たる個人情報保護を統一的に規律した連邦法がなく、個人データの利用には比較的寛容であった。こうした環境がGAFAのビジネスを支えていたとも言われる。しかし、2018年に発覚したフェイスブックの個人情報流出や、それに伴うケンブリッジ・アナリティカ事件等の発生、プライバシー保護の世界的な潮流の中、米国国内ではプライバシー保護のルール作りが加速しており、州ごとにプライバシー保護法制が作られる傾向にある。最も先進的な取り組みが、カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA=(The California Consumer Privacy Act of 2018)である。

ケンブリッジ・アナリティカ事件 : ケンブリッジ・アナリティカ社とは、かつて米国と英国に拠点を置いていたデータ分析を得意とする選挙コンサルティング会社である。同社は、2016年6月に実施された英国の欧州連合離脱是非を問う国民投票や、2016年11月に実施されたトランプ大統領が誕生した米国大統領選挙において、いずれも勝者側が利用したとして注目されたが、フェイスブックの個人情報流出問題で情報の不正取得が疑われた結果顧客離れが止まらず、2018年5月に破産手続きを申請し、全ての業務を停止した。

CCPAは2018年に制定され、2020年1月に適用が開始される予定となっている。具体的な内容は下記のとおり。

(個人による個人情報の開示請求権)
日本の個人情報保護法では、紙媒体(郵送)による個人の開示請求権を認めている。現在進行中の個人情報保護法の見直しにより、今後は紙媒体のみならず電子媒体による本人への開示が認められる(開示請求権については2019年5月20日のニュース「個人データの消去“義務化”も 企業側は強い懸念示す」の■データポータビリティ権 参照)。

CCPAも紙媒体・電子媒体での開示が認められる点は同様だが、特徴的な点として、個人の権利乱用防止、企業実務の実行可能性を考慮して、個人の開示請求権の行使は「1年に2回まで」とされている。カリフォルニア州で事業を展開する日本企業としては、日本の個人情報保護法とほぼ同様のコンプライアンス体制を整えておけば問題ないだろう。

(削除請求権)
日本の個人情報保護法で個人情報の削除請求が認められるのは、個人情報の目的外利用が行われた場合や、個人情報の訂正を要する場合等、限定的なケースにとどまっている。一方、EUのGDPRでは個人の削除請求権が広範に認められている(削除請求権については2019年5月20日のニュース「個人データの消去“義務化”も 企業側は強い懸念示す」の■利用停止権・消去権(忘れられる権利)参照)。

CCPAも個人の削除請求権を認めているが、消費者と企業間の取引や契約における企業の履行義務を妨げるような削除請求権を認めない等、合理的な範囲で相当程度の例外措置を設けている。削除請求権の例外措置は十分確認しておく必要があるが、総じて企業・消費者間の通常の取引に大きな影響を及ぼす内容ではないと言えよう。

(プライバシーポリシー)
CCPAでは、個人情報の取得・売却等の詳しい情報を、プライバシーポリシーとして開示することを求めている。しかも、「12か月に1度」は必ず更新しなければならないという更新義務を課している点、注意が必要だ。

またCCPAでは、個人が事業者による個人情報の売却を停止させる「オプトアウト」の権利が認められており、事業者のウェブサイトのトップページで「Do Not Sell My Information」と題して注意喚起を行うことを求めるなど、事業者の義務を細かく規定している。実務上は留意が必要だろう。

オプトアウト : 個人情報・データの第三者への提供を、個人の求めに応じて停止すること。

(CCPA違反)
事業者がCCPAに違反した場合にとられる措置は以下の2つに分かれる。

1つ目は行政措置であり、CCPAに違反した場合、「2,500ドル以下(意図的な場合は7,500ドル以下)」の制裁金が課せられる可能性がある。

2つ目は被害を受けた消費者による民事訴訟である。事業者が合理的なセキュリティ措置等をとらなかった結果、暗号化等がされていない個人情報が流出(不正アクセス、抽出、盗難、開示)した場合、1回の流出事案につき「100ドル~750ドル/1人」の法定損害賠償額と実損のいずれか大きい額の賠償金が命じられる。

なお、これらの制裁は、事業者が30日以内に是正措置が講じれば、免除されることになる。

CCPAは、日本企業を含め海外事業者であってもカリフォルニア州でビジネスを行う場合には適用されることになるが、法律の中身そのものは、日本の個人情報保護法と大差はなく、制裁金額もGDPRほど多額ではない。過度に恐れる必要はないと言えるだろう。

4.今後の動向(会員限定)

2019/07/17 【特集】個人情報・個人データ保護規制を巡る国際動向
~世界はEUの“GDPRモデル”に収れんするのか~

1.はじめに

2015年に施行された改正個人情報保護法の附則12条には、改正法施行後「3年ごと」に同法を見直すことが規定されていることから、内閣府の外局である 個人情報保護委員会では現在、来年2020年の個人情報保護法改正に向け、同法の見直し作業が進められている(2019年5月14日のニュース「個人情報保護法改正 課徴金導入・罰金引上げ&漏えい報告義務化の行方」、2019年5月20日のニュース「個人データの消去“義務化”も 企業側は強い懸念示す」参照)。

個人情報保護委員会 : 内閣府の外局として、内閣総理大臣が所轄する行政委員会。個人情報保護委員会には調査、監督権限が認められており、同委員会の命令違反には罰則が科される。個人情報保護法に基づき、2016年1月1日に設置された。

個人情報や個人データがビジネスの重要な源泉であるという認識は日本以外の国々でも同様であり、各国でこれらに関する規律を巡る議論が活発に行われている。個人情報・個人データを巡るグローバルなルール形成が、米中を中心とする国際的な覇権争いの主戦場になっていると言っても過言ではない。

本特集では、個人情報・個人データを巡る国際的なルール形成の最新動向をお伝えする。

2.EUの動向

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2019/07/16 2019年6月株主総会 賛成率40%超の株主提案が15議案

2019年6月株主総会では株主提案議案が相次いだが、上場会社役員ガバナンスフォーラムが各社の臨時報告書を確認したところ、下表のとおり15議案が40%超という高い賛成率となっていたことが分かった(低賛成率の会社提案議案については7月8日のニュース「速報・2019年6月株主総会 取締役選任議案が2件否決」参照)。・・・

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