2018/11/23 【WEBセミナー】近時の事例から得られる不祥事防止のポイントと
不祥事発生時の対応(会員限定)

概略

【セミナー開催日】2018年11月20日(火)

検査データ改ざん、不適切融資、料金の過大請求等々、ここ最近、大手名門企業での不祥事が相次いで明るみに出ています。外部に出ていないものも含めれば、上場企業で発生する不祥事は毎年相当数に上るものと思われます。世間を騒がす大型の企業不祥事が発生するたびに不祥事防止のための“ケーススタディ”が積み上げられているにもかかわらず新たな不祥事が続々と発生するという事実は、企業が現在講じている不祥事防止策にも見直し・改善の余地があることを示唆しているものと考えられます。
本セミナーでは、訴訟紛争処理や不祥事対応を得意とするTMI総合法律事務所 パートナーの田代啓史郎弁護士をお招きし、最近の不祥事事例に基づき、どのような不祥事防止策が効果的なのかを解説していただきます。また、万が一不祥事が発生してしまった場合、その後の裁判等において、いかにして自社に不利な事態を回避し、回復困難な損害が生じないようにするか、不祥事発生後の情報コントロールや証拠となり得る資料の管理など、不祥事発生後の対応についても最近の事案を踏まえて解説していただきます。これらの解説の中では、海外子会社も対象にした内部通報制度や今年(2018年)6月1日から施行された改正刑事訴訟法により実現した司法取引の活用についても取り上げていただきます。

【講師】TMI総合法律事務所
パートナー 弁護士 田代 啓史郎(たしろ けいしろう) 様

セミナー資料 近時の事例から得られる不祥事防止のポイントと不祥事発生時の対応.pdf(360KB)
セミナー動画
(1) 近年の不祥事事例と企業に及ぼし得る影響

(2) 不祥事発生時の対応のポイント

(3) 不祥事発生時の情報コントロール

(4) 不祥事防止のための措置

(5) 質問
本Webセミナーを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を下の右側の「感想の登録」ボタンを押してください。マイ研修レポートの所感等記入欄の書き直しもこちらからどうぞ。

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2018/11/23 【WEBセミナー】サイボウズ社の働き方改革(会員限定)

概略

【セミナー開催日】2018年11月20日(火)

2018年6月29日に国会で成立した働き方改革関連法の施行が2019年4月1日に迫る中、上場企業各社にとって働き方改革は喫緊の経営課題となっていますが、いまだ自社の働き方改革については模索中というところも多いようです。
本セミナーでは、在宅勤務や副業の許可、選択型人事制度、さらに選択した働き方とは異なる働き方を単発することを認める“ウルトラワーク”の導入など先進的でユニークな働き方改革をいち早く打ち出し続け、一時期は3割近くあった高い離職率を4%程度にまで抑えることに成功したサイボウズ株式会社で執行役員を務める関根紀子様をお招きし、これまで同社が実施してきた働き方改革とその効果、社員の反応、今後の計画、働き方改革を進める上での同社のポリシーなどについて語っていただきます。これから働き方改革を進めようという企業にとって参考になるお話が聞けるはずです。

【講師】サイボウズ株式会社
執行役員 関根 紀子(せきね のりこ) 様

セミナー資料 サイボウズ社の働き方改革.pdf(1.96MB)
セミナー動画
(1) 自己紹介~

(2) 企業理念~

(3) 子連れ出勤風景~

(4) 副業の自由化~

(5) 在宅勤務~
本Webセミナーを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を下の右側の「感想の登録」ボタンを押してください。マイ研修レポートの所感等記入欄の書き直しもこちらからどうぞ。

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2018/11/22 SDGsに関する報道を増加させる枠組みが発足

委託運用機関に対し「SDGs」をESG投資(ESG優れた企業に投資すること)の一要素として考慮するよう求めるGPIF(GPIFのウェブサイト「ESG投資とSDGsのつながり」参照) が最近新たなESG指数「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」を選定、新指数に基づく投資対象が東証1部上場企業の約8割にのぼるなど(2018年10月9日のニュース「東証1部上場企業の8割がESG投資の対象に」参照)、SDGsへの取り組みが上場企業各社の株価に影響を及ぼす時代が本格的に到来しようとしている。また、今後はESGやSDGsに関する経営者の情報発信が企業イメージ、ひいては企業ブランドの形成にインパクトを与えることも考えられる(2018年9月25日 のニュース「ESGやSDGsが迫る社会問題に対する経営トップの対応」参照)。

SDGs : 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、「エスディージーズ」と読む。「人間、地球及び繁栄」のための行動計画として国連が掲げる世界共通の目標であり、17の目標と169のターゲットからなる。2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」において150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択され、2016年から2030年までの15年間での達成を目指している。
ESG : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。
GPIF : 年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)。厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う厚生労働省所管の独立行政法人。運用資産の規模が100兆円を優に超える世界最大の機関投資家である。

ところが、ESG指数対策という意味では単にSDGsに取り組むだけではなくそれを「開示」することが必須となるにもかかわらず、「SDGsが掲げる17の目標すべてを実践することはできない」という理由で開示を一切行っていない企業が少なくないという実態がある(2018年3月7日のニュース「多くの上場企業が誤解するSDGsへの対応」参照)ほか、ジェンダー差別(SDGsの目標5)などに対し積極的に批判の声を上げる欧米企業の経営者に比べると、SDGsに関する日本企業の経営者の情報発信は少ない。しかし、今後は・・・

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2018/11/22 SDGsに関する報道を増加させる枠組みが発足(会員限定)

委託運用機関に対し「SDGs」をESG投資(ESG優れた企業に投資すること)の一要素として考慮するよう求めるGPIF(GPIFのウェブサイト「ESG投資とSDGsのつながり」参照) が最近新たなESG指数「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」を選定、新指数に基づく投資対象が東証1部上場企業の約8割にのぼるなど(2018年10月9日のニュース「東証1部上場企業の8割がESG投資の対象に」参照)、SDGsへの取り組みが上場企業各社の株価に影響を及ぼす時代が本格的に到来しようとしている。また、今後はESGやSDGsに関する経営者の情報発信が企業イメージ、ひいては企業ブランドの形成にインパクトを与えることも考えられる(2018年9月25日 のニュース「ESGやSDGsが迫る社会問題に対する経営トップの対応」参照)。

SDGs : 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、「エスディージーズ」と読む。「人間、地球及び繁栄」のための行動計画として国連が掲げる世界共通の目標であり、17の目標と169のターゲットからなる。2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」において150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択され、2016年から2030年までの15年間での達成を目指している。
ESG : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。
GPIF : 年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)。厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う厚生労働省所管の独立行政法人。運用資産の規模が100兆円を優に超える世界最大の機関投資家である。

ところが、ESG指数対策という意味では単にSDGsに取り組むだけではなくそれを「開示」することが必須となるにもかかわらず、「SDGsが掲げる17の目標すべてを実践することはできない」という理由で開示を一切行っていない企業が少なくないという実態がある(2018年3月7日のニュース「多くの上場企業が誤解するSDGsへの対応」参照)ほか、ジェンダー差別(SDGsの目標5)などに対し積極的に批判の声を上げる欧米企業の経営者に比べると、SDGsに関する日本企業の経営者の情報発信は少ない。しかし、今後はメディア側からSDGsに積極的に取り組むようプレッシャーが高まる可能性がある。

SDGsの目標5 : ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る。

今年(2018年)9月23日には、国連がイニシアチブをとる形で、世界中の報道機関やエンターテイメント企業が参画する「SDGメディア・コンパクト」が発足している。SDGメディア・コンパクトとは、一言で言えばSDGsを実現するためにSDGs関連の報道を促進する枠組みであり、日本からは日本テレビ、朝日新聞、日刊工業新聞の3社が創設メンバーに名を連ねている。創設メンバーは日本のメディア3社を含めトータルで31企業・団体となっており、創設メンバーが発信する情報の受信者(視聴者や読者など)は4大陸・80か国にも及ぶという。

国連によると、SDGメディア・コンパクトに参加するメディア等は、国連の協力の下、SDGs関連コンテンツを共有し、SDGsを達成するうえで各国が直面する課題について報道していくことになるという。参加メディア等に対しては、国連により定期的なモニタリングやレビューが行われ、報道への取り組み等が検証される。この仕組みは、参加メディア等による積極的な報道を後押しすることになるだろう。国連は、SDGsの達成に向け、地域やプラットフォームを問わず、あらゆるメディア企業をSDGメディア・コンパクトに受け入れるとしており、今後、日本の他のメディアも参加する可能性がある。むしろ、SDGsに関する情報発信でライバルメディアに先行されないようにするには、参加せざるを得ないだろう。SDGsに関する報道の増加は、SDGsに対する企業の取り組みを加速させることになりそうだ。

2018/11/21 「従業員によるガバナンス」の有効性を示した日産事件

経営トップが関与する企業不祥事は防ぐのが難しいと言われる。その背景には、権限が集中する経営トップが意図的に不正をしようと思えば、大抵のことはできてしまうという現実がある。こうした中で、日産自動車のカリスマ経営者であるカルロス・ゴーン会長の金融商品取引法違反()による逮捕は、大型の企業不祥事が発生するたびにそのあり方が議論されてきたコーポレート・ガバナンスの観点からもエポックメイキングな出来事と言える。

 日産自動車の有価証券報告書(2018年3月期)では、ゴーン氏の役員報酬は次のように開示されている(【コーポレート・ガバナンスの状況】の④役員の報酬等より引用)。
40275
金融商品取引法上、上記の「報酬等」としては「報酬、賞与その他その職務執行の対価としてその会社から受ける財産上の利益であって、最近事業年度に係るもの及び最近事業年度において受け、又は受ける見込みの額が明らかとなったもの」を開示しなければならないこととされている(開示府令3号様式記載上の注意(37)で準用する2号様式56)a(d))。しかし日産自動車は、ゴーン会長に対する株価連動報酬といった「報酬」に加え、ゴーン会長への住宅の無償供与や家族旅行の経費負担等の「財産上の利益」があったにもかかわらず、これを開示していなかった模様。2018年11月19日付の同社のリリースではここまで詳細な説明はないものの、「開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたこと」を認めているほか、「カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為」があったことを明らかにしている。

本件をコーポレート・ガバナンスの観点から考えた場合に大きな意味を持つのが、・・・

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2018/11/21 「従業員によるガバナンス」の有効性を示した日産事件(会員限定)

経営トップが関与する企業不祥事は防ぐのが難しいと言われる。その背景には、権限が集中する経営トップが意図的に不正をしようと思えば、大抵のことはできてしまうという現実がある。こうした中で、日産自動車のカリスマ経営者であるカルロス・ゴーン会長の金融商品取引法違反()による逮捕は、大型の企業不祥事が発生するたびにそのあり方が議論されてきたコーポレート・ガバナンスの観点からもエポックメイキングな出来事と言える。

 日産自動車の有価証券報告書(2018年3月期)では、ゴーン氏の役員報酬は次のように開示されている(【コーポレート・ガバナンスの状況】の④役員の報酬等より引用)。
40275
金融商品取引法上、上記の「報酬等」としては「報酬、賞与その他その職務執行の対価としてその会社から受ける財産上の利益であって、最近事業年度に係るもの及び最近事業年度において受け、又は受ける見込みの額が明らかとなったもの」を開示しなければならないこととされている(開示府令3号様式記載上の注意(37)で準用する2号様式56)a(d))。しかし日産自動車は、ゴーン会長に対する株価連動報酬といった「報酬」に加え、ゴーン会長への住宅の無償供与や家族旅行の経費負担等の「財産上の利益」があったにもかかわらず、これを開示していなかった模様。2018年11月19日付の同社のリリースではここまで詳細な説明はないものの、「開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたこと」を認めているほか、「カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為」があったことを明らかにしている。

本件をコーポレート・ガバナンスの観点から考えた場合に大きな意味を持つのが、同社のリリース(上記参照)の冒頭にもあるように「内部通報」がゴーン会長の不正発覚の端緒になったということだ。

同社の有価証券報告書の【コーポレート・ガバナンスの状況】欄の「コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方」には、同社の内部通報制度に関して次のような記述がある。

ii) 取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
⑦内部通報制度を導入し、社内外に窓口を設置することにより、社員からの意見・質問・要望及びコンプライアンス違反の疑いのある行為等について直接当社マネジメントに伝えることを可能としている。

同社の内部通報制度は「SpeakUp(スピークアップ)」という名称で呼ばれており、従業員や関係者はSpeakUpを用いて、身許を開示せずに、内部通報の受付窓口にコンタクトし、情報を提供することが可能となっている(同社のサスティナビリティ・レポート2018の204ページを参照)。SpeakUpはグローバル企業らしく20言語以上に対応。さらに目を引くのがSpeakUpによる通報件数だ。2017年度にはグローバルで実に1,022件もの問題や質問が通報されている。そのうちコンプライアンス関連の通報は335件に上る。すなわち、ほぼ毎日のように世界中のどこかでコンプライアンスに関する通報があるということになる。この通報件数はセブンアンドアイホールディングスの845件(2016年度の通報件数。セブンアンドアイホールディングスのCSRレポート2017の11ページを参照)には及ばないものの、大手メーカーの中ではかなり多い方と言える。誤解されがちだが、通報件数の多さは決して“恥”ではない。むしろ、自社のコンプライアンスに関する社員教育が充実しており、内部通報の利用をためらわせない社風を醸成したことが通報件数の多さという成果をもたらしたものと評価されるべきである。

SpeakUp : 「声を上げる」という意味

今回のゴーン会長の逮捕劇は、内部通報制度が正しく設計され、かつ運用されていれば、社内の絶対的権力者にすら対峙できることを知らしめた点で大きな意味がある。一部専門家からは「本件をきっかけに、今後、内部通報制度が社内の人事抗争やクーデターの道具として使われるケースが増える可能性がある」との指摘もある。しかし、動機はどうであれ、内部通報により経営トップの不正が白日の下に晒され、それまで蓄積していた膿を出すことにつながるのであれば、たとえ一時的に株価が下がったとしても、長期的には企業価値は向上するはずであり、投資家にとっても歓迎すべきことだろう。また、経営陣の不正が糺(ただ)されることで、会社に対する従業員の満足度も向上することは間違いない。

独立社外取締役の増員をはじめとする一連のコーポレート・ガバナンス改革後も企業不祥事が後を絶たない中で、取締役会の議論に参加することが活動の中心とならざるを得ない社外取締役や社外監査役(以下、社外役員)が果たし得る役割の限界も指摘されている。この点、内部通報制度は社外役員の目が届かないところを補完する仕組みであり、社外役員の設置という形のガバナンス体制の整備が一段落した上場企業が次は取り組むべきは、内部通報制度を通じた「従業員によるガバナンス」の構築と言えそうだ。

2018/11/20 2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第二弾

2018年11月9日に掲載した「2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第一弾」に続き、第二回目となる今回は・・・

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2018/11/20 2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第二弾(会員限定)

2018年11月9日に掲載した「2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第一弾」に続き、第二回目となる今回はキーエンスを取り上げる。今回も、一橋大学・商学研究科の円谷昭一先生がまとめた「3月末日決算の全上場企業」に対する国内全機関投資家の「議決権行使結果の個別開示」結果のデータに基づき、株主総会上程議案に対する各運用機関の賛否状況を分析している。

下表のとおり、同社は2018年6月の定時株主総会で、剰余金処分案および9人の取締役選任と1名の補欠監査役選任(敬称略)を上程した。全議案の平均賛成率は90.3%で、最も低かったのは剰余金処分案の71.0%だった。

議案 内容(候補者など) 賛成率
剰余金処分 期末50円(年間100円) 71.0%
取締役の選任 滝崎武光 77.4%
取締役の選任 山本晃則 89.9%
取締役の選任 木村圭一 93.3%
取締役の選任 出野朋英 93.3%
取締役の選任 山口昭司 93.3%
取締役の選任 三木雅之 94.8%
取締役の選任 寒澤晃 93.2%
取締役の選任 藤本眞人 92.3%
取締役の選任 田辺陽一 95.5%
補欠監査役の選任 山本雅春 99.5%

同社の剰余金処分案に対しては、10社を大きく超える運用機関が反対した。2018年3月期における同社の配当性向は8.70%であり、自己株式取得も実施していないことから、総還元性向も同水準となる。これは投資家が望ましいと考える水準(例えば生命保険協会は、中長期の平準的な水準として配当性向30%以上を要望している。「平成29年度生命保険協会調査 株式価値向上に向けた取り組みについて」の35ページ参照)を大きく下回っていることが、反対票につながったものと見られる。

例えば明治安田アセットマネジメントは、望ましい配当性向や総還元性向を具体的に示している。これらを判断する際には財務状況(内部留保の蓄積が必要か否かなど)が勘案されることがあるが、キーエンスは自己資本比率が92.9%と極端なまでに財務の安全性が高いことが、同社の剰余金処分案への反対につながった可能性が高い。同様の議決権行使方針を示している事例としては、JPモルガン・アセット・マネジメントやニッセイアセットマネジメントが挙げられる。

明治安田
アセットマネジメント
1. 剰余金処分案等
利益処分案(損失処理案)には基本的に賛成するが、以下の基準に該当する場合には原則反対する。
中略
(1)配当性向20%未満
・ただし、当期利益が赤字の場合の有配・無配については、財務状況を勘案して判断することがある
・また、事業成長期待が高く、内部留保が望ましい場合は、賛成と判断する場合がある
以下略
JPモルガン・アセット・
マネジメント
1. 日本株式
議決権行使に関する具体的基準
剰余金処分・配当・自社株買い
前略
自己資本比率が50%以上あり、さらなる内部留保の蓄積を要しないにもかかわらず、当該年度に実施された自社株買い等を考慮しても総還元性向が50%を下回る剰余金処分案は原則として承認しない。
以下略
ニッセイアセットマネジメント
1.剰余金処分
<判断基準>
以下の基準に該当しない場合、原則、賛成します。
中略
(2)過大な金融資産を保有する企業
十分な内部留保(自己資本比率:50%以上)を有し、かつキャッシュ保有比率が高い(※)企業において、剰余金の50%以上を内部留保するため、総還元性向(配当+自社株買)が50%未満となる場合
(※)ネット金融資産(現預金+有価証券-利子負債)/総資産:20%以上かつ、ネット金融資産/売上高:30%以上
以下略

また、取締役選任議案で滝崎名誉会長が77.4%、山本社長が89.9%と賛成率が比較的低かったことにも、株主還元が低水準であること(および財務安定性(内部留保)が必要以上に高いこと)が影響しているとみられる。JPモルガン・アセット・マネジメントや日興アセットマネジメントは議決権行使ガイドラインに、取締役選任議案への賛否についても株主還元や資金運用の状況を勘案して判断することを明記している。ピクテ投信投資顧問が掲げる「株主の利益に反する行為」にも、低水準の株主還元が含まれていると考えられよう。

<議決権行使ガイドラインの例>
JPモルガン・アセット・
マネジメント
1. 日本株式
議決権行使に関する
具体的基準
取締役の選任
前略
再任の候補に関しては、在任期間、配当性向、業績の悪化・不振、反社会的行為・法令違反、株式の保有・持ち合い、ストック・オプション、買収防衛策、買収・合併等、増資、借入金、自社株買いに関する別項の基準に抵触する場合は否認する。
以下略
日興アセットマネジメント
各論
第12条(取締役および
社外取締役の選任)
2.経営に重大な責めがある場合、関与が認められる現取締役の再任議案には反対する。特に下記に関しては注視する。
(1) 重要な事項が株主の意思確認なしに決定・導入された場合
(2) 経営資源が効率的に運用されていないと考える場合
ピクテ投信投資顧問
III. 個別の議案に対する
議決権行使の考え方
取締役の選任
前略
取締役の選任議案については、長期にわたり資本効率が低く改善する見込みがないと考える場合や、株主の利益に反する行為または取締役としての資質に欠ける行為があった場合は、その選任議案については慎重に検討します。検討の結果、企業価値を毀損するという結論に達した場合は、原則として反対します。
以下略

もっとも、上述の事例のように、取締役の選任議案については、賛否を決する配当性向や総還元性向、自己資本比率等の数値基準を明確に示している、あるいはこれらがトップ選任議案に影響することを明言している運用機関は少数派である。

また、野村アセットマネジメントのように、定量基準はクリアしていても(キーエンスのROEは16.4%)、バスケット条項(下表の(3)参照)で剰余金処分議案に反対してくるケースもある。上場企業の経営陣としては、まずは投資家が上場企業に期待する株主還元とはどのようなものなのかを適切に認識することが必要だと言えよう(この点については、ケーススタディ「会社の成長ステージに応じて株主還元策を見直したい」参照)。

バスケット条項 : 法令や規則等で何かを規定する際に、該当する項目を具体的に列挙し切れない場合や、弾力的な運用の余地を残すため、「その他の〇〇」といった形で包括的に規定すること。包括条項とも言われる。

野村アセットマネジメント
日本企業に対する
議決権行使基準
6.剰余金処分
(1)剰余金処分に係わる議案については、直近2期連続で下記①、②及び③の全項目に該当し、かつ直近期のROEが8%未満の場合は、株主還元率が50%以上の場合を除き、原則として反対する。
中略
①株主資本比率>50%
②ネット金融資産/売上高>30%
③ネット金融資産/総資産>30%
中略
(3)その他、株主還元が著しく不十分と判断される場合には、剰余金処分案に反対する。

2018/11/19 強まる大手運用機関の影響力

昨年(2017年)のスチュワードシップ・コードの改訂により機関投資家による議決権行使結果の個別開示が開始されて以降、国内大手運用機関の反対率が議決権行使助言会社最大手のISSの反対推奨率(5.3%)を上回るなど厳しい議決権行使で存在感を増す国内運用機関だが(【特集】2018年6月総会・機関投資家の議決権行使結果分析 3.投資家別の反対率分析(役員選任議案)(1)社内取締役、2018年11月9日のニュース「2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第一弾」参照)、「規模」の面では海外の巨大運用機関には及ばないのが現状だ。・・・

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2018/11/19 強まる大手運用機関の影響力(会員限定)

昨年(2017年)のスチュワードシップ・コードの改訂により機関投資家による議決権行使結果の個別開示が開始されて以降、国内大手運用機関の反対率が議決権行使助言会社最大手のISSの反対推奨率(5.3%)を上回るなど厳しい議決権行使で存在感を増す国内運用機関だが(【特集】2018年6月総会・機関投資家の議決権行使結果分析 3.投資家別の反対率分析(役員選任議案)(1)社内取締役、2018年11月9日のニュース「2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第一弾」参照)、「規模」の面では海外の巨大運用機関には及ばないのが現状だ。

投資コンサルティング等も手掛けるWillis Towers Watson(英国)の調査(“The world’s largest 500 asset managers” Thinking Ahead Institute)によると、世界トップ500の運用機関の2017年末時点における預り資産残高は前年より15.6%増加し93兆8,000億ドルとなっている(リーマンショック(2008年)後の2009年以降で最高の伸び率)。日本の運用機関は、三井住友トラスト・ホールディングスの29 位(7,914億6,700万ドル)を筆頭に500位以内に18社がランクインしているが、日本の運用機関の預り資産残高の合計額は全体の4.81%に過ぎない。

このトップ500ランキングの大きな特徴と言えるのが、ランキング上位の運用機関の預り資産残高が圧倒的に大きくなっているという点だ。トップの米国ブラックロックの預り資産残高は6兆2,881億9,500万ドルと、日本トップの三井住友トラスト・ホールディングスの約8倍にも及ぶ。ブラックロックは2009年から9年連続してトップの座を維持しており、2位のバンガード・グループ、3位のステート・ストリート・グローバルも4年連続で同じ地位を占めている。ブラックロック以下、上位19位までの運用機関の預り資産残高は1兆億ドルを超えており、上位20位までの運用機関の預り資産残高はトップ500社の実に43.3%を占める。しかも、前年比で18.3%増と、上述した500社全体の伸び率(15.6%)を上回っている。これは、大手運用機関による寡占が進みつつあるということを示してる。上述のとおり日本の運用機関の預り資産残高の合計額は全体の4.81%となっているが、大手運用機関による寡占が進む一方で、リーマンショック前の2007年の6.37%から低下している。

昨年(2017年)は金融庁の森信親長官(当時)が日本証券アナリスト協会で行った講演 で日本の運用機関の規模の小ささへの懸念が示され、市場関係者の間で話題を呼んだが(2017年5月22日のニュース「英国では運用機関を“格付け” 日本企業に迫るシビアな議決権行使」参照)、今回のデータは、海外の巨大運用機関との差が縮まっていない(むしろ広がっている)ことを示している。

また、調査の対象となったトップ500の企業のうち81%が「サステナブル投資への顧客の関心が高まっている」と答えたほか、74%が「テクノロジーやビッグデータにリソースを配分している」と回答している。このように運用機関自身も大きな変革期にあり、今後、投資対象や手法の見直しを迫られる可能性もある。

サステナブル投資 : サステナブル投資(サステナブル(sustainable)とは「持続可能」を意味する)とは、経済、環境、社会の持続性に配慮した投資手法であり、具体的には、経済的なパフォーマンスに加え、ESG(環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance))に配慮して投資先を選定することと言える。

日本企業の経営陣としては、海外運用機関の影響力が益々強まっているという現状を認識しつつ、運用機関のスタンスの変化を対話等を通じて常にウォッチしていく必要があろう。