2018/11/10 【新任役員向けトレーニングプログラム】役員が知っておきたい主要会計基準の考え方(税効果会計Ⅰ)

概略

税効果会計は税引後利益に重要な影響を与えることから、役員としてはその計算の仕組みの概略を正しく理解しておく必要があります。本講義では法人税についての理解が十分でない役員を対象に、賞与引当金を例に税効果会計の仕組みを丁寧に解説します。

【講師】EY新日本有限責任監査法人 中谷 真久 公認会計士
【講義時間】24分38秒
【目次】
1 ある日の経営会議
2 税効果会計とは
3 経営に与える影響
4 まとめ

セミナー資料 役員が知っておきたい主要会計基準の考え方(税効果会計Ⅰ).pdf(1.53MB)
セミナー動画

役員が知っておきたい主要会計基準の考え方(税効果会計Ⅰ)
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2018/11/09 役員が知っておきたい主要会計基準の考え方(税効果会計Ⅰ)

概略

税効果会計は税引後利益に重要な影響を与えることから、役員としてはその計算の仕組みの概略を正しく理解しておく必要があります。本講義では法人税についての理解が十分でない役員を対象に、賞与引当金を例に税効果会計の仕組みを丁寧に解説します。

【講師】EY新日本有限責任監査法人 中谷 真久 公認会計士
【講義時間】24分38秒
【目次】
1 ある日の経営会議
2 税効果会計とは
3 経営に与える影響
4 まとめ

セミナー資料 役員が知っておきたい主要会計基準の考え方(税効果会計Ⅰ).pdf(1.53MB)
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役員が知っておきたい主要会計基準の考え方(税効果会計)

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2018/11/09 2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第一弾

主要な国内機関投資家による個別の議決権行使結果が出揃った。当フォーラムでは、一橋大学・商学研究科の円谷昭一先生がとりまとめた「3月末日決算の全上場企業」に対する国内全機関投資家の「議決権行使結果の個別開示」結果のデータに基づき、主要企業の株主総会上程議案に対する各投資家の賛否状況を分析する。第1回目は・・・

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2018/11/09 2018年3月末決算企業 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第一弾(会員限定)

主要な国内機関投資家による個別の議決権行使結果が出揃った。当フォーラムでは、一橋大学・商学研究科の円谷昭一先生がとりまとめた「3月末日決算の全上場企業」に対する国内全機関投資家の「議決権行使結果の個別開示」結果のデータに基づき、主要企業の株主総会上程議案に対する各投資家の賛否状況を分析する。第1回目はソニーを取り上げる。下表のとおり、同社は2018年6月の定時株主総会で、13人の取締役選任(敬称略)および1件のストックオプション発行を諮った。全議案の平均賛成率は96.9%で、最も低かったのはストックオプション議案の88.0%だった。

議案 内容(候補者など) 賛成率
取締役選任 吉田憲一郎 96.0%
取締役選任 平井一夫 98.0%
取締役選任 永山治 99.0%
取締役選任 原田泳幸 99.0%
取締役選任 ティム・シャーフ 99.0%
取締役選任 松永和夫 99.0%
取締役選任 宮田孝一 93.0%
取締役選任 ジョン・V・ルース 99.0%
取締役選任 桜井恵理子 99.0%
取締役選任 皆川邦仁 99.0%
取締役選任 隈修三 96.0%
取締役選任 ニコラス・ドナティエロ 99.0%
取締役選任 岡綾子 94.0%
ストックオプション 行使価格は市場価格 88.0%

ストックオプション議案に反対した機関投資家として、野村アセットマネジメント、日興アセットマネジメント、三井住友アセットマネジメント、りそな銀行、パインブリッジ・インベストメンツが確認された。同社のストックオプションは行使期間が割当日から1〜10年となっており、1年間で行使可能な点が中長期インセンティブとして問題視されたものと考えられる。機関投資家の議決権行使ガイドラインによっては、譲渡制限付株式などに限って行使期間の制限を定めているものがあるが(例えば三井住友アセットマネジメントの議決権行使ガイドライン。下表参照)、この制限からストックオプションを除外する合理的な理由はないため、同様の基準によって反対されたものと推測される。

譲渡制限付株式 : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬で、企業が株式を無償取得することとなる事由(没収事由:例えば所定の期間勤務を継続しない、目標の業績に未達など)が定められているものを指す。リストリクテッド・ストック(restricted stock)という呼称も定着している。

<議決権行使ガイドラインの例>
野村アセットマネジメント
(日本企業に対する議決権行使基準 ※表右段)
4.役員報酬
(3)会社株式(ストックオプションを含む。)を報酬として支給する議案については、以下の場合には原則として反対する。
②譲渡制限付株式を報酬として支給する議案であって、譲渡制限期間が3年未満の場合。
三井住友アセットマネジメント
13. ストックオプション、株式給付信託、特定譲渡制限付株式
株式給付信託あるいは特定譲渡制限付株式の付与については、以下の条件を全て満たす場合に原則賛成する。
・信託口座からの引き出し・譲渡制限解除が、退職後もしくは付与後2年以上経過後に制限されている。
りそな銀行
3.議決権に関する具体的行使基準(国内株式)
4.役員報酬等に関する事項
④ストックオプション
・行使開始までの期間が2年未満の場合には反対します。但し、退職後のみ行使可能である場合を除きます。

株式給付信託 : 当初から現物株式が付与されるわけではなく、はじめに役位別・個人別に一定のユニット(単位)やポイントが付与され、業績/株価条件がなければ一定の待機期間の後に、ユニットやポイント数に応じた株式が交付される。業績/株価条件がある場合は、その達成度に応じてユニット/ポイント数が上下し(例:0~200%)、そのユニットやポイント数に応じた株式が本人に交付される。
特定譲渡制限付株式 : 法人税法上の損金算入を満たす譲渡制限付株式のこと。具体的には、(1)役務の提供の対価として個人に生ずる債権の給付と引換えにその個人に交付される、(2)個人に給付されることに伴って役務の提供の対価として個人に生ずる債権が消滅するーーー譲渡制限付株式である。

取締役選任議案については、社外取締役の宮田氏と岡氏の賛成率が比較的低かった。この両名の選任議案にともに反対したのが三井住友信託銀行、三井住友トラストアセットマネジメント、東京海上アセットマネジメントで、さらに宮田氏については、いちよしアセットマネジメント、JPモルガンアセットマネジメントなど、より多くの機関投資家が反対票を投じている。宮田氏はソニーの取引銀行である三井住友フィナンシャルグループ、岡氏は会計監査人であるPwCグループの出身者であることから、いずれも独立性を問題視されたものとみられる。

<議決権行使ガイドラインの例>
三井住友トラストアセットマネジメント
Ⅴ. 議決権行使ガイドラン
(5)社外役員等に係る独立性基準
以下のいずれかに該当する場合、独立性基準に抵触するものとみなします。
③主要な借入先の出身者(事業報告に記載された主要借入先のうち借入金額が最も多い金融機関グループ、または主要借入先及び大株主(上位10名)に記載がある金融機関グループ)
⑤当該企業の監査を担当する会計監査人の出身者
JPモルガンアセットマネジメント
1. 日本株式
議決権行使に関する具体的基準
基本的な考え方
社外取締役の独立性基準
制度上の基準を満たしている候補であっても、以下の者は原則として「独立性」があるとはせず、企業から適切な説明がない限り、利害関係がある者として選任案に反対する。また、以下の者以外で制度上の基準を満たしている候補であっても、利害関係があるように見受けられる候補においては、選任案に反対する。
3.当該企業と利害関係にある顧問弁護士、会計士、税理士若しくはコンサルタント、又は当該企業と利害関係にある銀行に在籍していた者
いちよしアセットマネジメント
Ⅱ.当社の議決権等行使体制
3.個別議案の対応
議決権行使にあたっては、主に以下の観点から賛否を判断して行います。(「議決権行使に関する判断基準」より抜粋)
(2)取締役・監査役の選任
社外取締役および社外監査役はその独立性を吟味し、適正に問題があると判断する場合は、反対または棄権します。

なお、朝日ライフアセットマネジメントと明治安田アセットマネジメントは、取締役候補者の全員に反対票を投じている。いずれのガイドラインにも明記はされていないが、取締役選任を全体で1つの議案として捉えており、1人でも基準に抵触した場合には議案全体(すなわち候補者全員)に反対している模様だ。上場企業としては、いわゆる「枝番行使」をしない運用機関も存在することにも留意しておく必要があろう。

2018/11/08 既に投資家が活用 米国SASBが業種別ESG開示基準の正式版を公表

米国に拠点を置くSASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ会計基準審議会)は、2018年11月7日、11セクター77業種別のESG情報開示基準の「正式版」を公表した。

SASB : 2012年に設立された団体で、「FASB(財務会計基準審議会(ファスビー)」の“サステナビリティ版”と言われ、「サスビー」と呼ばれる。企業が開示すべき非財務情報を業種ごとに公表している。

米国上場企業の財務報告基準を策定するFASB(Financial Accounting Standards Board:財務会計基準審議会)のサステナビリティ版と位置付けられるSASBは、2012年の創設から2016年にかけて投資家向けに10セクター79業種別のESG情報開示基準の「暫定版」を公表してきた(SASBの活動については、2016年10月11日のニュース「米国で“SASB”の開示義務化も 日本への影響は?」参照)。

ESG : ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。

ESG開示基準のグローバル・スタンダードと言えばGRI(Global Reporting Initiative)のガイドラインがあるが、これとSASBのESG情報開示基準の大きな違いは、・・・

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2018/11/08 既に投資家が活用 米国SASBが業種別ESG開示基準の正式版を公表(会員限定)

米国に拠点を置くSASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ会計基準審議会)は、2018年11月7日、11セクター77業種別のESG情報開示基準の「正式版」を公表した。

SASB : 2012年に設立された団体で、「FASB(財務会計基準審議会(ファスビー)」の“サステナビリティ版”と言われ、「サスビー」と呼ばれる。企業が開示すべき非財務情報を業種ごとに公表している。

米国上場企業の財務報告基準を策定するFASB(Financial Accounting Standards Board:財務会計基準審議会)のサステナビリティ版と位置付けられるSASBは、2012年の創設から2016年にかけて投資家向けに10セクター79業種別のESG情報開示基準の「暫定版」を公表してきた(SASBの活動については、2016年10月11日のニュース「米国で“SASB”の開示義務化も 日本への影響は?」参照)。

ESG : ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。

ESG開示基準のグローバル・スタンダードと言えばGRI(Global Reporting Initiative)のガイドラインがあるが、これとSASBのESG情報開示基準の大きな違いは、SASBのESG情報開示基準は「長期的に財務インパクトのある可能性の高いサステナビリティ課題」にフォーカスし、投資家が使いやすいように設計されているという点にある。具体的には、特定のサステナビリティ・トピックがどのような財務的影響をもたらすかを解説しているほか、業種別に開示要求指標の数を変え、かつそれぞれかなり絞り込んである。例えば、金属・鉱山(Metal & Mining)のような環境への影響が広範にわたる業種に対しては11トピック22指標の開示が要求されているが、広告・マーケティング(Advertising & Marketing)のような環境への負荷が少ない業種だと3トピック7指標と、業種によって指標の数に大きな差がある。また、金属・鉱山業種の22指標というのは一見多いように見えるかもしれないが、これまでのサステナビリティ情報開示基準と比較すれば、かなり数が絞り込まれていると言える。

GRI : GRIは地球環境問題の深刻化を背景に1997年、国連傘下のNGOとして設立された。当初は環境報告書の国際基準を策定することを目的にしていたが、その後、「経済」「環境」「社会」の3つの側面から企業を評価するトリプルボトムラインの考え方を採用することで、GRIのガイドラインは持続可能性(サステナビリティ)報告書の指針となった。

上記で引用したニュースでもお伝していたとおり、SASBは当初、米国上場企業の法定開示の書類である「SEC Filings」にESG情報開示基準が採用されることを目指していたが、現在では欧州やアジアなど広範囲での利用も想定している。そこでSASBは、ESG情報開示基準のみならず、投資家向けにエンゲージメントガイドを公表するなど、開示基準の活用に向けた動きを活発化させている。また、金融機関向け情報プロバイダーであるBloombergやトムソン・ロイターにも分析ツールが提供され、実際、投資家もSASBの開示基準を用いてESGファクターの検証を始めている。

SEC : 米国証券取引委員会

投資家のみならず、既に米国企業を中心とする企業の活用事例も見られる。ゼネラル・モータース(General Motors)やケロッグ(Kellogg)、英国ディアジオ(Diageo)、ナイキ(NIKE)などが既に“SASB対照表”をウェブサイトで公開している。

General Motors

Kellogg

Diageo(P.79~80)

NIKE

国内では味の素など、ESG先進企業で活用が始まっているものの、対照表の開示にまで至っている事例は見られない。SASBは、正式版の公表を受け、これから日本で普及活動を行うことも予想される。既に投資家がESG分析ツールとして活用している実態を踏まえると、日本企業もSASBのESG情報開示基準をESG情報の開示に取り入れていくことが望まれるところだ。

2018/11/07 社外取締役義務付けで上場会社の2割弱に浮上する問題と対策

周知のとおり、法務省の法制審議会・会社法制(企業統治等関係)部会が現在検討中の「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案」(下記に抜粋)のとおり会社法が改正されると、上場会社(大会社に限る。以下同じ)における社外取締役の設置は会社法上の義務とされることになる(2018年10月24日に開催された第17回の同部会会議の部会資料26「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案(仮案)」の15ページ参照)。

大会社 : 負債200億円以上または資本金5億円以上の株式会社

監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならないものとする。

金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの : 上場会社だけでなく、非上場会社でも過去に1億円以上の募集や売出しをして財務局に有価証券届出書を届け出たことがある会社も該当する。

このように社外取締役の設置が上場会社に義務付けられた場合、新たな問題が浮上する。それは、・・・

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2018/11/07 社外取締役義務付けで上場会社の2割弱に浮上する問題と対策(会員限定)

周知のとおり、法務省の法制審議会・会社法制(企業統治等関係)部会が現在検討中の「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案」(下記に抜粋)のとおり会社法が改正されると、上場会社(大会社に限る。以下同じ)における社外取締役の設置は会社法上の義務とされることになる(2018年10月24日に開催された第17回の同部会会議の部会資料26「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案(仮案)」の15ページ参照)。

大会社 : 負債200億円以上または資本金5億円以上の株式会社

監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならないものとする。

金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの : 上場会社だけでなく、非上場会社でも過去に1億円以上の募集や売出しをして財務局に有価証券届出書を届け出たことがある会社も該当する。

このように社外取締役の設置が上場会社に義務付けられた場合、新たな問題が浮上する。それは、「社外取締役が不在のまま開催された取締役会の決議の効力」だ。

社外取締役不在の理由としては、「欠員」と「単なる欠席」が想定される。「欠員」の場合、会社法上設置が必要な社外取締役が存在しないということになるため、その状態で取締役会を開催して何かを決議しても、「取締役会が会社法の求める要件を満たしていなかった」として当該取締役会で行われた決議自体に瑕疵があるということになりかねない。このような事態を回避するために、後任の社外取締役を選任するべく臨時株主総会を開催しようにも、そもそも取締役会が会社法が求める要件を満たしていなければ、臨時株主総会の基準日や議案を決議するために必要な取締役会すら開催できない。

瑕疵 : 欠陥のこと
基準日 : その日において株主名簿に登載されている株主であれば株主総会に出席できる日のこと。臨時株主総会の基準日は任意に定めることができる。

もちろん、補欠の社外取締役がいれば、単に会社から就任を依頼して本人の承諾を得ることだけで欠員は解消されるが(補欠役員の就任にあたっては取締役会の決議は不要。詳細はケーススタディ【議案】「役員辞任により役員に欠員が出てしまった」の「正式な役員に就任するための方法と任期」を参照)、実は補欠の社外取締役がいる上場会社は少ない(平成29年度全株懇調査報告書によると1,655社中154社に過ぎない)。補欠の社外取締役がいない場合、まずは後任の社外取締役を選任するための取締役会を開催するために、裁判所に申し立てをして仮取締役を選任するといった大掛かりな話にも発展しかねない。

仮取締役 : 取締役が欠けた場合に、裁判所が利害関係人の申立てにより選任する「一時取締役の職務を行うべき者」(会社法346条2項等)。「仮取締役」として登記される。

また、社外取締役が取締役会にとって不可欠の存在であれば、取締役会を単に「欠席」しただけであっても同様の問題が生じ得る。取締役会にとって不可欠な社外取締役が取締役会を欠席して議論や決議に加わらないという点では、社外取締役が欠員となっている状態と何ら変わりがないからだ。

社外取締役の設置義務化は上記のような問題を生じさせ得ることから、会社法制(企業統治等関係)部会でも「単に1条その条文を加えるだけではなくて、いろいろと検討しなければいけない課題がある」ということが指摘されていた(2018年8月1日開催の法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会会議での加藤幹事の発言)。

同部会では最終的にはこの点について「会社法において社外取締役を置くことが義務付けられた場合であっても、社外取締役に欠員が生じたことが、直ちに取締役会決議の効力に影響すると考える必要はないと考えられる。当部会においても、仮に、上場会社等について社外取締役を置くことを義務付けたとしても、社外取締役は取締役会の構成員の一人であって、これを特別扱いして、社外取締役を欠くときに有効に取締役会の決議をすることができないとまで考える必要はない」と結論付けているものの、「直ちに」(ここでは「直接に」という意味と思われる)としているのは気になるところ。取締役会決議の効力への影響がゼロとまでは言い切れず、最終的には裁判所の判断に左右されねないからだ。

また、社外取締役に欠員が生じている状況は、アクティビストにとってみれば絶好のチャンスと言えるかもしれない。取締役会での議論に社外取締役が加わっていないことを問題視して、会社に揺さぶりをかけやすくなるからだ。現状、上場会社(大会社に限る)の約17%では社外取締役が一人しかいない(法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第15回会議の参考資料48「東証上場会社における社外取締役の選任状況及び「社外取締役を置くことが相当でない理由」の傾向について」の5ページを参照)。社外取締役が一人しかいなければ、社外取締役の死亡、病気や突然の事故による辞任、さらには誤って会社の業務を執行したとして社外性を失うといった理由により社外取締役がゼロとなるということもあり得ない話ではない。社外取締役が一人しかいない上場会社はこうした事態に備え、社外取締役を複数名選任しておく、あるいは補欠社外取締役を選任しておくといった対策が必須となろう。

2018/11/06 連結納税の導入、経営判断は来年12月以降に

ROEの分子となる当期純利益に影響を与える法人税負担に対する経営陣の関心は高いが、グループ経営が一般化する中、自社単独ではなく、企業グループ全体での負担額を意識する必要性が高まっている。これに伴い、グループ内の各社の黒字と赤字を相殺してグループ全体の税負担を減らす効果のある連結納税制度を導入する企業が近年増加傾向にある。・・・

ROE : Return On Equity=自己資本利益率(当期純利益/株主資本)
連結納税制度 : 100%の持株関係にある企業グループに属する各企業の所得金額(≒黒字)と欠損金額(≒赤字)を通算して「連結所得金額」を計算し、この連結所得に対する法人税を親会社がまとめて納税する仕組み。例えば親会社の所得金額が100、子会社の欠損金額は100である場合、連結納税制度を採用していなければ親会社は所得金額100に対する法人税を負担しなければならないが、連結納税制度を採用していれば、親会社の所得金額100は子会社の欠損金額100と相殺され、税負担はゼロとなる。

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2018/11/06 連結納税の導入、経営判断は来年12月以降に(会員限定)

ROEの分子となる当期純利益に影響を与える法人税負担に対する経営陣の関心は高いが、グループ経営が一般化する中、自社単独ではなく、企業グループ全体での負担額を意識する必要性が高まっている。これに伴い、グループ内の各社の黒字と赤字を相殺してグループ全体の税負担を減らす効果のある連結納税制度を導入する企業が近年増加傾向にある。財務省の資料によると、親会社である上場企業等約3,000社のうち約600社が連結納税制度の適用を受けているという。

ROE : Return On Equity=自己資本利益率(当期純利益/株主資本)
連結納税制度 : 100%の持株関係にある企業グループに属する各企業の所得金額(≒黒字)と欠損金額(≒赤字)を通算して「連結所得金額」を計算し、この連結所得に対する法人税を親会社がまとめて納税する仕組み。例えば親会社の所得金額が100、子会社の欠損金額は100である場合、連結納税制度を採用していなければ親会社は所得金額100に対する法人税を負担しなければならないが、連結納税制度を採用していれば、親会社の所得金額100は子会社の欠損金額100と相殺され、税負担はゼロとなる。

ただし、これから連結納税制度の導入を検討しようという企業は、仮に導入するとしても2020年度以降にしておいた方が無難だ。というのも、現在政府が連結納税制度の仕組みを抜本的に見直すことを検討しているからだ。

現在の連結納税制度は、親会社を中心に「連結グループ全体」で連結所得、連結税額を計算するという現在の仕組みとなっているが、この仕組みだと、子会社のうちの1社でも連結所得金額の計算を間違えただけで連結グループ全体で計算のやり直しが必要になる(財務省の資料参照)など、かねてから制度の複雑さが問題視されてきた。実際、ある東証一部上場企業(売上200億円程度)では、連結納税制度の導入を検討したものの、経理部門への負担が大きいことに加え、計算ミスがあれば自らの責任を問われかねない顧問税理士も導入に及び腰で、結局導入を断念したという。

こうした実態を踏まえ政府(財務省)は現在の連結納税制度を、より子会社の計算を尊重した簡素な仕組みへと抜本的に変更する。ただし、新たな制度の設計にもそれなりの時間がかかることから、詳細な仕組みを詰めるのは来年(2019年)4月以降となる見込み。実際に制度改正が行われるのは2020年度税制改正となる。2020年度税制改正の中身が判明するのは、次年度の税制改正の概要をまとめた「税制改正大綱」が与党から公表される2019年12月中旬頃となるため、経営陣が連結納税制度を導入するかどうか経営判断を下すのもそれ以降にするべきだろう。仮に今連結納税制度を導入してもすぐに仕組みが変更され、経理部門等が中心となって行う導入作業やシステム投資などが無駄になる可能性がある。

また、現行の連結納税制度では、基本的に(1)連結納税開始時や新たに連結グループに子会社が加入した際には子会社の資産を時価評価し、含み益があればそれに対して課税されるほか、(2)連結納税開始前あるいは連結グループ加入前の子会社の赤字(欠損金)を切り捨てる(=親会社の黒字との通算ができない)ことが求められ、これが企業に連結納税制度の導入を躊躇させる一因となってきたが、新たな連結納税制度ではこのような制限も緩和される方向。制度自体が簡素化されることに加え、導入を躊躇させる要因も取り除かれるとなれば、新制度が導入されてから連結納税に移行するのが得策だろう。

新たな連結納税制度では、法人税の申告・納税も親会社ではなく子会社が行うことになるという。既に連結納税制度を導入している企業は、制度改正に関する最新情報を収集しながら、子会社の体制整備なども検討していく必要があろう。

なお、連結納税制度は住民税など地方税には適用されないという点と、100%グループ内の会社だけが対象になるという点については現行制度が維持される。