2017/12/08 仮想通貨を自社の決済手段に導入する際の注意点

連日の暴騰で、一部ではもはや“バブル”とも評価されているビットコインを筆頭に、仮想通貨への注目が高まっている。

仮想通貨の最大の特徴と言えるのが送金コストの低さだ。円など通常の通貨を送金する場合、数百円のコストがかかるが、仮想通貨であれば取引所によっては無料のところもあるほどだ。

また、インターネットを用いた技術であるため、インターネット上のサービスとの親和性が高い。例えばメールやアプリを使って送金ができる。さらに、仮想通貨を付与することをウリにした新規顧客獲得キャンペーン、自社発行のポイントとの交換にも利用できる。このほか、クレジットカードの加盟店手数料に相当する手数料の率(取引所へ支払う手数料のレート)が低いことから、店舗やサイトでクレジットカード代わりに決済手段として利用するメリットもある。今年(2017年)の4月に一部の店舗限定でビットコインを取引手段に採用したビックカメラは、7月にはすべての店舗でビットコインを使えるようにし、最近になって・・・

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2017/12/08 仮想通貨を自社の決済手段に導入する際の注意点(会員限定)

連日の暴騰で、一部ではもはや“バブル”とも評価されているビットコインを筆頭に、仮想通貨への注目が高まっている。

仮想通貨の最大の特徴と言えるのが送金コストの低さだ。円など通常の通貨を送金する場合、数百円のコストがかかるが、仮想通貨であれば取引所によっては無料のところもあるほどだ。

また、インターネットを用いた技術であるため、インターネット上のサービスとの親和性が高い。例えばメールやアプリを使って送金ができる。さらに、仮想通貨を付与することをウリにした新規顧客獲得キャンペーン、自社発行のポイントとの交換にも利用できる。このほか、クレジットカードの加盟店手数料に相当する手数料の率(取引所へ支払う手数料のレート)が低いことから、店舗やサイトでクレジットカード代わりに決済手段として利用するメリットもある。今年(2017年)の4月に一部の店舗限定でビットコインを取引手段に採用したビックカメラは、7月にはすべての店舗でビットコインを使えるようにし、最近になって取引上限額も従来の10万円から30万円に増額した(こちらを参照)。

取引所へ支払う手数料のレート : 後述するビットフライヤーの場合、1%が上限。クレジットカードの加盟店手数料率は業態にもよるが概ね3~7%となっている。

ちなみにビックカメラが利用しているのは、仮想通貨取引所のビットフライヤーのサービスである。ビットフライヤーが提供している企業向けの決済サービスには、利用企業が受け取ったビットコインをすぐに同社が運営する取引所で売却できる機能があり、その機能を利用することで、従来の日本円通貨による決済と同様に会計処理を変えることなく売上高を円で計上することができる(詳細はこちらのページの左下を参照)。ビットコインは時価が乱高下しやすいだけに、決済サービスを利用する企業にとって、ビットコインを抱えずに済むのはリスク・コントロールの観点から望ましいと言える。ビットコインの売却代金が円に転換されるのは最短で翌日。これであれば、決済サービスの利用企業はビットコインの価格変動リスクを負わずに「利益率の改善」や「運転資金の減少」を実現できる。エイチ・アイ・エスメガネスーパー丸井もビットコインを決済手段に導入(丸井は試験導入)しており、こうした流れはBtoC事業を中心に広がりを見せつつある。仮想通貨を決済手段として採用するのが“業界初”となれば、ニュースで取り上げられる機会も増え、先進的な企業イメージの形成効果も期待できる。

利益率の改善 : 決済手段をクレジットカードからビットコインに変更することによる手数料率の減少
運転資金の減少 : クレジットカードによる決済の場合、クレジットカード会社からの入金は取引から1月以上経過してからだが、ビットコインの場合は最短で取引の翌日に円に転換されるため、運転資金が少なくて済む。

もっとも、ビックカメラのように決済手段としての仮想通貨の利用に積極的な企業がある一方で、オンラインゲーム配信サービスのSteamを運営しているValve(米国)のようにビットコインによる決済を取りやめる企業(同社のリリースはこちら)も出てきている。Valveがビットコインによる決済を取りやめた理由は、取引所に支払う手数料の高騰(決済手段に採用した当時と比べて100倍)やビットコイン自体の価格の(急激な)変動リスクの高さにある。Steamではビットコイン入金後の価格変動リスクをゲームのユーザーが負う仕組みとなっていたため、ビットコインの価格高騰により追加入金が必要になるなどユーザーに不利益を強いる結果となった。これに対しビックカメラは、店舗も利用者もビットコイン入金後の価格変動リスクを負わない仕組みを採用している。自社の取引の決済に仮想通貨の導入を考えている企業は、ビックカメラと同様、自社および顧客が取引後に価格変動リスクを負わない仕組みを採用すべきだろう。

とはいえ、ICO(Initial Coin Offering)には金融詐欺、資金洗浄、テロリストの資金調達に利用されるリスクが高いとして中国・韓国のようにICOを禁止する国があったり、ビットコイン取引所のマウントゴックスが破たんしたりと、仮想通貨への不信感はぬぐい切れないのも事実であり、今のところ、自社の取引の決済に仮想通貨を導入するには時期尚早と判断している企業の方が多数派と言えよう。

ICO(Initial Coin Offering) : 新たに開発した仮想通貨を売り出すこと。新仮想通貨を開発した企業はICOで得た資金で、開発した仮想通貨の維持コストや新たな仮想通貨の開発コストを賄う。

こうした中、企業会計基準委員会(ASBJ)は12月6日、仮想通貨の会計処理及び開示に関する当面の取扱いを明らかにする実務対応報告公開草案第53号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」を公表している(2018年2月6日までパブコメを募集)。

本公開草案によると、仮想通貨利用者の会計処理は「当該仮想通貨に活発な市場が存在するかどうか」により下表のように分かれることとなる。

活発な市場の有無 仮想通貨利用者の会計処理案
当該仮想通貨に活発な市場が
存在する場合
市場価格に基づく価額をもって当該仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理する。
当該仮想通貨に活発な市場が
存在しない場合
当該通貨の取得原価をもって貸借対照表価額とする。
期末における処分見込価額(ゼロまたは備忘価額を含む)が取得原価を下回る場合には、当該処分見込価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価と当該処分見込価額との差額は当期の損失として処理する。

備忘価額 : 実質的価値がゼロになった資産について、ゼロ円で評価替えすると帳簿上存在しないことになるため、管理の観点から便宜上最小の価格として1円で評価替えした価額のこと

上表の上段の「活発な市場が存在する場合」とは、仮想通貨利用者が保有する仮想通貨について、「継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合をいう」とされる。逆に言うと、上表下段のように「当該仮想通貨に活発な市場が存在しない場合」には、市場価格があるとは言えないことから、仮に含み益があっても利益は計上せず、貸借対照表に記載する金額は取得原価のまま据え置くことになる(反対に含み損がある場合は“収益性の低下”を反映させるため損失を計上する)。なお、仮想通貨利用者が仮想通貨を売却する場合には、売却収入から売却原価(簿価)を控除した金額を損益計算書に表示することになる(仮に「売却収入<売却原価」なら売却損が計上される)。また、期末日において保有する仮想通貨があれば、当該仮想通貨の貸借対照表価額の合計額のほか、「活発な市場が存在する仮想通貨」と「活発な市場が存在しない仮想通貨」に分類した上で、それぞれに属する仮想通貨の種類ごとの保有数量および貸借対照表価額を注記する案も示されている。これら仮想通貨に関する実務対応報告の適用開始日は「2018年4月1日以後開始する事業年度の期首」からが予定されているが、「公表日以後終了する事業年度および四半期会計期間」から早期適用も可能となっている。

仮想通貨は、訪日客の決済手段としても注目を集めている。現在は落ち着きを見せているインバウンド需要も、今後2020年の東京オリンピックに向けて再び高まることが予想される。会計処理・開示のルールも近く確定するということで、BtoC事業を営む企業は、仮想通貨を自社の決済手段として採用するかどうか、そろそろ検討を開始してもよいタイミングだろう。自社の投資家への説明責任を果たすことを考えると、「活発な市場が存在しない仮想通貨」を決済手段として採用するのは避けた方がよさそうだ。

2017/12/07 “売るM&A”戦略の重要性

産業能率大学 経営学部 教授
光定 洋介

近年、国内企業のM&Aはおおむね増加傾向にある。そのきっかけの一つには、政府が約3年半前の2014年6月末に打ち出した「日本再興戦略」で日本企業に「グローバル水準のROEの達成」を求め、そのために「内部留保を貯め込むのではなく、新規の設備投資や大胆な事業再編、M&Aへの積極活用」を求めたことがあろう。日本企業の低ROEの要因としてよく指摘されるのが、売上高営業利益率が低い(低マージン)ことである。その背景には同業他社の多さによる過当競争があるが、M&Aによって業界再編が進めば、低マージンが解消され、ひいてはROEが改善されることが期待される。また、少子高齢化などによって国内需要の縮小が見込まれることから、国内では、新たな生産設備等に投資をして過剰投資のリスクを抱えるよりも同業他社を買収し成長を目指した方が成功確率が高いと考える企業経営者も多いだろう。

ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)  文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム
売上高営業利益率 : ROEは、売上高(営業)利益率(利益/売上)×総資本回転率(売上/総資産)×財務レバレッジ(総資産/株主資本)に分解されるため、売上高(営業)利益率がROEに影響を与える。詳細は2017年11月21日掲載のニュース「上場企業の経営陣が重視すべきは「ROE」か「ROA」か」参照。  文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム

では、実際のM&Aの成功確率はどの程度であろうか?この成功確率を考える場合、「失敗」は外部からも分かりやすいが、「成功」は分かりにくいという問題がある。なぜなら、失敗した場合は特別損失計上や事業撤退など外部から容易に確認できる“イベント”があるが、成功時にはこうした目立ったイベントがないからだ。また、どの時点で成功か失敗かを判断するのかという「時間軸」も考慮する必要がある。事業会社の場合、M&Aした企業を永続的に保有することが多く、例えばM&Aから3~5年目といった時点では「失敗」と判断されても、より長期で見たら成功だったと言われることもある。こうした留意点はあるものの、数多いM&Aの成功確率に関する研究の中でも世界的な学術研究結果によると、M&Aの成功確率は・・・

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2017/12/07 “売るM&A”戦略の重要性(会員限定)

産業能率大学 経営学部 教授
光定 洋介

近年、国内企業のM&Aはおおむね増加傾向にある。そのきっかけの一つには、政府が約3年半前の2014年6月末に打ち出した「日本再興戦略」で日本企業に「グローバル水準のROEの達成」を求め、そのために「内部留保を貯め込むのではなく、新規の設備投資や大胆な事業再編、M&Aへの積極活用」を求めたことがあろう。日本企業の低ROEの要因としてよく指摘されるのが、売上高営業利益率が低い(低マージン)ことである。その背景には同業他社の多さによる過当競争があるが、M&Aによって業界再編が進めば、低マージンが解消され、ひいてはROEが改善されることが期待される。また、少子高齢化などによって国内需要の縮小が見込まれることから、国内では、新たな生産設備等に投資をして過剰投資のリスクを抱えるよりも同業他社を買収し成長を目指した方が成功確率が高いと考える企業経営者も多いだろう。

ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)  文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム
売上高営業利益率 : ROEは、売上高(営業)利益率(利益/売上)×総資本回転率(売上/総資産)×財務レバレッジ(総資産/株主資本)に分解されるため、売上高(営業)利益率がROEに影響を与える。詳細は2017年11月21日掲載のニュース「上場企業の経営陣が重視すべきは「ROE」か「ROA」か」参照。  文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム

では、実際のM&Aの成功確率はどの程度であろうか?この成功確率を考える場合、「失敗」は外部からも分かりやすいが、「成功」は分かりにくいという問題がある。なぜなら、失敗した場合は特別損失計上や事業撤退など外部から容易に確認できる“イベント”があるが、成功時にはこうした目立ったイベントがないからだ。また、どの時点で成功か失敗かを判断するのかという「時間軸」も考慮する必要がある。事業会社の場合、M&Aした企業を永続的に保有することが多く、例えばM&Aから3~5年目といった時点では「失敗」と判断されても、より長期で見たら成功だったと言われることもある。こうした留意点はあるものの、数多いM&Aの成功確率に関する研究の中でも世界的な学術研究結果によると、M&Aの成功確率はあまり高くなく、買収企業から見るとむしろ失敗する確率の方が高いとも言われる。また、日本企業についてもM&Aの成功確率はせいぜい半分程度と言われることも多い。

M&Aの成功確率が高まらない原因の一つとして、買収プレミアム(コントロールプレミアム)を支払い過ぎているということが挙げられる。企業を買収すれば買収後の経営をコントロールできるため、経営権にプレミアムが付くが、このコントロールプレミアムが高過ぎるのだ。このプレミアムは時価総額の20%~50%になることが多い。こうした高いプレミアムが付く背景には、売りの案件が相対的に少ないということのほか、買収企業が統合後のシナジー効果も織り込んで買収価格を提示してくることなどがある。M&Aの成功確率を高めるためには、M&Aにおける買い手は、シナジー効果以上のプレミアムを支払うべきではない。しかし、競争入札となるとなかなかそれが出来ないケースもある。

買収プレミアム(コントロールプレミアム) : 買収価額と市場価値(時価総額)の差額。買収プレミアムは企業の経営権を取得するために必要であるとされるため、コントロールプレミアムとも呼ばれる。  文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム

逆に考えると、M&Aの売り手はプレミアムを手に入れることができるわけだが、ここに着眼すれば、自ずと企業経営者はどのようなM&A戦略を描くべきかが見えて来るはずだ。すなわち、ノンコアとなった事業を売却してプレミアムを得ながら、コア事業についてはプレミアムを支払ってでもその強化に資する買収を行うというのが良いM&A戦略の一つということになる。

これを実行するには、常に事業の選択と集中を考える必要がある。食品大手のネスレは2001~2010年の間に約100件の大型買収を行った一方で、大型売却も約100件行い、事業ポートフォリオの最適化を図っている。日本でも、医療サービスのみらかホールディングスは、買収と事業売却の両方を駆使して業績を伸ばしている。2000年に創業事業の医薬品部門をベルギーの企業に売却し、中核事業に据えた検査薬部門で企業買収を実施、2005年には薬局部門を売却し、2010年にはベルギーの検査薬大手を買収している。また、化学メーカーのクラレは2001年にスイス企業からのビニルアセテート事業取得を皮切りに買収を繰り返す一方で、創業事業であるレーヨン事業からも撤退し、規模拡大を追わずに利益の拡大を実現した。

M&A戦略というとつい「買収」する方にばかり目が行きがちだが、上場企業の経営陣には、事業売却によりプレミアムを得ることも意識することで、M&Aの成功確率を上げることを期待したい。

2017/12/06 税金の電子申告義務化、企業の大規模システム投資は回避へ(会員限定)

早ければ平成30年度分の確定申告から実施されるとの見方もあった税金(法人税、法人住民税・法人事業税、消費税)の電子申告義務化が、「2020年4月1日以降開始する事業年度」からとされた。企業の準備期間に配慮し、当初予定より後ろ倒しされた格好となっている。

2017年7月12日のニュース「行政手続コスト削減で企業に多額のシステム改修費用発生も」でお伝えしたとおり、電子申告義務化を巡り、企業にとってその実施時期とともに大きな関心事となっていたのが、電子申告義務化の対象となる書類の範囲とデータ形式だ。

まず対象書類については、土地収用証明書など分量が多い第三者作成書類については電子申告の対象外とし、単に企業が保存しておけばよいこととされる。また、電子申告義務化に伴い、勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化も図られる。

勘定科目内訳明細書 : 預貯金、受取手形、売掛金(未収入金)、棚卸資産、有価証券、支払手形、買掛金、借入金など重要な勘定科目について、内訳を記載する書類。法人税申告書とともに提出する。

電子申告義務化を巡る議論の最大のポイントであったデータ形式は、財務諸表、勘定科目内訳明細書についてはエクセルベースのCSV形式のデータによる提出が認められることになった。「資本金1億円以上」の法人の約半数(法人税など国税の場合)が利用している現行の電子申告では、国税庁のデータ形式がXBRLXMLのみに限定されているため、自社のシステム上、これらのデータ形式で書類を出力できない企業は、電子申告を利用しているにもかかわらずこれらの書類は「紙」で提出しているところが多い。もし電子申告義務化後もこのデータ形式が強制されるとなると、企業においてはシステム対応に膨大な金額の投資と時間が必要になる恐れがあった。今回、エクセルベースのCSV形式のデータによる提出が認めることになったということは、企業は既存データを流用できるということを意味する。これはコストの面でも手間の面でも企業にとってはグッド・ニュースと言えそうだ。これを受け国税庁は、電子申告を行う企業の増加により同庁に提出されるデータ量が多くなることに備え、送信容量の拡大を図るとともに、光ディスクによる資料の提出も認める方向。

CSV : カンマ形式で区切られたテキストデータ。Comma-Separated Valuesの略。
: 拡張可能なビジネスレポート用の言語で、eXtensible Business Reporting Languageの略。財務諸表などに用いられ、分析や他社比較が容易になるメリットを有する。EDINET(金融商品取引法に基づく電子情報開示システム)でも導入されている。
XML : Extensible Markup Languageの略。ウェブ情報の記述などに利用されるHTMLの進化版で、データを容易に集計できるメリットがある。

また、書類をPDFで送信する場合には、紙原本の保存が不要とされることになった。これまではPDFで書類を提出した場合であっても、税務調査で「紙」を提出するよう求められると応じざるを得なかっただけに、企業にとっては保存コストの大幅な軽減となろう。

このほか、現行の電子申告を行う際には法人代表者および経理担当者の電子署名および電子証明書の送信(以下、電子署名等)が求められるが、確定申告期限と定時株主総会が近接する上場会社等においては、定時株主総会で代表者が代わった場合には電子証明書の取得が間に合わないケースがあった。そこで、電子申告義務化に際しては、経理責任者の自署押印制度を廃止するとともに(電子に限らず、紙ベースの申告においても廃止)、電子署名については、「法人の代表者から委任を受けた当該法人の役員・社員による電子署名」も可能とする。

電子署名 : 電子申告に際し、データが改ざんされていないことを署名者が保証すること。
電子証明書 : 電子申告書等の作成者が署名者本人であることを確認するためのもの。いわば印鑑証明書や免許証の役目を果たす。電子証明は、機関は地方公共団体情報システム機構(公的個人認証サービスを提供)など、指定機関でしか取得できない。

なお、電子申告義務化の対象は「資本金1億円超」の法人に限定されることになった。つまり、資本金1億円以下の法人であれば、国税・地方税ともに電子申告は義務ではないということだ。また、連結納税を採用している場合、連結親法人の資本金が1億円超か否かで電子申告義務の有無を判定することになる。

2017/12/05 セミナー「ISS 2018年版 日本向け議決権行使助言基準改定のポイント」および「2018年のエンゲージメントにおいて企業が留意すべきテーマ」を2018年1月24日(水)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:ISS 2018年版 日本向け議決権行使助言基準改定のポイント
WEBセミナー:2018年のエンゲージメントにおいて企業が留意すべきテーマ

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上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2018年1月24日(水)の14時30分~17時40分に下記のセミナーを開催いたします。

詳細はこちらもご覧ください。

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:30

16:00
ISS 2018年版 日本向け議決権行使助言基準改定のポイント ISS(インスティテューショナル・
シェアホルダー・サービシーズ)
日本代表 石田 猛行 様
第二部
16:10

17:40
2018年のエンゲージメントにおいて企業が留意すべきテーマ 日本シェアホルダーサービス
研究開発/コンサルティング部
チーフコンサルタント 藤島 裕三 様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
議決権行使助言会社として世界最大手である米国のISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)は、2018年2月1日より「2018年版 日本向け議決権行使助言基準」(以下、ポリシー)の適用を開始します。そこで本セミナーでは、ISS日本代表の石田猛行様をお招きし、新ポリシーの改定のポイントと改定の趣旨、新ポリシーの改定にあたり募集していたパブリックコメントの内容とパブリックコメントを受けて当初案から見直された点のほか、将来的な見直しの可能性も含め、ISSが関心を持つポリシーやテーマについても解説していただきます。
講師の
ご紹介
石田 猛行(いしだ たけゆき)様
ISS日本代表。日本のコーポレートガバナンス分野で15年を超える経験を持ち、本分野におけるオピニオンリーダーとして知られる。ISS入社前は、 ISSと同様の業務を営むワシントンDCのIRRC(Research Analyst at Investor Responsibility Research Center)にて、日本のコーポレートガバナンスの調査および株主総会の分析を担当。ISSによるIRRC買収に伴い、2005年よりISS日本での業務に従事し、2008年代表に就任。日本版スチュワードシップ・コード創設において中心的役割を果たした金融庁の「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」メンバー、経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」「株主総会のあり方検討分科会」委員を歴任。ジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院にて、国際関係論修士号を取得。日本証券アナリスト協会会員。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
2017年に実施されたスチュワードシップ・コードの改訂を受け、機関投資家は議決権行使結果の個別開示に踏み切ったのみならず、議決権行使基準の見直し・厳格化にも取り組んでいます。こうした中、企業にとって、機関投資家との対話(エンゲージメント)は一層重要性を増していくことになるでしょう。その対話においては、グローバルな機関投資家の要求水準や金融庁「フォローアップ会議」における議論などを踏まえたコーポレートガバナンスに関する論点は必ずテーマに上るはずです。その一方で、「MiFID2」の影響で証券会社に依存したIR/SR活動が困難になることにより、自社主導によるIRストーリーの策定やロードショーの実施に向けた準備が問われる可能性も高まっています。そこで本セミナーでは、株主判明調査をはじめとするガバナンス・コンサルティングのリーディングカンパニーである日本シェアホルダーサービス株式会社(JSS)の研究開発/コンサルティング部でチーフコンサルタントを務める藤島裕三様をお招きし、2018年のエンゲージメントにおいて留意すべきテーマについて解説していただきます。
講師の
ご紹介
藤島 裕三(ふじしま ゆうぞう)様
日本シェアホルダーサービス株式会社 研究開発/コンサルティング部  チーフコンサルタント。慶應義塾大学大学院法学研究科修了後、1994年に株式会社大和総研入社。企業調査部 アナリスト、同社経営戦略研究所経営戦略研究部 主任研究員 、企業経営コンサルティング部 副部長・シニアコンサルタントを経て2014年、EY総合研究所に入社、未来経営研究部 部長 主席研究員に就任。コーポレートガバナンス改善計画の策定支援、敵対的買収対応に関わる体制整備の支援、IRや株主対応に関する改善支援・アドバイザリーなどに従事。2017年9月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。慶應義塾大学非常勤講師(2003-2005年)、京都大学大学院非常勤講師(2006―2008年)、財務省 財政投融資ガバナンス委員会 委員(2005ー2006年)、経済産業省 コーポレート・ガバナンスの対話の在り方分科会 委員(2013年-)。
『コーポレートガバナンス・マニュアル 21世紀日本企業の条件』(中央経済社、第1版2005年1月、第2版2008年1月):共著、『現代の財務経営1 コーポレートファイナンス』(中央経済社、2009年3月):共著、『ガイダンス コーポレートガバナンス』(中央経済社、2009年10月):共著など著書・論文多数。

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は21,600円(税込 ※)となっております。
※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

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会員でない方のお振込方法等の詳細はお申込みの受付けメール(下記の「お申込みはこちらから」のボタンをクリック後、お名前等をご入力いただいた後自動送信されるメール)にてご連絡いたします。
ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 ISS 2018年版 日本向け議決権行使助言基準改定のポイント
  • 第二部 2018年のエンゲージメントにおいて企業が留意すべきテーマ
  • 【日時】2018年1月24日(水)14時30分~17時40分
  • 【場所】六本木ヒルズ森タワー22階 TMI総合法律事務所セミナールーム
  • 【受付】六本木ヒルズ森タワーLL階ロビー 14時より
  • 【講師】第一部 ISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)日本代表
            石田 猛行 様
        第二部 日本シェアホルダーサービス
            研究開発/コンサルティング部  チーフコンサルタント
            藤島 裕三 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は21,600円(税込)
お申し込みはこちら

2017/12/05 CGコード、5つのテーマについて“ガイドライン”作成へ

2017年11月27日のニュース「税負担に雲泥の差も!税金を意識した設備投資や賃金の検討が必須に」では、賃上げ・投資に消極的な企業の法人税を増税する(具体的には、租税特別措置を適用させない)」という制度が平成30年度税制改正で導入される方向であることをお伝えしたが、その根拠となった安倍総理の発言の中で、コーポレートガバナンスの観点から気になるのが下記のくだり(赤字部分)だ。・・・

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2017/12/05 CGコード、5つのテーマについて“ガイドライン”作成へ(会員限定)

2017年11月27日のニュース「税負担に雲泥の差も!税金を意識した設備投資や賃金の検討が必須に」では、賃上げ・投資に消極的な企業の法人税を増税する(具体的には、租税特別措置を適用させない)」という制度が平成30年度税制改正で導入される方向であることをお伝えしたが、その根拠となった安倍総理の発言の中で、コーポレートガバナンスの観点から気になるのが下記のくだり(赤字部分)だ。

「賃上げや設備投資に積極的な企業には、国際競争において十分に戦える環境を整備します。・・・中略・・・他方で、企業収益が過去最高となる中で賃上げや投資に消極的な企業には、コーポレートガバナンス改革や様々な政策ツールを活用して、果断な経営判断を促していきます。」(2017年11月17日の未来投資会議での発言)

また、同会議に提出された経済同友会の小林喜光会長の資料「企業の設備投資等の促進・コーポレートガバナンス改革の推進に向けた提案」の6ページにも、「経営システムの強化に向けた取組」として「業績向上に向けて経営者に適切なインセンティブが付与されるよう、指名・報酬委員会の設置や活用も含め、CEOの選解任や後継者計画などのプロセス確立が必要」との記述がある。

これらの発言の意図はどこにあるのだろうか。

基本的に、政府の未来投資会議に挙がるテーマを検討することになるのは(1)①金融庁の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」と、(2)2017年3月10日に一旦報告書を出したうえで、今度“第2期”が始まる経産省のコーポレート・ガバナンス・システム(CGS)研究会の2つの会議体である。“第2期”CGS研究会におけるの議論はこれからだが、フォロ-アップ会議では、以下の5項目について、投資家との対話のための「ガイドライン(指針)」を作るという方向であることが当フォーラムの取材で判明した。ガイドライン(指針)を作成することについては資料等に明記されているわけではないが、前回の会合(第12回 2017年11月15日開催)で事務局から口頭で説明があったことが確認されている。

※フォローアップ会議資料「1.コーポレートガバナンス改革に向けたこれまでの取組み」
8ページ「コーポレートガバナンス改革を巡る指摘」より抜粋
(1)投資と内部留保
・現預金の形での内部留保が増加
・設備・人材・研究開発投資の水準に課題
(2)経営環境の変化に対応した経営判断
・経営環境の変化に応じた事業選択などの果断な経営判断が行われていない
・経営者の資本コストに対する意識を高めていく必要
(3)CEO・取締役会
・CEOの育成・選任に向けた取組みが不十分
・社外取締役の実効的な機能発揮を促していく必要
(4)政策保有株式
・政策保有株式の縮減が進んでいない
(5)アセットオーナー
・企業年金によるスチュワードシップ・コードの受入れが少ない

安倍総理のコメントはフォローアップ会議のテーマの「(1)投資と内部留保」、経済同友会の小林喜光会長の資料の記述は「(3)CEO・取締役会」と重なる。

政府が進めるコーポレートガバナンス改革は、スローガン的なものから、より具体的に「何をすべきか」を求める段階へと進むことになりそうだ。

2017/12/04 主要国内機関投資家による議決権行使結果 第五弾

当フォーラムでは、一橋大学の円谷准教授の協力を得て、有力企業の株主総会上程議案に対する主要国内機関投資家による個別の議決権行使結果(賛否状況)を分析しているが、5回目となる今回は・・・

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