2016/01/18 2月1日から施行のISS新ポリシー、改定案からの変更点は?

議決権行使助言の世界最大手ISS(Institutional Shareholder Services Inc.)は来月2月1日から2016年版の日本向け議決権行使助言方針(以下、新ポリシー)を施行する。

これに先立ち、ISSは昨年(2015年)10月27日から11月9日まで日本向けポリシーの改定案を示したうえで、これに関するオープンコメントを募集していたが(2015年11月2日のニュース「ISSが近く議決権行使助言基準を改定、2016年株主総会への影響は?」参照)、既に改定案で示されていた内容(取締役会構成要件の厳格化、買収防衛策ポリシーの厳格化)とは別に、新ポリシーで新たに明らかにされた(2015年版ポリシーからの)変更点があるのでチェックしておきたい。

変更点は以下の通りとなっている。・・・

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2016/01/18 2月1日から施行のISS新ポリシー、改定案からの変更点は?(会員限定)

議決権行使助言の世界最大手ISS(Institutional Shareholder Services Inc.)は来月2月1日から2016年版の日本向け議決権行使助言方針(以下、新ポリシー)を施行する。

これに先立ち、ISSは昨年(2015年)10月27日から11月9日まで日本向けポリシーの改定案を示したうえで、これに関するオープンコメントを募集していたが(2015年11月2日のニュース「ISSが近く議決権行使助言基準を改定、2016年株主総会への影響は?」参照)、既に改定案で示されていた内容(取締役会構成要件の厳格化、買収防衛策ポリシーの厳格化)とは別に、新ポリシーで新たに明らかにされた(2015年版ポリシーからの)変更点があるのでチェックしておきたい。

変更点は以下の通りとなっている。

剰余金の処分
解説文(2015年版ポリシー4ページ参照)から以下の文言がカットされた。

「資本金の減少については、減少の必要性について具体的な説明がされている場合、個別に判断する。そうでなければ、配当の支払いが直ちに滞る場合を除き、原則として反対を推奨する」

これは、株主に大きな影響を与える100%減資などの議案の上程が滅多にないことによるとみられる。

取締役選任
(1)注記により、不動産投資法人(REIT)の役員選任議案に、監査等委員会設置会社の基準を準用するとされた。この結果、REITの監督役員は、監査等員会設置会社の「監査等委員である社外取締役」と同じISSの独立性基準を満たすことが求められる。

監査等委員会設置会社の基準 : 監査役会設置会社向けの基準(過去5期平均の自己資本利益率(ROE)が5%を下回らないことなど)と同じ基準が設けられているほか、ISSの定める独立性基準を満たさない「監査等委員である社外取締役」の選任議案には反対を推奨することとされている。

(2)注記により、指名委員会等設置会社の監査委員および監査等委員会設置会社の監査等委員に対し、それぞれの委員会における出席率として「75%」という基準を適用することとされた。この結果、たとえ取締役会の出席率が75%を満たしていても、当該基準を満たさなければ、反対推奨されることになる。

(3)「経営権の争いがある場合」が新設された。株主提案による取締役選任議案が提案された場合などにおいては、以下の観点に基づき、株主提案・会社提案ともに個別判断される。
・ 同業種他社と比較した、長期で見た会社の経営成績
・ 現経営陣の実績
・ 経営権に争いが生じた背景
・ 候補者の経歴・資格・資質
・ 株主が提案する経営戦略および現経営陣に対する批判の妥当性
・ 両サイド(現経営陣および提案株主)の提案の実現可能性
近年の株主提案は、資本効率やコーポレートガバナンスに問題のある企業を対象とした、企業価値および株主共同の利益に資する内容のものが珍しくなくなってきたことによるとみられる。

定款変更
(1)指名委員会等設置会社への移行については、2015年ポリシーでは「下記に該当する場合を除き、原則として賛成を推奨する」として、具体的には「株主総会後にISSの独立性基準を満たす社外取締役が1人もいない場合」という条件が挙げられていたが、新ポリシーでは、「下記に該当する場合を除き、」という文言および当該条件がカットされた。

これは、実際に上記条件のようなケースが存在しないことによるとみられる(会社法の規定上はあり得る)。

(2)自社株式取得の取締役会授権について、従来の「原則反対」から「個別判断」へと変更した。判断のポイントとして具体的に以下が挙げられている。
・ バランスシートの状況
・ 資本生産性とROE
・ 過去の自社株取得と配当の状況
・ 取締役会構成
・ 株主構成
・ その他考慮すべき事項

この変更は、社外取締役の複数選任など監督機能の充実を前提として、機動的に資本効率を向上させることを期待したものとみられる。もっとも、自社株式取得の株主提案権が排除される場合は、原則として反対を推奨するとしている。

買収防衛策
ISSは買収防衛策の導入および更新に対し、第一段階の「形式審査」、第二段階の「個別審査」を経て賛否を判断することとしているが(原則として反対を推奨。2015年版ポリシー21ページ参照)、第2段階である個別審査においてこれまで規定されてきた「具体的な株主価値向上施策」に加えて、以下の内容とともに招集通知で説明することが要求された。

「買収防衛策導入により与えられる一時的な保護が、どのようにしてその施策(具体的な株主価値向上施策)の実行に役立つのか」

2015年の株主総会では、前年に否決された議案が一転して可決された事例があり(ISSも反対から賛成推奨に転じたとみられる)、今後は一層慎重に判断することを表明したものとみられる。

2016/01/15 業務に起因して精神疾患にかかった従業員は休職制度の対象外

 会社に「年1回以上」のストレスチェックを実施することを義務付けるストレスチェック制度が昨年(2015年)12月からスタートしている。初回のストレスチェックは「施行から1年以内」すなわち「2016年11月30日まで」に実施しなければならないことになっているため、準備を進めている企業も多いことだろう。

 ストレスチェックの結果、問題のある従業員(「高ストレス者」と呼ばれる)が出て来た場合、会社は「本人の申し出」を条件に「医師による面接指導」を提供しなければならない。また、必要があれば、例えば就業場所の変更、作業内容の変更、労働時間の短縮、深夜業の回数を減らすなどの措置を講じることが義務付けられる。場合によっては、精神疾患が見つかり、会社を休まざるを得なくなるケースもあろう。

 就業規則に「病気やけがを理由とする休職制度」を設けている会社は多いが、業務に起因する精神疾患はこの休職制度の対象にはならないので注意したい。なぜなら、・・・

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2016/01/15 業務に起因して精神疾患にかかった従業員は休職制度の対象外(会員限定)

 会社に「年1回以上」のストレスチェックを実施することを義務付けるストレスチェック制度が昨年(2015年)12月からスタートしている。初回のストレスチェックは「施行から1年以内」すなわち「2016年11月30日まで」に実施しなければならないことになっているため、準備を進めている企業も多いことだろう。

 ストレスチェックの結果、問題のある従業員(「高ストレス者」と呼ばれる)が出て来た場合、会社は「本人の申し出」を条件に「医師による面接指導」を提供しなければならない。また、必要があれば、例えば就業場所の変更、作業内容の変更、労働時間の短縮、深夜業の回数を減らすなどの措置を講じることが義務付けられる。場合によっては、精神疾患が見つかり、会社を休まざるを得なくなるケースもあろう。

 就業規則に「病気やけがを理由とする休職制度」を設けている会社は多いが、業務に起因する精神疾患はこの休職制度の対象にはならないので注意したい。なぜなら、病気やけがを理由とする休職制度の趣旨は「解雇の猶予」にあるからだ。会社は、本来であれば労働契約が履行できなくなったことを理由として契約を解除(すなわち解雇)できるが、「会社の責めによらない理由」により労務の提供ができなくなった従業員が一定期間を経過すれば再び働けるようになる可能性がある場合、その間「解雇を猶予する」というのが休職制度ということになる()。

 もっとも、猶予した「一定期間」を満了してもなお職場復帰できなかったなら、当然に解雇できるわけではなく、会社には「解雇回避義務」が課せられる。
 たとえ就業規則で「休職期間満了時に、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に復していなければ、自動退職とする」と定めていたとしても、文字通り「自動退職」を事務的に進めてしまうのは危険である。
 過去の判例では、私傷病により休職していた従業員が休職期間満了時に、原職に戻れる程度にまで健康状態を回復していなかった場合、会社は、そのことをもって解雇するのは許されず、その者の状態に見合った業務量の軽減や配置転換等により雇用を継続するよう努めなければならないこととされている(大阪地判H11.10.4等)がある。ただし、その従業員のためにわざわざ新たな職務を用意することまでは求められていない(東京地判16.3.26)。

 業務に起因する傷病(精神疾患に限らない)の場合、休業している間およびその後30日間は解雇することができない(労働基準法19条1項)。上述のとおり、休職制度とは「解雇の猶予」であるため、そもそも「解雇ができない」業務に起因する精神疾患は、休職制度の対象にならないというわけだ。

休業 : 従業員が労働契約に従い労働の用意をなし、しかも労働の意思があるにもかかわらず、会社の責めによる理由で、それを拒否または不可能となった状況。任意の制度である「休職」とは異なる。労働基準法では、労働者の生活の最低保障を図るために、休業手当として平均賃金の100分の60以上の支払いを会社に義務付けている。

 高いストレスの中で仕事をする従業員の中には精神疾患を抱えている者が一定割合で存在する。それがストレスチェック制度によってより顕在化することで、企業はこうした従業員への対応に迫られる場面が増えるだろう。その場合、(精神疾患が業務に起因している限り)休職制度の利用は選択肢から外しておく必要がある。

2016/01/14 (新用語・難解用語)Comply and Explain

 Comply or Explainが「ルールに従え(comply:コンプライ)、従わないのであればその理由を説明せよ(explain:エクスプレイン)」を意味するのに対し、complyしたうえで、さらにexplainもせよ、ということを意味する。

 半年間の提出猶予措置を経て、3月決算法人のコーポレートガバナンス・コードに対応したコーポレートガバナンス報告書が12月に大量に提出されたが、東証1部上場企業1,480社のうちすべてのコードをコンプライ(=フルコンプライ)したのは205社であり、東証2部上場企業では380社のうち9社となっている。

 提出猶予を受けずに昨年の8月末までにコーポレートガバナンス報告書を提出した東証市場1部・2部上場企業の68社を見ると、その6割超に当たる41社がコードをフルコンプライしていたが、無理にフルコンプライするよりも、自社の課題を認識したうえで適度にエクスプレインがあった方が投資家の評価も高いとの認識が広がったこともあり(2015年7月14日のニュース「コンプライorエクスプレイン、投資家の評価が高いのは?」参照)、フルコンプライの割合は大幅に低下した格好だ。

 とはいえ、取締役会全体の実効性の分析・評価(補充原則4-11③)、議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳(補充原則1‐2④)など、エクスプレインする企業が半数を超えるとみられる一部のコードを除けば、多くの企業が補充原則を含め73あるコードの大部分をコンプライしている。

 こうした中、投資家などからは「コンプライについては包括的な説明が少なく、詳細な説明が少ない」「単純なコンプライだけでは対話につながらない」といった批判的な声が上がっている。そこで注目されているのが「Comply and Explain」だ。

 日本のコーポレートガバナンス・コードでは、あくまで「Comply or Explain」という方針をとっているため、コンプライした場合にはエクスプレインする必要はないわけだが、「Comply and Explain」では、・・・

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2016/01/14 (新用語・難解用語)Comply and Explain(会員限定)

 Comply or Explainが「ルールに従え(comply:コンプライ)、従わないのであればその理由を説明せよ(explain:エクスプレイン)」を意味するのに対し、complyしたうえで、さらにexplainもせよ、ということを意味する。

 半年間の提出猶予措置を経て、3月決算法人のコーポレートガバナンス・コードに対応したコーポレートガバナンス報告書が12月に大量に提出されたが、東証1部上場企業1,480社のうちすべてのコードをコンプライ(=フルコンプライ)したのは205社であり、東証2部上場企業では380社のうち9社となっている。

 提出猶予を受けずに昨年の8月末までにコーポレートガバナンス報告書を提出した東証市場1部・2部上場企業の68社を見ると、その6割超に当たる41社がコードをフルコンプライしていたが、無理にフルコンプライするよりも、自社の課題を認識したうえで適度にエクスプレインがあった方が投資家の評価も高いとの認識が広がったこともあり(2015年7月14日のニュース「コンプライorエクスプレイン、投資家の評価が高いのは?」参照)、フルコンプライの割合は大幅に低下した格好だ。

 とはいえ、取締役会全体の実効性の分析・評価(補充原則4-11③)、議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳(補充原則1‐2④)など、エクスプレインする企業が半数を超えるとみられる一部のコードを除けば、多くの企業が補充原則を含め73あるコードの大部分をコンプライしている。

 こうした中、投資家などからは「コンプライについては包括的な説明が少なく、詳細な説明が少ない」「単純なコンプライだけでは対話につながらない」といった批判的な声が上がっている。そこで注目されているのが「Comply and Explain」だ。

 日本のコーポレートガバナンス・コードでは、あくまで「Comply or Explain」という方針をとっているため、コンプライした場合にはエクスプレインする必要はないわけだが、「Comply and Explain」では、たとえコンプライした場合にも、何故・どのようにコンプライしたのかをエクスプレインすることになる。大東建託は73のすべての原則について自社の実施の仕方をエクスプレインし、「Comply and Explain」を実践している(第1回「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」の資料 9ページに紹介されているH社が大東建託である)。

 日本がモデルにした英国のコーポレートガバナンス・コードでは、主要原則は「Comply and Explain」とされている(補助原則は「Comply」、各則は「Comply or Explain」)。投資家との対話を活性化する観点からも、日本でも「Comply and Explain」の実践を求める声が投資家を中心に高まる可能性がありそうだ。

2016/01/14 セミナー「CG報告書12月提出企業のコーポレートガバナンス・コード対応」および「コーポレートガバナンス・コードに対応した取締役会評価」を2016年1月14日(木)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:CG報告書12月提出企業のコーポレートガバナンス・コード対応
WEBセミナー:コーポレートガバナンス・コードに対応した取締役会評価

上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2016年1月14日(木)の14時30分~17時40分に下記のセミナーを開催しました。

セミナーのパンフレットこちら

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:30

16:00
~CG報告書出そろう! 各社はどう書いたか?~
CG報告書12月提出企業の
コーポレートガバナンス・コード対応
三菱UFJ信託銀行(株)
法人コンサルティング部
会社法務コンサルティング室室長
中川 雅博 様
(なかがわ まさひろ)
第二部
16:10

17:40
~コンプライできない企業が最多の
コードへの対応のヒント~
コーポレートガバナンス・コードに対応した
取締役会評価
ジェイ・ユーラス・アイアール(株)
代表取締役
岩田 宜子 様
(いわた よしこ)

■第一部の詳細

セミナー
の内容
2015年6月1日から実施されているコーポレートガバナンス・コードに対応したコーポレートガバナンス報告書(CG報告書)が、半年間の提出猶予措置を経て、12月(3月決算法人の場合)に提出期限を迎えます。多くの企業がこの猶予措置を活用しているため、12月にはCG報告書の提出が集中することになります。言い換えれば、コーポレートガバナンス・コード導入1年目のプラクティスが、この12月に出揃うことになるわけです。今回出て来るCG報告書は、コーポレートガバナンス・コード導入初年度ということで、各社の“試行錯誤”の結果でもあります。コード対応に頭を悩ませた企業としては、他社がどのようなことを書いているのか、特に自社が記述に悩んだコードについては大いに気になるところでしょう。同時に、そこには導入2年目以降のコード対応をブラッシュアップする上で役に立つヒントがたくさん隠されているはずです。本セミナーでは、コーポレートガバナンス・コード対応コンサルティングを多数手掛けて来た三菱UFJ信託銀行様に、各コードへの対応状況のデータを集計・分析していただくとともに、特徴的な記載、今後のプラクティスの参考になる記載などについて整理・解説していただきます。
講師の
ご紹介
中川 雅博(なかがわ まさひろ)様
大阪大学法学部卒、大阪大学大学院法学研究科(修士課程)修了。1990年、東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社。以後、証券代行部門・法人ビジネス部門に所属し、一貫して会社法務に関するコンサルティングを行う。現在、三菱UFJ信託銀行㈱法人コンサルティング部会社法務コンサルティング室室長、全国株懇連合会理事、東京株式懇話会常任幹事(研究部 研究第1部担当)。
ハンドブックシリーズ1「株主総会」(共著:平成14年12月・商事法務)、ハンドブックシリーズ2「株式実務」(共著:平成15年4月・商事法務)、「委員会等設置会社への移行戦略」(共著:平成15年5月・商事法務)、「株券電子化と移行のポイント」(共著:平成20年5月・商事法務)、「株券電子化-その実務と移行のすべて」(共著:平成20年8月・きんざい)、「全株懇モデル[新訂2版]」(共著:平成21年3月・商事法務)、「株式事務の基礎知識」(平成21年11月・商事法務)、「株主総会の準備実務・想定問答」(共著:平成27年2月・中央経済社)、「新株主総会実務なるほどQ&A」(共著:平成27年3月・中央経済社)、「株主総会ハンドブック第3版」(共著:平成27年3月・商事法務)、「株主総会・取締役会・監査役会の議事録作成」(共著:平成27年3月・清文社)、「監査等委員会設置会社の活用戦略」(共著:平成27年9月・商事法務)など著書多数。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
73個あるコーポレートガバナンス・コードの中で、企業がもっとも対応に苦慮しているのが補充原則4-11③「取締役会全体の実効性評価」です。実際、金融庁・東証が公表した2015年8月末時点の調査結果によると、同コードはエクスプレインの比率が一番高いコードとなっています。企業からは「そもそも取締役会評価とはどのようにやればよいのか」という声も聞かれるように、取締役会評価はコーポレートガバナンス・コードの本場である英国や、ニューヨーク証券取引所の上場規則によりルール化されている米国では一般的なプラクティスとなっているものの、日本では馴染みがありません。本セミナーでは、英国、米国をはじめとする世界の金融市場、機関投資家にネットワークを持ち、海外のIRやコーポレートガバナンスはもちろん、取締役会評価のプラクティスにも精通するジェイ・ユーラス・アイアール(株)で代表取締役を務める岩田宜子様をお招きし、海外の取締役会評価のプラクティスをご紹介いただきつつ、同社がこれまで多数手掛けてきた日本企業への取締役会評価事例を踏まえ、日本企業にフィットし、かつ投資家にアピールする取締役会評価の進め方について解説していただきます。
講師の
ご紹介
岩田 宜子(いわた よしこ)様
ジェイ・ユーラス・アイアール(株) 代表取締役。日本IR学会 理事。慶応義塾大学経済学部卒業後、米系銀行の東京支店にて、外国為替、融資、ALM分析、リスク管理計画など多岐にわたる業務を経験。米国IRコンサルティング会社、テクニメトリックス(現トムソン・ファイナンシャル・インベスター・リレーションズ)の日本・韓国担当シニア・ディレクターを経て、2000年12月に日系初のグローバルIRコンサルティング会社となるジェイ・ユーラス・アイアール(株)を設立。米国および英国に自社のコンサルタントを常駐させることにより、国内のみならず海外の資本市場の最新動向も踏まえながら、日本企業のグローバルなIR活動や、取締役会評価を含むコーポレートガバナンス体制の整備などを支援している。東証優良企業選定委員(07年~11年)
主な著書に、『新世紀マネージメント―市場に真摯なIR、情報開示ポリシー作りの3原則』(日経ビジネス、00年)、『投資家・アナリストの共感をよぶIR』(共著、東洋経済新報社、01年)、『機関投資家対応 IR・株主総会マニュアル』(共著、中央経済社、07年)、『ファンドマネージメント大全~資産運用会社の経営と実務~』(共著、同友館、13年12月)、「スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コード~日本企業への影響とIR活動~」(同友館、14年12月)等がある。その他、「アメリカ最新事情に見る総会の役割」(週刊東洋経済2000.6.10/6.17号)、「目からうろこシリーズ~企業統治開示の新潮流」(日本経済新聞、10年8月、8回連載)、「なるほど投資講座シリーズ~企業統治開示の最新事情」(日本経済新聞、11年8月、4回連載)など、寄稿多数。

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は2万円(税込 ※)となっております。
※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

会員登録はこちらから

会員でない方のお振込方法等の詳細はお申込みの受付けメール(下記の「お申込みはこちらから」のボタンをクリック後、お名前等をご入力いただいた後自動送信されるメール)にてご連絡いたします。
ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 CG報告書12月提出企業のコーポレートガバナンス・コード対応
  • 第二部 コーポレートガバナンス・コードに対応した取締役会評価
  • 【日時】2016年1月14日(木)14時30分~17時40分
  • 【場所】六本木ヒルズ森タワー23階 TMI総合法律事務所セミナールーム
  • 【受付】六本木ヒルズ森タワー1階ロビー 14時より
  • 【講師】第一部 三菱UFJ信託銀行(株)
            法人コンサルティング部 会社法務コンサルティング室室長
            中川 雅博 様
        第二部 ジェイ・ユーラス・アイアール(株)
            代表取締役 岩田 宜子 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は2万円(税込)

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2016/01/13 横浜マンション傾斜事件が示した企業価値を左右する要素

 昨年(2015年)発生した横浜マンション傾斜事件(事件の詳細については【失敗学第20回】旭化成建材の事例を参照)では、建設元請が世間の強い批判にさらされたが、それとともに問題視されたのが、事件に関わった企業の・・・

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2016/01/13 横浜マンション傾斜事件が示した企業価値を左右する要素(会員限定)

 昨年(2015年)発生した横浜マンション傾斜事件(事件の詳細については【失敗学第20回】旭化成建材の事例を参照)では、建設元請が世間の強い批判にさらされたが、それとともに問題視されたのが、事件に関わった企業の「企業風土」だ。

<横浜マンション傾斜事件を巡る契約関係>
※三井不動産レジデンシャルとマンション購入者間が売買契約である以外はすべて請負契約となっている。

compliance15193

 建築物の安全性に対する信頼を根底から揺るがしたこの事件の原因を分析し、同種の事件の再発を防止するべく、国土交通省の有識者会議が昨年(2015年)12月25日に「中間報告書」を公表したが(全文は「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会 中間とりまとめ報告書」参照)、報告書では、「くいの支持層到達の判断が下請任せであった」「適正な施工を確保するためには、元請が工事全体の施工を管理する統括的な役割を果たすことが重要」などとして建設元請の責任を厳しく指摘するとともに、「企業風土」を事件の一因に挙げている。

 企業風土とは、企業において社員の中で共有される固有の価値観、気風(社風)と言えるが、報告書では、建設業界全体に広がっているデータ流用の背景に、「データ流用を許容する業界の風潮・企業の風土」と「個人の意識の問題」があると指摘したうえで、これらが変わるためには、「不正に対する企業経営者の真摯な姿勢と高い倫理感も求められる」とし、経営者にコンプライアンスを基礎にした企業風土の形成を促している。

 悪い企業風土は不祥事を惹起しやすく、そして一度不祥事が起これば、投資先企業のレピュテーションブランドイメージを脅かす。それはやがて売上や利益の減少などを通じて企業価値を毀損していく恐れがある以上、投資家にとってはまぎれもないリスクであり、投資において考慮せざるを得ない。特に最近はESG要因を投資評価において考慮する機関投資家が増加する中、投資家が、本事案に関係した上場企業に対しESGの観点からネガティブな評価を下したことは言うまでもない(企業風土はESGにおけるG(ガバナンス)に関係する)。逆に、良い企業風土は会社のブランドイメージを高め、顧客、社会、従業員、株主等ステークホルダーの信頼、支持を獲得できるため、中長期的・安定的な企業価値の向上につながる可能性が高い。

 投資の際にESG要因を考慮することを求める国連責任投資原則は2006年の策定から今年で10周年を迎えるが、年金基金などの資産保有者やその運用を手がける運用機関などでこの原則に署名した者はグローバルでは1,452にのぼり、運用総資産は59兆ドルにまで増大している。日本でも、世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が同原則に署名したことにより、日本の機関投資家においても、ESG要因を考慮して投資評価を行うことがメガトレンドとなっていくだろう(2015年11月17日のニュース「ESG投資が日本で広まる根拠」参照)。

 企業風土はえてして不祥事が発生した際に問題とされることが多く、業績が好調である限り、経営陣も意識することは少ないだろう。しかし、投資家、特に規模の大きい年金基金や保険会社等の長期投資家は、自家運用か投資運用会社への委託運用かを問わず、企業のコーポレートガバンナンス・コードへの対応状況や「Comply or Explain」の説明に対する評価、会社とのエンゲージメント(対話)を通じて、会社の企業風土を嗅ぎ取り、投資判断に役立てている。

 経営陣は、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るうえでも、社員を巻き込んで自社の企業風土を改めて分析すするともに、その改善を真剣に話し合ってみるべきだろう。

2016/01/12 最高裁判決が“模倣”を促進も

 企業がビジネスを行っていくうえでつきまとう悩みの1つは「模倣」だろう。これを防ぐ仕組みが特許と言えるが、特許には期限がある。こうした中、期限切れの特許技術を使って、先行して売り出された製品と同じ機能・効用を持つ廉価な製品が売り出され、国としてもその積極的な活用を推進するという、他の業界ではあまり考えられないようなビジネス形態が存在するのが、製薬業界だ。

 特許期間が終了した薬は、有効成分、分量、用法、用量、効能および効果が同じものを他の製薬企業が別の医薬品として申請・製造・販売することができる。こうした医薬品は「後発薬(ジェネリック)」と呼ばれているのは周知のとおり(これに対し、先行して販売されている医薬品は「先発薬」と呼ばれる)。この後発薬を巡り、製薬業界はもちろん、企業の知財関係者の注目を集めているのが、・・・

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