2015/10/29 (新用語・難解用語)マイクロマネジメント

 元々は、上司が部下の業務の微細なところまで指示・監督し、部下の自主性を全く尊重しないようなマネジメント手法のことを指すネガティブな言葉だが、最近はコーポレートガバナンスの世界でもしばしば使われている。

 そのきっかけとなったのが、コーポレートガバナンス・コードが打ち出した「攻めのガバナンス」の姿勢だ。同コードが導入されたのは2015年6月1日だが、その前の3月5日に公表されたコーポレートガバナンス・コード原案には、同コードが「経営陣が結果責任を問われることを懸念して“リスク回避”的な方向に偏ることがないよう「攻めのガバナンス」の実現を目指している」ことが明記されていた(原案の2ページ~。「本コード(原案)の目的」の「7」)。この記述は現在の正式なコーポレートガバナンス・コードの本文からは削除されているが(「資料編」として末尾には添付)、同コードが持つこの精神が消えたわけではない。これは現コードの随所に表れている。例えば、基本原則4の「考え方」には、経営判断の失敗に伴い経営陣が損害賠償責任を負うかどうかを左右する「意思決定過程の合理性」を担保する機能が同コードにはある旨が明記されているほか、補充原則4-3②は、取締役会が単なる“リスク回避”の場にならないよう釘を刺している。

補充原則4-3②
 コンプライアンスや財務報告に係る内部統制や先を見越したリスク管理体制の整備は、適切なリスクテイクの裏付けとなり得るものであるが、取締役会は、これらの体制の適切な構築や、その運用が有効に行われているか否かの監督に重点を置くべきであり、個別の業務執行に係るコンプライアンスの審査に終始すべきではない。

 こうした攻めのガバナンスを実現するうえで、マイクロマネジメント思考を持つタイプの役員はボトルネックになりかねない。取締役会で“うるさ型”と言われ、大胆な経営戦略や斬新な新規事業を、重箱の隅を突いたような「リスク」を強調することで否定してきた役員は、・・・

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2015/10/29 (新用語・難解用語)マイクロマネジメント(会員限定)

 元々は、上司が部下の業務の微細なところまで指示・監督し、部下の自主性を全く尊重しないようなマネジメント手法のことを指すネガティブな言葉だが、最近はコーポレートガバナンスの世界でもしばしば使われている。

 そのきっかけとなったのが、コーポレートガバナンス・コードが打ち出した「攻めのガバナンス」の姿勢だ。同コードが導入されたのは2015年6月1日だが、その前の3月5日に公表されたコーポレートガバナンス・コード原案には、同コードが「経営陣が結果責任を問われることを懸念して“リスク回避”的な方向に偏ることがないよう「攻めのガバナンス」の実現を目指している」ことが明記されていた(原案の2ページ~。「本コード(原案)の目的」の「7」)。この記述は現在の正式なコーポレートガバナンス・コードの本文からは削除されているが(「資料編」として末尾には添付)、同コードが持つこの精神が消えたわけではない。これは現コードの随所に表れている。例えば、基本原則4の「考え方」には、経営判断の失敗に伴い経営陣が損害賠償責任を負うかどうかを左右する「意思決定過程の合理性」を担保する機能が同コードにはある旨が明記されているほか、補充原則4-3②は、取締役会が単なる“リスク回避”の場にならないよう釘を刺している。

補充原則4-3②
 コンプライアンスや財務報告に係る内部統制や先を見越したリスク管理体制の整備は、適切なリスクテイクの裏付けとなり得るものであるが、取締役会は、これらの体制の適切な構築や、その運用が有効に行われているか否かの監督に重点を置くべきであり、個別の業務執行に係るコンプライアンスの審査に終始すべきではない。

 こうした攻めのガバナンスを実現するうえで、マイクロマネジメント思考を持つタイプの役員はボトルネックになりかねない。取締役会で“うるさ型”と言われ、大胆な経営戦略や斬新な新規事業を、重箱の隅を突いたような「リスク」を強調することで否定してきた役員は、コーポレートガバナンス・コードの導入を機に自らの姿勢を振り返り、思考パターンを見直してみるとよいだろう。

 また、社外取締役はともすればマイクロマネジメント思考に陥りやすい。ある社外取締役から、「(同じ会社の他の社外取締役が)あまりにも社内規程の不備や経理の細かい話ばかりするので、本質的なビジネスの議論ができなかった」という愚痴を聞いたことがあるが、社外取締役に期待されるのは、「経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと」(【原則4-7.独立社外取締役の役割・責務】(ⅰ))であり、決して監視やネガティブ・チェックをすることではない(こうした「守りの機能」は監査法人や弁護士、社内・外監査役の仕事である)。社外取締役は他のボードメンバーとともに企業価値を高める“同志”であり、この意識を共有できない人物はそもそも社外取締役に適していない可能性が高い。

 特に最近は監査役等委員会設置会社に移行する会社が相次いでおり(2015年10月26日のニュース「監査等委員会設置会社、来年400社説も 任意の委員会は社内取締役が過半」参照)、社外監査役からスライドした社外取締役が急増している。社外監査役からのスライド組は、マイクロマネジメントに陥らないよう、監査役のマインドを取締役のマインドに変える意識を持つ必要がありそうだ。

2015/10/28 「相当数の反対票」とは?

 2015年3月から6月に株主総会を開催したTOPIX100構成銘柄のうち99社における取締役選任議案の平均賛成率は95.2%にのぼったが(2015年10月9日のニュース「議案数が大幅減のテーマは? 2015年株主総会の分析結果」参照)、ROEが低迷する企業においては、経営トップの選任議案への賛成率が80%台に低迷する企業が少なからず見られたところだ。

 コーポレートガバナンス・コードの補充原則1-1①では、「相当数の反対票が投じられた」会社提案議案があった場合には、原因を分析し、場合によっては株主への説明(対話)を求めている。

補充原則1-1①
取締役会は、株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案があったと認めるときは、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析を行い、株主との対話その他の対応の要否について検討を行うべきである。

 そこで気になるのが、「相当数の反対票」とは一体どれくらいの反対があった場合を指すのかということだ。必ずしも明確な数字があるわけではないが、関係者への取材では、・・・

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2015/10/28 「相当数の反対票」とは?(会員限定)

 2015年3月から6月に株主総会を開催したTOPIX100構成銘柄のうち99社における取締役選任議案の平均賛成率は95.2%にのぼったが(2015年10月9日のニュース「議案数が大幅減のテーマは? 2015年株主総会の分析結果」参照)、ROEが低迷する企業においては、経営トップの選任議案への賛成率が80%台に低迷する企業が少なからず見られたところだ。

 コーポレートガバナンス・コードの補充原則1-1①では、「相当数の反対票が投じられた」会社提案議案があった場合には、原因を分析し、場合によっては株主への説明(対話)を求めている。

補充原則1-1①
取締役会は、株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案があったと認めるときは、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析を行い、株主との対話その他の対応の要否について検討を行うべきである。

 そこで気になるのが、「相当数の反対票」とは一体どれくらいの反対があった場合を指すのかということだ。必ずしも明確な数字があるわけではないが、関係者への取材では、「賛成率が80%台」という意見が多く聞かれる。いずれにせよ、「可決された」ということだけで胸を張れる時代ではなくなったということは間違いない。

 さらに、遠くない将来、取締役選任議案や剰余金の処分案など主な議案を「個別開示」の対象とする“準個別開示”制度の導入を予想するガバナンスの専門家は少なくない。機関投資家の議決権行使結果を1社ごとに開示する「個別開示」制度は日本版スチュワードシップ・コードではまだ導入されていないが、英国や米国では既に導入されているだけに、日本での導入も「時間の問題」だろう。

 個別開示制度が導入されれば、どの投資家がどの取締役の選任議案に反対したかが分かるようになる。海外機関投資家の反対比率が高いのに日本の機関投資家の賛成率が高いということになれば、何らかの利益相反(例えば同じグループに属する企業の議案への賛成率を高くしている)を指摘する声が上がるかもしれない。また、社外取締役の選任議案への賛成率がメディアや研究者の分析の対象になることもあり得る。最近は社外取締役の取締役会出席率がチェックされるようになっているが(出席率が4分の3以上ないと賛成率が低くなると言われている)、出席率が高く、独立性にも問題がないにもかかわらず賛成率が低いとなれば、「能力に問題あり」ということが白日の下に晒されているに等しい(もしくは、スキャンダルを持っているということも考えられる)。

 企業は益々「賛成率」を気にせざるを得なくなりそうだ。

2015/10/27 不祥事発見に必要な社外取締役の視点

 このところ企業の不祥事が相次いでいるが、不祥事が発生するたびに浮上するのが「社外取締役が機能していなかったのでは?」という論調だ。現実問題として、社外取締役が不祥事を発見するのは容易ではないケースが少なくないが、最近の不祥事事例を見ていると、発見可能性を高めるために社外取締役が持つべき1つの視点が見えて来る。それは、・・・

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2015/10/27 不祥事発見に必要な社外取締役の視点(会員限定)

 このところ企業の不祥事が相次いでいるが、不祥事が発生するたびに浮上するのが「社外取締役が機能していなかったのでは?」という論調だ。現実問題として、社外取締役が不祥事を発見するのは容易ではないケースが少なくないが、最近の不祥事事例を見ていると、発見可能性を高めるために社外取締役が持つべき1つの視点が見えて来る。それは、事業が置かれている環境を“俯瞰”する能力だ。

 例えば、東洋ゴムにとって防振ゴム事業は売上・利益ともに小さい「周辺事業」であり、実際に検査人員の数も減らしていた。最大手のブリヂストンが技術力・競争力で圧倒的な存在感を見せる中、十分な収益を確保するのは難しかったという状況があったものと想定される。同様に東芝のケースも、グローバルで競争力を失っている事業に対して高い収益目標を掲げたことに根本的な問題があったと考えられる。株主の立場から見た場合、これらの事業について、「そもそも継続するべきだったか」「他社との合併など事業の再編は選択肢としてなかったのか」といった点が経営サイドにおいて検討されたのかどうかは非常に関心が高い。

 達成困難な目標が掲げられていると、短期的な利益確保に走るか、極端な場合には不正が行われることになり、どちらの場合においても長期的な企業価値は失われる。そのような事業に対して冷静に“タオルを投げ入れる”経営判断が出来る仕組みと心構えを業務執行取締役などの経営陣が持ち、かつ、それが適正に実施されているかどうかを監督するのは、社外取締役の重要な役割であろう。

 社外取締役が事業の細かい中身までチェックするのは難しいが、少なくともその業界や競争環境についての大局観(当該事業が置かれている環境を俯瞰する目)は持っておく必要がある。これは企業内部にいる経営陣が見落としがちな視点であるだけに、株主が社外取締役にもっとも期待する能力の1つと言えそうだ。

2015/10/26 監査等委員会設置会社、来年400社説も 任意の委員会は社内取締役が過半

 今年(2015年)5月1日から施行された改正会社法で導入された「監査等委員会設置会社」に移行した上場会社が158社に到達したという。これは全上場会社の4.5%にあたる数字だ(東証「第2回(2015年10月20日) スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」の資料2ページ参照)。周知のとおり、監査等委員会設置会社に移行する大きな理由は、・・・

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2015/10/26 監査等委員会設置会社、来年400社説も 任意の委員会は社内取締役が過半(会員限定)

 今年(2015年)5月1日から施行された改正会社法で導入された「監査等委員会設置会社」に移行した上場会社が158社に到達したという。これは全上場会社の4.5%にあたる数字だ(東証「第2回(2015年10月20日) スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」の資料2ページ参照)。周知のとおり、監査等委員会設置会社に移行する大きな理由は、移行により従来の社外監査役を社外取締役に横滑りさせることができるという点にある。コーポレートガバナンス・コード原則4-8が求める「2名以上の独立社外取締役」を置いている上場会社は東証一部でも48.4%、東証二部では19.6%に過ぎないことから(2015年7月29日現在。上記資料8ページ参照。ちなみに、マザーズでは12.7%、ジャスダックでは10.3%)、今後も監査等委員会設置会社への移行は増加していくだろう。専門家からは「来年には400社を超えるのでは」との予想も聞かれる。監査等委員会設置会社への移行にあたっては、社内監査役の処遇をどうするかといった難しい問題も存在するものの(2015年3月20日のニュース「監査等委員会設置会社への移行で監査役の処遇は?」、【2015年3月の課題】社外取締役ゼロの状況の解消参照)、移行を実行した企業はそれを上回るメリットがあると判断したということだろう。

 2015年5月19日のニュース「監査等委員会設置会社への移行だけでは足りないもの」では、監査等委員会設置会社への移行にあたっては、任意で指名(諮問)委員会、報酬(諮問)委員会を設置するなどの取組みが求められる旨指摘したところだが、上記東証の発表によると、これらの委員会の設置が義務付けられていない監査役会設置会社・監査等委員会設置会社でも、指名委員会等設置会社における報酬委員会に相当する機能を有する委員会を持つ会社が219社、同じく指名委員会に相当する機能を有する委員会を持つ会社が152社にのぼっている。役員の指名・報酬を念頭に、必要に応じ「任意の仕組み」を活用すべきとするコーポレートガバナンス・コード原則4-10を踏まえた動きと言えそうだ。

 ただ、監査役会設置会社・監査等委員会設置会社が設置した委員会のメンバー構成を見ると、委員会に占める社外取締役の割合は、指名委員会で43.3%(社内取締役は42.2%)、報酬委員会で39.9%(社内取締役は42.5%)となっている。指名委員会等設置会社においては、指名委員会で71.9%、報酬委員会で73.1%を社外取締役が占めていることと比較すると物足りない印象は否めず、特にグローバルな投資家などは不満を抱く可能性もある。今後は任意の委員会の中身にも注目が集まることになりそうだ。

2015/10/26 【2015年9月の課題】投資家を納得させる業績予想:解答(会員限定)

日本企業における業績予想の問題点

 業績予想は企業と投資家の対話の“たたき台”となるものでもあり、機関投資家も高い関心を持っています。もっとも、機関投資家が興味を持っているのは、業績予想の数字そのものよりも、その「根拠」です。業績予想の根拠が曖昧なままだと、どうしても「業績の達成度」だけで株価が上下しがちになりますが、根拠が明確かつ不変であれば、株価も安定的に推移しやすくなります。

 欧米企業の業績予想開示を見ると、可能な限り投資家の意識を「中長期」に向け、短期的な情報によって株価が乱高下することを避ける工夫がされています。これに対し、日本企業の業績予想は短期投資家のニーズに応えたものになりがちです。日本企業の業績開示における問題点を挙げれば、以下のとおりです。

(1)業績予想が細かすぎ、コミットできないはずの数字を目標として掲げているケースが多い。
(2)特に中期計画では、最終期にかけて業績が急伸する予想がしばしば見られ、その根拠が希薄。また、多少の期ズレにより容易に下方修正が起こり得る。
(3)製品情報をはじめとする細かなKPI情報を開示し過ぎており、競合へのノウハウ流出などの悪影響が懸念されるものもある。

機関投資家が求める情報とは?

 では、機関投資家が必要としているのは具体的にどのような情報なのでしょうか。「中期」と「短期」に分けて見ていきましょう。

 まず中期については、機関投資家は、「中期的なビジネス環境」とそれを踏まえて企業がとろうと考えている「戦略」を共有したいと考えています。具体的には、「大まかな市場規模と成長率」「その市場における企業の立ち位置と成長戦略に整合的な投資計画」を、できるだけ長期的に示しておくことが重要です。できればリスク・シナリオも示しておくと、開示情報に対する信頼性がより高まります。また、投資家は競合他社の状況も当然把握しているため、自社と競合他社との差異を説明することも、開示情報に説得力を与えてくれることになります。ある一時点の売上や利益の数字は、機関投資家にとって大きな意味はありません。長期になれば、当然予想のズレは大きくなるからです。

 これに対し、短期の業績予想には精度が求められることになります。とはいえ、短期の業績は為替や原油・商品価格などマクロ経済指標の変化の影響を受けることになります。そこで、自社の業績に影響を与える外部要因の前提条件と、その変化に対する短期業績の「感応度」を示しておくことが重要です。これにより投資家の予見可能性が高まり、短期業績の上触れor下振れによる株価の乱高下を避けることができます。また、投資家との対話においても、マクロ環境の変化によって影響を受ける単純な業績の達成度ではなく、「経営の成果がどうであったか」という本質的な議論が可能となるはずです。

市場の期待と実態のかい離は「市場との対話」で埋める

 業績予想は強気に出すべきか、あるいは慎重に出すべきかで悩む企業は少なくないようです。

 強気過ぎる予想は信頼を失い、慎重過ぎる予想は予想の意味がありません。「やや慎重な予想」が適切でしょう。その結果上方修正の常連企業となれば、企業が強気の予想を出さなくても、投資家が勝手に強気の予想をするようになります。また、業績が下振れすることがあっても、「一過性」と判断してもらえることが多くなります。逆に、下方修正の“常習犯”となると、市場からの信頼を失い、たとえ業績が予想を上回っても「一時的」と判断されることになりかねません。投資家から見ると、業績の未達は“ご法度”なのです。

 また、投資家を失望させないためには、企業は漫然と業績予想を出すだけでなく、「市場のコンセンサス」がどこにあるのか把握するよう努めなければなりません。市場の期待が実態と乖離している場合には、市場との「対話」によってそれを修正しておく必要があります。具体的には、セルサイド・アナリストを有効に活用するとよいでしょう。セルサイド・アナリストは証券会社に所属し、株式を売る側の立場にいます。セルサイド・アナリストが作成するアナリスト・レポートは、証券会社の顧客である個人投資家や機関投資家に提供され、投資家はこれを投資先の選定や売買のタイミングの判断に利用します(ちなみに、「バイサイド・アナリスト」とは運用会社に所属するアナリストであり、そのレポートは、自社のファンドマネージャーの運用成績向上のために作成されます)。フェア・ディスクロージャー(公平な情報開示)を堅持しつつ、できるだけ市場に“サプライズ”が起こらないように誘導するわけです。業績予想の前提条件等をあまり細かく開示するよりも、大まかな開示でまずは投資家にイメージを掴ませ、あとは対話によって微修正していくというやり方が賢明でしょう。

 以上のように、業績予想の開示には「戦略」が必要です。現状では、多くの日本企業が短期的かつ詳細な業績予想中心の開示を行っているのに対して、欧米企業は自社が長期的に目指す方向性や事業戦略を投資家に擦り込むことに力を入れ、業績予想においては細かな情報を示すことをできるだけ避けながら、投資家の予見可能性を高める工夫をしています。このような欧米企業の業績予想に関する開示姿勢は、日本企業にとっても大いに参考になるでしょう。

2015/10/25 【2015年10月の課題】株価下落時における投資家とのミーティングで用意すべき情報

2015年10月の課題

 貴社の足元の業績は順調に推移しており、海外の現地法人からの報告にも大きな変化は見られません。しかし、貴社の株価は海外市場の変動を受け大きく下落しています。このような場合、投資家とのミーティングではどのような情報を用意し、また、どのようなことに留意する必要があるでしょうか?

 貴方の考えを述べてください。

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