2015/08/26 セミナー「2015年6月株主総会の徹底分析」および「他社事例で学ぶ機関投資家目線のコーポレートガバナンス・コード対応」を2015年8月26日(水)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:2015年6月株主総会の徹底分析
WEBセミナー:他社事例で学ぶ機関投資家目線のコーポレートガバナンス・コード対応

上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2015年8月26日(水)の14時30分~17時40分に下記のセミナーを開催いたします。
詳細はこちらもご覧ください。

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:30

16:00
~コーポレートガバナンス・コード実施後初の総会で
投資家はどう動いたか?賛成率の低い議案は?~
2015年6月株主総会の徹底分析
EY総合研究所
未来経営研究部
上席主任研究員
深澤 寛晴 様
第二部
16:10


17:40
~各社の開示資料を機関投資家目線でレビューした結果見えて来た
ベストプラクティスと”誤解”とは?~
他社事例で学ぶ機関投資家目線のコーポレートガバナンス・コード対応
EY総合研究所
未来経営研究部 
部長 主席研究員
藤島 裕三 様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
 コーポレートガバナンス・コードが実施(2015年6月1日~)されてから初めて迎えた3月決算各社の株主総会の内容がどのようなものであったのかは、上場会社の皆様にとって非常に気になるところかと思います。本セミナーでは、上場会社の株主総会を長年ウォッチし続け、その的確な分析に定評のあるEY総合研究所・上席主任研究員の深澤寛晴様をお招きし、2015年6月株主総会の動向を詳しく解説していただきます。
 具体的には、今株主総会における注目のトピックスを総ざらいしていただきつつ、特徴的な議案や株主の関心事、国内外の機関投資家の賛否動向、賛成率の低かった議案とその原因などを解説していただきます。また、各社が株主総会に際してコーポレートガバナンス・コードについてどう対応したのか、コーポレートガバナンス・コード関係の情報開示は進んだのか、などについて、コーポレートガバナンスの専門家でもある深澤様の見解も交えながら、掘り下げていただきます。他社の総会動向を知ることで、今後の自社の総会対応やガバナンス体制の構築において有用なヒントが見つかるはずです。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
 コーポレートガバナンス・コードの適用開始後まだ株主総会を迎えていない会社はもちろん、3月決算会社をはじめ既に株主総会を終えた会社においては、6か月の提出猶予期間を活用することにより、現在まで同報告書を提出していない会社が多くを占めています。こうした会社にとって大いに参考になるのが、先行他社の開示事例です。6月1日のコード実施以降、コーポレートガバナンス・コードへの対応を示すコーポレートガバナンス報告書を提出する企業、さらには各原則への詳細な取組みを自社HPに掲載する企業が継続的に現れていますが、その中には「良い例」であるかそうでないかに関わらず、大いに参考になるものが多数あります。本セミナーでは、コーポレートガバナンスの専門家である、EY総合研究所・主席研究員の藤島裕三様をお招きし、各社のコーポレートガバナンス・コード関連の開示資料(自社HPに掲載されたものを含む)を投資家目線を踏まえて評価していただき、先行事例をご紹介いただくとともに、その理由や活用策を示していただきます。なかには、自社で「良かれ」と思ってやっていたことが、投資家にはネガティブな印象を与えていることもあります。本セミナーは、こうした誤解に気付き、真に投資家目線の開示を実現する上で非常に役立つはずです。

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は2万円(税込 ※)となっております。
※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

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会員でない方のお振込方法等の詳細はお申込みの受付けメール(下記の「お申込みはこちらから」のボタンをクリック後、お名前等をご入力いただいた後自動送信されるメール)にてご連絡いたします。
ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 2015年6月株主総会の徹底分析
  • 第二部 他社事例で学ぶ機関投資家目線のコーポレートガバナンス・コード対応
  • 【日時】2015年8月26日(水)14時30分~17時40分
  • 【場所】六本木ヒルズ森タワー23階 TMI総合法律事務所セミナールーム
  • 【受付】六本木ヒルズ森タワー1階ロビー 14時より
  • 【講師】第一部 EY総合研究所 未来経営研究部 上席主任研究員 深澤 寛晴 様
        第二部 EY総合研究所 未来経営研究部 部長 主席研究員 藤島 裕三 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は2万円(税込)

セミナー参加費の請求書はこちらから

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2015/08/25 大規模化するアクティビスト

 アクティビストというと、日本では中小ファンドによる特異な行動といったイメージを持つ向きも多いようだ。海外でもかつては中小ファンドが中心だったが、最近ファナックに自社株買いによる株主還元を求め話題を呼んだサード・ポイントの運用規模が1兆円を優に超えているように、ここ4~5年、リーマンショックを経て金融市場がリカバリーしていくプロセスの中で、大規模なアクティビストが出て来ている。

 こうした大規模なアクティビストの特徴の1つと言えるのが、ファナックの一件がそうだったように、・・・

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2015/08/25 大規模化するアクティビスト(会員限定)

 アクティビストというと、日本では中小ファンドによる特異な行動といったイメージを持つ向きも多いようだ。海外でもかつては中小ファンドが中心だったが、最近ファナックに自社株買いによる株主還元を求め話題を呼んだサード・ポイントの運用規模が1兆円を優に超えているように、ここ4~5年、リーマンショックを経て金融市場がリカバリーしていくプロセスの中で、大規模なアクティビストが出て来ている。

 こうした大規模なアクティビストの特徴の1つと言えるのが、ファナックの一件がそうだったように、優良企業に対しても容赦しないという点だ。例えば、ある会社がM&Aをやったところ「このディールは判断を間違っている」と指摘したり、「この取締役は問題があるので、我々が推す取締役を入れて欲しい」と提案したり、投資先のかなり細かいところまでチェックしたりする。

 そして、自らの提案を実現するためには一般の投資家や議決権行使助言会社を上手く活用していく。例えば、「我々は現在5%の株式を保有しており、・・・という提案をするけれども、賛同しませんか」とインターネット等により一般投資家に呼びかけ、それとともに、議決権行使助言会社が「このアクティビストの言っていることは正しいと思う」と声明を出す(議決権行使助言会社には、株主提案に対して個別にジャッジメントするサービスもある)。例えば大塚家具の一件のように株主の意見が分かれているケースで、アクティビスト側が押されている状況にあったとしても、議決権行使助言会社がアクティビストの提案を支持する声明を出した結果、一般投資家も支持に回り、一気に賛否がひっくり返ってしまうということがある。運用会社が“先制攻撃”し、その提案がリーズナブル(合理的)なものであれば、これに一般の投資家もパラサイトするという構図だ。

 日本では、時価総額の小さい中堅企業がアクティビストに狙われるパターンがよく聞かれるが(2015年2月24日のニュース「中堅企業に向かうアクティビスト」参照)、大規模アクティビストの活動が本格化すれば、大手企業も安閑とはしていられないだろう。

2015/08/24 在宅勤務はバラ色か?

 最近、リクルート社が特定の部門や職種に限定せず“全社的”に在宅勤務制度を導入することを表明し、話題を呼んだ。同社の取組みは在宅勤務制度の普及を後押しする可能性もあるが、在宅勤務制度を検討する際には、メリット以上にデメリットや労務上のリスクを直視する必要がある。

 在宅勤務制度の最大のメリットは、通勤時間がなくなることだろう。浮いた時間は休養、家族との触れ合いなどに充てることが可能であり、近年叫ばれている「ワーク・ライフ・バランス」の実現に役立つ。会社にとっては、通勤手当を支払わずに済むほか、オフィスの家賃や水道光熱費等が削減できるというメリットもある。

 一方、デメリットとしてまず挙げられるのが、フォーマル・インフォーマル両面において社内コミュニケーションが取りにくくなるということだ。在宅勤務であっても最小限必要な会議等に出席させることは可能だが、それだけでは職場の一体感は希薄になり、部門間の連携も難しくなるなど、組織力の低下につながる恐れがある。また、会社全体として知識・情報・ノウハウの共有・蓄積が図りにくくなることも考えられる。

 もう一点注意しなければならないのが、・・・

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2015/08/24 在宅勤務はバラ色か?(会員限定)

 最近、リクルート社が特定の部門や職種に限定せず“全社的”に在宅勤務制度を導入することを表明し、話題を呼んだ。同社の取組みは在宅勤務制度の普及を後押しする可能性もあるが、在宅勤務制度を検討する際には、メリット以上にデメリットや労務上のリスクを直視する必要がある。

 在宅勤務制度の最大のメリットは、通勤時間がなくなることだろう。浮いた時間は休養、家族との触れ合いなどに充てることが可能であり、近年叫ばれている「ワーク・ライフ・バランス」の実現に役立つ。会社にとっては、通勤手当を支払わずに済むほか、オフィスの家賃や水道光熱費等が削減できるというメリットもある。

 一方、デメリットとしてまず挙げられるのが、フォーマル・インフォーマル両面において社内コミュニケーションが取りにくくなるということだ。在宅勤務であっても最小限必要な会議等に出席させることは可能だが、それだけでは職場の一体感は希薄になり、部門間の連携も難しくなるなど、組織力の低下につながる恐れがある。また、会社全体として知識・情報・ノウハウの共有・蓄積が図りにくくなることも考えられる。

 もう一点注意しなければならないのが、労務上の問題だ。在宅勤務というと、当然に「事業場外みなし労働時間制」が適用されるとの誤解が一部にあるが、そうとは限らない。労働基準法38条の2は「事業場外で業務に従事し、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間(または通常必要な時間もしくは労使協定で定めた時間)労働したものとみなす」と定めているのであって、例えばテレビ電話等の機能を用いて随時業務連絡が可能になっている場合には、労働時間を算定できることになり、事業場外みなし労働時間制は適用されない。

事業場外みなし労働時間制 : 労働者が事業場外で業務(の全部又は一部)に従事するため、使用者の指揮監督が及ばず、当該業務に係る労働時間の算定が困難な場合に、事業場外労働については「特定の時間」を労働したとみなすことを認める制度。

 また、ワーク・ライフ・バランスを実現するための仕組みであるはずの在宅勤務が、かえって過重労働を招く恐れもある。みなし労働時間制の下でも、「所定労働時間」を超えて働けば残業代が発生する。また、在宅勤務では深夜労働や休日労働が容易なため(いずれに対しても、会社には割増賃金の支払い義務が発生)、個々の労働時間を綿密にチェックする体制を整える必要があるなど、労務管理が煩雑になる可能性もある。

 このように、在宅勤務制度は、会社・従業員が導入当初期待していたことと“逆”の事態を生むリスクをはらんでいる。まずは特定の部門や職種に限定して導入し、様子を見るというやり方も一考に値しよう。

2015/08/21 【2015年8月の課題】1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング

2015年8月の課題

 貴社の時価総額は上場以来ずっと小さ目で、これまでは機関投資家から見向きもされなかったものの、最近は順調に株価が上がり時価総額も大きくなってきました。そこでIR担当取締役である貴方はそろそろ機関投資家にアポイントをとり、「1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング」に臨みたいと考えています。

 まず何から手を付け、どのような資料を準備し、ミーティングの場ではどのようなことに留意する必要があるでしょうか?

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2015/08/21 【2015年7月の課題】ストレスチェック制度:解答(会員限定)

「ストレスチェック」が会社のリスクを低減

 近年、メンタルヘルスの不調を訴える労働者が増加しており、自殺や自殺未遂、心因性精神障害による労災申請が年間1,400件を超えています。メンタルヘルスの不調による休職者の多くは30代から40代の職場のキーパーソンであり、性格的にも責任感が強く真面目な人が多いと言われています。このような人材がメンタルヘルスの不調を訴え長期にわたって職場を離脱したり、最悪の結果となってしまった場合に会社に与えるダメージは、業務面はもちろん、他の従業員の心理面においても決して小さくはないでしょう。それが報道等により世間に知られるところとなれば、企業イメージの低下も避けられません。

 また、労働契約法5条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定し、会社の労働者に対する「安全配慮義務(健康配慮義務)」を明確にしています。ここでいう安全配慮義務には、危険作業や有害物質への対策のみならず、“メンタルヘルス対策”も含まれます。安全配慮義務を怠った場合には、民法上の「不法行為責任(709条)」「使用者責任(715条)」「債務不履行責任(415条)」などを根拠に、会社が多額の損害賠償を求められる可能性があり、実際、労働者側の主張を認めた判例も多数存在します。企画立案業務に携わっていた社員が過重労働の結果うつ病になって自殺し、会社に対して1億6800万円(1億2600万円+遅延損害金)の賠償金の支払いが命じられた電通事件(最高裁 平成12年3月24日判決)は有名です。電通事件の前には、ソフトウェア開発会社のシステムエンジニアが、年間3,000時間近い労働時間と、プロジェクトリーダーとしてクライアントとプロジェクトのメンバーの間に立つことで受けた精神的ストレスにより脳幹部出血で死亡するという事件も起きています。本件では裁判所は会社に対し、3200万円の損害賠償責任を認めています(最高裁 平成12年10月13日判決)。

 ストレス社会が加速する中、メンタルヘルスの不調の“未然防止”を目的として導入されたのがストレスチェック(従業員の心理的な負担の程度を把握するための検査)制度です。ストレスチェックを実施することによって、従業員は自身のメンタルヘルスに対して関心を持つとともに、抱えているストレスとの付き合い方(セルフケア)を身に付けることができます。また、会社もこれまで以上に管理職による部下のメンタルヘルスへの対応(ラインケア)に気を配るなど、メンタルヘルス対策に力を入れることで、メンタルヘルス不調者が減ることが期待されます。さらに、ストレスチェックを実施することで、上述した安全配慮義務の不履行等による損害賠償請求などの訴訟リスクも軽減されるでしょう。

ラインケア : 管理職が労働者からの相談に乗ったり、職場環境の改善に努めたりすること。

 ストレスチェックの実施に対し事務的・コスト的な負担感を感じる会社も少なくないようですが、そのメリットを考えれば、経営陣としても積極的に取り組む必要があります。

ストレスチェック制度を巡る誤解

 労働安全衛生法の改正により導入されたストレスチェック制度は、「常時使用する労働者が50人以上」の事業者(会社)に対し、平成27年12月1日から義務付けられ、初回のストレスチェックは「施行から1年以内」すなわち「2016年11月30日まで」に実施しなければなりません。ただし、ここで求められているのはあくまでも「ストレスチェックの実施」であり、「結果通知」や「面接指導の実施」までが施行から1年以内に求められているわけではありません。

 また、ストレスチェック制度は、会社にストレスチェックを「年1回以上」実施することを義務付けるものですが、その一方で、従業員にはストレスチェックを受診する義務はありません。この点は、従業員にも受診が義務付けられている一般の定期健康診断とは異なります。つまり、会社としては、ストレスチェックの機会を従業員に年1回以上“提供”すればよいということになります。

 従業員にストレスチェックの受診が義務付けられていない以上、会社は強制的にストレスチェックを受けさせようとしたり、受けないことを理由に不利益な扱いをすることはできません。例えば、就業規則でストレスチェックの受診を義務付け、受診しなかった従業員を懲戒処分の対象とすることや、面接指導の結果として労働時間の短縮が必要とされた従業員をまったく業務に従事させずに退職勧奨を行うといった対応です。ただし、上述のとおり会社のリスクヘッジという観点からもストレスチェックはできるだけ多くの従業員に受けてもらうことが望ましため、会社がストレスチェックの実施者から受診した従業員の名簿を入手するなどして、受診していない従業員に受診を勧奨することはできます。後述するように、従業員の同意がない限り、実施者から会社にストレスチェックの結果を通知することができませんが、単に「受けたか否か」を把握することについては、従業員の同意は不要です。

ストレスチェックの実施者と実施方法

 ストレスチェックを実施するのは「人事部」ではありません。改正労働安全衛生法上、ストレスチェックの実施者は事業者(会社)とは“別”に定めることとされており、医師や保健師、看護師、精神保健福祉士等の中から会社が選任する必要があります。基本的には産業医が望ましいとされていますが(その理由は後述)、健診機関等への外注を検討している会社も多いようです。

 ストレスチェックの実施方法は「調査票」によるのが基本です。国からは「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」とその簡易版(23項目。労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルの32ページ参照)が公表されており、これらを利用することができます。また、調査票によらず、従業員自身が該当する項目にチェックを入れる「チェックシート方式」でもよいこととされています。さらに、インターネット等を活用したストレスチェックも、実施者によって検査結果が適切に保存されていることなどを条件に認められています。

 ストレスチェックは、一般の定期健康診断と同時に実施することが可能です。実務的な負荷や実施しやすさ(従業員から見れば「受診しやすさ」)を考えると、同時に実施する会社も少なくないと思われますが、その場合、ストレスチェックの調査表と健康診断の問診票を分けるなど、受診する従業員がきちんと両者を区別できるような措置を講じる必要があります。

ストレスチェックにひっかかる従業員が出てきたら?

 では、ストレスチェックの結果、問題のある従業員(高ストレス者)が出て来た場合、会社としてはどのように対応すればよいのでしょうか。

 その前にまず押さえておきたいのが、ストレスチェックの結果の取扱いです。ストレスチェックの結果は、実施後できるだけ早く、実施者(すなわち、産業医等)から“直接”従業員に通知しなければなりません。すなわち、実施者から会社に結果を通知させることは基本的にはできないことになっています。

 「従業員の同意」を得た場合には会社への通知が可能となりますが、「ストレスチェック実施前」や「検査結果が従業員に通知される前」の同意は無効とされています。また、就業規則や労働契約書等によって事前に“包括的な同意”があった場合も同様です。つまり、従業員への結果通知の前に会社が結果を知ることはできないということです。

 ストレスチェックを受けた本人の同意なくして結果を知ることができるのは、ストレスチェックの実施者とその指示の下で事務を担当する者に限られます。それだけに、実施者には情報管理の徹底が求められることになります。ストレスチェックは健診機関等に外注することもできますが、外注先を選定する際には、情報管理体制も確認しておきたいところです。

 ストレスチェックの結果、高ストレス者に該当する従業員が出て来た場合、「本人の申し出」を条件に、会社は医師による「面接指導」を提供しなければなりません。そして、面接指導を行った医師の意見を聞いたうえで、必要があれば、例えば就業場所の変更、作業内容の変更、労働時間の短縮、深夜業の回数を減らすなどの措置を講じることが義務付けられます。ただし、上述のとおり面接指導はあくまでも「従業員が申し出た場合」に行われるものであり、会社は対象者に対して申し出を「勧奨」することはできても「強制」することはできないという点には注意してください。

 面接指導にあたっては、会社と面接指導担当医の連携が不可欠となります。厚生労働省は、面接指導の目的を、「精神疾患の診断や治療」ではなく「高ストレスの原因を把握し、職場で実施可能な対応を促す」ことにあるとしています。この目的を達成するためには、担当医が指導対象者の職場環境をよく知ったうえで指導指導を行う必要があります。それには、企業が担当医に対し当該従業員の勤務状況や職場環境について十分な情報提供を行わなければなりません。上記で「ストレスチェックの実施者は自社の産業医とすることが望ましい」と述べたのはこのためです。

産業医 : 労働者の健康管理を行う医師。労働安全衛生法上、常時50人以上の労働者を使用する事業場においては1人以上、常時3000人を超える労働者を使用する事業場においては2人以上の産業医を選任しなければならないこととされる。

従業員のストレスを減らす職場作りを

 もっとも、いくらストレスチェックや面接指導を実施しても、職場そのものが高ストレスを生む環境にあれば、メンタルヘルスに異常をきたす者が再び出て来ることは避けられないでしょう。経営陣としては、今回のストレスチェック制度を良い機会ととらえ、従業員のストレスを減らす職場づくりを心掛けるべきです。

 まず必ず取り組みたいのが、ストレスチェックの結果を今後のメンタルヘルス対策や快適な職場環境の構築に活かすということです。上述のとおり、従業員の同意なく会社がストレスチェックの結果を知ることはできません。ただし、会社は実施者に対し、ストレスチェックの結果を「10人以上の回答」があった部門や部・課などのビジネスユニットごとに「集計・分析」させ、それを提供させることができることになっています。

 集団ごとの集計・分析方法は使用する調査票によって異なりますが、上述した職業性ストレス簡易調査票(簡易版を含む)を使用している場合には、厚生労働省のホームページで公開している「仕事のストレス判定図」を利用するとよいでしょう(「職業性ストレス簡易調査票を用いたストレスの現状把握のためのマニュアル」の7ページ参照)。ストレスチェックの検査結果を集団ごとに集計・分析することによって、どの部署や職場で“高ストレス”の従業員が多いのか傾向が明らかになります。それを受けて、問題が多いと思われる各職場に対して、産業医等による職場巡視や、管理職およびその部下へのヒアリングを行うことで、具体的な問題点を発見できる可能性が高まります。問題点が発見されれば、労働時間の短縮、有給休暇の消化の奨励、配置転換、業務の見直し・改善、管理職研修の実施といった、職場環境を改善するために講じるべき具体的な対策も明らかになるはずです。場合によっては、職場の物理的環境(整理整頓がされていない、物が多すぎて圧迫感がある、騒音がひどい、照明が暗すぎor明るすぎる、室温が適当でない――等々)がストレスの原因になっているかも知れません。

 対策を検討する際には、職場のメンタルヘルスやストレス対策として実際に実施され役に立っている改善事例を日本全国から集めた厚生労働省の「職場環境改善のためのヒント集(メンタルヘルス・アクション・チェックリスト)」も参考にしながら、自社の実情に合った対策を検討するのも一案です。その際には、労働組合等と協議しながら、必要に応じて共同で対策を考えるのも有益でしょう。

 また、労働時間の短縮といった目に見える仕組みの改善だけでなく、人間関係(特に管理職と部下の関係)や社員のモチベーションなどのソフト面にも気を配るべきです。実際、メンタルヘルスの異常は人間関係の問題に起因することが少なくありません。特に、人事権を背景に縦の関係にある管理職(上司)と部下の関係性は部下のメンタルヘルスに極めて大きな影響をもたらします。例えば、細かいことにもいちいち口を出し、自分のスタイルを押しつけたがる管理職がよくいますが、部下としては自分のやり方や意見が全く認められない中で業務を強いられればモチベーションは大きく下がりますし、強いストレスも感じます。

 逆に、部下とのコミュニケーションが不足している管理職も見受けられます。自らの業務内容、期待される成果などをよく理解できていない状態に放置された部下は達成感を感じることができず、強い不安を抱えることになります。

 また、部下への期待のかけ方もメンタルヘルスに大きな影響を与えます。ある上場企業で、管理職がお気に入りの社員をプロジェクトのリーダーに抜擢したところ、期待の大きさに耐えられず、うつ病になってしまった例を見たことがあります。人間誰しも期待されることでモチベーションが高まるものですが、期待が大きすぎれば「プレッシャー」となり、メンタルヘルスに悪影響を与えることにもなりかねません。プレッシャーの感じ方は人によっても違います。管理職には、部下のタイプによって対応を変えるくらいの柔軟性、度量が求められます。

 高ストレス者があまりに多い部署があれば、それは業務内容等の問題ではなく、上司である管理職に原因がある可能性も否定できません。役員としては、そのような管理職はそもそも管理職がとしての資質に欠けていないかどうかを確認し、場合によっては配置転換なども検討する必要があります。

 さらに、役員自身も、管理職を含む部下のメンタルヘルスに影響を与えかねない立場だということを認識するべきです。ストレスチェック制度を推進する陰で、部下から「あなたこそストレスの原因になっている」などと言われないよう、ストレスチェック制度の導入を機に、自らの襟を正しておきたいところです。

 近年、「健康経営」という言葉が注目されています。健康経営とは「経営者が従業員とコミュニケーションを密に図り、従業員の健康に配慮した企業を戦略的に創造することによって、組織の健康と健全な経営を維持していくこと」とされています。経営陣は、天然資源に乏しい我が国の企業における最も重要な経営資源である「ヒト(従業員)」の心身の健康は、企業経営の重要な前提条件であるという意識を持ち、従業員のメンタルヘルスの維持・向上に努めるようにしてください。

2015/08/21 創業経営者がトップにいる企業の強さの理由

 ソフトバンク、楽天、ファーストリテイリングなど、現在勢いのある日本企業のトップは「創業経営者」であることが多い。もちろん、これらの企業が成長期にあるということもあるが、それとともに、創業経営者が率いる企業の強さは「コーポレートガバナンス」の観点からも説明できる。

 企業には株主の利益を拡大すること、すなわち「利益を稼ぐ」ことが求められる。創業経営者がトップの企業では、株主と経営者が一致している。利益を上げることにより、大株主である創業経営者は、配当の増加や株価の上昇といった形で収入が増えることになる。一方、トップが創業経営者でない企業では・・・

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2015/08/21 創業経営者がトップにいる企業の強さの理由(会員限定)

 ソフトバンク、楽天、ファーストリテイリングなど、現在勢いのある日本企業のトップは「創業経営者」であることが多い。もちろん、これらの企業が成長期にあるということもあるが、それとともに、創業経営者が率いる企業の強さは「コーポレートガバナンス」の観点からも説明できる。

 企業には株主の利益を拡大すること、すなわち「利益を稼ぐ」ことが求められる。創業経営者がトップの企業では、株主と経営者が一致している。利益を上げることにより、大株主である創業経営者は、配当の増加や株価の上昇といった形で収入が増えることになる。一方、トップが創業経営者でない企業では株主と経営者が分離しており、経営者には給与とボーナスでインセンティブが与えられる。日本企業の場合、経営者の報酬総額は欧米企業と比較して低いだけでなく、パフォーマンス(利益等)にリンクした報酬が極端に小さい。言い換えれば、「株主と経営者の利害関係」が一致していない状態にある。

 コーポレートガバナンス上の問題は創業経営者を含むオーナー系企業で起こることも多いが、「利益の拡大」という観点からは、むしろ「株主=経営者」である方がガバナンスが効きやすいとも言える。創業経営者は、株主の代表として利益の拡大に邁進する。これに対し、創業経営者以外の経営者は、必ずしも利益拡大へのインセンティブが強くないため、リスク回避的な経営を行う可能性は否定できない。例えば、リスクをとって利益を拡大することよりも「現状維持」に努め、少しでも長く現在のポジション(あるいは会長や、相談役などの次のポジション)にいることを選好するかもしれない。リスクをとって成功した場合に得る報酬よりも、リスクをとって失敗した場合に課されるペナルティの方がずっと大きいからである。その結果、創業経営者が率いる企業との競争に敗れてしまう。

 経営者が創業経営者でない企業が「利益を稼ぐ」力を高めるためには、現状の株主と経営者の利害関係を調整する必要がある。具体的には、経営者にできるだけ多くの自社株を取得させたり、ストックオプションを付与することにより、業績連動型の報酬を拡大することである。創業経営者が強烈に牽引する企業との競争に勝つためには、“リスクをとって成功することが報われるシステム”の導入が不可欠と言えよう。

2015/08/20 (新用語・難解用語)ESGインテグレーション投資

 投資にあたってESGを考慮する「ESG投資」は、2006年の国連によるPRI(Principles for Responsible Investment=責任投資原則)策定以降、欧州を中心に急速にメインストリーム(主流)化が進んでいる。2013年に行われた日本総合研究所による調査によると、2012年時点で、全世界の機関投資家が運用する運用資産の21.8%においてESG要因が考慮されているという。

PRI(Principles for Responsible Investment=責任投資原則) : 機関投資家に対し、投資判断プロセスにESGを反映することや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどを提唱するもの。これに署名した機関投資家は、国連に投資の状況を報告する義務が生じるため、ESGを重視した投資を実践せざるを得ない。

 日本ではSRI(Socially Responsible Investment=社会的責任投資)ファンドが個人向けのテーマ型投信などから始まったため、年金基金などはESG投資に対して漠然と“負のイメージ”を持っていることが少なくない(テーマ型ファンドの寿命は短く、比較的リスクが高いため)。しかし、実はESG投資は長期的な企業価値向上やリスク低減といった考え方との親和性が高く、英国ではスチュワードシップ責任の一貫としても捉えられていることを考えても、日本でも今後ますますその重要性が増す可能性は高い。

テーマ型投信 : 例えば環境、IT、クラウド、エネルギーなど、特定のテーマに関連した企業などに投資するファンドのこと。

 一口にESG投資と言っても様々な手法があり、主なものとしては、・・・

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