2015/02/28 2015年2月度チェックテスト第1問解答画面(不正解)

不正解です。
 日本版コーポレートガバナンス・コード(原案)では「少なくとも2名以上」の独立社外取締役を求めています。そして、東京証券取引所が公表した上場規則案によると、独立社外取締役の人数基準は東証第一部と第二部に上場する会社に適用されることになります。
 日本版コードがモデルとした英国版では「少なくとも半数(比較的小規模な上場会社の場合、少なくとも2名)」となっています。すなわち、東証第一部に上場している大企業であっても、英国における「比較的小規模な上場会社」向けの基準が適用されることになります(以上より問題文は正しいです)。実際に英国企業における社内取締役と独立社外取締役の比率は「2:8」が多く、英国の背中はまだまだはるか遠くといった状況です。

こちらの記事で再確認!
2015/02/02 英国企業の社内・外取締役比率に「2:8」が多い理由(会員限定)

2015/02/28 2015年2月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
 日本版コーポレートガバナンス・コード(原案)では「少なくとも2名以上」の独立社外取締役を求めています。そして、東京証券取引所が公表した上場規則案によると、独立社外取締役の人数基準は東証第一部と第二部に上場する会社に適用されることになります。
 日本版コードがモデルとした英国版では「少なくとも半数(比較的小規模な上場会社の場合、少なくとも2名)」となっています。すなわち、東証第一部に上場している大企業であっても、英国における「比較的小規模な上場会社」向けの基準が適用されることになりますす(以上より問題文は正しいです)。実際に英国企業における社内取締役と独立社外取締役の比率は「2:8」が多く、英国の背中はまだまだはるか遠くといった状況です。

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2015/02/02 英国企業の社内・外取締役比率に「2:8」が多い理由(会員限定)

2015/02/28 2015年2月度チェックテスト

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【問題1】

日本版コーポレートガバナンス・コード(原案)では規模の対象にかかわらず「少なくとも2名以上」の独立社外取締役を求めているが、この「少なくとも2名以上」という基準は英国版コーポレートガバナンス・コードで「比較的小規模な上場会社」に対して適用される基準と同水準である。


正しい
間違い
【問題2】

消費者裁判手続特例法の施行により、政府から認定を受けた特定適格消費者団体のみが、実際に精神的損害を受けた個々の消費者に代わって集団訴訟を行う仕組みが導入される。


正しい
間違い
【問題3】

税務調査で無用のトラブルを避けるために、メールはこまめに削除すべきである。


正しい
間違い
【問題4】

民法債権法の見直しの議論の中でテーマにあがっている「約款」に関する民法上の規定の新設が実現すると、企業の「約款」に関する実務は大幅な変更を迫られることが見込まれている。


正しい
間違い
【問題5】

持ち合い株式は価格変動リスクをヘッジすることができない点が最大の問題点とされている。


正しい
間違い
【問題6】

監査役会設置会社が監査等委員設置会社に移行すると、移行前の社外監査役は移行後の同じ会社の監査委員に就任できない。


正しい
間違い
【問題7】

各国の株価インデックス構成企業における『取締役会の女性比率』を比較すると、日本における比率は香港やインドと概ね同じ比率である。


正しい
間違い
【問題8】

ホワイトカラーエグゼンプションが導入されれば、本社スタッフの大半が制度の対象者に該当する会社が大半であることから、経営への影響は大きい。


正しい
間違い
【問題9】

アクティビストによるアプローチは、あくまで外国人投資家の多いグローバル企業に限った話であって、外国人投資家のほとんどいないドメスティックな中堅上場企業には関係がない。


正しい
間違い
【問題10】

上場会社がコーポレートガバナンス・コードを“Comply”(遵守)せずに“Explain”(遵守せずに説明)する場合、コーポレート・ガバナンス報告書には“Comply”することが「相当でない理由」を記載しなければならない。


正しい
間違い

2015/02/28 【議案】積立金の積み立て・取り崩しをしたい

 

積立金を積み立てる意味とは?

積立金とは、資本金や繰越利益剰余金(会社法施行前の「未処分利益」)などと同じく、純資産の「株主資本(株主に帰属する純資産)」に属する科目です(利益剰余金の中の「その他利益剰余金」において表示されます。各種剰余金や準備金など資本関係の詳しい解説は「配当をしたい」を参照してください)。

agenda9501_1

積立金の積み立ては、繰越利益剰余金を減少させ、同額だけ積立金を増加させることにより行われます(繰越利益剰余金から積立金への振替)。一方、積立金を取り崩す場合は、取り崩した積立金と同額だけ繰越利益剰余金を増加させることになります(積立金から繰越利益剰余金への振替)。上図のマーキングした部分のとおり、積立金も繰越剰余金も株主資本のカテゴリーに属する科目なので、このような金額の増減は株主資本のカテゴリー内で数字を振り替えている(これを「株主資本の計数変動」と言います)だけに過ぎず、一見何ら意味がないように思えます。

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しかし、積立金を積み立てることには、会社経営上、重要な意味があります。それは、積立金の積み立てにより、当該積立金額を社内に確保しておくことが可能になるということです。

例えば、次年度以降に「社債償還」「設備拡張」といったイベントを予定しているとします。仮に会社がそのようなイベントに向けての資金を積立金として積み立てることなく繰越利益剰余金のままにしていた場合、株主総会で剰余金の処分(会社法施行前の「利益処分」)として多額の配当が決議されてしまえば、繰越利益剰余金が配当金として社外に流出してしまう(その分だけ預金が減少する)ことになります。預金が大きく減少すれば、次年度以降のイベントをこなせなくなるかもしれません。そのような事態を回避するために、繰越利益剰余金の一部を積立金として積み立てておくことが考えられます。積立金の積み立てにより配当としての社外流出を一定程度()防ぐことができるからです。そして、将来において社債を償還したり設備を拡張したりする際に、その積立金を取り崩すことになります。もちろん、積み立てが単なる帳簿上の操作に留まり、銀行預金等で実際に積み立てをしていなければ、積立金額が確実に社内に留保されていることにはなりませんが、上述したとおり少なくとも配当による流出を一定程度()防ぐ効果はあります。

 いくら積立金を積み立てても、配当としての社外流出を完全に防ぐことはできません。なぜなら、分配可能額の算定に際して、積立金は分配可能額から除かれず、分配対象に含められるからです。仮に「繰越利益剰余金をマイナスにしてでも配当をする」ということになれば、たとえ積立金を積んでいようが配当による流出は防げないことには注意が必要です。

もっとも、繰越利益剰余金は株主資本の一部であることから、これを株主に無断で動かすことはできません。したがって、繰越剰余金から積立金を積み立てたり、あるいは積立金を取り崩したりする場合には、一定の手続きが求められます。どのような手続きが必要になるのか、以下で具体的に見ていきましょう。

積立金の種類に応じて異なる手続き

積立金には大きく分けて3つの種類があります。

まず、「税法(租税特別措置法)・定款の規定を根拠とする積立金」と「それ以外の積立金」に分けられます。さらに、「それ以外の積立金」は、特定の目的のために積み立てられる「目的積立金」と、・・・

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繰越利益剰余金の増減の意味を正しく把握

冒頭で述べたとおり、積立金は純資産の部の「株主資本」の中の「その他利益剰余金」に属する科目です。そして、積立金や繰越利益剰余金の期末残高は貸借対照表に示され、また、その増減は株主資本等変動計算書で明らかになります。ここで、株主資本等変動計算書とは、冒頭の表で示した項目ごと(資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式、評価換算差額等など)に区分して、当事業年度期首の貸借対照表の純資産の部と当事業年度末の純資産の部の間の増減を「当事業年度期首残高」「当事業年度変動額」「当事業年度末残高」に区分して説明するための計算書です。そのため当事業年度末残高は貸借対照表の残高と一致することになります。また、「当事業年度変動額」は、変動事由ごとに記載しなければなりません(下記の記載例参照)。

また、株主資本等変動計算書で表示される増減は、下表のとおり、科目によってその変動が意味するところは全く違うことから注意が必要です・・・

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2015/02/28 チェックリスト:積立金の積み立て・取り崩しをしたい(会員限定)

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■チェックリスト:積立金の積み立て・取り崩しをしたい

チェック事項 備考 対応未了 対応済
財務担当取締役は積立金の積み立ての趣旨(繰越利益剰余金のように会社財産が社外に流出されることなく、社内に留保することが可能となる)を正確に把握しているか。
来期以降「社債償還」「設備拡張」といったイベントを予定している場合、場合、積立金として社内に留保することを検討しているか。 配当金として社外に流出するリスクを減らすことができる。
積立金の積み立てを行う際、適切な手続を経ているか。
租税特別措置法上の特例を利用するために設ける積立金・・・株主総会の決議不要
その他の積立金・・・定時または臨時の株主総会の決議が必要
会計監査人設置会社で、定款の定めを置くことにより株主にとって不利益とならない株主資本の計数変動などを取締役会に権限委譲している会社・・・取締役会決議でOK
積立金の取り崩しを行う際、適切な手続を経ているか。
租税特別措置法上の特例を利用するために設ける積立金・・・株主総会の決議不要
その他の積立金・・・定時または臨時の株主総会の決議が必要
会計監査人設置会社で、定款の定めを置くことにより株主にとって不利益とならない株主資本の計数変動などを取締役会に権限委譲している会社・・・取締役会決議でOK
目的積立金を目的とは異なる理由で取り崩す場合に、株主総会の決議を経ているか。
目的を明確にせず積み立てた別途積立金などの無目的積立金を取り崩す際には、株主総会の決議を経ているか。
補助金を利用して固定資産を取得した場合、積立金を用いた会計処理(積立金方式)を行っているか。 取得原価から直接減額(圧縮)する方法(直接減額方式)を採用した場合、固定資産の評価という観点から問題がある(固定資産の簿価が著しく少なくなってしまう)ことから、圧縮記帳に関する金額等の注記が必要になる。特別償却も同様である。
圧縮対象の固定資産や特別償却の対象の固定資産を売却・廃棄する際には、法人税の所得計算上の益金が増加する点を見込んでいるか。

ケーススタディ役員実務「積立金の積み立て・取り崩しをしたい(会員限定)」はこちら

2015/02/28 【議案】積立金の積み立て・取り崩しをしたい(会員限定)

積立金を積み立てる意味とは?

積立金とは、資本金や繰越利益剰余金(会社法施行前の「未処分利益」)などと同じく、純資産の「株主資本(株主に帰属する純資産)」に属する科目です(利益剰余金の中の「その他利益剰余金」において表示されます。各種剰余金や準備金など資本関係の詳しい解説は「配当をしたい」を参照してください)。

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積立金の積み立ては、繰越利益剰余金を減少させ、同額だけ積立金を増加させることにより行われます(繰越利益剰余金から積立金への振替)。一方、積立金を取り崩す場合は、取り崩した積立金と同額だけ繰越利益剰余金を増加させることになります(積立金から繰越利益剰余金への振替)。上図のマーキングした部分のとおり、積立金も繰越剰余金も株主資本のカテゴリーに属する科目なので、このような金額の増減は株主資本のカテゴリー内で数字を振り替えている(これを「株主資本の計数変動」と言います)だけに過ぎず、一見何ら意味がないように思えます。

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しかし、積立金を積み立てることには、会社経営上、重要な意味があります。それは、積立金の積み立てにより、当該積立金額を社内に確保しておくことが可能になるということです。

例えば、次年度以降に「社債償還」「設備拡張」といったイベントを予定しているとします。仮に会社がそのようなイベントに向けての資金を積立金として積み立てることなく繰越利益剰余金のままにしていた場合、株主総会で剰余金の処分(会社法施行前の「利益処分」)として多額の配当が決議されてしまえば、繰越利益剰余金が配当金として社外に流出してしまう(その分だけ預金が減少する)ことになります。預金が大きく減少すれば、次年度以降のイベントをこなせなくなるかもしれません。そのような事態を回避するために、繰越利益剰余金の一部を積立金として積み立てておくことが考えられます。積立金の積み立てにより配当としての社外流出を一定程度()防ぐことができるからです。そして、将来において社債を償還したり設備を拡張したりする際に、その積立金を取り崩すことになります。もちろん、積み立てが単なる帳簿上の操作に留まり、銀行預金等で実際に積み立てをしていなければ、積立金額が確実に社内に留保されていることにはなりませんが、上述したとおり少なくとも配当による流出を一定程度()防ぐ効果はあります。

 いくら積立金を積み立てても、配当としての社外流出を完全に防ぐことはできません。なぜなら、分配可能額の算定に際して、積立金は分配可能額から除かれず、分配対象に含められるからです。仮に「繰越利益剰余金をマイナスにしてでも配当をする」ということになれば、たとえ積立金を積んでいようが配当による流出は防げないことには注意が必要です。

もっとも、繰越利益剰余金は株主資本の一部であることから、これを株主に無断で動かすことはできません。したがって、繰越剰余金から積立金を積み立てたり、あるいは積立金を取り崩したりする場合には、一定の手続きが求められます。どのような手続きが必要になるのか、以下で具体的に見ていきましょう。

積立金の種類に応じて異なる手続き

積立金には大きく分けて3つの種類があります。

まず、「税法(租税特別措置法)・定款の規定を根拠とする積立金」と「それ以外の積立金」に分けられます。さらに、「それ以外の積立金」は、特定の目的のために積み立てられる「目的積立金」と、目的を特定せずに積み立てられる「無目的積立金」に分けられます(下図参照)。

積立金の積み立て・取り崩しを行う際には、原則として株主総会の決議が必要です(会社法452条、会社計算規則153条2項1号・2号)。上述のとおり、繰越利益剰余金は株主資本の一部であり、これを株主に無断で動かすことはできないからです。

ただし、積み立て・取り崩しに株主総会の決議が必要かどうかは積立金の種類に応じて異なり、なかには決議が不要な場合もあります。以下、積立金の種類ごとに見ていきましょう。

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1.税法(租税特別措置法)・定款の規定を根拠とする積立金
(1)租税特別措置法上の特例を利用するために設ける積立金

租税特別措置法上の特例を利用するために設ける積立金には、例えば圧縮記帳積立金、特別償却積立金などがあります。これらの積立金の詳細は後述しますが、結論から言うと、その積み立てに際しては、株主総会の決議は不要とされています。なぜなら、これらの積立根拠はあくまで法令であり、法人税を繰り延べるために“便宜上”積み立てられたテクニカルなものであることから、上述したような「将来の設備拡張」や「社債の償還」に備えての自主的な積み立てとは、根拠や積立理由が根本的に異なるからです。

また、後で説明しますが、これらの積立金は、積み立ての翌事業年度から徐々に取り崩します(この結果、積立金を取り崩した分だけ繰越利益剰余金が増えます)。この取り崩しはあくまで税法の特例の適用上起こる“テクニカル”なものに過ぎないので、積み立てと同様、取り崩しに関する株主総会の決議は不要です。

なお、圧縮記帳積立金や特別償却準備金などの積み立て・取り崩しは、会社がその適用を受ける意思があり、かつ税法に定める適用要件を満たしている必要があります。その場合には、株主総会の決議を経ずに、単なる「決算手続」として積み立てまたは取り崩しができます(積み立てや取り崩し自体に特段の取締役会決議は必要ありません。もっとも計算書類の承認といった形での全体的な承認(通常は決算取締役会の承認で確定)を受ける必要があります)。

とはいえ、繰越利益剰余金や積立金の変動は、株主等のステークホルダーにとっては関心の高いところであり、役員としては当然変動の理由を把握しておかなければなりません。そのためには、圧縮記帳積立金、特別償却積立金の仕組みを理解する必要がありますので、以下で平易に説明します。

○圧縮記帳
固定資産を取得する際、国や地方自治体などから補助金が出ることがあります。例えば、研究開発用に機械設備を取得するケースです。この補助金は会社にとっては「利益」であり、本来は法人税を課税されてしまうところですが、国等からの補助金に税金をかけてしまうと、事実上、補助金の一部が税金として国等に返還されてしまい、政策効果が半減してしまいます。その問題点の解消のために設けられているのが「圧縮記帳」という制度です。具体的には、受入れた補助金を「利益」に計上する一方で、取得した固定資産の取得原価から補助金と同額を減額(取得原価を“圧縮”)し、当該減額分を「損失」として計上します。この結果、利益と損失が相殺され、補助金をもらった事業年度においては、補助金に対する課税が行なわれないことになるわけです。

もっとも、法人税が「非課税」になるわけではありません。固定資産の取得原価の“圧縮”に伴い、各事業年度の減価償却費は減少しますので、その分、法人税の負担は増えます。つまり、圧縮記帳制度は、補助金を“非課税”にするのではなく、圧縮記帳を使わなければ補助金を受け取った事業年度に課されるはずだった法人税を、固定資産の耐用年数期間にわたって少しずつ課税()しているに過ぎません。

 補助金を受け取ったときに“一気”に課税されるのではなく、耐用年数の間に少しずつ課税されることから、「課税の繰延べ」とも言われます。

なお、固定資産の取得原価から補助金の額を直接減額(圧縮)する方法を「直接減額方式」と言います。もっとも、直接減額方式では、固定資産の評価という観点から問題がある(固定資産の簿価が著しく少なくなってしまう)ことから、上場会社の場合、固定資産の取得価額を直接減額せずに、積立金を用いた会計処理(積立金方式)を用いるケースが良く見受けられます。直接減額方式を採用した場合は、上記の問題点をカバーするため、圧縮記帳に関する金額等の注記が必要になります。

○特別償却
特別償却とは、国が政策的に取得を促すため、一定の固定資産(例えば研究開発用の資産)を取得した際に、通常の減価償却とは別に、例えば「固定資産の取得価額の20%」といった一定割合の金額を追加で損金算入することを認める税法(租税特別措置法)上の特例です。

もっとも、特別償却を行ったとしても、耐用年数を通じたトータルの減価償却費の額には何ら変わりありません。なぜなら、固定資産を取得した年に特別償却によってその分多くの減価償却を行えば、その分固定資産の簿価(=取得原価-減価償却費)は小さくなり、2年目以降に行う減価償却費の合計も少なくなるからです()。つまり、特別償却も、圧縮記帳と同様、課税を繰り延べる制度の1つです。

 言い換えれば、1年目において、2年目以降の減価償却費を先取りしているともいえます。

そして、特別償却においても、会計監査の観点から、固定資産の評価を歪めないために積立金方式を採用するケースがよく見受けられます。すなわち、固定資産の取得価額から直接特別償却額を控除するのではなく、「特別償却積立金」という勘定を設け、固定資産を取得した事業年度において積立額の全額を損金に算入し、耐用年数に応じて、毎期取り崩して益金に算入していくことになります。積立金方式では、固定資産の取得原価から特別償却額を控除しないため、一見すると、2年目以降も通常どおりの減価償却費が計上されているように見えますが、圧縮記帳積立金と同様、減価償却の2年目以降、特別償却積立金が取り崩されて益金に算入されるため、差し引きの損金算入額は小さくなる仕組みとなっています。

このように、圧縮記帳積立金や特別償却積立金は、補助金などを受けて固定資産を取得した場合や、特別償却の対象となる固定資産を取得した場合に増加します。逆に、圧縮記帳や特別償却の対象固定資産に関して減価償却費を計上した場合には、減価償却費に対応するだけ圧縮記帳積立金や特別償却積立金が減少します。

また、圧縮対象の固定資産や特別償却の対象の固定資産を売却した場合には、圧縮記帳積立金や特別償却積立金の対象自体がなくなってしまうわけですから、その全額が取り崩されることになります()。廃棄したときも同様です。圧縮対象の固定資産や特別償却の対象の固定資産を売却・廃棄する際には、益金が増加する点を見込んでおく必要があります。

 その分、繰越利益剰余金が増加し、売却した期の益金となります。

(2)定款の規定に基づき積み立てる積立金
租税特別措置法上の特例を利用するために設ける積立金と同じく、増減に際して株主総会での決議が不要となるのが、定款において積み立てが規定されている積立金です。定款はすでに株主の承認を受けています。そこで、定款において積み立てが規定されている積立金は、その増減自体がすでに株主の承認済みであると考えられるため、増減に際してあらためて株主総会で決議することは不要になるわけです。

例えば、将来の設備投資などに備えるため、毎期、当期純利益の1%を積立金として積み立てる旨や、繰越剰余金の1%を取り崩して積立金とする旨を定款に規定した場合、当該積立金の増加または減少に関する株主総会での決議は不要です(取締役会での決議も不要です)。

2.その他の積立金(減債積立金、事業拡張積立金、別途積立金、任意積立金など)
上記「1」のような税法または定款の規定による積立金以外の積立金としては、減債積立金(社債などの返済に備えるための積立金)や事業拡張積立金など、積立ての目的が明確な「目的積立金」と、別途積立金(目的を特定せずに社内留保された積立金)や任意積立金(会社の任意で積立てが行われる積立金)のように目的を特定せずに社内留保された「無目的積立金」があります。これらの積立金の積み立ては、法令や定款を根拠とせずに株主資本である繰越利益剰余金から積み立てられる以上、株主による承認、すなわち定時または臨時の株主総会の決議が必要となります(会社法452条)。

もっとも、経営環境が目まぐるしく変化する今日、次の株主総会まで待てないというケースも多いことでしょう。そこで会社法では、会計監査人設置会社であれば、定款の定め(下記の定款例参照)を置くことにより、積立金の積み立ての権限を取締役会に委譲できるとされています。

会計監査人設置会社 : 監査法人等の監査を受けている会社。上場企業であればすべてが会計監査人設置会社に該当する。

定款例 当会社は、取締役会の決議によって、会社法459条1項3号に掲げる事項を定めることができる。

なお、繰越利益剰余金から資本金への振替は株主総会の権限事項であり、取締役会に権限移譲することは認められていません。

では、これらの積立金を取り崩す場合はどうでしょうか。まず、目的を明確にして積み立てられた目的積立金ですが、例えばその1つである事業拡張積立金は、実際に事業拡張を行う際に取り崩すことになります。このように、目的積立金を、その目的に沿った取り崩しを行う限りにおいては、(既に積み立て時に株主総会の承認を得ているので)株主総会の決議を経る必要はなく、単なる「決算手続」として取り崩しができます(取締役会決議も不要です)。ただし、例えば配当により次の第1四半期での繰越利益剰余金が赤字になる場合に、事業拡張積立金を取り崩して繰越利益剰余金の赤字を回避するなど、「目的とは異なる取り崩し」を行う場合には、株主総会の決議が必要となります。

これに対し、目的を明確にせず積み立てた別途積立金などの無目的積立金は、株主総会において当該目的を明確にしたうえで株主の承認を得なければ取り崩すことができませんので留意が必要です。

以上のように、積立金は、種類によって積み立てや取り崩しの手続きが異なります。そこで役員としては、積立金ごとに、「株主総会の決議が必要か否か」「取締役会決議だけで可能か」「取締役会決議すら不要なのか」といった点を事前に検討しておく必要があります。

繰越利益剰余金の増減の意味を正しく把握

冒頭で述べたとおり、積立金は純資産の部の「株主資本」の中の「その他利益剰余金」に属する科目です。そして、積立金や繰越利益剰余金の期末残高は貸借対照表に示され、また、その増減は株主資本等変動計算書で明らかになります。ここで、株主資本等変動計算書とは、冒頭の表で示した項目ごと(資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式、評価換算差額等など)に区分して、当事業年度期首の貸借対照表の純資産の部と当事業年度末の純資産の部の間の増減を「当事業年度期首残高」「当事業年度変動額」「当事業年度末残高」に区分して説明するための計算書です。そのため当事業年度末残高は貸借対照表の残高と一致することになります。また、「当事業年度変動額」は、変動事由ごとに記載しなければなりません(下記の記載例参照)。

また、株主資本等変動計算書で表示される増減は、下表のとおり、科目によってその変動が意味するところは全く違うことから注意が必要です(下記の記載例参照)。

主な科目 増減の意味
資本金 ・財政状態強固・会社規模拡大のため、増資を行った(増)
・欠損の解消・会社規模を縮小するため、減資を行った(減)
資本剰余金 ・財政状態強固・会社規模拡大のため、増資を行った(増)
・欠損の解消・会社規模を縮小するため、減資を行った(減)
利益準備金 ・配当に伴い、会社法の要請に従い積み立てを行った(増)
積立金 ・圧縮記帳や特別償却の対象になる固定資産の購入(増)
・圧縮記帳積立金、特別償却積立金の取り崩し(減)
・将来の設備投資や社債償還に備えた積み立て(増)
・積立目的の設備投資や社債返還が行われた(減)
繰越利益剰余金 ・当期において純利益が発生した(増)
・当期において純損失が発生した(減)
・積立目的の設備投資や社債返還が行われたため、積立金の取り崩しが行われた(増)
・将来の設備投資や社債償還に備えた積立金の積み立てが行われた(減)
・配当金を支払った(減)
自己株式 ・株価維持対策・敵対的買収防止のため、自己株式を取得した(増)
・企業組織再編への活用・資本効率を高めたり、1株当たり利益を高めたりするため、自己株式を手放したり、消却したりした(減)

ただし、積立金が属する「その他利益剰余金」は、各種積立金や繰越利益剰余金といった科目ごとに表示せず、その他利益剰余金の合計額(当事業年度期首残高、当事業年度変動額、当事業年度末残高)のみを記載することもできます。その場合、各種積立金や繰越利益剰余金といった科目ごとにそれぞれの金額を注記する必要があります。注記の手間を避けるため、下記に示した株主資本等変動計算書のように、科目ごとに表示を行うケースが実務上よく見受けられます。

貸借対照表、株主資本等変動計算書の記載例は下記のとおりです。この株主資本等変動計算書では、繰越利益剰余金が150から170へと増加していますが、この増加は圧縮記帳積立金の取り崩し100による影響であって、当期に利益を獲得したからではありません。これは、当期変動額の当期純利益が△70となっていることからも一目瞭然です。

利益を獲得して繰越利益剰余金を増加させているか、それとも別の要因(積立金の取り崩し)で繰越利益剰余金を増加させているかに応じて株主資本等の金額が有する意味合いは異なります。このように、株主資本等変動計算書を見ることで、貸借対照表だけでは知り得ない会社の状況を詳細に把握することができます。

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2015/02/27 社外取締役の在任期間は何年が最適?

 日本企業における社外取締役の在任期間としてよくあるのが「3年」だが、この期間に合理性はあるのだろうか。実際、3年くらい社外取締役をやっても、その企業に精通するのは容易ではないはず。また、CEOがずっと変わらない中で3年という短期間で社外取締役がローテーションするということになれば、CEOに対してモノを言うところまでは至らないのが現実だろう。

 海外を見ると、例えば英国企業では・・・

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2015/02/27 社外取締役の在任期間は何年が最適?(会員限定)

 日本企業における社外取締役の在任期間としてよくあるのが「3年」だが、この期間に合理性はあるのだろうか。実際、3年くらい社外取締役をやっても、その企業に精通するのは容易ではないはず。また、CEOがずっと変わらない中で3年という短期間で社外取締役がローテーションするということになれば、CEOに対してモノを言うところまでは至らないのが現実だろう。

 海外を見ると、例えば英国企業では7年~10年、米国企業では5年程度の在任期間が目に付く。社外取締役が会社に慣れるとともに業務を完全に理解し、実力を発揮するためにはそれくらいの期間が必要だと考えるからだ。また、このような長い在任期間を設定できる背景には、問題のある社外取締役を辞めさせる仕組みができあがっているからということもある。英国では、筆頭取締役(2015年1月26日のニュース「“日本版SID”にふさわしい人材像は」参照)や外部の評価会社による取締役の評価が定着しており、能力に問題のある社外取締役に対しては筆頭取締役や外部の評価会社がウォーニングを出すことになる。米国に至っては、社外取締役に問題があるとなればヘッジファンドが直接辞任を要求してくることもある(ヘッジファンドの要求で役員が全部変わることさえある)。米国企業はアクティビストと定期的に対話があり、例えば業績不振の理由などは社外取締役にも説明を求めてくるため、社外取締役の力量はアクティビストにも見えやすい。

 一方、日本企業の社外取締役の在任期間は公に明示されているわけではなく、あくまで会社の内規で決められているケースが多いが、例えば在任期間を7年とか8年に設定した場合、途中で辞めさせるのは難しい。また、あまり長くなると“慣れ”が出て緊張感のある関係が維持できなくなるといった理由のほか、本格的にモノを言うようになる前に交代してもらいたいという企業の“本音”も見え隠れする。

 とはいえ、上述のとおり海外と比較しても、また、自社に愛着を持って企業価値の向上に貢献してもらうという観点からも、3年程度の在任期間では短すぎる。本来、社外取締役は指名委員会(監査役会設置会社が指名委員会を設けてもよい)が決めるべきであり、そうすることにより、場合によっては「辞めてもらう」こともやりやすくなる。最長期間(例えば6年、8年など)だけ決めておき、その範囲の中で必要があれば臨機応変に交代していくといった仕組みの導入も検討に値するだろう。

2015/02/26 (新用語・難解用語)コーポレートガバナンス・コード

コーポレートガバナンス・コードとは、「『日本再興戦略』 改訂 2014」に基づき、我が国の成長戦略の一環として策定されたもので、上場会社の実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則(「独立社外取締役2名選任」「政策保有株式のリスク・リターンの検証」「投資家との対話(エンゲージメント)」など)が盛り込まれています。2015年6月1日から上場会社に適用されています。

コーポレートガバナンス・コードの特徴は「プリンシプルベース・アプローチ」と「Comply or Explain」の2つです。「プリンシプルベース・アプローチ」は「原則主義」とも言われ、厳格な定義を置かず、抽象的で大掴みな原則(プリンシプル)だけを規定する規制手法です。「プリンシプルベース・アプローチ」の対義語は「ルールベース・アプローチ」(細則主義)で、法律が典型例です。また、「Comply or Explain」は「ルールに従え(comply)、従わないのであればその理由を説明せよ(explain)」という規制手法です。法律のような、いわゆる“ハード・ロー”ではなく、紳士協定、取引慣行、努力義務といった“ソフト・ロー”に用いられる手法です。

上場会社は、自社のコーポレートガバナンス体制に関して、コーポレートガバナンス・コードに規定されるプリンシプルを“Comply”するのか、それとも“Comply”せずに“Explain”するのか判断を求められます。コードを“Comply”しなくてもペナルティは受けませんが、その理由をしっかりと“Explain”しなければなりません。それに備えて、取締役会でじっくりと議論しておく必要があります。なお、“Explain”する媒体は、証券取引所で開示が求められるコーポレート・ガバナンス報告書とされています。

コーポレートガバナンス・コードの導入は上場会社から見ると規制強化にも映りかねませんが、上場会社は投資家とのエンゲージメント(対話)を図り、“攻めのガバナンス”を実現する好機と捉えるべきです。

2015/02/26 (新用語・難解用語)株式報酬型ストックオプション

 「功績」「貢献」など主観的な要素にも左右される役員退職慰労金は、株主から見ると算定基準が不明確であり、どうしてもガバナンス上の問題を抱えやすい。こうした中、上場企業の間では2000年初頭からリーマンショックがあった2008年にかけて役員退職慰労金を廃止する動きが相次いだ。この動きはその後一旦落ち着いたものの、・・・

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